司法試験租税法まとめノート(第3版補正版)
司法試験租税法まとめノート(第3版補正板) 2024年12月9日
弘文堂ケースブック租税法(第6版)対応版
参考文献
参考リンク
- 概要
- 司法試験に合格した際に、租税法について全国1位を取りました。その当時のノートを現在の最新の情報にアップデートした試験対策ノートです。
- テーマ
- 最新の弘文堂ケースブック租税法(第6版)の「第1編 租税法の基礎理論」「第2編 所得税法」「第3編 法人税法」の部分から、ロースクールの講義で取り上げられたものをピックアップして回答やリファレンスをまとめ、再構成したものです。
- おすすめの勉強法
- まずは、税大講本(税法入門(第4章の所得税法、法人税法の部分を中心に)、国税通則法、所得税法、及び法人税法の各パート)を読みながら、条文を読んでいき、租税分野の法律の構造と条文を理解していくことをお勧めします(この段階を飛ばさないでください)。
この段階で、一度司法試験の過去問に目を通し、どういう解答が求められるかを把握します。
次に、本ノートを活用してケースブックに取り組み、その際に必ず条文を踏まえて解答を導き出せるようにしておくこと、その際、金子先生の租税法とのリファレンスを確認していきます。
その上で、司法試験の過去問を最新分から遡って解いていき、条文操作と事実認定/評価について完全にしておくこと、をお勧めします。あまりアカデミックになりすぎず、条文の基本の操作と社会常識に合致した事実認定/評価を自分の言葉でできるようになり、法令の解釈適用の結果、変な結論にならなければ試験的にも実務的にもOK です。
利用規約
- 本ノートの著作権は著者に帰属します。
- 個人の学習目的での閲覧・引用は自由です。引用の際は出典を明示してください。
- 無断での転載・再配布・商用利用はお断りします。
- 記載内容は執筆時点の理解に基づくものです。実際の判断にあたっては、必ず法令・判例の原文をご確認ください。
- 原本
- 司法試験租税法まとめノート(第3版補正版) 2024年12月9日
- 対応書籍
- 弘文堂『ケースブック租税法』(第6版)
- 収録
- 71ケース(設問番号は原本の構成に従うため連番ではありません)
- 条文更新
- 2026年8月16日 e-Gov 法令API より取得した現行条文 111条を各ケースに添付
- 改正
- 原本執筆時(2024年12月9日)から 27条に改正あり(該当条文に「改正」を表示)
- 校訂注
- 税務大学校『税大講本』(令和8年度版)および現行条文と対照し、8件の注記を該当箇所に付した
本文は原本のままで、加筆・訂正はしていません。相違点は本文の直後に校訂注として併記しています。判例・裁判例の内容は更新していません。
- 要訂正223.04 現行の所得税法28条3項3号は「収入金額が360万円を超え660万円以下である場合、116万円と当該収入金額から360万円を控除…
- 改正あり223.04 令和7年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられ、第1区分の境界も収入180万円以下から1…
- 要訂正242.01 引用されているのは平成29年度改正より前の条文。現行では、所得税法2条33号は「同一生計配偶者」の定義であり、要件は合計所得金額…
- 要訂正242.01 現行の83条は控除額を一律38万円とはしていない。居住者本人の合計所得金額に応じ、900万円以下=38万円、900万円超950万…
- 補足242.02 正確には「10万円」と「総所得金額等×5%」の“いずれか少ない方”の金額を控除する(本文の「または」は両者の選択ではない)。また…
- 改正あり222.06 公益信託に関する法制の整備に伴い、執筆後に59条・60条が改正された。60条1項1号の「贈与」「遺贈」から公益信託の受託者に対す…
- 改正あり325.02 本文が引用する37条5項以下は、公益信託に関する法制の整備に伴い執筆後に改正されている。特定公益信託の根拠法が「公益信託ニ関スル…
- 補足324.03 62条の8は執筆後に改正されている(資産調整勘定等に係る規定の整備)。減価償却の論点として引用されている趣旨・仕組みの説明に影響…
条文の取得元(法令ごとの現行版)
- 会社法
- 施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
- 商法
- 施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
- 国税通則法
- 施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
- 憲法
- 施行 1947-05-03
- 所得税法
- 施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
- 所得税法施行令
- 施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
- 所得税法施行規則
- 施行 2026-05-22 令和八年財務省令第十七号
- 民法
- 施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
- 法人税法
- 施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
- 法人税法施行令
- 施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
- 租税特別措置法
- 施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
第1編 租税法の基礎理論
第4章 租税法の解釈と適用
第3節 租税回避と否認の可否(タックス・シェルターの問題を広く含めて)
143.02相互売買か交換かー租税回避の否認の可否
引用条文の現行全文2条2026年8月16日時点
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
2. 事案の検討
東京高判H11.6.21 高民集52巻1号26頁 相互売買事件
- 事実関係
- ABC 土地の所有権移転←→ほぼ等価の近隣土地の所有権移転+3億円の交付(収入金額について)
- X の主張
- 収入金額7億→相互売買(代替地は4億円で購入、代金は対等額で相殺の上、残額3億円交付)
- Y の主張
- 収入金額10億→補足金付交換契約
- 論点
- 私法上の法形式の選択と課税(相互売買か補足金付交換契約か)
- 条文
- 所税33、36ⅠⅡ
- 結論
- X 勝訴
- 相互売買の法形式は仮装のものとまではいえない
- 仮装したという場合であれば、真の合意に即して課税されるべき(明文の規定は不要)
- そうでない限り、租税法律主義の下においては、法律の根拠なしに、当事者の選択した法形式を通常用いられる法形式に引きなおし、それに対応する課税要件が充足されたものとして取り扱う権限が課税庁に認められるものではない(明文の規定が必要)
- 実質的に考えても…その譲渡が著しく低い対価による譲渡に当たらない以上、その軽減された部分に対応する課税負担は後に繰り延べられることを法律自体が予定している。
- 原審
- Y 勝訴
- 契約の真実の内容は、当該契約における当事者の合理的意思、経過、前提事情等を総合して解釈すべき→経済目的を実質的に考慮(相互売買が仮装であるかは認定せず、直截に交換契約を認定)
143.04パラツィーナ事件
引用条文の現行全文2条2026年8月16日時点
法人税法第31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。
2 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下第四項までにおいて「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に減価償却資産を移転する場合において、当該減価償却資産について損金経理額に相当する金額を費用の額としたときは、当該費用の額とした金額(次項及び第四項において「期中損金経理額」という。)のうち、当該減価償却資産につき当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される償却限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度(第四項において「分割等事業年度」という。)の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中損金経理額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
4 損金経理額には、第一項の減価償却資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(以下この項において「償却事業年度」という。)前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額(当該減価償却資産が適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)により被合併法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該被合併法人等の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度以前の各事業年度の損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を、当該減価償却資産が適格分割等により分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「分割法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該分割法人等の分割等事業年度の期中損金経理額として帳簿に記載した金額及び分割等事業年度前の各事業年度の損金経理額のうち分割等事業年度以前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含む。以下この項において同じ。)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとし、期中損金経理額には、第二項の内国法人の分割等事業年度前の各事業年度における同項の減価償却資産に係る損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとする。
5 前項の場合において、内国法人の有する減価償却資産(適格合併により被合併法人から移転を受けた減価償却資産、第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)の規定の適用を受けた同項に規定する時価評価資産に該当する減価償却資産その他の政令で定める減価償却資産に限る。)につきその価額として帳簿に記載されていた金額として政令で定める金額が当該移転の直前に当該被合併法人の帳簿に記載されていた金額、同条第一項の規定の適用を受けた直後の帳簿価額その他の政令で定める金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、政令で定める事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなす。
6 第一項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
民法第668条(組合財産の共有)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決 百選20
1. 事案の検討
(1) この取引からX(法人)が得ようとしていた税務上のうまみはどこにあったか。そのようなうまみが生ずるメカニズムを「原審の適法に認定した事実関係の概要に即して」分析せよ。
減価償却資産は企業において長期にわたって収益を生み出す源泉であるので、取得価額は将来の収益に対する費用の一括前払いの性質を持っており、費用収益対応の原則から、使用または時間の経過に応じて取得価額は費用化すべきという趣旨で法人税法31条は減価償却費の損金算入を認めている。法人が償却費として損金経理をした金額のうち償却限度額に達するまでの金額が減価償却費として損金に算入される(法人税法31条1項)。X はこの取引により、短期間で減価償却費を人為的に作り出し、税金の負担を逃れるといううまみを得ようとしていた。また、組合に出資した自己資金を上回る額の減価償却費を損金に算入することができ、税額を更に圧縮するという効果もあった。租税回避の一種といえる。
なお、借入金については第三者によって返済が保証されており、組合員は返済の責任を負わない。ちなみに本件では原告は組合結成の際の自己資金1億3795万円に対して、約4億円の減価償却費の損金算入が可能になるようなスキームになっていた。
(4) 本件で民法上の組合B を組成していたことは、上の(1)を考える上で、どのような意味を持つか。
法人たる投資家が集まって民法上の組合を形成し、組合員の自己資金と金融機関からの借入金を原資として、映画制作会社から映画を購入する。組合は次に映画配給会社と配給契約を結び、更に映画配給会社は元の映画制作会社と第2次配給契約を結び、実際は映画制作会社のもとで興行が行われるというしくみをとる。
民法上の組合は法人格がなく、その財産は組合員の共有とされるので(民668条)、組合が購入したその映画は各組合員の固定資産として扱われる。減価償却が2年で行えることを利用して、各組合員は黒字が出る事業年度において、減価償却費の損金算入をして税額を圧縮することができる。
映画フィルムリース事件についていえば、組合が映画フィルムの所有権を取得したとしても、それは事業の用に供されていない資産であるから減価償却は認められないと解する最高裁の判決の考え方が妥当
第4節 租税法における信義則
144.01青色申告承認と信義則
引用条文の現行全文2条2026年8月16日時点
施行 1947-05-03
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
施行 1947-05-03
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
酒類販売業者青色申告事件(最判昭和62.10.30) 百選17
2. 租税法における信義則の適用
(1) 本件での「租税法律主義」の主たる内容はどのようなものであるか。また、信義則が安易に適用されると租税法律主義との関係でどのような問題が生じるか。
租税法律主義とは、租税の賦課・徴収は必ず法律の根拠に基づいて行われなければならないという原則をいい、その内容としては、課税要件法定主義、課税要件明確主義、合法性原則、手続的保障原則の4つがある。
本件判決が「租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、信義則の適用については慎重でなければならない」と述べているところの「租税法律主義」は、課税要件が充足されている限り、法律で定められた通りの税額を徴収しなければならず、法律の根拠に基づくことなく租税の減免や徴収猶予を行うことは許されないという合法性の原則が主たる内容である。信義則が安易に適用されると、法律に基づいて形式的に執行することによって、納税者間の平等を図るという趣旨である合法性の原則を過度に犠牲してしまい、租税法律主義を定めた憲法84条に反する恐れが出てくる。
(2) 信義則が適用されると、租税公平主義との関係で問題はないか。
租税公平主義とは、税負担は国民の間の担税力に即して公平に配分されなければならず、各種の法律関係において国民は平等に取り扱わなければならないという原則であり、憲法14条1項を根拠とする。
ここで、ある納税者が信義則を主張し結果的に租税上優遇を受ける一方、信義則を主張しなかった同じ状況にある納税者は法律上の税額を課税されることになり、担税力に即した公平な税負担とは言えなくなる。よって、信義則を広く認めてしまうと、租税公平主義にも反し、憲法14条1項の平等原則違反のおそれもあるだろう。
〈補遺〉ケースブック租税法旧版(第5版)に搭載の設問
第5版 163.01税負担に関する錯誤
3. 関連する問題
(1)設問前段について
譲渡の無効を理由としてY に対する所有権譲渡登記の抹消を請求しない場合、「資産の譲渡」がなされた以上、譲渡所得が生じ、分与者に譲渡所得が生じたものとして課税されるのであるから、無効主張をせず直接に譲渡所得税の決定処分の無効確認または取消しの訴えを提起することはできない。
課税の対象が私法上の行為それ自体ではなく、私法上の行為によって生じた経済的成果(たとえば所得)である場合には、その原因たる私法行為に瑕疵があっても、経済的成果が現に生じている限り、課税要件は充足され、課税は妨げられないと解するべきである。後に、原因たる行為の瑕疵を理由として経済的効果が失われた場合に、更正がなされなければならないことはいうまでもない。
譲渡所得とは、資産の増加益を指すところ、財産分与が無効とされた場合(=当事者間において無効であることは確認されているとする)、譲渡による資産の移転そのものがないことになるので、譲渡所得は発生していないことになる*。そうすると、譲渡所得税を納付前である場合においては、民事上の請求たる所有権譲渡登記の抹消を請求することなく、直接に、譲渡所得税の決定処分の無効確認または取消の訴えを提起することができる。この場合、瑕疵が存在することは明らかであるから、取消しについては認められると考えられる。無効については、重大明白説に立った場合、本件は錯誤による契約無効が主張されたものであるが、外形上一旦は成立した財産分与に基づいてなされた課税処分であるから、その瑕疵が重大もしくは明白とまではいえず、無効とはされない。
- 最判平成2年5月11日
- 「個人がその有する資産の譲渡による譲渡所得について所定の申告をしなかったとしても、当該譲渡行為が無効であり、その行為によって生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたときは、右所得は、格別の手続を要せず遡及的に消滅することになるのであって、税務署長は、その後に右所得の存在を前提として決定又は更正をすることはできないものと解される。」
(2)設問後段について
X は分与の無効を理由に、直接に国に対して還付を請求することはできない。
(更正の請求の排他性)
本件におけるX の納付済譲渡所得税は、納付の時には法律上の原因があったが、後に法律上の原因を欠くに至った税額であり、過納金に該当する。そして、過納金は、有効な確定処分に基づいて納付ないし徴収された税額であるから、基礎になっている行政処分が取り消され、公定力が排除されない限り、納税者は、不当利得としてその還付を求めることはできない。したがって、過納金の還付を求める場合には、まず、その基礎になっている更正・決定を取り消す必要がある。
平均的経済人の立場から見てそれが合理的であると認められる場合には、税負担に関する錯誤を意思表示の無効原因として考えてよい場合があると考える。ただし、このように解した場合にも、民事訴訟または相手方との合意によって行為や取引の無効の確認と原状回復をしたうえでなければ、更正・決定の無効を主張することはできないと解すべき。
第5版 163.02取得時効の遡及効と租税法
引用条文の現行全文4条2026年8月16日時点
国税通則法第23条(更正の請求)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内
三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内
3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。
民法第145条(時効の援用)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
民法第144条(時効の効力)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
国税通則法第72条(国税の徴収権の消滅時効)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
国税の徴収を目的とする国の権利(以下この節において「国税の徴収権」という。)は、その国税の法定納期限(第七十条第三項(国税の更正、決定等の期間制限)の規定による更正若しくは賦課決定、同条第四項の規定による賦課決定、前条第一項第一号の規定による更正決定等、同項第三号の規定による更正若しくは賦課決定又は同項第四号の規定による更正決定等により納付すべきものについては、第七十条第三項若しくは前条第一項第一号若しくは第三号に規定する更正、第七十条第四項に規定する賦課決定、前条第一項第一号に規定する裁決等又は同項第四号に規定する更正決定等があつた日とし、還付請求申告書に係る還付金の額に相当する税額が過大であることにより納付すべきもの及び国税の滞納処分費については、これらにつき徴収権を行使することができる日とし、過怠税については、その納税義務の成立の日とする。次条第三項において同じ。)から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
2 国税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。
3 国税の徴収権の時効については、この節に別段の定めがあるものを除き、民法の規定を準用する。
2. 取得時効と相続
尼崎相続土地喪失事件・大阪高裁平成14年7月25日1
相続財産を構成する土地について被相続人の子の時効取得を原因とする所有権移転登記を命ずる別件判決が確定しても、時効による所有権取得の効力は時効により利益を受ける者が時効を援用することによって初めて確定的に生ずるものであり、時効により所有権を取得する者は時効を援用するまではその物に対する権利を取得しないが、相続の開始時においては相続人による時効の援用がなく、納税者らが当該土地について所有権を有していたのであるから、当該別件判決は国税通則法23条2項1号の「判決」には該当せず、更正の請求を認めなかった。2これに対し、学説は「相続人が時効中断の手続をとるいとまがなかった等、真に保護に値する場合には、相続人は申告納付した相続税の減額を求めて更正の請求をすることができると解すべきである。」と指摘する(金子24版132頁)。
第5版 165.01事実認定による課税の違い
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
法人税法第74条(確定申告)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
一 当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
二 前号に掲げる所得の金額につき前節(税額の計算)の規定を適用して計算した法人税の額
三 第六十八条(所得税額の控除)及び第六十九条(外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額で前号に掲げる法人税の額の計算上控除しきれなかつたものがある場合には、その控除しきれなかつた金額
四 その内国法人が当該事業年度につき中間申告書を提出した法人である場合には、第二号に掲げる法人税の額から当該申告書に係る中間納付額を控除した金額
五 前号に規定する中間納付額で同号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつたものがある場合には、その控除しきれなかつた金額
六 前各号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項
2 清算中の内国法人につきその残余財産が確定した場合には、当該内国法人の当該残余財産の確定の日の属する事業年度(当該内国法人が通算法人である場合には、当該内国法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものを除く。)に係る前項の規定の適用については、同項中「二月以内」とあるのは、「一月以内(当該翌日から一月以内に残余財産の最後の分配又は引渡しが行われる場合には、その行われる日の前日まで)」とする。
3 第一項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。
1. 事案の検討
(2) 納税者代理人、税務署長の代理人、の各主張
本件において問題となっているのは、X からMI への土地・建物の所有移転が譲渡所得を発生させる「資産の譲渡」に該当するか、すなわち、代物弁済なのか、譲渡担保権ないしこれに類する担保権の設定行為なのかである。
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。その本質はキャピタルゲイン、すなわち所有資産の増加益であって、資産が譲渡によって所有者の手を離れるのを機会に、その保有期間中の増加益を清算して課税しようとするものである。
「譲渡」とは、有償であると無償であるとを問わず所有権その他の権利の移転を広く含む観念で、売買や交換はもとより、競売、公売、収用、物納、現物出資等が、それに含まれる。
代物弁済とは、債権の本来の内容である給付に代えて、これとは異なる給付を行うことであり、その効果として債務は消滅する。そうすると、代物弁済は譲渡に含まれる。
一方で、譲渡担保権の設定は、形式的には所有権の移転はあるものの、その実体は担保権の設定であり、ここでいう「譲渡」に該当せず、譲渡所得は発生しないことになる。譲渡担保について裁判例は、所有権の移転が形式的であるとして、譲渡担保を譲渡とみることに消極的であり、譲渡があったというためには、もとの所有者において資産の受戻しが不可能となったことが必要であるとする。
そこで、納税者の代理人としては、本件所有権移転が担保権の設定であることを主張した。そのためには、まず法的評価として、①所有権移転が形式的なものであったこと、②X が当該物件について受戻しの可能性を留保していたこと、③X の債務が当該代物弁済によって消滅していないことを主張することになる。さらに、④処分清算や帰属清算による私的な担保権の実行を可能とさせ、より担保権者に資するものであるから抵当権や仮担保権に重ねて設定をしたとしても不合理ではないこと、⑤法人税法74条1項に定める確定決算主義は決算に示された法人の意思を尊重するものであるから、両会社が共に会計上、当該不動産を譲渡させたという処理をおこなっていない以上、この意思を尊重すべきであること、⑥地方税法73条の27の3第1項2項には譲渡担保権者に対する不動産取得税の徴収猶予の制度が設けられているし、固定資産税も判例上真実の所有者に対して、不当利得返還請求権を有するとされているのであるから3、譲渡担保権者が公課の負担が多くなって、直ちに不利になるわけではないということを、主張することも考えられる。また、本件事実から、具体的に、
①MI において売掛金債権勘定をそのまま残存させる会計処理が行われていたこと、②MI が本件各物件を固定資産勘定に計上せず、課税庁に対し自己に所有権がないことを主張していたこと、③第二物件について所有権登記移転後もX をして賃貸に供し、賃料を収受していたこと、④本件所有権移転後、MI からA が資金の融通を受けていたこと、⑤原告も取得税の嘆願を行っていることから、当初より譲渡の意思がなかったことを示しているということを強調することになる。
一方、税務署長の代理人としては、本件所有権移転が代物弁済に該当することを主張することになる。
地方税法(譲渡担保財産の取得に対して課する不動産取得税の納税義務の免除等)
第七十三条の二十七の三 道府県は、譲渡担保権者が譲渡担保財産の取得(第七十三条の二第二項本文の規定が適用されるものを除く。)をした場合において、当該譲渡担保財産により担保される債権の消滅により当該譲渡担保財産の設定の日から二年以内に譲渡担保権者から譲渡担保財産の設定者に当該譲渡担保財産を移転したときは、譲渡担保権者による当該譲渡担保財産の取得に対する不動産取得税に係る地方団体の徴収金に係る納税義務を免除するものとする。
2 道府県は、不動産の取得に対して課する不動産取得税を賦課徴収する場合において、当該不動産の取得者から当該不動産取得税について前項の規定の適用があるべき旨の申告があり、当該申告が真実であると認められるときは、当該取得の日から二年以内の期間を限つて、当該不動産に係る不動産取得税額を徴収猶予するものとする。
本件では、X 側が「第一、第二物権を代物弁済としてMI に譲渡したものであるとの事実」を自白していたが、これを後に撤回し、右物権は譲渡担保又はこれに類する担保として提供したものであると主張している。Y としては、このような自白の撤回が許されないと主張することになる4。
第2編 所得税
第1章 所得税の基礎
第1節 所得の概念
211.01包括的所得概念
3.「所得」の考え方
(1)A は平成15年に300 万円を稼ぎ、そのうち290 万円を衣食住や娯楽のために支出して、10 万円を貯金した。
A の平成15年の「所得」はいくらか。
300 万円。現在の日本の租税法上、稼いだ金額が問題であり、その後貯蓄しようが消費しようが原則として無関係(経費になるかどうかの問題に過ぎない)。
(2)X 社はボーナスとして社員B にスポーツカーC を無償で使用させることとした。B の「所得」の額を計算する際にこの「ボーナス」がどう扱われるか?一度も乗らなかった場合はどうなるか?
同等のスポーツカーのレンタル料金の相場等を参考にして、当該使用権の時価相当の所得が計算されることになる。乗らなかった場合であっても、権利を得ている以上は、所得として扱われることに変わりはない。
211.02違法な所得
引用条文の現行全文3条2026年8月16日時点
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法施行令第274条(更正の請求の特例の対象となる事実)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第百五十二条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)に規定する政令で定める事実は、次に掲げる事実とする。
一 確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者の当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額(事業所得の金額並びに事業から生じた不動産所得の金額及び山林所得の金額を除く。次号において同じ。)の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと。
二 前号に掲げる者の当該年分の各種所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。
所得税法第152条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は第六十四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより、国税通則法第二十三条第一項各号(更正の請求)の事由が生じたときは、当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該申告書又は決定に係る第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第五号、第七号若しくは第八号(確定損失申告)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)について、同法第二十三条第一項の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、更正請求書には、同条第三項に規定する事項のほか、当該事実が生じた日を記載しなければならない。
- 年月日
- 最判S46.11.9 民集25-8-1120 利息制限法違反利息事件
- 事案
- Y はX らの所得税について、同年中に弁済期の到来した制限超過利息は既収のもののみならず未収のものも総収入金額に含まれるとの解釈のもと、増額更正処分
- 論点
- 違法な所得であっても「収入すべき金額」に該当するか(課税の対象となるか)。
- 適用条文
- 所得税法36条1項
- 判旨
- ①現実に収受された場合:元本に充当されたものとして処理することなく、依然として従前どおりの元本が存在するものと取り扱っている限り、現実に収受された利息・損害金の全部が貸主の所得として課税の対象となる。(元本の回収は所得を構成しない)(後に元本に充当した場合は不当利得返還請求可能)
- ②未収の場合
- 課税の対象とならない。(約定自体が無効、任意の支払いを事実上期待しうるにとどまる。→とうてい収入実現の蓋然性があるものということができない)
- 解説
- 所得概念を包括的に構成する考え方によれば、不法利得も課税の対象に含めるべき。適法な利得と同様に、納税者の支配下にあって、その担税力を増加させているにもかかわらず、不法なものであるとの理由で、それを課税の対象から除外することは、不法利得を不当に優遇することになり、公平負担の原則に反する。
人の担税力を増加させる経済的利益はすべて所得を構成する(包括的所得概念)。
利息制限法所定の制限を超過する利息損害金のように、私法上無効な債権の場合には、約定の弁済期が到来しても、法的手段に訴えてその履行を求めることができないから、弁済によってそれが納税者の管理支配下に入ったときに始めて所得として実現する、と解すべきである。
4.違法所得に課税した後始末
(1)所得税法施行令274条各号に該当して、所得税法152条により更正の請求ができる場合の要件を整理せよ。
更正の請求(所得税法152条)「第63条又は第64条に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実」
↓所得税法施行令第274条(更正の請求の特例の対象となる事実)
法第152条 (各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)に規定する政令で定める事実は、次に掲げる事実とする。
一 確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者の当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額(事業所得の金額並びに事業から生じた不動産所得の金額及び山林所得の金額を除く。次号において同じ。)の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと。
二 前号に掲げる者の当該年分の各種所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。
211.03未実現の利得
引用条文の現行全文3条2026年8月16日時点
所得税法第39条(たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者がたな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合には、その消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
所得税法第41条(農産物の収穫の場合の総収入金額算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
農業を営む居住者が農産物(米、麦その他政令で定めるものに限る。)を収穫した場合には、その収穫した時における当該農産物の価額(以下この条において「収穫価額」という。)に相当する金額は、その者のその収穫の日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
2 前項の農産物は、同項に規定する時にその収穫価額をもつて取得したものとみなす。
所得税法第40条(たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次の各号に掲げる事由により居住者の有するたな卸資産(事業所得の基因となる山林その他たな卸資産に準ずる資産として政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)の移転があつた場合には、当該各号に掲げる金額に相当する金額は、その者のその事由が生じた日の属する年分の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
一 贈与(相続人に対する贈与で被相続人である贈与者の死亡により効力を生ずるものを除く。)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く。)当該贈与又は遺贈の時におけるそのたな卸資産の価額
二 著しく低い価額の対価による譲渡当該対価の額と当該譲渡の時におけるそのたな卸資産の価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額
2 居住者が前項各号に掲げる贈与若しくは遺贈又は譲渡により取得したたな卸資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。
一 前項第一号に掲げる贈与又は遺贈により取得したたな卸資産については、同号に掲げる金額をもつて取得したものとみなす。
二 前項第二号に掲げる譲渡により取得したたな卸資産については、当該譲渡の対価の額と同号に掲げる金額との合計額をもつて取得したものとみなす。
藤松事件 大阪高裁昭和56年7月16日判決(行集32巻7号1054頁)
3.帰属所得
(1)帰属所得不課税の原則の立法政策的な理由
帰属所得が制度上課税の対象とはされないのは、それらが本質的に所得ではないからではなく、捕捉し評価することが困難だからである。すなわち立法政策的な理由で帰属所得は現行法上原則として課税の対象としていない。
(2)帰属所得不課税の例外
居住者がたな卸資産を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合(所得税法39条)。
農業を営む居住者が農産物(米、麦その他政令で定めるものに限る。)を収穫した場合(所得税法41条1項)。所得税法40条も帰属所得不課税の例外規定である。
211.05非課税となる損害賠償金等
引用条文の現行全文4条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第9条(非課税所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
一 当座預金の利子(政令で定めるものを除く。)
二 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条(特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配
三 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
イ恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの
ロ遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
ハ条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用(自動車その他の交通用具の駐車のための施設の利用のために支出する費用を含む。)に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
七 国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの
八 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
十 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得)の規定に該当するものを除く。)
十一 オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの
十二 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第四条第一項(内廷費)及び第六条第一項(皇族費)の規定により受ける給付
十三 次に掲げる年金又は金品
イ文化功労者年金法(昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項(年金)の規定による年金
ロ日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
ハ日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
ニ学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
ホノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの
十四 オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
十六 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する事業で財務省令で定めるものにより、その業務を利用する者の居宅その他財務省令で定める場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は児童福祉法第五十九条の二第一項(認可外保育施設の届出)に規定する施設その他の財務省令で定める施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品(前号に規定する学資に充てるため給付される金品を除く。)
十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含み、同法第二十一条の三第一項第一号(贈与税の非課税財産)に規定する公益信託から給付を受けた財産に該当するものを除く。)
十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
十九 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
二 前項第十号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の取得費等の金額又は第三十二条第三項(山林所得)に規定する必要経費に満たない場合におけるその不足額
所得税法施行令第30条(非課税とされる保険金、損害賠償金等)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第九条第一項第十八号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補塡するための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。
一 損害保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社若しくは同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約又は同条第十八項に規定する少額短期保険業者(以下この号において「少額短期保険業者」という。)の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この条において同じ。)に基づく保険金、生命保険契約(同法第二条第三項に規定する生命保険会社若しくは同条第八項に規定する外国生命保険会社等の締結した保険契約又は少額短期保険業者の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この号において同じ。)又は旧簡易生命保険契約(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条(法律の廃止)の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第三条(政府保証)に規定する簡易生命保険契約をいう。)に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)
二 損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金(前号に該当するもの及び第百八十四条第四項(損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等)に規定する満期返戻金等その他これに類するものを除く。)で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち第九十四条(事業所得の収入金額とされる保険金等)の規定に該当するものを除く。)
三 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(第九十四条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)
所得税法施行令第206条(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第七十二条第一項(雑損控除)に規定する政令で定めるやむを得ない支出は、次に掲げる支出とする。
一 災害により法第七十二条第一項に規定する資産(以下この項において「住宅家財等」という。)が滅失し、損壊し、又はその価値が減少したことによる当該住宅家財等の取壊し又は除去のための支出その他の付随する支出
二 災害により住宅家財等が損壊し、又はその価値が減少した場合その他災害により当該住宅家財等を使用することが困難となつた場合において、その災害のやんだ日の翌日から一年を経過した日(大規模な災害の場合その他やむを得ない事情がある場合には、三年を経過した日)の前日までにした次に掲げる支出その他これらに類する支出
イ災害により生じた土砂その他の障害物を除去するための支出
ロ当該住宅家財等の原状回復のための支出(当該災害により生じた当該住宅家財等の第三項に規定する損失の金額に相当する部分の支出を除く。第四号において同じ。)
ハ当該住宅家財等の損壊又はその価値の減少を防止するための支出
三 災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出
四 盗難又は横領による損失が生じた住宅家財等の原状回復のための支出その他これに類する支出
2 法第七十二条第一項第一号に規定する政令で定める金額は、その年においてした前項第一号から第三号までに掲げる支出の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。)とする。
3 法第七十二条第一項の規定を適用する場合において、同項に規定する資産について受けた損失の金額は、当該損失を生じた時の直前におけるその資産の価額(その資産が次の各号に掲げる資産である場合には、当該価額又は当該各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額)を基礎として計算するものとする。
一 法第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)に規定する資産(次号及び第三号に掲げるものを除く。)当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が次に掲げる資産である場合には、次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
イ昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた資産法第六十一条第三項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費等)の規定
ロ法第六十条第一項第一号(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権の目的となつている建物同条第二項の規定
ハ法第六十条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権を有する居住者がその後において取得した当該配偶者居住権の目的となつていた建物第百六十九条の二第七項(贈与等により取得した資産の取得費等)の規定
二 法第六十条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権当該損失の生じた日に当該配偶者居住権の消滅があつたものとみなして同条第三項の規定を適用した場合に当該配偶者居住権の取得費とされる金額に相当する金額
三 法第六十条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利当該損失の生じた日に当該権利の消滅があつたものとみなして同条第三項の規定を適用した場合に当該権利の取得費とされる金額に相当する金額
4 その年において生じた法第七十二条第一項に規定する損失の金額のうちに法第七十一条の二第二項(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)に規定する特定非常災害により生じた損失の金額と他の損失金額(当該特定非常災害により生じた損失の金額以外の法第七十二条第一項に規定する損失の金額をいう。)とがある場合におけるその年において生じた雑損失の金額は、当該特定非常災害により生じた損失の金額から順次成るものとする。
5 前項の場合において、雑損失の金額のうちに特定雑損失金額と他の雑損失金額とがあるときは、法第七十二条第一項の規定による控除については、他の雑損失金額から順次控除する。
所得税法第72条(雑損控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。)その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額
二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額
三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
3 第一項の規定による控除は、雑損控除という。
マンション建設承諾料事件 大阪地裁昭和54年5月31日判決(行集30巻5号1077頁)
3.損害賠償金を非課税とする根拠と現行法の定め
(1)所得税法9条1項16号および所得税法施行令30条の規定する、非課税とされる「損害賠償金等」の範囲
①身体の傷害に起因して支払いを受ける保険金・給付金
②心身に加えられた傷害につき支払いを受ける慰謝料その他損害賠償金・相当の見舞金
③資産の損害に起因して支払いを受ける保険金・給付金、資産に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金・相当の見舞金
死亡に起因して支払いを受ける保険金等は非課税の対象とはならず一時所得となる(最判平成2年7月17日判時1357号46頁、ちなみにこの事件は役員の死亡により会社が支払いを受けていた。)。
(2)損害賠償が非課税とされる理論的根拠は何か。現行法上非課税とされる損害賠償の範囲はどのように評価されるか。
「80万円で購入した絵皿の価格が100万円に増加していたときに他人の不法行為でこれを壊されたため、100万
円の損害賠償金を受け取った」という事例に即して考えてみよ。
包括的所得概念から「所得」とは人の担税力を増加させるすべての経済的利得をいう。損害賠償が非課税とされるのはそれが損害の回復という性質を持ち、担税力を増加させないからである。
損害額は当該資産の時価で判断される(所得税法施行令206条3項柱書)。壊されたときの皿の価格は100 万円であり、受けた損害は100 万円になるので受け取った100 万円の損害賠償金は損害の填補として非課税となる。
損害賠償の名目があったとしても、損害の回復に必要な額を超えれば、当該超過部分につき所得となる。
なお、所得税法施行令は雑損控除(所得税法72条)についてのものであり、雑損控除は損害ではなく損失としているため所得税法施行令206条3項は関係ないのではないかという考えもあり。
第3節 所得の帰属
213.01実質所得者課税の原則
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
民法第549条(贈与)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
3.形式と実質の一致
※脚注のみ5
213.02事業からの所得――親子の場合
引用条文の現行全文3条2026年8月16日時点
所得税法第27条(事業所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。
所得税法第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
所得税法第57条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。
一 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イその居住者の配偶者である事業専従者八十六万円
ロイに掲げる者以外の事業専従者五十万円
二 その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額
4 前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。
5 第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。
6 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。
7 第一項又は第三項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
8 青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目、第二項の書類に記載した事項を変更する場合の手続その他第一項又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
歯科医院親子共同経営事件 東京高判H3.6.6月報38-5-878 百選28
東京高判H3.6.6月報38-5-878 歯科医院親子共同経営事件(百選28)
- 事案
- X は昭和57年分および昭和58年分の所得税について、T 歯科医院の総収入および総費用を折半して確定申告をしたところ、Y は、X の息子S を独立の事業者と認めず、X の専従事業者とし、収入・費用がすべてX に帰属するものとして増額更正処分を行った。
- 論点
- 親子が相互に協力して一個の事業を営んでいる場合における所得の帰属者
- 条文
- 所得税法27条、56条、57条、所得税基本通達12-5(2)
- 判旨
- ①親子が相互に協力して一個の事業を営んでいる場合における所得の帰属者が誰であるかは、その収入が何人の勤労によるものであるかではなく、何人の収入に帰したかで判断されるべき問題 ②ある事業による収入はその経営主体に帰したものと解すべき(医院の経営に支配的影響力を有している者) ③従来父親が単独で経営していた事業に新た
- に子が加わった場合
- 特段の事情がない限り父親が経営主体で子は単なる従業員としてその支配の下に入ったものと解するのが相当(課税要件事実)事業所得の帰属→「経営主体」で判断(判旨①②)
(間接事実)(判旨③→厳密に言うと、事実上の推定について述べたもの。原告は間接反証により父親が経営主体であることを真偽不明に持ち込む必要がある)
(Y に有利な間接事実)
昭和35年X により開業、費用負担、設備の購入者はともにX息子S は昭和56年から従事S は医師としての経験が新しく、かつ短い医院の収入から借入金を返済した後XY で按分、按分割合不明確(X に有利な間接事実)
S の従事に応じて患者数が増え、S 固有の患者が来院するようになった、医院の収入が昭和56年から飛躍的に増大した
- 解説
①課税物件の帰属の問題②所得税の累進課税構造・個人単位主義→関係者間で所得分配のインセンティブ④事業主基準(支配的影響力・生計の主宰者が重要な考慮要素)⑤経営主体を一人と見るか、複数と見るか→事業主基準は複数の者を事業主と認めることをまったく排除するものではない。
- 課税物件の帰属
- 課税物件と納税者の結びつき
- 事業所得の帰属
- 判例・通達は、事業の経営主体が誰であるか、または生計を主宰しているのは誰であるかによって事業所得の帰属を決めようとしている。これは、一応正当であるが、場合によっては、二者択一的な考え方が実態に合わず、むしろ夫と妻あるいは父と子の共同事業と見るべき場合がある
4.夫婦で農業に従事する場合の帰属判定
(1)このような事案における所得の帰属はどのように考えるのが合理的か。
本件では、農地の所有者および農業協同組合の所属名義は夫であるが、通常の耕作作業等はすべて妻が行い、農作業に関わる決定も細部は妻が定め、夫は時折相談に乗る程度である。そうすると、当該農業につき支配的影響力を有するのは妻であるといえ、その所得は妻に帰属すると考えるのが合理的である。
農地の所有権、農協の所属名義が夫であること、夫名義で所属している農協の指示通りに作業を行っていることから、主宰者は夫であると考えるべきではないか?
(2)所得税基本通達12-3 の内容と本件への適用
- 農業の経営についての協力度合=通常の農作業は全て妻が行い、夫は田植え、稲刈り等の重要な作業にのみ従事
- 耕地の所有権の所在=夫
- 農業についての知識経験の程度=夫名義で農業協同組合に所属
- 家庭生活の状況=夫は近隣の市に勤めている
- 農業の経営方針の決定=細部は妻が定めて、夫は時折相談に乗る程度本件の場合、夫は近隣の市に勤めており、重要な作業以外は農耕に従事していない。また、農業に関する知識経験についても「農作業に関する決定につき農協の指導通り行っている」ことから、有しているとは言えない。
そうすると、通達に即して考えると、事業主は妻であると推定され、その所得は妻に帰属することになる。本件では、支配的影響力を有するものが夫、妻のどちらかが不明な場合に該当し、通達に従えば「生計を主宰している者」である夫が事業主に該当するものと推定される。
所得税基本通達(夫婦間における農業の事業主の判定)
12-3 生計を一にしている夫婦間における農業の事業主がだれであるかの判定をする場合には、両者の農業の経営についての協力度合、耕地の所有権の所在、農業の経営についての知識経験の程度、家庭生活の状況等を総合勘案して、その農業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該農業の事業主に該当するものと推定する。この場合において、当該支配的影響力を有すると認められる者がだれであるかが明らかでないときには、生計を主宰している者が事業主に該当するものと推定する。ただし、生計を主宰している者が会社、官公庁等に勤務するなど他に主たる職業を有し、他方が家庭にあって農耕に従事している場合において、次に掲げる場合に該当するときは、その農業(次の(4)に掲げる場合に該当するときは、特有財産に係る部分に限る。)の事業主は、当該家庭にあって農耕に従事している者と推定する。
(1)家庭にあって農耕に従事している者がその耕地の大部分につき所有権又は耕作権を有している場合(婚姻後に生計を一にする親族から耕作権の名義の変更を受けたことにより、その耕地の大部分につき所有権又は耕作権を有するに至ったような場合を除く。)
(2) 農業が極めて小規模であって、家庭にあって農耕に従事している者の内職の域を出ないと認められる場合
(3)(1)又は(2)に該当する場合のほか、生計を主宰している者が、主たる職業に専念していること、農業に関する知識経験がないこと又は勤務地が遠隔であることのいずれかの事情により、ほとんど又は全く農耕に従事していない場合(その農業が相当の規模であって、生計を主宰している者を事業主とみることを相当とする場合を除く。)
(4)(1)から(3)までに掲げる場合以外の場合において、家庭にあって農耕に従事している者が特有財産である耕地を有している場合(注)「家庭にあって農耕に従事している場合」には、従来家庭にあって農耕に従事していた夫婦の一方が、病気療養に専念するため、たまたまその年の農耕に従事しなかったような場合も含まれる。
第2章 所得分類
第1節 利子所得・配当所得
221.01「預金」の意義
引用条文の現行全文2条2026年8月16日時点
所得税法第23条(利子所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
利子所得とは、公社債及び預貯金の利子(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、当該利子に係る部分であつた公社債に係るものを除く。)並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配(以下この条において「利子等」という。)に係る所得をいう。
2 利子所得の金額は、その年中の利子等の収入金額とする。
民法第666条(消費寄託)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
2 第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
3 第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
3.所得税法23条1項は、預貯金の利子以外に公社債の利子や一定の信託の収益の分配を利子所得としている。
①その理由、②「利益参加型社債」の「利子」の所得分類
- ①について
- 定期に定率で多数のものに同一条件で支払われる点で共通
- ②について
- 利益参加型社債は多数・同一条件だが不定期・変動利率のため利子所得とはいいがたい。利益参加型社債における「利益」とは、税引き後利益の分配であるため、配当所得(二重課税防止のため配当控除がある)。もし一部定率部分が存すれば利子所得との二重利得の可能性あり。
4.関連裁判例
東京高判S39.12.9 行集15-12-2307 協和興業事件
- 事案
- X はいわゆる株主相互会社。資金調達方法として高利の「利子」の支払いを約して宝金銭を受け入れる方法あり。「利子」として1,954,046 円支払い。Y はこの「利子」について、X に対して源泉徴収納付告知処分。X 無効確認・過納金還付請求。
- 論点
- 本件「利子」名目の金銭は利子所得となるか。
- 適用条文
- 所得税法23条1項「預貯金の利子」
- 要旨
- 預金とは、通常、①銀行等の金融機関が不特定多数の相手方(すなわち預金者)に対し、同額の金銭の返還を訳して預金者から預託を受けて得た金銭であって、②受け入れた金銭をそのまま保管するのではなく、これを消費し、その返還にあたっては同額の金銭をもってすればよい→民法666条の消費寄託の性質→「預(貯)金」も同様(借用概念)
- 消費貸借との区別
- ①預金者のため(つまり、定期に定率で多数のものに同一条件で支払われるものかどうか、金銭的価値の保管するものかどうか(下記間接事実から推認)、②判断方法としては、当事者が当該契約につけた名称にこだわることなく、契約の実質的内容に即して判断すべき
- 間接事実
- 金銭の受け入れ主体の属性、不特定多数者からの受け入れかどうか、返還時期を定めないときは直ちに返還に応じる内容かどうか、返還時期を定めたとしても期間は短期かどうか、安全な保管を本旨とし担保を提供せずに金銭を受け入れたかどうか↓本件消費寄託→利子所得該当→源泉徴収義務者の徴収納付義務肯定
※本件判決の考え方に従うと、貸金業者の貸金の利子は利子所得に該当するか。また、貸金業者でないものの貸
金の利子はどうか。
- 貸金業者の貸金の利子
- 消費貸借契約に基づく金銭給付。よって事業所得
- 理由
- 金銭の受け入れ主体→金融機関ではない、不特定多数者からの金銭受け入れではなく貸金業者が不特定多数者に金銭を提供する形態、返還時期を定めないことは考えにくい、担保を取らないことが多いがそのリスクに見合った利率設定
- 貸金業者でない者の場合
- 雑所得
221.02配当所得の意義
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
会社法第453条(株主に対する剰余金の配当)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。
鈴や金融株式会社事件 最高裁昭和35年10月7日判決(民集14巻12号2420号)
1.配当所得の判断基準
(1)本件判決は、「配当所得とは法人の利益の配当の実質を有するものを指す」と判示したといえるか。ある所得が「配当所得」を構成する「利益の配当」に該当するか否かについての、本件判決が挙げる判断基準をまとめよ。
所得税法は、利益配当の概念として商法の前提とする利益配当の観念(すなわち、損益計算上の利益を株金額の出資に対して株主に支払う金額)と同一観念を採用している(判旨)。また違法な配当も所得税法上の利益配当に含まれるとする。このことから、配当所得とは、法人の利益の配当の実質を有するものを指す、と判旨したといえる。
- 本判決の判断基準
- 損益計算上の利益を株金額の出資に対して株主に支払われたかどうか。
(2)株主平等原則に反して一部の株主のみに支払われた配当は、判例の考え方では、配当所得に当たるか。また、1000 株以上を保有する株主に一律に与えられる時価3 万円相当の「株主優待利用券」は、判例の考え方では配当所得に当たるか。
株主平等原則に反しているといえども、損益計算上の利益を株金額の出資に対して株主に支払われたものである以上、配当所得に当たる。当該法人が経営する遊戯施設を無料で利用できる、時価3 万円相当の「株主優待利用券」は、損益計算上の利益の配当とはいえないため、配当所得には当たらない。
2.利益の配当から剰余金の配当へ
脚注のみ6
第2節 譲渡所得
222.01譲渡所得の意義
引用条文の現行全文3条2026年8月16日時点
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
2 総所得金額は、次節(各種所得の金額の計算)の規定により計算した次に掲げる金額の合計額(第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
一 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額(第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び雑所得の金額(これらの金額につき第六十九条(損益通算)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額
二 譲渡所得の金額(第三十三条第三項第二号に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び一時所得の金額(これらの金額につき第六十九条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額の二分の一に相当する金額
3 退職所得金額又は山林所得金額は、それぞれ次節の規定により計算した退職所得の金額又は山林所得の金額(これらの金額につき第六十九条、第七十条又は第七十一条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
榎本家事件 最高裁昭和43年10月31日判決(訟月14巻12号1442頁)
3.譲渡所得課税と平準化
(1) 平準化とはどのような内容の措置か。
長期的に発生した所得に対し、一時に累進税率を適用すると税負担が重くなる束ね効果が生じる場合にその効果を緩和すること。
(2) 割賦弁済土地譲渡事件判決は譲渡所得における平準化の必要性をどのように説明しているか。
「年々に蓄積された当該資産の増加益が所有者の支配を離れる機会に一挙に実現したものと見る建前から、累進税率のもとにおける税負担が大となるので、法はその軽減を図る目的で同法9条1項8号の規定により計算した金額の合計金額から15万円を控除した金額の10分の5に相当する金額をもって課税標準とした(同条1項)のである。」と説明している。
(3)割賦弁済土地譲渡事件判決において考慮要素とされるべき重要な制度的要因は何と考えられているか。
権利確定主義(所得税法36条)、実現主義、累進課税
(4)現行法において採用されている平準化措置はどのようなものか。
保有期間が5年を超える長期譲渡所得に対して、50万円の特別控除をした後に、2分の1課税をしている(所得税法22条2項2号、同33条3項2号、同条4項)。
222.02譲渡所得における「資産」と「譲渡」の意義
引用条文の現行全文2条2026年8月16日時点
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
名古屋医師財産分与事件 最高裁昭和50年5月27日判決(民集29巻5号641頁)
4.財産分与と譲渡所得課税
(1)事案の検討
①本件判決が、財産分与から譲渡所得が発生するとしたメカニズム
確定した財産分与義務の消滅は、経済的な利益の享受に該当し収入金額となる(所得税法36条1項)ので不動産の譲渡による譲渡所得が発生する。
②本件判決の考え方を当てはめると、取得価額300 万円、時価1000 万円の土地を分与した場合と、1000 万円の現金を分与した場合とで課税上どのような違いが生じるか。
土地分与の場合は、1000 万円-300 万円=700 万円7が譲渡所得となり課税されるが、現金分与の場合は課税はない。
7.譲渡所得における「資産」の意義
(1)①「現金」は所得税法33条1項にいう「資産」に当たるか。もし現金がここにいう「資産」に当たるとすると、1 億円の現金で時価1 億1000 万円の土地を買ったときにはどのような課税が行われることになるか。
当たらない。そもそも金銭には値上がりが観念できない。課税されない。
②また、「金銭債権」はどうか。
「資産」に当たらない。(所得税基本通達33-1 は、譲渡所得の基因となる資産とは、法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権以外の一切の資産をいい、当該資産には、借家権又は行政官庁の許可、認可、割当て等により発生した事実上の権利も含まれる。と規定)
(2)土地・家屋の賃貸人(所有者)が賃借人に立退料を支払った場合の課税関係はどのように考えられるか。
消滅する賃借権の対価として支払う立退料は譲渡所得に、事業等に生じる収入費用の填補として支払う立退料は事業所得等に、それ以外は一時所得になる。
所得税法施行令第九十五条(譲渡所得の収入金額とされる補償金等)
契約(契約が成立しない場合に法令によりこれに代わる効果を認められる行政処分その他の行為を含む。)に基づき、又は資産の消滅(価値の減少を含む。以下この条において同じ。)を伴う事業でその消滅に対する補償を約して行なうものの遂行により譲渡所得の基因となるべき資産が消滅をしたこと(借地権の設定その他当該資産について物権を設定し又は債権が成立することにより価値が減少したことを除く。)に伴い、その消滅につき一時に受ける補償金その他これに類するものの額は、譲渡所得に係る収入金額とする。
所得税基本通達(借家人が受ける立退料)
33-6 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料のうち、借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額は、令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する。
(注) 上記に該当しない立退料については、34-1 の(7)参照34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。(昭49 直所2-23、昭55 直所3-19、直法6-8、平11 課所4-1、平17 課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113、平18 課個2-18、課資3-10、課審4-114 改正)
(7) 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(その立退きに伴う業務の休止等により減少することとなる借家人の収入金額又は業務の休止期間中に使用人に支払う給与等借家人の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額及び令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する部分の金額を除く。)
(注)
1 収入金額又は必要経費に算入される金額を補てんするための金額は、その業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入される。
2 令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する立退料については、33-6 参照
222.03譲渡所得を発生させない「資産の譲渡」
引用条文の現行全文11条執筆時から改正 22026年8月16日時点
所得税法第9条(非課税所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
一 当座預金の利子(政令で定めるものを除く。)
二 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条(特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配
三 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
イ恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの
ロ遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
ハ条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用(自動車その他の交通用具の駐車のための施設の利用のために支出する費用を含む。)に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
七 国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの
八 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
十 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得)の規定に該当するものを除く。)
十一 オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの
十二 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第四条第一項(内廷費)及び第六条第一項(皇族費)の規定により受ける給付
十三 次に掲げる年金又は金品
イ文化功労者年金法(昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項(年金)の規定による年金
ロ日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
ハ日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
ニ学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
ホノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの
十四 オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
十六 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する事業で財務省令で定めるものにより、その業務を利用する者の居宅その他財務省令で定める場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は児童福祉法第五十九条の二第一項(認可外保育施設の届出)に規定する施設その他の財務省令で定める施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品(前号に規定する学資に充てるため給付される金品を除く。)
十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含み、同法第二十一条の三第一項第一号(贈与税の非課税財産)に規定する公益信託から給付を受けた財産に該当するものを除く。)
十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
十九 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
二 前項第十号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の取得費等の金額又は第三十二条第三項(山林所得)に規定する必要経費に満たない場合におけるその不足額
所得税法施行令第25条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
所得税法第62条(生活に通常必要でない資産の災害による損失)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法施行令第178条(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三 生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの
2 法第六十二条第一項の規定により、同項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた同項に規定する損失の金額をその生じた日の属する年分及びその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす場合には、次に定めるところによる。
一 まず、当該損失の金額をその生じた日の属する年分の法第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、当該所得の金額の計算上控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
二 前号の規定によりなお控除しきれない損失の金額があるときは、これをその生じた日の属する年の翌年分の法第三十三条第三項第一号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、なお控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該翌年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
3 法第六十二条第一項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。
一 法第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)に規定する資産(次号に掲げるものを除く。)当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第二項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費)の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 法第三十八条第二項に規定する資産当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第三項の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
所得税法第64条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
2 保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
3 前項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の譲渡をした資産の種類その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
所得税法第152条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は第六十四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより、国税通則法第二十三条第一項各号(更正の請求)の事由が生じたときは、当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該申告書又は決定に係る第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第五号、第七号若しくは第八号(確定損失申告)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)について、同法第二十三条第一項の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、更正請求書には、同条第三項に規定する事項のほか、当該事実が生じた日を記載しなければならない。
民法第446条(保証人の責任等)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
国税通則法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国税国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税及び特別法人事業税以外のものをいう。
二 源泉徴収等による国税源泉徴収に係る所得税及び国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)第二条第一項第七号(定義)に規定する特別徴収に係る国際観光旅客税(これらの税に係る附帯税を除く。)をいう。
三 消費税等消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税をいう。
四 附帯税国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。
五 納税者国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収等による国税を除く。)を納める義務がある者(国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)に規定する第二次納税義務者及び国税の保証人を除く。)及び源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。
六 納税申告書申告納税方式による国税に関し国税に関する法律の規定により次に掲げるいずれかの事項その他当該事項に関し必要な事項を記載した申告書をいい、国税に関する法律の規定による国税の還付金(以下「還付金」という。)の還付を受けるための申告書でこれらのいずれかの事項を記載したものを含むものとする。
イ課税標準(国税に関する法律に課税標準額又は課税標準数量の定めがある国税については、課税標準額又は課税標準数量。以下同じ。)
ロ課税標準から控除する金額
ハ次に掲げる金額(以下「純損失等の金額」という。)
(1)所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する純損失の金額又は雑損失の金額でその年以前において生じたもののうち、同法の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前年分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの
(2)法人税法(昭和四十年法律第三十四号)に規定する欠損金額でその事業年度以前において生じたもの(同法第五十七条第二項(欠損金の繰越し)の規定により欠損金額とみなされたものを含む。)のうち、同法の規定により翌事業年度以後の事業年度分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前事業年度以前の事業年度分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの
(3)相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十一条の十二(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)の規定により同条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合における当該金額の合計額を二千五百万円から控除した残額
ニ納付すべき税額
ホ還付金の額に相当する税額
ヘニの税額の計算上控除する金額又は還付金の額の計算の基礎となる税額
七 法定申告期限国税に関する法律の規定により納税申告書を提出すべき期限をいう。
八 法定納期限国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる国税については、それぞれ次に定める期限又は日)をいう。この場合において、第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限及び所得税法若しくは相続税法の規定による延納(以下「延納」という。)、第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)に規定する納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限は、当該国税を納付すべき期限に含まれないものとする。
イ第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税その国税の額をその国税に係る期限内申告書に記載された納付すべき税額とみなして国税に関する法律の規定を適用した場合におけるその国税を納付すべき期限
ロ国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限とされている日後に納税の告知がされた国税(ハ又はニに掲げる国税に該当するものを除く。)当該期限
ハ国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税当該事実が生じた日
ニ附帯税その納付又は徴収の基因となる国税を納付すべき期限(当該国税がイからハまでに掲げる国税に該当する場合には、それぞれ当該国税に係るイからハまでに掲げる期限(地価税に係る過少申告加算税、無申告加算税及び第三十五条第三項に規定する重加算税については、先に到来する期限)又は日)
九 課税期間国税に関する法律の規定により国税の課税標準の計算の基礎となる期間(課税資産の譲渡等(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第九号(定義)に規定する課税資産の譲渡等をいい、同項第八号の二に規定する特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第十五条第二項第七号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)において同じ。)及び特定課税仕入れ(同法第五条第一項(納税義務者)に規定する特定課税仕入れをいう。同号において同じ。)に課される消費税(以下「課税資産の譲渡等に係る消費税」という。)については、同法第十九条(課税期間)に規定する課税期間)をいう。
十 強制換価手続滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続、企業価値担保権の実行手続及び破産手続をいう。
所得税法施行令第26条(非課税とされる資力喪失による譲渡所得)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第九条第一項第十号(非課税所得)に規定する政令で定める所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとする。
3.家庭用動産の譲渡損益の扱い
(1)①所得税法9条1項9号と所得税法施行令25条を併せて読んだ場合、どのような資産の譲渡益が非課税であり、どのような資産の譲渡益が課税されるのか。
- 非課税
- 「家具、じゅう器、衣服」及び「30 万円を超える貴金属・書画骨董等(所得税法施行令25条)を除く生活に通常必要な動産」の譲渡益(所得税法9条1項9号)
- 課税
- 「30 万円を超える貴金属・書画骨董等」及び「生活に通常必要な動産以外の生活用動産」(所得税法33条、所得税法62条1項)
②所得税法9条2項1号の適用のある資産は、譲渡益・損失についてどのような扱いがなされるか。
- 非課税
- 譲渡益(所得税法9条1項9号)
譲渡損失→ないものとみなす(所得税法9条2項1号)
(2)①サラリーマンが自家用車を譲渡して所得を得たり、損失を被ったりした場合、その自家用車の性質の区分に応じ、その扱いはどのようになるか。また、その区分は、本件第一審判決、控訴審判決に従うとそれぞれどのように行われるか。
- 第一審
- X は通勤、勤務先での業務用として自家用車を利用しており、その走行日数・使用日数はレジャーのために使用したそれを大幅に上回っていること等を考慮し、本件自動車は生活に必要なものとして密接に関連しているので、生活に必要な動産(所得税法9条1項9号、所得税法施行令25条)に該当するとした。
→ 生活に必要な動産の譲渡益は非課税(所得税法9条1項9号)、譲渡損失についてはないものとみなされる(所得税法9条2項1号)。
- 控訴審
- 自動車を業務の用に供することは雇用契約の性質上使用者の負担においてされるべきことで、X に自家用車を業務の用に供する義務はなく、通勤手当の支給も受けており、車を使用する必要はなく、その部分については生活に通常必要なものとしての自動車の使用ではない。自宅から駅までの通勤については生活に通常必要な使用であるが、それは車の使用全体の僅かな割合を占めるにすぎず、本件自動車は生活に通常必要でない資産に該当する。
→ 生活に通常必要でない資産の譲渡益は譲渡所得として課税(所得税法33条)、災害・盗難・横領による損失については譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額となる(所得税法62条1項、所得税法施行令178条1項3号)。
しかし、この損失の金額については「他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」から控除するものとし、他の各種所得の金額との損益通算は認められていないため、給与所得との損益通算はできない(所得税法69条2項)。また、資産の譲渡益はない本件では、他の資産の譲渡益からの控除の適用もない(所得税法33条3項括弧書)。よって、税法上控除の対象にはならない。
4.たな卸資産等の譲渡
(1)所得税法33条2項1号に掲げる資産の譲渡から譲渡所得が発生しない理由
譲渡所得は外部的条件の変化に起因する資産の所有者に帰属する値上がり益に対して清算して課税するものであるが、たな卸資産等についてはそもそもそのような値上がり益を観念できないから。
(2)以下の譲渡から得られる所得は何所得になるか
①たな卸資産の譲渡→事業所得
②準たな卸資産の譲渡→雑所得8
③営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡→雑所得5.政策的に譲渡所得に課税しない場合
(1)所得税法9条1項10号の要件と効果
強制換価手続等による資産の譲渡による所得<要件> ①資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の強制換価手続9による資産の譲渡、もしくは、
②資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたもの10で、かつ、③たな卸資産等の譲渡による所得でないもの<効果> 譲渡益→非課税(所得税法9条1項)、譲渡損失→ないものとみなす(所得税法9条2項2号)
所得税法9条1項10号 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号 (定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)
(2)所得税法64条2項の要件と効果
行使不能になった求償権の基因となる保証債務の履行のための資産の譲渡<要件> ①保証債務を履行するための資産(たな卸資産等を除く)の譲渡等があった場合において、②その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなったとき<効果>行使することができなくなった金額は、当該各種所得の計算上なかったものとみなす。=収入金額不算入(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)
第六十四条 その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
2 保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
3・4 略→保証契約の締結時に主債務者に対する求償権の行使が不可能であることを認識していた場合には、本条の適用はないと解すべき
(3)納税者X が、自分が所有する資産を譲渡して保証債務を弁済したところ、その翌々年になって主債務者A が破産しA に対する求償権の全部を行使することができないこととなった場合には、X はどのような手続で所得税法64条2項の適用を受けることができるか(参照、所得税法152条)
所得税法152条 更正の請求 = 過年度修正11(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)
第百五十二条 確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は第六十四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより、国税通則法第二十三条第一項 各号(更正の請求)の事由が生じたときは、当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該申告書又は決定に係る第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第八号まで(確定所得申告書の記載事項)又は第百二十三条第二項第一号、第五号、第七号若しくは第八号(確定損失申告書の記載事項)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)について、同法第二十三条第一項 の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、同条第三項 に規定する更正請求書には、同項 に規定する事項のほか、当該事実が生じた日を記載しなければならない。
(4)Q の債務を保証するためにP が所有する土地の上に抵当権を設定し、この抵当権が実行された場合に、所得税法64条2項の適用はあるか。
物上保証人P が所有する土地に抵当権を設定し、抵当権が実行された場合でも、所得税法64条2項の適用がある(所得税基本通達64-4(5)参照)。
所得税基本通達64-4(保証債務の履行の範囲)
64-4 法第64条第2項に規定する保証債務の履行があった場合とは、民法第446条《保証人の責任等》に規定する保証人の債務又は第454条《連帯保証の場合の特則》に規定する連帯保証人の債務の履行があった場合のほか、次に掲げる場合も、その債務の履行等に伴う求償権を生ずることとなるときは、これに該当するものとする。(昭56 直資3-2、直所3-3、平17 課資3-7、課個2-25、課審6-13 改正)
(1) 不可分債務の債務者の債務の履行があった場合
(2) 連帯債務者の債務の履行があった場合
(3) 合名会社又は合資会社の無限責任社員による会社の債務の履行があった場合
(4) 身元保証人の債務の履行があった場合
(5) 他人の債務を担保するため質権若しくは抵当権を設定した者がその債務を弁済し又は質権若しくは抵当権を実行された場合
(6) 法律の規定により連帯して損害賠償の責任がある場合において、その損害賠償金の支払があったとき。
(5)所得税法64条2項を悪用して資産譲渡益に対する課税を免れる仕組みを考えてみよ12。
・実質的にはP 自らの借入債務であるのに、形式的に無資力であるR を債務者とし、自らは保証人となった場合
→保証人となった者がその債務を履行しても、形式的に債務者とされた者に対して求償できる実体関係にはないから、所得税法64条2項は適用されない。
・保証人P が保証契約締結時に、既に主債務者S に対して求償権を行使することが不可能であることを確実に認識し
ていた場合
→その実質は主債務者に対し一方的に利益を供与するものにほかならないから、所得税法64条2項の趣旨からして同項を適用すべき場合に該当しない。
※参考判例 札幌高判平成6年1月27日
法64条2項の趣旨は、通常、保証人は保証債務を履行することとなっても、主債務者に対して求償権を行使することにより最終的負担を免れ得るとの見通しのもとに保証契約を締結するものであるが、保証債務履行のため資産を譲渡しても、これに反して求償権を行使できなかつたときには、その限度で資産譲渡に係る所得に対する課税を差し控えようとするものであること、従って、保証人が保証契約締結時に、既に主債務者に対して求償権を行使することが不可能であることを確実に認識していたときには、その実質は主債務者に対し一方的に利益を供与するものにほかならないから、右趣旨からして所得税法64条2項を適用すべき場合に該当しないというべきである。
222.04二重利得法
引用条文の現行全文1条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第60条(贈与等により取得した資産の取得費等)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与(公益信託の受託者に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。次条第六項第二号及び第六十条の三第六項第二号(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)において同じ。)を除く。)、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(公益信託の受託者に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。次条第六項第三号及び第六十条の三第六項第三号において同じ。)及び包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡
2 前項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる資産を譲渡したときにおける当該資産の取得費については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。
一 配偶者居住権の目的となつている建物当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該建物を譲渡した時において前項の規定により当該建物の取得費の額として計算される金額から当該建物を譲渡した時において当該配偶者居住権が消滅したとしたならば次項の規定により配偶者居住権の取得費とされる金額を控除する。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下この号及び次項第二号において同じ。)当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該土地を譲渡した時において前項の規定により当該土地の取得費の額として計算される金額から当該土地を譲渡した時において当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利が消滅したとしたならば次項の規定により当該権利の取得費とされる金額を控除する。
3 第一項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる権利が消滅したときにおける譲渡所得の金額の計算については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。この場合において、第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定は、適用しない。
一 配偶者居住権当該相続又は遺贈により当該配偶者居住権を取得した時において、その時に当該配偶者居住権の目的となつている建物を譲渡したとしたならば当該建物の取得費の額として計算される金額のうちその時における配偶者居住権の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該配偶者居住権を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該配偶者居住権の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利当該相続又は遺贈により当該権利を取得した時において、その時に当該土地を譲渡したとしたならば当該土地の取得費の額として計算される金額のうちその時における当該権利の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該権利を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該権利の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
4 居住者が前条第一項第一号に掲げる贈与、相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
川之江市井地山造成地事件 松山地裁平成3年4月18日判決(訟月37巻12号2205頁)
2.事案の検討
(2)本件土地はどのような意味で譲渡所得の基因となる資産としての性格を持ち、どのような意味で事業所得の基因となる資産としての性格を持っているといえるか。
資産の譲渡による所得の分類については、一般論としては、所有者の意思によらない外部的条件の変化に基因する資産価値の増加は、譲渡所得にあたり、所有者の人的努力と活動に基因する資産価値の増加は、事業所得や雑所得にあたる、と解すべきである。
本件土地についてみると、X は本件土地を主として相続等により取得したものであり、相続が限定承認がなされた場合を除き、所得税法60条1項の適用により、被相続人の下における資産の増加益に対する課税は繰り延べられることになっており、本件造成がなされる前から潜在的な資産の価値の増加益が生じていたという点で譲渡所得の基因となる性格を有している。一方で、X は多額の造成費用を支出して本件土地の造成を行っており、これによって本件土地の資産価値が増加したといえる点で事業所得の基因となる資産としての性格を有している。
(3)本件判決の「二重利得法」の理解
本件判決においては、「土地等の譲渡がたな卸資産又はこれに準ずる資産の譲渡に該当する場合であっても、極めて長期間引き続いて販売目的以外の目的で所有していた土地等について、販売することを目的として宅地造成等の加工を加えた場合には、その土地等の譲渡による所得には、右加工を加える前に潜在的に生じていた資産の価値の増加益に相当するものが相当部分含まれていると考えられる。そこで、そのような場合には、右加工に着手する時点までの資産の価値の部分に相当する所得を譲渡所得とし、その他の部分を事業所得又は雑所得とするのが相当である。」とし、これを所得税基本通達の趣旨であるとする。
そうすると、二重利得法とは、ある所得がその性格として複数の所得分類に該当すると見られるときに、これを全体としてどれか一つの所得分類に該当するものとして課税するのではなく、当該所得をその有する性格に基づいて分類し、各々が該当する所得分類に振り分けて課税するという考え方であるということができる。
(4)本件において「二重利得法」という考え方を本件にあてはめること自体の可否は争われているか。本件の真の争点は。
本件において、X は「宅地造成によって生じた利益に対応する部分を事業所得とし、その他の部分を譲渡所得とすべきである」というY の主張に従いつつ、自己の行った宅地造成は販売目的をもって行ったものではないという主張をしている。
そうすると、本件において、二重利得法のあてはめということ自体は争われておらず、真の争点は、X が対価を得て継続的に行う意思をもって売買するために宅地造成をしたか否か、したとすれば、その着手時期はいつかである。
所得税基本通達(極めて長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得)
33-5 土地、建物等の譲渡による所得が33-4 により事業所得又は雑所得に該当する場合であっても、その区画形質の変更若しくは施設の設置又は建物の建設(以下この項において「区画形質の変更等」という。)に係る土地が極めて長期間引き続き所有されていたものであるときは、33-4 にかかわらず、当該土地の譲渡による所得のうち、区画形質の変更等による利益に対応する部分は事業所得又は雑所得とし、その他の部分は譲渡所得として差し支えない。この場合において、譲渡所得に係る収入金額は区画形質の変更等の着手直前における当該土地の価額とする。
(注) 当該土地、建物等の譲渡に要した費用の額は、すべて事業所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する。
222.05譲渡所得の計算方法
引用条文の現行全文6条2026年8月16日時点
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
2 総所得金額は、次節(各種所得の金額の計算)の規定により計算した次に掲げる金額の合計額(第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
一 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額(第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び雑所得の金額(これらの金額につき第六十九条(損益通算)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額
二 譲渡所得の金額(第三十三条第三項第二号に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び一時所得の金額(これらの金額につき第六十九条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額の二分の一に相当する金額
3 退職所得金額又は山林所得金額は、それぞれ次節の規定により計算した退職所得の金額又は山林所得の金額(これらの金額につき第六十九条、第七十条又は第七十一条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
所得税法第34条(一時所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。
2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。
3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
国税通則法第23条(更正の請求)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内
三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内
3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。
支払利子付随費用判決 最判H4.7.14(民集46-5-492)
- 年月日
- 最判H4.7.14 民集46-5-492
- 事件名
- 支払利子付随費用判決
- 事案
- Xは銀行から3500 万円借り入れ、うち3000 万円を本件土地建物の購入代金にあてた。のち、本件土地建物を譲渡した。その際に、上記3000 万円の借入金に関して支払った利子の全額を本件土地建物の取得費に算入したところ、Yは取得費に算入しうる支払利子は、借り入れ後本件土地建物を自己の居住の用に供した日までの期間に対応する部分に限られるとして増額更正処分
- 論点
- 取得費
- 適用条文
- 所得税法33条3項
- 判旨
- 「取得費」 ○
- 取得代金 ○:当該資産を取得するための付随費用 ×:生活費・家事費→居住の用に供するために不動産を取得する場合の借入金利子
- 原則
- × 理由:生活費・家事費
- 例外
- 当該不動産の使用を開始するまでの期間に対応する利子:○ 理由:①ある程度の期間を要するのが通常②したがって、右期間中は当該不動産を使用することなく利子の支払いを余儀なくされる③よって生活費・家事費ではなく付随費用
関連裁判例13
2.譲渡所得の計算方法
(2)長期譲渡所得と短期譲渡所得の計算方法
- 長期譲渡所得
- (総収入金額-取得費-譲渡費用-特別控除額)×0.5(所得税法33条・22条2項2号)
- 短期譲渡所得
- 総収入金額-取得費-譲渡費用-特別控除額(所得税法33条)
(3)①②③に該当する用語 →①総収入金額 ②取得費 ③資産の取得に要した金額
(5)所得税法33条5項は納税者に有利な規定か不利な規定か。
有利な規定である。長期譲渡所得は二分の一課税なので特別控除を適用しても二分の一の効果になるので、控除の効果が大きい短期譲渡所得に優先適用されるのは、納税者に有利である。
3.収入金額
(1)①時価1000 万円(取得価額800 万円)の土地を、現金950 万円を対価として譲渡した場合の収入金額はいくらか。 →950万円
②また、この土地を時価1100 万円のダイヤモンドと交換した場合の収入金額はいくらか。 →1100万円5.減価償却資産の取得費
(1)業務用の固定資産の譲渡に当たってこのような計算を行う合理性はどのように説明することができるか。例えば、2000 万円で取得した家屋を1年間240 万円の賃料で4年間賃貸し、その間に計400 万円の減価償却費を不動産所得の計算上必要経費に算入した後、1800 万円で譲渡したという場合に、この400 万円を取得費の2000 万円から差し引かなければどのような不都合が生じるか。
- 各年の不動産所得
- 240万円-(400万円÷4)=140万円
- 譲渡所得
- 1800万円-(2000万円-400万円)-特別控除400万円を差し引かないと、費用化した減価分も考慮した適切な原価と収入の対応がなされない。
最初に支払った2000万円のうち、400万円は減価償却という形で不動産所得と対応しており、残りの1600万円は譲渡所得に対応している。
8.関連裁判例
東京地判H4.3.10月報39-1-139時効取得事件
- 事案
- Xは、本件土地の時効取得を理由にB(Xの兄で、後死亡)に対し登記請求訴訟を提起(昭和45年10月)し、勝訴・確定。後、Xは亡A(Xの父)の共同相続人C(Xの妹)らから遺留分減殺請求訴訟を提起され、XとCらの間で、遺留分減殺請求権に代え本件土地を引き渡す旨の和解締結。
- 課税庁YはXの昭和58年分の所得税の確定申告につき、
①Xは昭和45年10月本件土地を時効取得、
②昭和58年12月27日本件和解成立により代物弁済契約がなされ譲渡所得発生、として、
- 譲渡価額
- 和解成立時である昭和58年12月当時の価額
- 取得価額
- 登記請求訴訟を提起した昭和45年10月当時の価額として、増額更正処分
- 論点
(1)時効取得した土地を譲渡した場合の譲渡所得の取得費の額は、(登記請求訴訟の判決確定時ではなく)時効援用時の当該土地の価格によるべきであるとされた事例
(2)時効取得を原因とする土地の所有権移転登記手続請求訴訟に要した弁護士費用等は、当該土地の譲渡所得の計算上の取得費ないし譲渡費用に該当しないとされた事例
- 条文
- 所得税法33、34、36、37
- 判旨
①代物弁済により資産の譲渡あり
②時効取得による利得は一時所得
- ③時効援用時までの値上がり益
- 一時所得 時効援用時以降の値上がり益:譲渡所得
④(1)につき、取得費は時効援用時の価額となる
⑤時効取得の効果をめぐって関係当事者間に訴訟が係属し又は占有者が当該時効取得資産の所有権登記を経ていないことは、必ずしも援用に伴う〔所有権取得〕の効果を妨げるものではない。
⑥仮に訴訟の結果により申告、更正等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎とされた事実が否定されたような場合は、納税者は更正の請求により対処すべき(国税通則法23Ⅱ)
⑦(2)につき、所得税法34Ⅱ括弧書き「〔一時所得の金額の計算において収入金額から控除される費用は〕その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。」により、時効取得を原因とする土地の所有権移転登記手続請求訴訟に要した弁護士費用等は一時所得の金額の計算に収入金額から控除される費用にはあたらず、したがってこの費用は取得費ないし譲渡費用にも該当しない。
222.06無償譲渡・転々譲渡と譲渡所得計算
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 22026年8月16日時点
所得税法第60条(贈与等により取得した資産の取得費等)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与(公益信託の受託者に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。次条第六項第二号及び第六十条の三第六項第二号(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)において同じ。)を除く。)、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(公益信託の受託者に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。次条第六項第三号及び第六十条の三第六項第三号において同じ。)及び包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡
2 前項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる資産を譲渡したときにおける当該資産の取得費については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。
一 配偶者居住権の目的となつている建物当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該建物を譲渡した時において前項の規定により当該建物の取得費の額として計算される金額から当該建物を譲渡した時において当該配偶者居住権が消滅したとしたならば次項の規定により配偶者居住権の取得費とされる金額を控除する。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下この号及び次項第二号において同じ。)当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該土地を譲渡した時において前項の規定により当該土地の取得費の額として計算される金額から当該土地を譲渡した時において当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利が消滅したとしたならば次項の規定により当該権利の取得費とされる金額を控除する。
3 第一項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる権利が消滅したときにおける譲渡所得の金額の計算については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。この場合において、第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定は、適用しない。
一 配偶者居住権当該相続又は遺贈により当該配偶者居住権を取得した時において、その時に当該配偶者居住権の目的となつている建物を譲渡したとしたならば当該建物の取得費の額として計算される金額のうちその時における配偶者居住権の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該配偶者居住権を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該配偶者居住権の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利当該相続又は遺贈により当該権利を取得した時において、その時に当該土地を譲渡したとしたならば当該土地の取得費の額として計算される金額のうちその時における当該権利の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該権利を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該権利の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
4 居住者が前条第一項第一号に掲げる贈与、相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
所得税法第59条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するもの及び公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)に限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの並びに公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
ゴルフ会員権贈与事件 最高裁平成17年2月1日判決(訟月52巻3号1034頁) 百選47
2.所得税法の規定と判旨の検討
所得税法
(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
(贈与等により取得した資産の取得費等)
第六十条 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡2 居住者が前条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
(1)所得税法60条1項1号の要件・効果
「贈与・相続(限定承認に係るものを除く)・遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)」によって取得した、「山林(事業所得の基因となるものを除く)・譲渡所得の基因となる資産」を「譲渡した」場合は、「取得費と保有期間を受け継ぐ」
(2)本件判決は、同号の趣旨をどのように理解しているか。
贈与・相続の時点で課税したのでは資産の増加益が具体的に顕在化していないため、納税者の納得を得難いことから、課税を顕在化するまで繰り延べる趣旨。
(3)控訴審判決は所得税法60条1項のどの文言をどのように解釈しているか。また、本件判決はその点についてどのような理解を示しているか。
控訴審判決は「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」という文言を中間の贈与の事実はなかったものと扱い受贈者が自己への所有権移転のために支払った費用があったとしても無視する規定だと解釈したが、最高裁はこの規定の本旨は増加益に対する課税の繰延べにあり、受贈者の資産の保有期間に係る増加益に贈与者の資産の保有期間に係る増加益を合せたものを超えて所得として把握することを予定していないとし、そのような効果はないとした。
3.みなし譲渡と取得費
(1)「みなし譲渡」の制度の合理性と問題点
みなし譲渡には、永遠に課税が繰り延べられることを防止できるという点において合理性があるが、その一方で納税者の感覚からすると受け入れ難いという問題点がある。
(2)所得税法59条1項でみなし譲渡とされる活動の範囲と効果
限定承認に係る相続、個人に対する限定承認に係る包括遺贈、法人に対する遺贈・贈与・低額譲渡、みなし譲渡とされ、時価による譲渡があったとみなされる。
(3)①A は平成15年に死亡した。相続人は子供のB のみである。A は平成元年に甲土地を1000 万円で所有しており、A の死亡時の甲土地の時価は3000 万円である。
(ア)B が相続を単純承認し、甲土地を相続により取得した場合のV における甲土地の取得価額 →1000万円
(イ)限定承認の場合 →3000万円。限定承認の場合、財産の清算が行われ、被相続人が払うべきであった譲渡税を相続人が持ち出しで払うケースが発生する可能性があるので。
②P は平成元年に乙土地を1000 万円で取得しており、乙土地の平成15年の時価は3000 万円である。P は平成15年中に子のQ に乙土地を800 万円で譲渡し、Q は直ちにR に乙土地を3000 万円で譲渡した。この取引に関して、P、Q の平成15年の所得はどのように計算されるか。
- P
- 800万円-1000万円=-200万円 だが、所得税法59条2項により「なかったものとみなす」
- Q
- 3000万円-取得費(所得税法60条1項2号で引継ぎ)1000万円=2000万円保有期間も引き継ぐので長期譲渡所得となり(2000万円-特別控除50 万円)×0.5
(4)所得税法59条1項1号と所得税法60条1項
所得税法59条1項1号 所得税法60条1項適用対象の資産山林(事業所得の基因となるものを除く)
譲渡所得の基因となる資産同左適用対象の取得事由贈与(法人に対するもの)
相続(限定承認)
遺贈(法人に対するもの・個人に対する包括遺贈で限定承認)
贈与相続(限定承認に係るものを除く)
遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)
効果みなし譲渡とされ、時価での譲渡があったとみなされる。
みなし譲渡とされず、取得費と保有期間を受け継ぐ。
222.07譲渡所得の応用問題
引用条文の現行全文5条執筆時から改正 12026年8月16日時点
租税特別措置法第39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この条において同じ。)による財産の取得(相続税法又は第七十条の五、第七十条の六の九、第七十条の七の三若しくは第七十条の七の七の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含む。第六項において同じ。)をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第二十七条第一項又は第二十九条第一項の規定による申告書(これらの申告書の提出後において同法第四条第一項に規定する事由が生じたことにより取得した資産については、当該取得に係る同法第三十一条第二項の規定による申告書。第四項第一号において「相続税申告書」という。)の提出期限(同号において「相続税申告期限」という。)の翌日以後三年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格(同法第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により当該課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された資産の譲渡(第三十一条第一項に規定する譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む。以下この項、第四項及び第八項において同じ。)をした場合における譲渡所得に係る所得税法第三十三条第三項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする。
2 前項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書又は修正申告書(所得税法第百五十一条の四第一項の規定により提出するものに限る。次項において同じ。)に、前項の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、同項の規定による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
3 税務署長は、確定申告書若しくは修正申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書若しくは修正申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
4 次の各号に掲げる者が第一項に規定する課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡について同項の規定を適用することにより、当該譲渡をした者の当該譲渡の日の属する年分の所得税につき所得税法第百五十三条の二第一項各号に掲げる場合に該当することとなる場合には、その者は、それぞれ次の各号に定める日まで、税務署長に対し、更正の請求をすることができる。
一 当該資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告期限の翌日から相続税申告期限までの間に相続税申告書の提出(第六十九条の三第五項第一号(第七十条第九項において準用する場合を含む。)の規定により第二条第三項第一号に規定する期限内申告書とみなされるものの提出を含む。以下この号において「相続税の期限内申告書の提出」という。)をした者(当該確定申告期限までに既に相続税申告書の提出をした者及び当該相続税の期限内申告書の提出後に確定申告書の提出をした者を除く。)当該相続税の期限内申告書の提出をした日の翌日から二月を経過する日
二 当該資産の譲渡をした日以後に当該相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む。)の当該相続の開始の日の属する年分の所得税につき所得税法第六十条の三第六項前段の規定の適用があつたことにより、同法第百五十一条の三第一項の規定による修正申告書の提出又は同法第百五十三条の三第一項の規定による更正の請求に基づく国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正(当該請求に対する処分に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決を含む。以下この項及び第九項において「更正」という。)があつた者当該修正申告書の提出又は更正があつた日の翌日から四月を経過する日
三 当該資産の譲渡をした日以後に当該相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む。)の当該相続の開始の日の属する年分の所得税につき所得税法第百五十一条の六第一項に規定する遺産分割等の事由が生じたことにより、同項の規定による修正申告書の提出又は同法第百五十三条の五の規定による更正の請求に基づく更正があつた者当該修正申告書の提出又は更正があつた日の翌日から四月を経過する日
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により更正の請求をする場合について準用する。この場合において、第二項中「確定申告書又は修正申告書(所得税法第百五十一条の四第一項の規定により提出するものに限る。次項において同じ。)に、前項」とあるのは「更正請求書に、同項」と、第三項中「、確定申告書若しくは修正申告書」とあるのは「、次項各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める日までに更正請求書」と、「添付がない確定申告書若しくは修正申告書」とあるのは「添付がない更正請求書」と、「その提出」とあるのは「同日までにその提出」と読み替えるものとする。
6 第一項に規定する相続税法の規定による相続税額は、同一の被相続人(第七十条の六第一項に規定する被相続人をいう。)からの相続又は遺贈による財産の取得をした者のうちに同条第一項の規定の適用を受ける者がある場合には、同条第二項に規定する納付すべき相続税の額とし、同法第二十条、第二十一条の十五第三項又は第二十一条の十六第四項の規定により控除される金額がある場合には、同法の規定による相続税額又は当該納付すべき相続税の額に当該金額を加算した金額とする。
7 第一項に規定する課税価格の計算の基礎に算入された資産には、相続又は遺贈による当該資産の移転につき所得税法第五十九条第一項又は第六十条の三第一項の規定の適用を受けた資産(同条第四項ただし書の規定の適用を受けるもの又は同項本文の規定が適用されないこととなつたものを除く。)を含まないものとし、当該課税価格の計算の基礎に算入された資産につき第三十三条の三の規定の適用を受けた場合における当該資産に係る同条第一項若しくは第九項の換地処分又は同条第二項、第四項、第六項若しくは第八項の権利変換により取得した資産を含むものとする。
8 第一項の規定を適用する場合において、同項の規定により同項に規定する取得費に加算する金額は、譲渡をした資産ごとに計算するものとする。
9 第一項の規定の適用を受けた個人が相続税法第三十二条第一項の規定による更正の請求を行つたことにより第一項の相続税額が減少した場合において、当該相続税額が減少したことに伴い修正申告書を提出したこと又は更正があつたことにより納付すべき所得税の額については、所得税に係る国税通則法第二条第八号に規定する法定納期限の翌日から当該修正申告書の提出があつた日又は当該更正に係る同法第二十八条第一項に規定する更正通知書を発した日までの期間は、同法第六十条第二項の規定による延滞税の計算の基礎となる期間に算入しない。
10 第二項、第三項及び第五項から前項までに定めるもののほか、相続税法第十九条の規定の適用がある場合における第一項に規定する同法の規定による相続税額の計算その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法第58条(固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第三十三条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。
一 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地(同法第四十三条第一項(農作物栽培高度化施設に関する特例)の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。)
二 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)
三 機械及び装置
四 船舶
五 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し、又は採取する権利を含む。)
2 前項の規定は、同項の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額を超える場合には、適用しない。
3 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
5 第一項の規定の適用を受けた居住者が取得資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法施行令第168条(交換による取得資産の取得価額等の計算)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第五十八条第一項(固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例)の規定の適用を受けた居住者が同項に規定する取得資産(以下この条において「取得資産」という。)について行なうべき法第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の額の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算については、その者がその取得資産を次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額をもつて取得したものとみなす。この場合において、その譲渡による所得が法第三十三条第三項各号(譲渡所得の金額)に掲げる所得のいずれに該当するかの判定については、その者がその取得資産を法第五十八条第一項に規定する譲渡資産(以下この条において「譲渡資産」という。)を取得した時から引き続き所有していたものとみなす。
一 取得資産とともに交換差金等(法第五十八条第一項に規定する交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額とが等しくない場合にその差額を補うために交付される金銭その他の資産をいう。以下この条において同じ。)を取得した場合譲渡資産の法第三十八条第一項又は第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定による取得費(その譲渡資産が法第六十一条第二項又は第三項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費等)の規定に該当するものである場合には、これらの規定による取得費とし、その譲渡資産の譲渡に要した費用がある場合には、これらの取得費にその費用の額を加算した金額とする。以下この条において「取得費」という。)に、その取得資産の価額とその交換差金等の額との合計額のうちにその取得資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額
二 譲渡資産とともに交換差金等を交付して取得資産を取得した場合譲渡資産の取得費にその交換差金等の額を加算した金額
三 取得資産を取得するために要した経費の額がある場合譲渡資産の取得費(前二号の規定の適用がある場合には、これらの号に掲げる金額)にその経費の額を加算した金額
土地・建物代償分割事件 最高裁平成6年9月13日判決(家月47巻9号45頁)
1.代償分割と譲渡所得課税
(1)相続財産を代償分割し、代償金を支払って取得した資産を譲渡した場合には、現在の判例と課税実務派どのような課税関係が発生するとしているかをまとめよ。
相続税について、以下の額に課税される。
- 代償金の交付を受けた者
- ①代償金金額or②代償金金額×相続税評価額/時価
- 代償金の交付をした者
- 取得した資産の価額-①or②の額譲渡所得について代償分割により負担した債務に相当する金額は、当該債務を負担した者が当該代償分割に係る相続により取得した資産の取得費には算入されないので、収入金額-被相続人の取得価額に対して課税される。
(2)被相続人X が死亡し、相続が開始した。相続人は子供のA、B の2人のみである。相続財産はX が10年前に1000 万円で取得した甲資産のみである。甲資産の時価は3000 万円であるところ、A はB に現金1500 万円を支払って甲資産を取得した後、甲を4000 万円でP に譲渡した。この場合に、判例及び課税実務の考え方に従わず、AのP に対する甲資産の譲渡所得の計算上、A がB に支払った代償金を取得価額に参入できると解するならば、A 及びB の課税関係はどのようになると考えるのが合理的か。
- 相続税
- A・Bとも1500 万円に課税(相続税評価額も3000 万円の場合)
- 譲渡所得
- B→Aの1500 万円 - 500 万円 = 1000 万円に課税A→Pの4000 万円 -(500 万円+1500 万円)= 2000 万円に課税ただし、当該相続の開始があつた日の翌日から確定申告書の提出期限の翌日以後三年を経過する日までの間に譲渡した場合における当該資産の取得費には、当該資産に対応する相続税額が加算できる。租税特別措置法39条1項所得税基本通達(代償分割による資産の移転)
33-1 の5 遺産の代償分割(現物による遺産の分割に代え共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させる方法により行う遺産の分割をいう。以下同じ。)により負担した債務が資産の移転を要するものである場合において、その履行として当該資産の移転があったときは、その履行をした者は、その履行をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭52 直資3-14、直所3-22 追加)
(注) 代償分割に係る資産の取得費については、38-7 参照(代償分割に係る資産の取得費)
38-7 遺産の代償分割に係る資産の取得費については、次による。(昭52 直資3-14、直所3-22 追加)
(1) 代償分割により負担した債務に相当する金額は、当該債務を負担した者が当該代償分割に係る相続により取得した資産の取得費には算入されない。
(2) 代償分割により債務を負担した者から当該債務の履行として取得した資産は、その履行があった時においてその時の価額により取得したこととなる。
相続税基本通達(代償分割が行われた場合の課税価格の計算)
11 の2-9 代償分割の方法により相続財産の全部又は一部の分割が行われた場合における法第11条の2 第1項又は第2項の規定による相続税の課税価格の計算は、次に掲げる者の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。(平4 課資2-231 追加)
(1) 代償財産の交付を受けた者 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額
(2) 代償財産の交付をした者 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付をした代償財産の価額を控除した金額(注) 「代償分割」とは、共同相続人又は包括受遺者のうち1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法をいうのであるから留意する。
(代償財産の価額)
11 の2-10 11 の2-9 の(1)及び(2)の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務(以下「代償債務」という。)の額の相続開始の時における金額によるものとする。
ただし、次に掲げる場合に該当するときは、当該代償財産の価額はそれぞれ次に掲げるところによるものとする。(平4課資2-231 追加、平8 課資2-116、平19 課資2-5、課審6-3 改正)
(1) 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて代償財産の額を次の(2)に掲げる算式に準じて又は合理的と認められる方法によって計算して申告があった場合 当該申告があった金額
(2) (1)以外の場合で、代償債務の額が、代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されているとき 次の算式により計算した金額 A*C/B(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
A は、代償債務の額B は、代償債務の額の決定の基となった代償分割の対象となった財産の代償分割の時における価額C は、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における価額(評価基本通達の定めにより評価した価額をいう。)
租税特別措置法(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)
第三十九条 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この項において同じ。)による財産の取得(相続税法 又は第七十条の五 の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含む。)をした個人で当該相続又は遺贈につき同法 の規定による相続税額(同法第十九条 の規定の適用がある場合には、政令で定めるところにより同条 に規定する贈与税の額を調整して計算した金額とし、同法第二十条 、第二十一条の十五第三項又は第二十一条の十六第四項の規定により控除される金額がある場合には、当該金額を加算した金額とする。)
があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第二十七条第一項 又は第二十九条第一項 の規定による申告書(これらの申告書の提出後において同法第四条 に規定する事由が生じたことにより取得した資産については、当該取得に係る同法第三十一条第二項 の規定による申告書)の提出期限の翌日以後三年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格(同法第十九条 又は第二十一条の十四 から第二十一条の十八 までの規定の適用がある場合には、これらの規定により当該課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された資産(当該相続又は遺贈による移転につき所得税法第五十九条第一項 の規定の適用があつたものを除く。)を譲渡した場合における譲渡所得に係る同法第三十三条第三項 の規定の適用については、同項 に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち政令で定める金額を加算した金額とする。
2.財産分与をめぐる課税の全体像
(1)222.02 判決の考え方に従った場合、なぜ、財産分与をした納税者の収入金額は譲渡した財産の時価とされるのか。
財産分与として資産を譲渡することによりその資産に相当する分与義務の消滅という経済的利益を得ているといえるので、時価相当額が収入金額となる。
(3)222.02 判決の考え方に従った場合、
①財産分与を受けた全配偶者の当該財産の取得価額はいくらと考えられるか。
財産分与請求権を消却される代償として資産を取得したことになるので取得価額は財産分与請求権の価額と同額となる。
②そのように考える場合、どのような制度的問題が生じうるか。
和解などで資産の価額や財産分与請求権の金額を明らかにせずに財産分与を決めた場合、対価と取得価額が異なってくる可能性がある。
分与土地一体譲渡事件では当事者がどの程度の金額の財産を分与することに合意し、資産をどのような価額を持つものと認識して分与することに合意したのかを和解の手続きにおいて考慮されたと考えられる具体的な事情に基づいて推認することによって財産分与請求権の価額、分与される資産の価額を認定すべきとしている。
〈収入金額と取得価額に関するまとめー交換の特例を題材にして〉
譲渡所得の金額の計算は、総収入金額から当該所得の起因となった資産の取得費およびその資産の譲渡に要した費用の合計額を控除し、その残額の合計額から譲渡所得の特別控除額を控除した額である(所得税法33条3項)。
また、資産を交換した場合には取得した資産の時価相当額が総収入金額に算入される(所得税法36条1項2項)。
(1)X が自分が所有するP 土地(時価2500 万円、取得価額1000 万円、以下同じ)を、現金2500 万円でA に譲渡したときのX の譲渡所得はどのように計算されるか。
2500 万円-1000 万円=1500 万円 ※特別控除額を考慮しない場合、以下同じまた、AがPを他に譲渡した場合、取得価額は2500 万円となる。
(2)X がP 土地を、Bが所有するQ土地(時価2500 万円)と交換した場合、Xの譲渡所得はどのように計算されるか。
2500 万円-1000 万円=1500 万円となる。
(3)X はP 土地を、また、C はR 土地(時価3000 万円、取得価額1200 万円)をそれぞれ所有していた。
①XとCがP土地とR土地を交換した場合
Xが3000 万円-1000 万円=2000 万円となり、Cが2500 万円-1200 万円=1300 万円となる。
また、交換後に所有する土地の取得価額はXが3000 万円、Cが2500 万円となる。
②X がP 土地と現金500 万円をC に渡し、C がR 土地をX に渡すという補足金付交換契約が結ばれ、契約どおりに移転登記等が実行された。
(a)所得税法58条1項の適用がある場合には、譲渡はなかったものとみなされるから、Xに譲渡所得は発生しない。そして、XのR土地の取得費は、1000 万円となる。現行法上は、取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分は除かれる(所得税法58条1項カッコ書)。
ゆえに、XはCに支払った500 万円に相当する部分については、実際に出費してR土地を取得したものとされるので、500 万円は取得費となり、これにP土地の取得費を加算したものがR土地の取得費となる。よって、1500 万円が取得費となる。
(b)所得税法58条1項の適用がある場合のCの譲渡所得は、300 万円となる。すなわち、補足金500 万円が
総収入金額となり、それに対応する取得価格は1200 万円×(500 万円÷3000 万円)=200 万円なので、この差が所得金額となる。また、P土地の取得価格は1200 万×(2500÷3000)=1,000 万円となる(所得税法施行令168条)。このようにP土地の取得費を計算することは、交換差金として捕捉金を受け取ったときに、これに対応する取得費α を譲渡所得の計算において控除するわけであるから、もともとのR土地の取得費からα を控除することは所得税法58条1項で課税が繰り延べられることとの関係でも、合理的であると思われる。
(c)補足金も全額課税繰り延べされるという規定がある場合には、譲渡はないものとするという所得税法58条1項
の規定がそのまま適用されることと同じなので、P土地の取得費は、CがR土地を得たときの取得費を引き継ぐことになる。つまり1200 万円となる。
222.08譲渡所得の収入金額――発展問題
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法第59条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するもの及び公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)に限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの並びに公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
浜名湖競艇場用地事件 東京高裁昭和62年9月9日判決(行集38巻8=9号987頁)
2.私法上の対価関係と祖税法上の対価関係
(1)「祖税法上の対価関係」を「私法上の対価関係」とは別に観念する必要性を、控訴審裁判所はどのように理由づけしているか。区別して考えることをどう評価すべきか。
控訴審裁判所は、「〔所得税法〕59条2項にいう「対価」とは、必ずしも私法上の有償契約におけるような資産の譲渡と対価関係に立つ給付に限られるものではなく、当該資産の譲渡に基因してそれと因果関係のある給付であれば足りるものと解するのが相当であって、・・・経済的な利益に当たるものである限りは(所得税法36条1項)、右にいう対価に当たる」として、租税法上の対価関係と私法上の対価関係とを別意に解している。
その理由付けとして、「有償契約における対価たる給付といい、無償契約における付款による給付といっても、その区別はあくまで当事者の意思に依拠する相対的なものに過ぎず、経済的実質に即応することが要請される租税法の解釈においてそれがそのまま妥当するものとは限らないのであって、・・・、その給付が保有資産の値上がりによる増加益の具体化したものであることに変わりはない以上、これを同法59条2項にいう「対価」から除外すべき理由はない」と述べている。
租税法上、課税要件規定において、私法上におけると同じ概念を用いている場合には、別意に解すべきことが租税法規の明文またはその趣旨から明らかな場合は別として、それを私法上におけるのと同じ意義に解するのが、法的安定性の見地からは好ましい(借用概念論)が、本問で問題とされている「対価関係」については、所得税法59条2項の規定から別意に解すべきことが明らかな場合と言える。したがって、別意に解することによって、法的安定性を害するとの批判もあり得るが、明文から、これを別意に解することは妥当であると解する。
所得税法59条2項=譲渡損を実現させないとする規定損失の実現⇒課税→課税済部分=取得価額利益の実現所得税法59条に2項がなければ同60条1項と矛盾することになる。
すなわち、同60条1項は課税繰延の規定であるところ、同59条1項2号は譲渡益が発生した場合を想定した規定であり、損失が生じた場合についてもこれを実現しないものとしなければ、その段階で課税関係が生じてしまうことになり、繰延べにならないからである。
(2)ある給付の「資産の譲渡との因果関係の有無」は、その給付が「資産の値上がりによる増加益を具体化したもの」であるかないかを判断する基準として適切だと考えられるか。
給付と資産の譲渡との因果関係の有無は、当該給付が租税法上の「対価関係」を有するか否かの判断基準である。そして、対価関係が肯定されることによって、当該給付が増加益を含めた譲渡時の資産価値の具体化ということができる。そうすると、因果関係の有無を増加益の具体化の判断基準とすることも適切といえる。
第3節 給与所得・退職所得
223.01給与所得の意義(1)――事業所得との区別
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 22026年8月16日時点
所得税法第28条(給与所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百九十万円以下である場合六十五万円
二 前項に規定する収入金額が百九十万円を超え三百六十万円以下である場合六十五万円と当該収入金額から百九十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
所得税法第27条(事業所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。
法人税法第3条(人格のない社団等に対するこの法律の適用)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第七十五条の四(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の七(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の十五(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の二十三(電子情報処理組織による申告)及び別表第二を除く。)の規定を適用する。
弁護士顧問料事件 最高裁昭和56年4月24日判決(民集35巻3号672頁)
2.給与所得の意義
(1)①所得税法28条1項では、「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与」に係る所得を給与所得としており、名称を問わず、その給与の実質が給料等の性質を有するものであれば、給与所得にあたると判断される。
②給料等の性質を有する給与かどうかの判断基準について、条文では「これらの性質を有する」給与としているので、給料等と共通項のある給付に限って、給与所得にあたると解され、所得税法28条1項により明らかにされていると言える。
(2)①給与所得とされるための要件 →雇用契約又はこれに類する原因に基づき、使用者の指揮命令に服して、その労務の対価として使用者から受ける給付
②給与所得かどうかを判断する手法 →当該支払の原因となった法律関係についての当事者の意思や認識、当該業務ないし労務及び支払の具体的態様等を考察して、客観的、実質的に判断すべきである14。そして、給与所得については、使用者との関係において何らかの空間的・時間的拘束を受け、断続的ないし継続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかが重視される。
(4)労務提供の基礎となる法律関係の意味
弁護士顧問料事件では労務の基礎として顧問契約が締結されているが、これに基づく業務は弁護士の本来の業務と変わりなく、また当該契約の内容としても勤務時間、勤務場所についての定めがないこと等を指摘し、給与所得ではないと判示している。
日フィル事件では雇傭、請負、委任などの要素の混合した楽団参加契約ともいうべき一種の無名契約に基づくとしても、それはX が楽団に所属し、そのスケジュールに従って指揮拘束を受ける従属的立場において提供する役務の報酬として支払われたことをもって、給与所得に該当するとしている。
りんご生産組合事件では、組合契約に基づく利益の分配としての支払いであっても、雇傭関係にあることが明らかな一般作業員に対する労務費と同じで、その労務の内容・支払方法等をもって、給与所得に該当するとしている。
これらの判決からすると、労務提供の基礎となった法律関係が形式的に何であれ、その契約の内容や労務自体の態様等をもって、給与所得に該当するかを客観的・実質的に判断している。よって、労務提供の基礎となった法律関係も判断基準の1つではあるが、どういった法律関係があるか自体は決定的に重要な要素ではないと考える。
指揮命令に服していること(事業所得との違い)、その労務の対価として支払われたという要件(退職所得との違い)
が重要
(5)日フィル事件第一審
選手個人が契約に従い自己の責任と計算において提供する具体的なサービスに対する報酬たる性質をもつ野球選手の報酬とは違い、楽員はこのような個人的色彩がほとんどなく、楽団の定めた通りに報酬が支払われるもので、原則として勤務年数に応じて逐年増額され、生活給的要素を顕著に有する点で、給与所得に該当するとした。
力士、芸能プロダクション所属のタレント、カリスマ店員などそれぞれが個人として自ら契約をした上で、自己の責任と計算においてサービスを提供する場合とは言えず、この点において野球選手とは異なる。生活的要素を顕著にすることから給与所得となる。
逆に、歌手の横で演奏したり、お店で演奏したりして、ソロのヴァイオリニストとして活動する者や、たまにオーケストラに入るもののフリーのヴァイオリニストとして活動している者、さらにヴァイオリンの先生をしたり、CD 等を販売して所得を得た者などは、その者が得た所得は事業所得と認定されるだろう。
3.給与所得とされた例
最判H13.7.13月報48-7-1831 りんご生産組合事件
- 事案
- (民法上の)組合員X が組合A に対し労務を提供した。その対価として「給与」を支払われた。所轄税務署長Y はこれを事業所得と認定(更正処分)。X 不服申し立て。
①本事案の事実関係の下で、民法上の組合の組合員が組合から支払いを受けた所得の性格/②仮に給与と認定する場合、組合に法人格がないこととは矛盾しないか
- 条文
- 所税28Ⅰ、27Ⅰ
- 判旨
- ①「民法上の組合の組合員が組合の事業に従事したことにつき組合から金員の支払いを受けた場合、当該支払いが組合の事業から生じた利益の分配に該当するのか、所得税法28条1項の給与所得にかかる給与等の支払いに該当するのかは、当該支払いの原因となった法律関係についての組合および組合員の意思ないし認識、当該労務の提供や支払いの具体的態様等を考察して客観的、実質的に判断すべき」「当然に利益の分配に該当する…ものではない」
②「組合員の収入が旧与党に該当することが直ちに組合と組合員との間に矛盾した法律関係を認めることになるものでもない」
(課税要件事実)(主要事実)組合の管理者の指揮命令に服して労務を提供したこと(間接事実)一般作業員との比較、支払い方法、組合および組合員による雇用関係の認識、労務費の決定方法(組合の利益の多寡とは無関係に決定)、管理者の指示、作業内容、責任出役義務制を改めた経緯(原審)②法人格なし→X は一方で雇用契約の被用者の立場、他方で総組合員の一人として雇用者の立場→矛盾した法律関係(関連判例)最判S56.4.24事業所得→事故の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生じる所得給与所得→雇用契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付(時間的空間的拘束)
百選36 ①組合員の組合に対する出資の払い戻し②組合員がすでに課税を受けた利益の分配③組合員自身の所得→①②では課税関係は生じない。③は事業所得、給与所得、雑所得、不動産所得などの可能性
- 解説
- 人格のない社団等も、法人税法の適用については、法人とみなされる(法税3条)。民法上の組合は、組合員が共同で事業を行うための組織であって、納税義務の主体ではない。その活動によって生ずる所得は直接に組合員に帰属する。(①につき)民法上の組合の組合員が、組合の労務に従事したことの対価として支給される給付は、労務が継続的立場で非独立的に提供された場合は、組合の利益の分配ではなく、給与所得にあたると解すべきである。
4.事業所得とされた事例
九州電力検針員事件では、①委託検針契約は多種多様で、委任ないし請負契約であり、②契約に定められた事項よってのみ従属しており、一般的な指揮命令下にあるわけでなく、③身分証明書、作業衣、打合せ会等は作業の円滑な実施のためのもので、作業衣の貸与、特別謝礼金、解約謝礼金は処遇改善として実現され、それぞれ契約の委任ないし請負と矛盾するものではないこと、④委託手数料は委任・請負事務の報酬としての性格を持ち、⑤就業態様は勤務時間の定めがなく、就業時間による服務規律の拘束、懲戒等もなく(←空間的・時間的な拘束なし)、⑥業務に必要な器具、資材のうち、主要な交通手段であるバイクの購入、維持費が個人負担である点、⑦第三者代行は禁止されず兼業も自由であること、以上を総合して事業所得に該当するとした。また、ここでは①~⑦のような事項を挙げて、当該委託検針契約が、雇用契約ではなく委任ないし請負契約としての効力があることを認定しつつ(つまり契約関係を重視して)、事業所得性を判断している。
223.03給与所得の範囲
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 22026年8月16日時点
所得税法第28条(給与所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百九十万円以下である場合六十五万円
二 前項に規定する収入金額が百九十万円を超え三百六十万円以下である場合六十五万円と当該収入金額から百九十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
所得税法第9条(非課税所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
一 当座預金の利子(政令で定めるものを除く。)
二 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条(特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配
三 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
イ恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの
ロ遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
ハ条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用(自動車その他の交通用具の駐車のための施設の利用のために支出する費用を含む。)に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
七 国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの
八 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
十 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得)の規定に該当するものを除く。)
十一 オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの
十二 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第四条第一項(内廷費)及び第六条第一項(皇族費)の規定により受ける給付
十三 次に掲げる年金又は金品
イ文化功労者年金法(昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項(年金)の規定による年金
ロ日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
ハ日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
ニ学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
ホノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの
十四 オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
十六 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する事業で財務省令で定めるものにより、その業務を利用する者の居宅その他財務省令で定める場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は児童福祉法第五十九条の二第一項(認可外保育施設の届出)に規定する施設その他の財務省令で定める施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品(前号に規定する学資に充てるため給付される金品を除く。)
十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含み、同法第二十一条の三第一項第一号(贈与税の非課税財産)に規定する公益信託から給付を受けた財産に該当するものを除く。)
十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
十九 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
二 前項第十号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の取得費等の金額又は第三十二条第三項(山林所得)に規定する必要経費に満たない場合におけるその不足額
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
通勤定期券課税事件 最高裁昭和37年8月10日判決(民集16巻8号1749頁)
2.通勤手当の扱い
(1)事業主が支給する通勤手当
一般的には給与所得。勤労者がその地位にもとづいて受ける給付はすべて給与所得を構成する(所得税法28条1項)。
(2)所得税法9条1項5号
雇用関係において支給される金銭がすべて給与所得とされるわけではなく、職務の遂行に直接必要な給付は給与所得には含まれない。役務の対価ではなく、使用者の便宜にもとづく給付。真の意味における所得は、財貨の利用によって得られる効用と人的役務から得られる満足を意味する。所得税の対象としての所得は、これらの効用や満足(財貨の利用によって得られる効用と人的役務から得られる満足)(の獲得)を可能にする金銭的価値。使用者の便宜にもとづく給付の場合はこの効用や満足を可能にするものとはいえないので所得ではない。
3.フリンジ・ベネフィット
(3)課税すべきフリンジベネフィットの基準
所得税法36条1項「収入すべき金額」→役務の対価といえるかどうか。考慮要素としては①「役務」の内容②役務提供者と非提供者の比較(非提供者に代替的金銭給付があるかどうか)③当該用役につき通常支払われるべき対価の額所得税基本通達(課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等)
36-21 使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することにより当該役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭46 直審(所)19 改正)
(1) 当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。
(2) 当該表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)
36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。
(用役の評価)
36-50 使用者が役員又は使用人に提供した用役については、当該用役につき通常支払われるべき対価の額により評価する。ただし、36-30 に定める行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益で、その行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。以下この項において同じ。)に対してその参加に代えて金銭が支給される場合に受けるものについては、その参加しなかった役員又は使用人に支給される金銭の額に相当する額とする。
4.「使用者の便宜」理論
(1)①近くに集落がまったくない山奥でダム工事をする場合の、宿泊所・食事の無償提供 →所得税法9条1項6
号「職務の性質上欠くことのできないもの」にあたる
②遠洋漁業 →所得税法9条1項6号「職務の性質上欠くことのできないもの」にあたる
(2)(1)での検討結果に照らして考えると、所得税法9条1項6号はどのような理由で定められているものと考えら
れるか。 →使用者の便宜にもとづく給付の場合は所得とはいえないため、非課税であることを確認的に規定したもの。
所得税法施行令
第二十一条 法第九条第一項第六号 (非課税所得)に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 船員法第八十条 (食料の支給)の規定により支給される食料その他法令の規定により無料で支給される食料二 給与所得を有する者でその職務の性質上制服を着用すべき者がその使用者から支給される制服その他の身回品三 前号に規定する者がその使用者から同号に規定する制服その他の身回品の貸与を受けることによる利益四 国家公務員宿舎法 (昭和二十四年法律第百十七号)第十二条 (無料宿舎)の規定により無料で宿舎の貸与を受けることによる利益その他給与所得を有する者でその職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するために家屋の貸与を受けることによる利益
所得税基本通達
(職務の遂行上やむを得ない必要に基づき貸与を受ける家屋等)
9-9 令第21条第4号に規定する「職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するため」に貸与を受ける家屋には、次に掲げるようなものが該当する。(平14 課法8-5、課個2-7、課審3-142 改正)
(1) 船舶乗組員に対し提供した船室
(2) 常時交替制により昼夜作業を継続する事業場において、その作業に従事するため常時早朝又は深夜に出退勤をする使用人に対し、その作業に従事させる必要上提供した家屋又は部屋
(3) 通常の勤務時間外においても勤務を要することを常例とする看護師、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な使用人に対し、その職務に従事させる必要上提供した家屋又は部屋
(4) 次に掲げる家屋又は部屋イ 早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住み込みの使用人に対し提供した部屋ロ 季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む使用人に対し提供した部屋ハ 鉱山の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の附属設備を含む。)に勤務する使用人に対し提供した家屋又は部屋ニ 工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又はこれに隣接する場所に設置されているものの部屋
5.現金による給付と給与所得の範囲
以下のような場合には、どのような課税が合理的だと考えられるか。
(1)A はB 社の陸上部に所属し、勤務時間中も競技の練習を行っていたことから、A に対する報奨金は給与所得か
どうかがまず問題となる。そして、給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいい、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない(最判昭和56年4月24日判決)。本件では、A は日本代表としてオリンピックに出たのであり、B 社との雇用契約および指揮命令によったわけではなく、労務との対価性を有しない。ゆえに給与所得にはあたらない。
ゆえに、本件報奨金は、営利を目的とした継続的行為から生じた所得以外であり、労務との対価性を有しないものであるので一時所得とするのが合理的である。(参照:所得税基本通達23~35 共-1(5))
(2)①本件では、Q のP に対する報奨金は労務の対価としての性質を有するとも考えられる。しかし、労務の後、P にいったん帰属した特許権をQ に譲渡したことに対する対価だととらえるべきであり、このように考えると、本件報奨金は労務の対価としての性質を有するものではない。ゆえに、資産の譲渡として、譲渡所得に当たると考えるのが合理的である。
②発明により特許を受ける権利を取得した時点でP の担税力が増加したと評価できれば、所得を得たといえる。→担税力の問題というよりは譲渡を前提とした権利確定の有無の問題である。すなわち、特許を受ける権利を取得した時点で、権利が確定したといえるならば所得を得たといえる。この場合には、P の所得は、偶発的なものとして、雑所得にあたる。
6.株式を用いた報酬
(1)①ストックオプションによる所得の分類については、給与所得、一時所得、譲渡所得が考えられる。給与所得以外の所得について、一時所得とする考えは、ストックオプションの権利行使による利益は、付与会社の株価の変動及び行使者自身の権利行使の時期に関する判断によってその発生の有無及び金額が決定付けられた偶発的、一時的な性格を有する経済的利益であるから、一時所得に該当するものというべきであるとして合理化しうる(最判平成17年1月25日判決の原々審判決参照)。譲渡所得は、行使時において所得が発生したとするのではなく、政策的に、譲渡時まで課税が繰り延べられていると説明できる。
②ストックオプションを給与所得と考える場合の源泉徴収については、税額をグロスアップして計算する。(100 の利益を
得たいために、税率20%ならば、0.8 で割り戻し、125 の給与支払を観念し、25 を源泉徴収したと考えることになる。)
所得税基本通達(使用人等の発明等に係る報償金等)
23~35 共-1
業務上有益な発明、考案等をした役員又は使用人が使用者から支払を受ける報償金、表彰金、賞金等の金額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる所得に係る収入金額又は総収入金額に算入するものとする。(平17課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113 改正)
(1) 業務上有益な発明、考案又は創作をした者が当該発明、考案又は創作に係る特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利若しくは意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権若しくは意匠権を使用者に承継させたことにより支払を受けるもの これらの権利の承継に際し一時に支払を受けるものは譲渡所得、これらの権利を承継させた後において支払を受けるものは雑所得
(2) 特許権、実用新案権又は意匠権を取得した者がこれらの権利に係る通常実施権又は専用実施権を設定したことにより支払を受けるもの 雑所得
(3) 事務若しくは作業の合理化、製品の品質の改善又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限る。)をした者が支払を受けるもの その工夫、考案等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得(その工夫、考案等の実施後の成績等に応じ継続的に支払を受けるときは、雑所得)
(4) 災害等の防止又は発生した災害等による損害の防止等に功績のあった者が一時に支払を受けるもの その防止等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得
(5) 篤行者として社会的に顕彰され使用者に栄誉を与えた者が一時に支払を受けるもの 一時所得
223.04給与所得控除15
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 32026年8月16日時点
所得税法第28条(給与所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百九十万円以下である場合六十五万円
二 前項に規定する収入金額が百九十万円を超え三百六十万円以下である場合六十五万円と当該収入金額から百九十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
所得税法第57条の2(給与所得者の特定支出の控除の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が、各年において特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が第二十八条第二項(給与所得)に規定する給与所得控除額の二分の一に相当する金額を超えるときは、その年分の同項に規定する給与所得の金額は、同項及び同条第四項の規定にかかわらず、同条第二項の残額からその超える部分の金額を控除した金額とする。
2 前項に規定する特定支出とは、居住者の次に掲げる支出(その支出につきその者に係る第二十八条第一項に規定する給与等の支払をする者(以下この項において「給与等の支払者」という。)により補塡される部分があり、かつ、その補塡される部分につき所得税が課されない場合における当該補塡される部分及びその支出につき雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十条第五項第一号(失業等給付)に規定する教育訓練給付金、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第三十一条第一号(母子家庭自立支援給付金)に規定する母子家庭自立支援教育訓練給付金又は同法第三十一条の十(父子家庭自立支援給付金)において準用する同号に規定する父子家庭自立支援教育訓練給付金が支給される部分がある場合における当該支給される部分を除く。)をいう。
一 その者の通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出で、その通勤の経路及び方法がその者の通勤に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定める支出
二 勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたものに通常要する支出で政令で定めるもの
三 転任に伴うものであることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた転居のために通常必要であると認められる支出として政令で定めるもの
四 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修(人の資格を取得するためのものを除く。)であることにつき、財務省令で定めるところにより、給与等の支払者により証明がされたもののための支出又はキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法第三十条の三(業務)に規定するキャリアコンサルタントをいう。次号において同じ。)により証明がされたもののための支出(教育訓練(雇用保険法第六十条の二第一項(教育訓練給付金)に規定する教育訓練をいう。同号において同じ。)に係る部分に限る。)
五 人の資格を取得するための支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして、財務省令で定めるところにより、給与等の支払者により証明がされたもの又はキャリアコンサルタントにより証明がされたもの(教育訓練に係る部分に限る。)
六 転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなつた場合その他これに類する場合として政令で定める場合に該当することにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた場合におけるその者の勤務する場所又は居所とその配偶者その他の親族が居住する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で政令で定めるもの
七 次に掲げる支出(当該支出の額の合計額が六十五万円を超える場合には、六十五万円までの支出に限る。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの
イ書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものとして政令で定めるもの及び制服、事務服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服で政令で定めるものを購入するための支出
ロ交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
3 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定の適用を受ける旨及び同項に規定する特定支出の額の合計額の記載があり、かつ、前項各号に掲げるそれぞれの特定支出に関する明細書及びこれらの各号に規定する証明の書類の添付がある場合に限り、適用する。
4 第一項の規定の適用を受ける旨の記載がある申告書等を提出する場合には、同項に規定する特定支出の支出の事実及び支出した金額を証する書類として政令で定める書類を当該申告書等に添付し、又は当該申告書等の提出の際提示しなければならない。
5 前三項に定めるもののほか、第二項に規定する特定支出の範囲の細目その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法第190条(年末調整)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)において、同号に掲げる所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した第二号に掲げる税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。
一 その年中にその居住者に対し支払うべきことが確定した給与等(その居住者がその年において他の給与等の支払者を経由して他の給与所得者の扶養控除等申告書を提出したことがある場合には、当該他の給与等の支払者がその年中にその居住者に対し支払うべきことが確定した給与等で政令で定めるものを含む。次号において同じ。)につき第百八十三条第一項(源泉徴収義務)の規定により徴収された又は徴収されるべき所得税の額の合計額
二 別表第五により、その年中にその居住者に対し支払うべきことが確定した給与等の金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額から次に掲げる金額の合計額を控除した金額(当該金額に千円未満の端数があるとき、又は当該金額の全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てた金額)を課税総所得金額とみなして第八十九条第一項(税率)の規定を適用して計算した場合の税額
イその給与等から控除される第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料(ロにおいて「社会保険料」という。)の金額及び第七十五条第二項(小規模企業共済等掛金控除)に規定する小規模企業共済等掛金(ロにおいて「小規模企業共済等掛金」という。)の額
ロその年中に支払つた社会保険料の金額及び小規模企業共済等掛金の額(それぞれイに掲げるものを除くものとし、その居住者がその年において提出した給与所得者の保険料控除申告書に記載されたもの(第百九十六条第二項(給与所得者の保険料控除申告書)に規定する社会保険料の金額及び小規模企業共済等掛金の額にあつては、同項に規定する書類の提出又は提示のあつたものに限る。)に限る。)並びに第七十六条第一項(生命保険料控除)に規定する新生命保険料の金額及び旧生命保険料の金額、同条第二項に規定する介護医療保険料の金額、同条第三項に規定する新個人年金保険料の金額及び旧個人年金保険料の金額並びに第七十七条第一項(地震保険料控除)に規定する地震保険料の金額(これらの金額のうち当該申告書に記載され、かつ、第百九十六条第二項に規定する書類の提出又は提示のあつたものに限る。)につき第七十四条から第七十七条までの規定の適用があるものとした場合に控除されるべき金額
ハ当該給与所得者の扶養控除等申告書に記載された同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者(当該同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者が国外居住親族である場合には、第百九十四条第五項及び第七項(給与所得者の扶養控除等申告書)に規定する書類の提出又は提示がされた同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者に限る。)の有無及びその数並びに当該申告書にその居住者が特別障害者若しくはその他の障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当する旨の記載があるかどうか(当該勤労学生が第二条第一項第三十二号ロ又はハ(定義)に掲げる者に該当する場合には、当該申告書に勤労学生に該当する旨の記載があるかどうかのほか、第百九十四条第四項に規定する書類の提出又は提示があつたかどうか)並びに当該申告書に記載された源泉控除対象親族(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には同条第一項第六号に規定する源泉控除対象親族とし、当該申告書に記載された源泉控除対象親族が国外居住親族である場合には同条第五項及び第七項に規定する書類の提出又は提示がされた源泉控除対象親族に限る。)の有無、その源泉控除対象親族の数その他の事項に応じ、第七十九条から第八十二条まで(障害者控除等)及び第八十四条(扶養控除)の規定に準じて計算した障害者控除の額、寡婦控除の額、ひとり親控除の額、勤労学生控除の額及び扶養控除の額に相当する金額
ニ給与所得者の配偶者控除等申告書に記載されたその居住者の第二条第一項第三十号に規定する合計所得金額(以下この号において「合計所得金額」という。)の見積額、当該申告書に記載された控除対象配偶者又は第八十三条の二第一項(配偶者特別控除)に規定する生計を一にする配偶者(当該控除対象配偶者又は配偶者が第百九十四条第五項又は第百九十五条の二第二項(給与所得者の配偶者控除等申告書)の記載がされた者である場合には、これらの規定に規定する書類の提出又は提示がされた控除対象配偶者又は配偶者に限る。)の有無、その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者に該当するかどうか、その控除対象配偶者又は配偶者がこの条に規定する居住者として当該申告書を提出しているかどうか、その控除対象配偶者又は配偶者が第二百三条の六第一項(公的年金等の受給者の扶養親族等申告書)に規定する居住者として同項第三号に掲げる事項を記載した公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出しているかどうか及びその控除対象配偶者又は配偶者の合計所得金額又はその見積額に応じ、第八十三条(配偶者控除)又は第八十三条の二の規定に準じて計算した配偶者控除の額又は配偶者特別控除の額に相当する金額
ホ給与所得者の特定親族特別控除申告書に記載された特定親族(第八十四条の二第一項(特定親族特別控除)に規定する特定親族をいう。ホにおいて同じ。)(当該特定親族が第百九十四条第五項又は第百九十五条の三第二項(給与所得者の特定親族特別控除申告書)の記載がされた者である場合には、これらの規定に規定する書類の提出又は提示がされた特定親族に限る。)の有無、その特定親族がこの条に規定する居住者として当該申告書を提出しているかどうか、その特定親族の合計所得金額又はその見積額及びその特定親族の数に応じ、第八十四条の二の規定に準じて計算した特定親族特別控除の額に相当する金額
ヘ給与所得者の基礎控除申告書に記載されたその居住者の合計所得金額の見積額に応じ、第八十六条(基礎控除)の規定に準じて計算した基礎控除の額に相当する金額
3.給与所得控除の必要経費
(1)必要経費として考えられる費目を考えることができるか。それらは本当に必要な支出か。
通勤のための交通費、出張費、職務上必要な図書費、研修費、制服その他職業用具の取得費等が考えられる。仕事以外にも使われうるなど家事費との区別が重要であるが、現実的にはそれらの支出をしなければ仕事ができず、社会通念上勤務をする上で必要とされる費用といえ、給与所得を得るために必要な経費といえる。
(2)年収500 万円のサラリーマンの月額の給与所得控除の額は、妥当な金額か。
給与所得控除額は所得税法28条3項によると、126 万円と、収入金額から360 万円を控除した金額の20%の合計額である。126+(500-360)×0.2=154 より154 万円となる。月額なので12 で割ると約12 万8333 円となる。月給の30%を超えており、純粋な必要経費と考えるにはやや多いと考えられる。
(3)所得税法57条の2第2項に掲げられた支出は給与取得者の必要経費と考えられるか、控除の特例はどのような性格を有する制度か。
通勤費、転勤費、研修費、資格取得費、単身赴任者帰宅旅費の5つの合計額が給与所得の金額を超える場合にはさらに給与所得控除後の残額から控除することができる(所得税法57条の2第1項)。通勤費等は職務の遂行上支出が必要とされるものであるので必要経費と考えられる。また、単身赴任者帰宅旅費についても転勤があれば、単身赴任が事実上余儀なくされることが多く、往復旅費も必要経費といえる。控除の特例は限定的に選択による実額控除を認めるものといえる。
5.年末調整と申告不要制度
(1)①所得税法190条(年末調整)の規定の内容
給与所得者の扶養控除等申告書を提出した給与等の額が2000 万以下であるものに対し、その年最後に給与の支払いをする際に、これまで源泉徴収した所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税額を比較して調整を行う。1年間に納めるべき所得税額は、以下のように求める。1年間に支払うことが確定した給与の合計額から給与所得控除を行い、次に扶養控除等の所得控除を差し引き、その金額に所得税の税率を当てはめる。年末調整で住宅借入金等特別控除を行うときは更にこの税額から控除額を差し引く。この金額が1年間に納めるべき所得税額になる。過納額があるときは最後の給与支払いの際に徴収すべき税額に充当し、不足額が生じたときは最後の給与支払いの際に徴収する。
②確定申告書の提出が不要な理由
確定申告により実際の所得税額と調整をしなくとも、源泉徴収と年末調整により課税関係が完結しているので不要とされている。
(2)①年末調整制度の合理性
多くの給与所得者は1か所からの給与所得しかなく、毎月の給与支払の際の源泉徴収と年末調整により課税関係を完結させることは税務行政上効率的である。また、給与所得者にとっても自ら確定申告をする手間が省け、給与所得者の便宜をはかることにもなる。
②給与所得者が確定申告を行うべき場合
給与所得・退職所得以外の所得金額が20 万円を超える場合、2か所以上から給与を受け主たる給与以外の所得の合計額が20万円を超える場合(給与の合計額から雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の各所得控除を差し引いた額が150万円以下で給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合は不要)、特定支出控除・雑損控除・医療費控除等による源泉徴収税額の還付を求める場合には確定申告を行わなくてはならない。住宅ローン控除の1回目も必要である。
③年末調整ですべて対応するとされていない理由
2か所以上から給与を貰っている者、給与以外の所得がある者については、給与所得は総合課税の対象であり、年末調整では1か所からの給与についてしか行えないことが理由となる。医療費控除等の場合は医療費等の内容が様々で専門的な判断を要するので源泉徴収義務者に控除の対象になるかを任せることができないからであろう。また、年末調整の対象となると源泉徴収義務者の負担が過重になることも理由としてあげることができる。
223.05退職所得の意義
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
所得税法第30条(退職所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。
2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。
一 当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合当該残額の二分の一に相当する金額
二 前号に掲げる場合以外の場合百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額
3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額
二 勤続年数が二十年を超える場合八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額
4 第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。
5 第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。
一 法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員
二 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
三 国家公務員及び地方公務員
6 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。
一 その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額
二 第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。)八十万円
三 障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額
7 その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。
5年退職事件 最高裁昭和58年9月9日判決(民集37巻7号962頁)
1.退職所得の課税上の特徴
(1)所得税法30条1項は、退職所得をどのように定めているか。
退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時的に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(「退職所得等」)に係る所得をいう。
(2)①退職所得額の計算方法 ②それぞれの理由
ⅰ.所得金額が1/2 とされる。(30条2項)平準化による累進課税の緩和ⅱ.分離課税の対象となる。(22条3項)老後生活の糧により税負担軽減ⅲ.手厚い退職所得控除がある。(30条3項4項)長期間勤務の優遇・累進課税の緩和
2.事案の検討
(1)本件判決が挙げる「退職所得」の特色
退職所得は、長期間勤務に対する報償及び就労対価の累積たる性質をもち、老後の生活の糧となるものであるから、他の所得と異なり、優遇措置が設けられている。
(2)本件判決が挙げる「退職所得」の要件
①「退職により一時に受ける給与」の要件:①退職すなわち勤務関係の終了という事実によってはじめて給付されること②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること③一時金として支払われること
②「これらの性質を有する給与」の要件:上記①-③を形式的にみたしていなくても実質的に適合しているもの
3.勤務関係の継続と「これらの性質を有する給与」
10年退職事件
「右定年制のもとにおいては、従業員は勤続満10年で当然に退職することになるものではなく、むしろ従前の勤務関係をそのまま継続させることを予定し、当初からこのような運用をすることを意図していたものとみるのが相当である。」
4.退職所得の範囲の拡大
所得税基本通達(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの)
30-2 引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、30-1 にかかわらず、退職手当等とする。(昭51 直所3-1、直法6-1、直資3-1、平16 課個2-23、課資3-7、課法8-8、課審4-33 改正)
(1) 新たに退職給与規程を制定し、又は中小企業退職金共済制度若しくは確定拠出年金制度への移行等相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合において、使用人に対し当該制定又は改正前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与(注)
1 上記の給与は、合理的な理由による退職金制度の実質的改変により精算の必要から支払われるものに限られるのであって、例えば、使用人の選択によって支払われるものは、これに当たらないことに留意する。
2 使用者が上記の給与を未払金等として計上した場合には、当該給与は現に支払われる時の退職手当等とする。この場合において、当該給与が2回以上にわたって分割して支払われるときは、令第77条((退職所得の収入の時期))の規定の適用があることに留意する。
(2) 使用人から役員になった者に対しその使用人であった勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与(退職給与規程の制定又は改正をして、使用人から役員になった者に対しその使用人であった期間に係る退職手当等を支払うこととした場合において、その制定又は改正の時に既に役員になっている者の全員に対し当該退職手当等として支払われる給与で、その者が役員になった時までの期間の退職手当等として相当なものを含む。)
(3) 役員の分掌変更等により、例えば、常勤役員が非常勤役員(常時勤務していない者であっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められるものを除く。)になったこと、分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上減少)したことなどで、その職務の内容又はその地位が激変した者に対し、当該分掌変更等の前における役員であった勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与
(4) いわゆる定年に達した後引き続き勤務する使用人に対し、その定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与
(5) 労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、その延長前の定年(以下この(5)において「旧定年」という。)に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもの
(6) 法人が解散した場合において引き続き役員又は使用人として清算事務に従事する者に対し、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与
(1)この通達では、ある支払いが「退職所得」に当たるか否かをどのような基準で判断しようとしているか。
①勤続期間が清算される+②(制度変更で強制的に支払を受けるor 地位の変更or 定年)
5.退職所得制度の問題点
(1)以下の①②の事例において、A、B が受け取る「退職金」は退職所得に該当するか。退職所得に該当すると、どのような課税を受けるか。
①退職所得に該当する。(退職金-1010 万円)×1/2 が課税標準となる。
②退職所得に該当する。(3 億円-120 万円)×1/2 が課税標準となる。(但し、社内の規程や給与体系の整備がなければ、給与所得の賞与認定の危険あり)
(2)(1)のA やB が受け取った「退職金」は、5年退職事件の最高裁判決が想定していた退職所得と同じか、異なるか。そこから現在の退職所得課税制度の問題点について、どのように考えるか。
A・B共には想定とは異なるであろう。Aは45歳で転職のための退職であり、退職金が老後の生活の糧とはいえない。Bの場合も明らかである。そもそも、制度の基礎には、終身雇用制度のもとでの退職金が想定されており、今日のような、自由な労働市場を見据えて制度設計されていない。よって、退職金との形式をとって、大きな優遇措置を節税目的で利用される大きな問題点がある。また逆に、このような制度の存在が、労働対価の後払いをする誘引となり、労働市場を硬直化させることが起こりえる。
第4節 不動産所得・事業所得
224.02事業所得の意義(1)――給与所得との区別
引用条文の現行全文4条2026年8月16日時点
所得税法施行令第63条(事業の範囲)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第二十七条第一項(事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。
一 農業
二 林業及び狩猟業
三 漁業及び水産養殖業
四 鉱業(土石採取業を含む。)
五 建設業
六 製造業
七 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
八 金融業及び保険業
九 不動産業
十 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保健業、著述業その他のサービス業
十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
所得税法第51条(資産損失の必要経費算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
弁護士顧問料事件 最高裁昭和56年4月24日判決(民集35巻3号672頁)
1(2)「事業」に共通の性質
- 事業所得
- 自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得所得税法施行令 第六十三条(事業の範囲)
法第二十七条第一項 (事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。
一 農業二 林業及び狩猟業三 漁業及び水産養殖業四 鉱業(土石採取業を含む。)
五 建設業六 製造業七 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
八 金融業及び保険業九 不動産業十 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保健業、著述業その他のサービス業十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業
(2)所得税法施行令63条と本件判決から、「事業」に共通の性質は、「自己の計算と危険において独立して営まれる」
もので、不動産、船舶、航空機の貸付業以外のものであるもの、といえる。
2.区別の意義
事業所得の金額の算定方法は、総収入金額から必要経費を控除した金額である(所得税法27条2項)。
一方、給与所得の金額の算定は、給与所得から給与所得控除額を控除した金額である(所得税法28条2項)。必要経費控除は認められない。ただし、給与所得者が特定支出をした場合において、その合計額が給与所得控除の金額を超える場合には、その超える金額をさらに給与所得控除後の残額から控除することができる(特定支出控除:所得税法57条の2 第1項)。
給与所得控除は、概算経費控除であり、収入金額に応じて逓減する割合で定められ、上限はない。であるから、必要経費控除よりも有利なこともある。すなわち、実際に支出する必要経費が給与所得控除額に満たない場合には、給与所得に該当するとされるほうが有利であるといえる。本件で問題となっている弁護士の顧問料の場合、実際に支出される必要経費はそれほど多いとは考えられず、給与所得控除の適用を受けた方が有利であると推測できる。
3.譲渡所得との区別
譲渡所得と事業所得の区別は、譲渡した資産の性質、すなわち当該資産の所有目的から決まるといえる(Ex.販売目的⇒事業所得)。
資産の譲渡による所得であっても譲渡所得から除かれるものがある(33条2項)。たな卸資産は、流動資産であって、その譲渡からは事業所得が生ずる。たとえば、不動産業者が販売の目的で取得し所有していた宅地を譲渡した場合がこれにあたる。ただし不動産業者は、投資目的で土地を所有することもでき、その譲渡からは譲渡所得が生ずることに注意する必要がある。
資産の譲渡による所得の分類については、一般論としては、所得者の意思によらない外部的条件の変化に起因する資産価値の増加は、譲渡所得にあたり、所得者の人的努力と活動に起因する資産価値の増加は、事業所得や雑所得にあたる、と考えるべきであろう。
したがって、土地を譲渡して事業所得が発生する場合もあるし、逆に事業を行っている者が事業用固定資産を譲渡して得られた所得が譲渡所得にあたることもある。
実際問題これでは判別しえないところがある。
- cf.二重利得法
- 所有目的の変更があった場合に、そこから生じた所得を性質に応じて分けた上で課税する
224.02事業所得の意義(2)――雑所得との区別
引用条文の現行全文4条2026年8月16日時点
所得税法施行令第63条(事業の範囲)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第二十七条第一項(事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。
一 農業
二 林業及び狩猟業
三 漁業及び水産養殖業
四 鉱業(土石採取業を含む。)
五 建設業
六 製造業
七 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
八 金融業及び保険業
九 不動産業
十 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保健業、著述業その他のサービス業
十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
所得税法第51条(資産損失の必要経費算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
会社取締役商品先物取引事件 名古屋地裁昭和60年4月26日判決(行集36巻4号589頁)
1.事案の検討
(1)事業所得とされるべき要素
当該経済行為の営利性・有償性の有無、継続性・反覆性の有無のほか自己の危険と計算による企業遂行性の有無、取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、資金の調達方法、その者の職業・経歴・社会的地位・生活状況、相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性があるか等の諸要素を総合的に社会通念に照らして判断する。
○存在する要素商品先物取引の回数、数量及び損失の額から、有償性、継続性あり。
○存在しない要素
- 自己の危険と計算による企業遂行性(企業遂行力が高度でない)
- 電話連絡等の方法で商品先物取引を行い、特別の人的、物的設備を有せず、精神的・肉体的労力も左程のものではない。
- 資金も自己資金及び自己が代取である会社からの借入金により調達している。
- 外務員の勧奨により始めたもので、過去に商品先物取引に関する職業に関与したことはなかった。
- 会社の代表取締役として、報酬・配当等を得て生活の糧としている。
- 商品先物取引は極めて投機性が強いもので、相当程度の期間継続して安定した収益を得る可能性は極めて低い⇒結論:商品先物取引は所得税法施行令63条12号にいう対価を得て継続的に行う事業には該当しない。
2.区別の意義
損益通算=不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、それをその他の各所得の金額から控除する(所得税法69条1項)。
→雑所得についての損失は損益通算できない。 理由:家事費的性格
資産損失所得税法51条1項
- 対象
- 不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産について、取りこわし、除却、滅失(資産の損壊による価値の減少も含む)、その他の事由のより生じた損失(保険金・損害賠償金等による補填部分は除く) ←任意除却損等も含め広い。
- 効果
- その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得・事業所得・山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
所得税法51条4項
- 対象
- 不動産所得、雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林、生活に通常必要でない資産の災害による損失を除く)の損失(保険金・損害賠償金等による補填部分等を除く)
- 効果
- この項の規定を適用しないで計算した16その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産・雑所得の金額を限度として、当該年分の不動産・雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 ←家事費的性格のため⇒結局のところ、損益通算の対象とはしないという意味で、69条1項と同じ。
3.区別の基準
事業としての社会的客観性、つまり相当程度安定した収益を得られる可能性があったか否かが雑所得との違いを判断する際に重要な要素になる。
・給与所得との区別(弁護士顧問料事件等)
自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。
・譲渡所得との区別(最判昭和32.10.22)
原告は将来の値上りを見越して大量の藺草、藺製品等を貯蔵していて、これを数次に亘って販売し、多額の利益を得ていることが推認され、原告が藺草及び藺製品の販売を業としたものである事実を認めるに難くない。その販売による所得額は事業等所得と認めるべきである。
・不動産所得との区別(東京地判平成7.6.30)
営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企業遂行性の有無、その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の経歴・社会的地位、生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業と言い得るか否かによって判断されるべきであり、これらの判断に当たって役務提供の程度や事業規模の大小のみを殊更重視するのは相当でない17。
・一時所得との区別(名古屋高裁金沢支判昭和43.2.28)
「事業」とは、営利を目的とする継続的行為であり、社会通念に照らして事業と認められるものすべてを含み、特に事業所を設置したり、人的物的要素を結合した経済的組織によるものであることを必ずしも必要とせず、また、その者の本来の業務或は職業としてなされる場合であると副業的になされる場合であるとを問わない18。一時所得は一時的・偶発的な所得なので、継続性がある場合には事業所得と認定される。
・雑所得との区別(福岡高判昭和54.7.17、最判平成5.10.27、最判昭和51.6.25、最判昭和59.6.28、最
判昭和60.9.12)
株式取引は、一般社会通念に照らし、事業とは認められない(最判昭和53.10.31)。営利性、継続性及び独立性の有無により、利息の多寡、貸付の口数、相手方との関係、貸付の頻度、金額の大小、担保権設定の有無、貸付資金の調達方法、利息収入の総所得において占める割合、人的及び物的設備の有無、規模、貸付宣伝広告の状況等諸般の事情を総合判断することによって決定すべきとして、資金貸付行為は所得税法上の事業とは認めることができない(東京地判昭和46.2.25)。
224.03事業所得の範囲19
引用条文の現行全文3条2026年8月16日時点
所得税法第27条(事業所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。
所得税法第24条(配当所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける剰余金の配当(株式又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含む。次条において同じ。)に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの並びに分割型分割(同法第二条第十二号の九に規定する分割型分割をいい、法人課税信託に係る信託の分割を含む。以下この項及び次条において同じ。)によるもの及び株式分配(同法第二条第十二号の十五の二に規定する株式分配をいう。以下この項及び次条において同じ。)を除く。)、利益の配当(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含むものとし、分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配(出資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの(次条第一項第四号において「出資等減少分配」という。)を除く。)、基金利息(保険業法第五十五条第一項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配(法人税法第二条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係るものを除く。以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。
2 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となつた有価証券その他政令で定めるものを取得するために要した負債の利子を除く。以下この項において同じ。)でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
嶋モータース事件 名古屋高裁金沢支判S49.9.6(行集25-8=9-1096)
1.事案の検討
名古屋高裁金沢支判S49.9.6 行集25-8=9-1096 嶋モータース事件
- 事案
- X は昭和41年に1300 万円を借り入れ、これを出資して資本金200 万円のE 社設立、代取就任。X は昭和41年分および昭和42年分の所得税の確定申告にあたり、この1300 万円の借入金に対する支払利子を、嶋モータースの業態改善のため要した費用として、事業所得の計算上必要経費に参入したところ、Y は、この支払利子をX の事業所得必要経費ではないとする増額更正処分を行った。ちなみに昭和41年分および昭和42年分にはE 社は利益配当ができなかった
- 論点
- 事業所得の範囲/所得区分に応じた費用と収益の対応関係1、X のE 社への出資(株式取得)はX の個人事業の安定向上のためになされたといえるか2、E 社への出資が経済的にはX の個人事業のためになされたと認められる場合でも、右出資(株式取得)のための借入金利息をX の事業所得のための必要経費とすることはできないか
- 条文
- 所税27Ⅰ、Ⅱ、24Ⅰ、Ⅱ、69Ⅰ
- 判旨
- (課税要件事実)事業所得における「必要経費」(27Ⅱ)
(争点1、2 についての判断)
1、嶋モータースとE 社を同一視しない限り、E 社設立資金を個人事業の安定向上のための投資となすことはできない。
(理由)個人事業は逐次縮小解消する計画を立て、右計画通りに実施されたため2、許されない(理由)①E 社からの配当収入をX の事業所得と扱うことは24条1項の文理に反する。実質的にも現行法上配当控除を設けて法人税と所得税の二重課税を回避するために配当所得を他の所得から区分した趣旨に反する。
配当収入を事業所得と扱うことができれば、その経費は27条2項により控除できる。
②配当元本取得のための負債利子を他の区分の所得の経費とすることは許されない。
法第2節第1 款において各種の区分所得ごとにその計算方法を個別的に定めているのは税法上認めうる費用を、収益との対応関係において評価する趣旨。24条2項もそのひとつ。
配当所得に対応する費用として定められている経費を、他の区分所得に対応する経費と知れ控除することを認めることは、69条1項が配当所得の計算上生じた損失については他の各種所得の金額に通算することを認めなかった趣旨に反する。
- 解説
- 所得税法は、所得をその源泉ないし性質に応じて…10 種類に分類している。これは各種所得の担税力の相違を加味しようという考慮に基づくものであって、分類所得税のひとつの名残りであるが、しかし他方で、所得税法は、原則として各種所得の金額を合算し、それに一本の税率表を適用することとしているから、わが国の制度は基本的には総合所得税といってよい。
各種所得の金額を計算する場合に、ある種の所得についてマイナスが出ることがある。その場合には、総合所得税の建前から、他の所得のプラスとの相殺を認める必要がある。
4.事業所得の範囲
(2)①印税収入や講演料収入は、新規な無農薬農法を実践しているからこそ得られた収入であると考えられるので、農業という事業に付随していると考えられる。よって、事業所得である。※これは副業的要素をかなり広く捉えている立場。実際、雑所得と考えてもよい。
②この点を決定するのに、どのような事実が考慮されるべきだろうか。
重要なのは事業との関連性である。講演や書物の内容が農法の解説や経験談にとどまっているうちは事業所得で問題がないであろうが、この人のキャラクターが受けて次第に講演や書物の内容が人生経験の話であるとか社会問題の話であるとかになってくると雑所得になる。もっとも、それが行き過ぎると今度は講演や書物執筆が仕事ということになって、また事業所得になることもありえるだろう。収入の金額も考慮要素となる。
第3章 所得の計算と年度帰属
第1節 収入金額と必要経費
231.01収入金額の意義
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
1.収入金額の意義と計算
(1)未実現の所得
所得税法は所得を収入という形態でとらえているから、未実現の利得および帰属所得は原則として課税の対象から除かれていると解さざるを得ない。しかし、これは、それらが本質的に所得でないからではなく、それらを捕捉し評価することが困難であるからであって、それらを課税の対象とするかどうかは立法政策の問題である。
未実現の利得:所有資産の価値の増加益等
帰属所得 :自己の財産の利用および自家労働から得られる経済的利益
未実現の利得に課税している例
(たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入)
第三十九条 居住者がたな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合には、その消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
(たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入)
第四十条 次の各号に掲げる事由により居住者の有するたな卸資産(事業所得の基因となる山林その他たな卸資産に準ずる資産として政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)の移転があつた場合には、当該各号に掲げる金額に相当する金額は、その者のその事由が生じた日の属する年分の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
一 贈与(相続人に対する贈与で被相続人である贈与者の死亡により効力を生ずるものを除く。)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く。) 当該贈与又は遺贈の時におけるそのたな卸資産の価額二 著しく低い価額の対価による譲渡 当該対価の額と当該譲渡の時におけるそのたな卸資産の価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額2 居住者が前項各号に掲げる贈与若しくは遺贈又は譲渡により取得したたな卸資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。
一 前項第一号に掲げる贈与又は遺贈により取得したたな卸資産については、同号に掲げる金額をもつて取得したものとみなす。
二 前項第二号に掲げる譲渡により取得したたな卸資産については、当該譲渡の対価の額と同号に掲げる金額との合計額をもつて取得したものとみなす。
(農産物の収穫の場合の総収入金額算入)
第四十一条 農業を営む居住者が農産物(米、麦その他政令で定めるものに限る。)を収穫した場合には、その収穫した時における当該農産物の価額(以下この条において「収穫価額」という。)に相当する金額は、その者のその収穫の日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
2 前項の農産物は、同項に規定する時にその収穫価額をもつて取得したものとみなす。
(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
(2)収入金額がどのように計算されるか
所得税法36条(収入金額)
1 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
- 現金による収入「その年において収入すべき金額」→権利確定主義または管理支配基準
- 現金以外の収入「その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額」・「当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額」→収入時の時価で評価参考 所得税基本通達(経済的利益)
36-15 法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下36-50 までにおいて「経済的利益」という。)には、次に掲げるような利益が含まれる。
(1) 物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益
(2) 土地、家屋その他の資産(金銭を除く。)の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益
(3) 金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益
(4) (2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益
(5) 買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益
231.02必要経費の意義
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 12026年8月16日時点
施行 1947-05-03
財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
所得税法第45条(家事関連費等の必要経費不算入等)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
二 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項(確定申告税額の延納に係る利子税)、第百三十六条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)、第百三十七条の二第十二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)又は第百三十七条の三第十四項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く。)
三 所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
三の二 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成三十一年法律第三号)の規定による森林環境税及び森林環境税に係る延滞金
四 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)
五 地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
六 前号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
七 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
八 損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの
九 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
十 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
十一 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
十二 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
十三 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金
十四 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金及び延滞金
十五 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号)の規定による課徴金及び延滞金
2 居住者が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第十八条第一項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額(その供与に要する費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
3 その年において不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務を行う居住者又はその年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分の当該雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が三百万円を超えるものが、隠蔽仮装行為(その所得の金額又は所得税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいう。)に基づき確定申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかつた場合には、これらの確定申告書に係る年分のこれらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として政令で定める額を除く。以下この項において「売上原価の額」という。)及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額(その居住者がその年分の確定申告書を提出していた場合には、これらの額のうち、その提出した当該確定申告書に記載した第百二十条第一項第一号(確定所得申告)に掲げる金額又は当該確定申告書に係る修正申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について更正があるべきことを予知した後に提出された修正申告書を除く。)に記載した国税通則法第十九条第四項第一号(修正申告)に掲げる課税標準等の計算の基礎とされていた金額を除く。)は、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額及び雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する当該売上原価の額又は費用の額については、この限りでない。
一 次に掲げるものにより当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかつたことをその居住者において証明した場合を含む。)
イその居住者が第百四十八条第一項(青色申告者の帳簿書類)又は第二百三十二条第一項若しくは第二項(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定めるところにより保存する帳簿書類
ロイに掲げるもののほか、その居住者がその住所地その他の財務省令で定める場所に保存する帳簿書類その他の物件
二 前号イ又はロに掲げるものにより、当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(同号に掲げる場合を除く。)であつて、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
4 第一項第二号から第八号までに掲げるものの額又は第二項に規定する金銭の額及び金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の価額は、第一項又は第二項の居住者の一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入しない。
所得税法施行令第96条(家事関連費)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
〈必要経費の意義と計算〉
①所得税法上、必要経費の控除を認めている理由
投下資本の回収部分に課税が及ぶことを避けるという理由から認められるものである。
②必要経費を一切認めない法律は違憲となるか。
憲法29条違反で違憲となる。すなわち、課税は所得に対してなされるものであり、課税の対象となる所得とは、人の担税力を増加させる経済的利得をいう。とすれば、投下資本の回収部分である必要経費は、収入金額のうち所得に当たらないものであるといえる。ゆえに、合憲性判定基準のなかでも、特に緩やかな基準である「明白性の原則(立法府がその裁量権を逸脱し当該法的措置が著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲とする基準)」にて判断しても、必要経費控除を認めないという立法府の判断は著しく不合理であることが明白なものであり、違憲となる。
③必要経費の控除を一切認めないとした場合、実際的にどのような不都合が生じるか。
投下資本を回収できなくなり、資本の再投資が先細っていくことになる。
〈資本的支出と修繕費〉
資本的支出とは、固定資産の修理や改良などによって、その価値や機能を向上させるために支出した費用のこと。
- 資本的支出の具体例
- ビルの改築、より性能の高い部品への交換、 ガレージのシャッター交換。
資本的支出と判断された場合は、その費用は固定資産の取得原価に加算され、耐用年数に従って減価償却費として毎年計上される。「資本的支出」と似た言葉に「修繕費」があるが、修繕費は支出した期に費用計上されるのに対し、資本的支出は支出した期には固定資産として計上される。そのため、資本的支出は修繕費のようにすぐに節税効果が得られず、固定資産の耐用年数に応じて徐々に節税効果が得られることになる。
所得税基本通達37-10 業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。(昭57 直所3-1 追加)
(1) 建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る金額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した金額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した金額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる金額を超える部分の金額(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
〈家事費・家事関連費〉
家事費とは、個人の消費生活上の費用のことで、必要経費には算入されない(所得税法45条1項)。家事関連費は、必要経費と家事費の性質を併有している費用であって、その主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつその必要である部分を明確に区分できる場合等は、その部分に限って必要経費に算入される(所得税法45条1項、所得税法施行令96条)。
所得税基本通達(業務の遂行上必要な部分)
45-2 令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
①家事関連費については、所得税法施行令96条では「主たる部分が…業務の遂行上必要」で、かつその部分を明らかに区別することができるかどうか、という基準であるのに対し、通達では、必要な部分が50%を超えるかどうかによりまず判断するが、明らかに区別することができる場合には50%を下回ってもよいとされる。つまり、通達では、所得税法施行令の規定する範囲を緩和するものであるといえる。よって、家事関連費の範囲は通達が規定する範囲の法が、所得税法施行令の規定する範囲よりも広いといえる。
②家事関連費は、必要経費と家事費の性質を併有している費用であるので、必要経費の部分については可能な限り収入金額から控除するのが望ましい。ゆえに、通達の規定するように必要経費と家事費を明確に区別できる場合であれば、その必要経費部分を控除できる場合を広く認めることは適切である。→所得税法施行令96条2項の考えに近づけるものなので適切である。
〈関連問題〉
- 事業用建物の屋根葺き替え費用は資本的支出にあたる(大阪高判昭和34年4月14日)。
- 市民税は家事費にあたる(札幌高裁函館支判昭和24年11月21日)。
- 税の納付にあてるための借入金利子は家事費にあたる(神戸地判昭和35年6月6日)。
- 家事関連費の実額調査が困難で通信費の30%は事業に関連がないと推定された事例(名古屋地判昭和28年8月7日)
- 居住・営業兼用の住宅の地代について家屋の約半分を営業に供していることから50%を営業費とみとめ、光熱費について昼間でも仕事に電気を利用し、店舗では眼鏡加工用電動機電気代の3分の2を営業費と認めた事例(新潟地判昭和30年4月25日)。
- 店舗および住宅に併用されている家屋に存在する1本の電話は、特段の事情のない限り営業用および家事用の双方に使用するものと推認されるから、電話料金のうち一部を家事用支出として否認するのは相当であるし、右否認金額を含めた家事関連の交通、通信費の合計額が、全国都市平均1世帯当り交通通信費に近似する場合は、右家事用電話料金の否認額は過大であるとはいいえないとした事例(京都地判昭和31年10月19日)。
- 店舗兼住宅の敷地のうち、その半分が家族の居住の用に供していたと認めるべきときは、地代の半額が必要経費となる。
電話の設置を受けるために支出した費用でその電話加入権の対価たる性質を有するものは、当該事業所得算出のための必要経費として計上すべきものではないとした事例(神戸地判昭和35年6月6日)。
- 店舗および住宅に併用されている家屋に1本だけの電話が設定されているに過ぎない場合でも、営業と家事とをはっきり区別して、右電話を家事用には全然使用していないことが認められるときは、右電話料金全額を事業所得の計算上必要経費に算入することができるとした事例(大阪高判昭和34年4月15日)。
231.03違法な支出の必要経費性
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
所得税法第45条(家事関連費等の必要経費不算入等)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
二 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項(確定申告税額の延納に係る利子税)、第百三十六条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)、第百三十七条の二第十二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)又は第百三十七条の三第十四項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く。)
三 所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
三の二 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成三十一年法律第三号)の規定による森林環境税及び森林環境税に係る延滞金
四 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)
五 地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
六 前号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
七 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
八 損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの
九 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
十 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
十一 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
十二 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
十三 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金
十四 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金及び延滞金
十五 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号)の規定による課徴金及び延滞金
2 居住者が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第十八条第一項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額(その供与に要する費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
3 その年において不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務を行う居住者又はその年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分の当該雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が三百万円を超えるものが、隠蔽仮装行為(その所得の金額又は所得税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいう。)に基づき確定申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかつた場合には、これらの確定申告書に係る年分のこれらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として政令で定める額を除く。以下この項において「売上原価の額」という。)及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額(その居住者がその年分の確定申告書を提出していた場合には、これらの額のうち、その提出した当該確定申告書に記載した第百二十条第一項第一号(確定所得申告)に掲げる金額又は当該確定申告書に係る修正申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について更正があるべきことを予知した後に提出された修正申告書を除く。)に記載した国税通則法第十九条第四項第一号(修正申告)に掲げる課税標準等の計算の基礎とされていた金額を除く。)は、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額及び雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する当該売上原価の額又は費用の額については、この限りでない。
一 次に掲げるものにより当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかつたことをその居住者において証明した場合を含む。)
イその居住者が第百四十八条第一項(青色申告者の帳簿書類)又は第二百三十二条第一項若しくは第二項(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定めるところにより保存する帳簿書類
ロイに掲げるもののほか、その居住者がその住所地その他の財務省令で定める場所に保存する帳簿書類その他の物件
二 前号イ又はロに掲げるものにより、当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(同号に掲げる場合を除く。)であつて、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
4 第一項第二号から第八号までに掲げるものの額又は第二項に規定する金銭の額及び金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の価額は、第一項又は第二項の居住者の一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入しない。
高松市塩田宅地分譲事件 高松地裁昭和48年6月28日判決(行集24巻6=7号511頁)
2.理論的検討
(1)本件判決は、なぜ、宅建業法に違反する手数料支出も必要経費となると判断したのか。
必要経費とは所得を得るために必要な支出のことであり(所得税法37条1項)、必要経費控除の趣旨は投下資本の回収部分に課税が及ぶことを避けて、原資を維持しつつ拡大再生産を図るという資本主義経済の要請に沿うためであるから、違法ないし不法な支出も事業の遂行上必要とするならば、別段の定めがない限り必要経費として認められるべきであるから。
(2)所得税法45条1項6号ないし11号がいわゆる罰課金等を必要経費に算入しえないとしている趣旨。この列挙は限定か例示か。
制裁効果の減殺を阻止する趣旨。限定列挙。
3.公序の理論
(1)我が国にこのような考え方を解釈論として導入することの是非
違法支出の違法性ないし公序良俗違反の程度には差があり、法が保護すべき法益も様々であることからすれば、解釈によって明確な基準なしに必要経費性を否定することは問題があると考える。また、法の規定なしで、課税の面から法の実効性を確保しようとすることは、税法本来の目的でなく、隠れた刑罰にもなりかねないので問題がある。
(2)所得税法45条2項の新設の意味
日本社会では、賄賂等は所得を得るために必要な支出でないとは未だ即断しかねる環境にあることを鑑みれば、これは創設規定と解すべきである。(賄賂等を脱税協力金と同様のものといえるかの問題)
4.関連裁決例
取引関与者に対する支払手数料・覚せい剤の運搬に使用された船舶の購入代金・取引のための渡航のための旅費交通費を具体的に検討し、船舶は本件取引に使用された可能性がないとした裁決。
第2節 収入の年度帰属
232.01権利確定主義(1)――基本的な考え方
引用条文の現行全文6条2026年8月16日時点
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法第64条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
2 保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
3 前項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の譲渡をした資産の種類その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
所得税法第152条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は第六十四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより、国税通則法第二十三条第一項各号(更正の請求)の事由が生じたときは、当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該申告書又は決定に係る第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第五号、第七号若しくは第八号(確定損失申告)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)について、同法第二十三条第一項の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、更正請求書には、同条第三項に規定する事項のほか、当該事実が生じた日を記載しなければならない。
所得税法第67条の2(リース取引に係る所得の金額の計算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。
2 居住者が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。
3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。
二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。
4 前項第二号の資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているかどうかの判定その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
民法第624条(報酬の支払時期)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。
民法第648条(受任者の報酬)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。
雑所得貸倒分不当利得返還請求事件 最高裁昭和49年3月8日判決(民集28巻2号186頁)
1.事案の検討
(1)「権利確定主義」の内容
現実の収入がなくても、その収入の原因たる権利が確定的に発生した場合には、その時点で所得の実現があったものとして、右権利発生の時期の属する事業年度の課税所得を計算するという建前
(2)本件判決によると、所得税法が「権利確定主義」を採用していると解釈できるのは、いかなる文言を解釈したものか。
「収入すべき金額」(所得税法36条1項)←「収入した金額」としていない
(3)権利確定主義を採用する理由
究極的には実現された収支によってもたれされる所得について課税するのが基本原則であり、ただ、その課税に当たって常に現実収入のときまで課税できないとしたのでは、納税者の恣意を許し、課税の公平を期しがたいので、収入すべき権利の確定したときをとらえて課税することとした」
3.権利確定主義のメリットとデメリット
権利確定主義・・・法的に権利が確定した時点で所得が実現したとみる考え方<メリット>画一的な基準によって所得を年ごとに正確かつ確実に捕捉でき、課税の公平と徴税の便宜をもたらす。
<デメリット>所得税法36条1項「収入すべき金額」の文言の解釈としての説示にとどまり、税法にその旨の規定があるわけではない。権利が確定したときとはいつか、明確ではない。通達では契約効力発生時基準でなく引渡基準を採用しており、権利確定主義を廃棄したのではないか。所得なきところに所得税を課し、応能負担の原則に反する結果をもたらす。
→デメリットに対する対応
- 未実現の利益は課税対象から除外されなければならないという意味での実現主義、企業会計上の収益計上基準としての実現主義が年度帰属の判断に必要な明確な基準を提供しうるとは考えられず、法的な基準を示す権利確定主義が必要かつ妥当性あり。
- 引渡基準を採用したのは、その時点をもって所有権の移転の時期とみなすのが執行上最も安全で確実であるという理由によるもので、権利確定主義を廃棄する趣旨を含むものではない。
- 権利の確定という法的な基準で律するのが妥当でない場合は、補完的に管理支配基準を適用する。
4.権利確定主義の限界
(1)211.02 判決のいう権利確定主義を採用しうる根拠と限界
権利確定主義が採用できるのは、「特段の事情のないかぎり、収入実現の可能性が高度であると認められるからであって」、これが相手方の任意の弁済を「事実上期待しうるにとどまる」場合には、「収入実現の蓋然性があるものとはいえ」ないから、制限超過の利息・損害金は、「未収である限り旧所得税法10条(現行36条1項)にいう『収入すべき金額』に該当しない」。
(2)本件判決の指摘する権利確定主義の限界と是正方法
権利確定主義のもとにおいて金銭債権の確定的発生の時期を基準として所得税を賦課徴収するのは、実質的にはいわば未必所得に対する租税の前納的性格を有するものであるから、その後において右の課税対象とされた債権が貸倒れによって回収不能となるがごとき事態が生じた場合には、先の課税はその前提を失い、結果的に所得なきところに課税したものとして、当然にこれに対するなんらかの是正措置が要求されるものというべく、それは、所得税の賦課徴収につき権利確定主義をとることの反面として要請されるものといわなければならない。
債権の後発的貸倒れの場合にも、貸倒れの存否及び数額についてまず課税庁が判断し、・・・改めて課税所得及び税額を算定し、それに応じて先の課税処分の全部又は一部を取り消したうえ、既に徴税後であればその部分の税額相当額を納税者に返還するという措置をとることが最も事理に即した是正の方法というべく、課税庁としては、貸倒れの事実が判明した以上、かかる是正措置をとるべきことが法律上期待され、かつ、要請されているものといわなければならない。
貸倒れの発生とその数額が格別の認定判断をまつまでもなく客観的に明白で、課税庁に前記の認定判断権を留保する合理的必要性が認められないような場合...には、課税庁による是正措置がなくても、課税庁又は国は、納税者に対し、その貸倒れにかかる金額の限度においてもはや当該課税処分の効力を主張することができないものとなり、したがって、右課税処分に基づいて租税を徴収しえないことはもちろん、既に徴収したものは、法律上の原因を欠くものとしてこれを納税者に返還すべきものと解するのが相当である。
現行法においては更正の請求の手続をとることが認められている(所得税法64条・152条)。
6.関連裁判例
【最判昭和47年12月26日】
土地が代金を割賦弁済する約定で譲渡された場合であっても、譲渡が行われた年に代金全額について課税対象となるとした判決代金の支払方法が長期にわたる割賦弁済によるときは、特定の年度に集中して課税することなく、割賦金の支払またはその弁済期毎にその都度資産の譲渡があるとみて、当該弁済期等の属する年度毎に個別的に課税すべきであるとする見解は、とうてい採用し難い。
【最判昭和56年10月8日】
建物の賃貸借に際して賃貸人が賃借人から受け取った保証金のうち賃貸期間の長短にかかわらず返還不要と合意された部分は賃貸借契約の成立の時に収入すべき権利が確定するとした判決原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件の償却費相当額は賃借人らに貸室を引き渡し保証金の預託を受けた時点において収入すべき権利が確定しこれを右預託を受けた時の属する年の不動産所得の計算上収入すべき金額に算入すべきものと解すべきであり、上告人の主張する事由は、いずれも右解釈を左右するに足るものとは認められない。
【神戸地判昭和59年3月21日】
雇用保険法61条の2 第3項により国から事業者に支給される中高年齢者雇用開発給付金に対する請求権は、毎月の賃金の支払に応じて成立するのであるから、手続上の理由からその支給が翌年になっても、その給付の原因となった賃金の支払の属する年の総収入金額に計上すべきであるとした判決給付金請求権の発生時期が事業主において当該従業員に賃金を支払つた各月ごとに発生するものである以上、事務処理手続上の理由から給付金の支給が翌年分となつた場合でも、その給付の原因となつた支払いの属する年分の金額を見積り、当該年分の事業所得の計算上、総収入金額に算入することは、何ら所得税法三六条一項に反するものではない。
〈参考〉
金子宏「所得の年度帰属」
(1)所得の年度帰属に関する原則
- 発生主義(実現主義)・・・現実の収入がなくても所得が発生した時点を基準とする考え方
- 現金主義・・・現実の収入の時点を基準とする考え方
(2)どちらの原則が優れているかとその理由。
→発生主義
- 理由
- 信用取引が支配的な経済社会では、現金主義では1年間の所得の正確な算定が困難。
現金主義では納税者が所得のタイミングを操作でき所得算定が不正確になるおそれ。
(3)現行所得税法
所得税法36条1項は「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、その年において収入すべき金額とする」とし、発生主義を採用しつつ、小規模事業者については青色申告を条件として厳格な要件の下に、現金主義の選択を認めている(所得税法67条の2)。
現行通達の概観
(1)通達と権利確定主義
原則として、利子所得については期間満了日や支払いを受けた日、配当所得については当該剰余金の配当等について定めたその効力を生じた日、不動産所得についてはその契約に定められた支払日もしくは支払いを受けた日、給与所得については支給日もしくは支給を受けた日、退職所得についてはその支給の基因となった退職の日、一時所得については支払いを受けた日、雑所得についてはその支給日となっており、これは法的に権利が確定した時点をもって所得が実現したとして課税しているから、権利確定主義を採用していると説明できる。一方、山林所得・譲渡所得については原則としてその基因となる資産の引渡があった日を収入すべき時期として引渡基準を採用し、ただし納税者の選択により契約効力の日により総収入金額に算入して申告があったときはこれを認めるとしている。これは、安全性・確実性・統一性等の観点から、執行上の基準として実現の時期を引渡の時点までずらしているのであり、権利確定主義を廃棄するものではない。
(2)所得税基本通達36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期
第5項 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日有償委任契約など人的役務の提供による収入金額の計上時期については、契約締結日でも実際に報酬をもらった日でもなく、原則として役務の提供が完了した日となっている。
民法624条、648条は、別段の定めのない限り、役務の提供を完了した後でなければ報酬を請求することは得ないことを規定している(報酬後払の原則)。これは、事柄の性質上、役務の提供と報酬支払とを同時履行で処理するということは事実上きわめて困難であるからであり、当事者いずれかの債務を先履行とせざるを得ないからである。報酬後払をもって原則とされることから、契約時において取得した請求権は、基本権たる報酬請求権にすぎないものと解される。したがって、具体的に、現実的に履行可能な請求権は、役務提供があってはじめて発生するのであり、役務提供のあることを停止条件として発生すると解される。そこで、停止条件付権利は、条件成就の時より効力が生ずるから、このときに「収入すべき時期」が到来したと認められる。このように権利確定主義からも説明できる。
ただし書きに規定されている例としては、報酬の前払いの特約が締結されている場合などが考えられる。
参考判例
<大阪高裁平成10.4.14 判決>人的役務の提供による収入金額については、その提供完了の日をもって収入金額の計上時期とされており、本件紛争は、平成3年10月ころをもってすべて解決し、Xの事務はそのころ完了したというのであるから、土地の取得に係るXの弁護士収入は、平成3年分の収入となる。
232.03管理支配基準
仙台賃料増額請求事件 最高裁昭和53年2月24日判決(民集32巻1号43頁)
1.事案の検討
地裁と高裁
- 共通点:どちらの判決も権利確定主義をとることを前提としている。
- 相違点:地裁(使用期間に応じて分割説)→『少なくとも、国の使用を妨害しないで国の使用を容認するという限度において、役務の提供を観念することができる』『国においても、右のような中途返還の場合については、損失補償金の返還請求権が発生するとの立場に立っていることを示すものである。』高裁(受領年度一括説)→『土地所有者としては、明渡しの期限までに当該土地を明け渡しさえすれば、その後は他の一般国民と同様に国の使用権の行使を受忍する義務を負うのみであって、そこには継続的な役務の提供行為を観念することはできず』『「権利の確定」を判断するに当たっては、将来国から使用期間満了前に使用土地が返還された場合に、被控訴人らが本件損失補償金のうち未使用期間に相当するものを国に返還する義務が発生するか否かといった事情は考慮する必要がないのである。』
(1)本件判決は、「賃料増額請求に係る増額賃料債権が賃借人に争われた場合」には、同債権に係る収入の年度帰属は、原則的にどのように決まるといっているか。
「原則として、右債権の存在を認める判決が確定した時にその権利が確定する」
(2)本件判決は、本件の債権について原則とは異なる扱いをすべきだとする根拠として、どのような事情を挙げているか。
「右事件の上告審係属中仮執行宣言に基づく給付として本件各金員を受領し、右各金員は別件第二審判決が認めた各債権の弁済に充当された」
(3)本件判決は、権利確定主義が適用される場合と、その例外に当たるべき場合とを区別する基準をどのように示しているか。
「すでに金員を収受し、所得の実現があったとみることができる状態が生じたときには、その時期の属する年分の収入金額として所得を計算すべきものである」
3.関連する問題
(1)①保証金
建物賃貸保証金の返還を要しない分は、受領した年の不動産所得となる。
- 大阪高判昭和51年10月29日月報22-12-2880
- 東京地判昭和52年3月24日月報23-4-795
- 名古屋地判昭和55年6月60日月報26-9-1635
②私立幼稚園の入学金
直所3-37 昭和43年12月27日局直税部長 殿国税庁所得税課長私立幼稚園の所得税法上の税務処理について標題のことについて、日本私立幼稚園連合会理事長から別紙2 のとおり照会があり、これに対して別紙1 のとおり回答したから、了知されたい。
--------------------------------------------------------------------------------<別紙1>(抜粋)
私立幼稚園の所得税法上の課税処理について (昭和43.12.5 付照会に対する回答)
昭和43年12月5日付で照会のあった私立幼稚園が受ける入学金等の収入(所得)として計上する時期等については、貴見のとおり処理してさしつかえありません。
--------------------------------------------------------------------------------<別紙2>(抜粋)
1. 入学金等を収入(所得)として計上する時期について私立幼稚園は、通常園児を学校会計年度の前年の12月末までに募集し、入学予定者から入学金等の納入を求めている例が多いのが実情でありますが、所得税法は所得の計算が暦年計算になっているため、これらの金額が園児の入学前年の所得として加算され、費用・収益の対応計算上不合理となっております。
そこで、これらの入学金等を実際に園児の入学した年の収入(所得)とするため、前年に納入された入学金等は、園児の入学時までは前受金または預り金として処理することが幼稚園の実情に合致するものと考えられます。
第3節 費用収益対応の原則
233.01費用収益対応の原則
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
1.費用収益対応の原則
(1)①費用収益対応の原則
企業会計においては、期間損益を正確に把握するため、収益とそれを生み出すのに要した費用とは、同一の会計年度に計上しなければならないと考えられている。
②「費用」と「収益」はどちらの年度帰属が先に決まるのか。
収益の年度帰属が先に確定する
③②で先に決まる要素は、どのような考え方で年度帰属が決まるのか。
権利確定主義及び(補完的に)管理支配基準
(2)所得税法37条1項
所得税法37条(必要経費)
1 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
- 直接的対応
- 売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用
- 間接的対応
- 販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用
2.費用収益対応の原則の応用問題
(1)購入後1年間は無料で故障を修理することを保証して平成22年に製品を販売し、収益を得た後、平成23年に無料で修理に応じたために費用が発生した。
修理に応じたため生じた費用を、販売による収益から控除する。そのためには平成22年に将来の費用をあらかじめ計上しておく必要がある
- 引当金
- 将来の費用または損失の発生に備えて、その合理的な見積り額のうち当該年度の負担に属する金額を費用または損失として繰り入れて、貸借対照表の負債の部の引当金勘定に繰り入れる金額
(2)令和4年に巨額の開発費を投じてコンピューターソフトウェアを開発し、令和5年以降にそのソフトウェアを使って多額の収益を得た。
開発のために生じた費用を、ソフトウェアから生じた収益から控除する。そのためには、収益が生じた平成23年以降に償却する必要がある。
- 繰延資産
- 創業費・開業費のように、個人または法人が支出する費用のうち、支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶもの。繰延資産は、その実質は費用の前払いであるから、費用収益対応の原則からすれば、支出の年度にその全額を費用に計上するのではなく、その効用が持続する期間にわたって償却すべきものである。
3.別の側面
費用収益対応の原則が必要経費の範囲を定める基準として用いられる例
- 佐賀地判S39.12.17
- 不動産所得の計算において、不動産取得のための借入金の支払利子は、いまだ当該不動産を賃貸せず賃貸による収入がない以上、費用収益対応の原則により、必要経費に当らない。
- 東京地判H3.7.10
- 不動産賃貸業を営む者の所有地で当該年において現に貸付の用に供されていなかった土地に係る固定資産税等が、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用としてその年分の不動産所得の金額の計算上必要経費と認められるためには、同人が当該土地を貸付の用に供する意図を持っているだけでは足りず、当該土地が、その形状・種類・性質その他の状況に照らして、近い将来において確実に貸付けの用に供されるものと判定できるような状態にあることを必要とする。
第4節 必要経費に関する別段の定め
234.01事業上の損失
引用条文の現行全文4条2026年8月16日時点
所得税法施行令第141条(必要経費に算入される損失の生ずる事由)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第五十一条第二項(資産損失の必要経費算入)に規定する政令で定める事由は、次に掲げる事由で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の遂行上生じたものとする。
一 販売した商品の返戻又は値引き(これらに類する行為を含む。)により収入金額が減少することとなつたこと。
二 保証債務の履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたこと。
三 不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われ、又はその事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。
所得税法第152条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は第六十四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより、国税通則法第二十三条第一項各号(更正の請求)の事由が生じたときは、当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該申告書又は決定に係る第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第五号、第七号若しくは第八号(確定損失申告)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)について、同法第二十三条第一項の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、更正請求書には、同条第三項に規定する事項のほか、当該事実が生じた日を記載しなければならない。
所得税法第64条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
2 保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
3 前項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の譲渡をした資産の種類その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
所得税法施行令第274条(更正の請求の特例の対象となる事実)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第百五十二条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)に規定する政令で定める事実は、次に掲げる事実とする。
一 確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者の当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額(事業所得の金額並びに事業から生じた不動産所得の金額及び山林所得の金額を除く。次号において同じ。)の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと。
二 前号に掲げる者の当該年分の各種所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。
事業所得貸倒分不当利得返還請求事件 最高裁昭和53年3月16日判決(訟月24巻4号840頁)
1.事案の検討
(1)本件判決がX らの請求を退けた理由
旧法のもとにおいて、事業所得として課税の対象とされた金銭債権が後日貸倒等により回収不能となったときは、その回収不能による損失額を、当該回収不能の事実が発生した年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとされ、これによって納税者は実質的に先の課税について救済を受けることができた。
(2)232.01 判決との整合性
整合的「事業上の貸倒れが事業遂行に伴う不可避的損失であることから、その損失額を当該貸倒れ発生年度の事業遂行の計算上必要経費に算入することが許されるが、非事業上の債権の貸倒れの場合については、右のごとき措置は認められず」
(3)もし債権の回収不能が生じた年度にA が事業を廃止していたとしたら、本件はどのように考えるべきか。また、現行法この点についてどのように対応しているか。
なんらかの是正措置をとるべきことが法律上期待され、要請されていると考えるべきであるので、不当利得返還請求を認めるべき。現行所得税法63条及び同140条5項による救済がある。
2.現行法の理解
(2)①所得税法施行令141条2号と所得税法152条の比較
両者とも債権の回収不能という経済事象である点で同様であるが、所得税法施行令141条2号の場合は必要経費算入による現年度修正である点、所得税法64条2項の場合は更正の請求による過年度修正という点で異なる。
②所得税法施行令141条3号と、所得税法152条・所得税法施行令274条の比較
両者とも所得計算基礎事実の無効または取消の場合である点で同様であるが、所得税法施行令141条3号の場合は必要経費算入による現年度修正である点、所得税法152条・所得税法施行令274条の場合は更正の請求による過年度修正という点で異なる。
(3)(2)のような違いは、それぞれの所得のどのような性質の違いに着目して設けられているか。
事業所得等の場合は、その継続性から修正必要事実発生年度にも対応できる所得が発生している蓋然性が高いが、その他の場合は蓋然性が低い。
3.所得税法上の貸倒損失
(2)飲食店経営者が元従業員の借入れについてした連帯保証債務を履行したことによる求償債権が回収不能となっても、保証契約が事業の遂行上必要なものでなかったときは、その求償債権の貸倒損失は必要経費ではないとした事例。(東京高判昭和57年8月10日)。
234.02所得税法56条の適用範囲
引用条文の現行全文3条2026年8月16日時点
所得税法第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
所得税法第57条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。
一 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イその居住者の配偶者である事業専従者八十六万円
ロイに掲げる者以外の事業専従者五十万円
二 その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額
4 前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。
5 第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。
6 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。
7 第一項又は第三項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
8 青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目、第二項の書類に記載した事項を変更する場合の手続その他第一項又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法施行令第164条(青色事業専従者給与の判定基準等)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する政令で定める状況は、次に掲げる状況とする。
一 法第五十七条第一項に規定する青色事業専従者の労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度
二 その事業に従事する他の使用人が支払を受ける給与の状況及びその事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払を受ける給与の状況
三 その事業の種類及び規模並びにその収益の状況
2 法第五十七条第二項に規定する書類を提出した居住者は、当該書類に記載した事項を変更する場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
弁護士夫婦事件 最高裁平成16年11月2日判決(訟月51巻10号2615頁) 百選32
1.事案の検討
- 要件
- 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が、その居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により、当該事業から対価の支払を受けること。
- 効果
- ①その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。②その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。③その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
2.所得税法56条、57条の適用関係
①所得税法56条が適用される場合:A の所得776 万円が課税標準となる。
- ②所得税法56条がない場合
- A の所得440 万円、B の所得96 万円、C の所得240 万円がそれぞれ課税標準となる。
よって、生計を共にする親族が存在して所得を分配した方が、超過累進課税制度及び給与所得控除制度のもとでは有利となる点が不合理である。
③所得税法56条、57条1項が適用される場合:以下の条文を読んで検討
- 所得税法57条1項
- 納税者が青色申告者の場合に一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例
(1)青色事業専従者に支払われた給与であること。
青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいう。
イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1 を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
(2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署長に提出していること。
提出期限は、青色事業専従者給与を支払う年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2 か月以内)まで。この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっている。
(3) 届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
(4) 青色事業専従者給与は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。過大とされる部分は必要経費とは認められない。
- 所得税法57条3項
- 納税者が白色申告者の場合に事業に専ら従事する家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とする事業専従者控除の特例
- 事業専従者控除額は、次の二つの金額のどちらか低い金額。
イ 事業専従者が事業主の配偶者であれば86 万円、配偶者でなければ専従者一人につき50 万円ロ この控除をする前の事業の所得金額を、専従者の数に1 を足した数で割った金額
(1) 白色申告者の営む事業に事業専従者がいること。
事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいう。
イ 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。
(2) 確定申告書にこの控除を受ける旨、その金額など必要な事項を記載すること。
<参照> 所得税法施行令164~167(注) 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人又は白色申告者の事業専従者である人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。
〈補遺〉ケースブック租税法旧版(第5版)に搭載の設問
第5版 231.02必要経費の意義
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第38条(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。
2 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。
一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額
二 前号に掲げる期間以外の期間第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額
所得税法第60条(贈与等により取得した資産の取得費等)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与(公益信託の受託者に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。次条第六項第二号及び第六十条の三第六項第二号(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)において同じ。)を除く。)、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(公益信託の受託者に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。次条第六項第三号及び第六十条の三第六項第三号において同じ。)及び包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡
2 前項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる資産を譲渡したときにおける当該資産の取得費については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。
一 配偶者居住権の目的となつている建物当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該建物を譲渡した時において前項の規定により当該建物の取得費の額として計算される金額から当該建物を譲渡した時において当該配偶者居住権が消滅したとしたならば次項の規定により配偶者居住権の取得費とされる金額を控除する。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下この号及び次項第二号において同じ。)当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該土地を譲渡した時において前項の規定により当該土地の取得費の額として計算される金額から当該土地を譲渡した時において当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利が消滅したとしたならば次項の規定により当該権利の取得費とされる金額を控除する。
3 第一項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる権利が消滅したときにおける譲渡所得の金額の計算については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。この場合において、第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定は、適用しない。
一 配偶者居住権当該相続又は遺贈により当該配偶者居住権を取得した時において、その時に当該配偶者居住権の目的となつている建物を譲渡したとしたならば当該建物の取得費の額として計算される金額のうちその時における配偶者居住権の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該配偶者居住権を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該配偶者居住権の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利当該相続又は遺贈により当該権利を取得した時において、その時に当該土地を譲渡したとしたならば当該土地の取得費の額として計算される金額のうちその時における当該権利の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該権利を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該権利の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
4 居住者が前条第一項第一号に掲げる贈与、相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
賃貸用土地贈与事件
2.事案の検討
(1)本件土地の贈与は、事業用不動産の譲渡としての要素、すなわち事業譲渡としての要素と、相続に類似した要素とを併せ持つものである。
そして、必要経費算入を支持する要素としては、本件土地の贈与後、そのまま賃貸業のように供し、不動産業を営んでいたこと、があげられる。他方で、否定する要素としてはA とX が親子であり、いづれは本件土地を相続する関係にあったこと、があげられる。
(2)本件判決は、贈与は無償行為であり、贈与によって資産を取得する行為そのものは所得を得るための収益活動と見ることはできないというべきであり、X がいかなる目的を持ち、贈与後の土地の利用がいかなるものであっても、贈与の性格そのものに変化はなく収益活動には当たらない。として、必要経費算入を否定した。
(3)贈与により取得した業務用不動産の登記に必要な登録免許税は、所得税法上、「資産の取得に要した金額」
(所得税法38条1項)として、譲渡所得の収入金額から控除されることになる。→不動産所得の必要経費にはあたらない。
つまり、贈与の場合には当該譲渡資産は引き続き受贈者が資産を所有していたものとみなされるが(所得税法60条1項)、贈与時の登録免許税も資産を取得するための付随費用にあたるとして、清算時に収入金額から控除されるとした。 5.登録免許税の必要経費性
(1)所得税法での登録免許税の扱い
非業務用不動産の登録免許税は所得税法38条1項の取得費として扱われている(所得税基本通達38-9)。
業務用不動産の登録免許税は所得税法37条1項の必要経費として扱われている(所得税基本通達37-5)。
業務用不動産であれば登録免許税は不動産所得等を得るため直接必要な費用といえるので、業務用不動産かどうかによって異なるべきといえる。
38-9 固定資産(業務の用に供されるものを除く。以下この項において同じ。)に係る登録免許税(登録に要する費用を含む。)、不動産取得税等固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課は、当該固定資産の取得費に算入する。(昭51 直所3-1、直法6-1、直資3-1、平17 課資3-7、課個2-25、課審6-13 改正)
(注) 1 法第60条第1項第1号に規定する贈与、相続又は遺贈による取得に伴い納付することとなる登録免許税等については、60-2 参照2 業務の用に供される資産に係る登録免許税等については、37-5 及び49-3 参照37-5 業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所得税法、自動車取得税は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭51 直所3-1、直法6-1、直資3-1、平5 課所4-1、平17 課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113 改正)
(注)
1 上記の業務の用に供される資産には、相続、遺贈又は贈与により取得した資産を含むものとする。
2 その資産の取得価額に算入される登録免許税については、49-3 参照
(2)課税実務は222.06 の最高裁判決を受けて行った基本通達の改正で、現在の所得税基本通達37-5 注1を追加
①改正前の所得税基本通達37-5の趣旨
改正前は相続等による取得は所得を得るための収益活動とは見ることができず、所得税法37条1項の費用には当たらないとしていたと考える。当時は譲渡所得の取得費としても扱われないので結果登録免許税はないものとされた。
②通達改正の理解
相続等により資産を取得した場合であっても、業務の用に供する目的で取得し、業務に供されていれば所得税法37条1項の必要経費にあたるとしたものである。
6.本件におけるタックス・プランニング
(1)本件においてA の死去を待たずにA から本件土地を移転して不動産賃貸業を営む方法
①XがAから本件土地を買い取ってXが不動産賃貸業を営む方法
Aは譲渡所得として課税がされ、土地の売買代金はAにとっては収入金額となる。Xは不動産の貸付による所得は不動産所得として課税され、土地の売買代金は減価償却費として費用化される。
②Aが本件土地を現物出資して会社を設立し、その会社が不動産賃貸業を営む方法
Aは譲渡所得として課税がされ、土地の時価が収入金額となる。会社は不動産の貸付による所得は法人税が課され、現物出資は資本取引に該当するので益金に算入されない(譲渡には現物出資を含む。)。
(2)本件で12億もの贈与税が課される贈与を行った当事者の意図
(1)の①②方法ではAに対する課税がされるが、贈与であればXに課税される。Aには税負担をかけずに本件土地をXに移転させようとして贈与を選んだと思われる。本判決では高齢であるAの所有する不動産が多く、かつ不動産の市価が上昇傾向にあったため、Aの死亡時の相続税が高額になると予想されていたという事情があり、相続税対策として行われた。
第5版 234.01売上原価
鉄骨材取得価額事件
1.売上原価計算の考え方
(1)このような方法で売上原価を把握しようとすることは合理的か。
合理的ではない。なぜなら、このような方法では、その年にその作品が売れたかどうかに関係なく、その年に仕入れたものは全て、その年の売上原価として計算されることになるが、それでは収益に対応する正確な売上原価(費用収益対応の原則)
を把握できていないことになるからである。
ある作品についての仕入価格を、その作品が売れた年に売上原価として計上するように修正すれば、合理的になる。ただし、これは個性の強いものでないと個別に対応させるのは難しい。
(2)このような方法で売上原価を把握することには、どんな限界があるか。
年によっては、仕入金額のほうが売上金額よりも多くなったりする場合があり、その年度の所得の正確な把握には限界がある。
2.売上原価の集合的把握
- 先入先出法
- 300×20+300×18=11,400 円
- 総平均法
- (300×20+400×18+200×20+100×25)/(300+400+200+100)×(300+400+200+100-400)
=(6000+7200+4000+2500)/1000×600=19700/1000×600=11,820 円
第5版 234.02減価償却費
ビニール畳表実用新案事件
2.事案の検討
(1)本件判決は減価償却制度をどのように説明しているか
「取得した財産(減価償却資産)に基づいて継続的収入が得られることに鑑み、一時点で支出した費用をその時点の属する年度の必要経費としてその年度の収入金額から差し引くことなく、一定程度減価償却資産によって収入を得べき将来の年度に繰延べて、その段階で必要経費として収入金額から差し引くこととするもの」と説明している。
(2)本件判決は(1)の説明から本件の結論をどのようにして導いているか。
(1)のような減価償却制度からすると取得価額として減価償却していくべきものは必要経費性を有するものに限られ、自己の労務を必要経費として求めていない現行法のもとでは自己の労務見積額を取得価額に算入することができないとし、Xの肉体的精神的労費の取得価額算入を認めなかった。
3.特別償却の制度の経済的意義
減価償却を耐用年数よりも短期間でほとんど完了することができ、更新を早めに行うことができ、特定の種類の機械・装置への投資を促進することになる。また、初年度の償却額が激増しその分所得額と税額が減少するので、それを自己資金として事業の拡大発展のために利用することができる。
第4章 所得税額の計算
第1節 損益通算と純損失
241.01損益通算
引用条文の現行全文5条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
租税特別措置法第41条の4(不動産所得に係る損益通算の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
個人の平成四年分以後の各年分の不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合において、当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した金額のうちに不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地又は土地の上に存する権利(次項において「土地等」という。)を取得するために要した負債の利子の額があるときは、当該損失の金額のうち当該負債の利子の額に相当する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、所得税法第六十九条第一項の規定その他の所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかつたものとみなす。
2 建物とともにその敷地の用に供されている土地等を取得した場合における土地等を取得するために要した負債の額の計算その他前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法第24条(配当所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける剰余金の配当(株式又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含む。次条において同じ。)に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの並びに分割型分割(同法第二条第十二号の九に規定する分割型分割をいい、法人課税信託に係る信託の分割を含む。以下この項及び次条において同じ。)によるもの及び株式分配(同法第二条第十二号の十五の二に規定する株式分配をいう。以下この項及び次条において同じ。)を除く。)、利益の配当(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含むものとし、分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配(出資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの(次条第一項第四号において「出資等減少分配」という。)を除く。)、基金利息(保険業法第五十五条第一項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配(法人税法第二条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係るものを除く。以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。
2 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となつた有価証券その他政令で定めるものを取得するために要した負債の利子を除く。以下この項において同じ。)でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。
施行 1947-05-03
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
施行 1947-05-03
財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
岩手リゾートホテル事件 東京地裁平成10年2月24日判決(判タ1004号142頁)
2.総合累進所得税における損益通算
(1)所得税法69条1項
①損益通算とは、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額または譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、それをその他の各種所得の金額から控除することを認めるものである。
②損益通算の対象となる損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の各金額の計算上生じた損失に限られる。
⇒利子、給与、退職所得=そもそも損失が発生しえない配当、一時、雑所得=損失が発生しうるが、他の所得分類と通算不可
(2)損益通算は所得課税の制度の中でどのように位置づけられるか。
所得税法は包括的所得概念のもとで総合所得税の建前を採用し、人的担税力に応じた公平な課税を実現しようとするものであるが、そのなかで損益通算の制度は、総合所得すなわち人的担税力に応じて課される公平な所得税を支持するものである。逆に、損益通算の制度がない場合、ある所得分類において大きな損失を生じたにもかかわらず、他の所得分類で所得を得たとして課税されることになり、総合的担税力が低いにもかかわらず、過大な税負担を強いられる事態が生じることになってしまう。
(3)損益通算の手順所得税法施行令198条(損益通算の順序)
法第六十九条第一項 (損益通算)の政令で定める順序による控除は、次に定めるところによる。
一 不動産所得の金額又は事業所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず他の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額及び雑所得の金額(以下この条において「経常所得の金額」という。)から控除する。
二 譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず一時所得の金額から控除する。
三 第一号の場合において、同号の規定による控除をしてもなお控除しきれない損失の金額があるときは、これを譲渡所得の金額及び一時所得の金額(前号の規定による控除が行なわれる場合には、同号の規定による控除後の金額)から順次控除する。この場合において、当該譲渡所得の金額のうちに、法第三十三条第三項第一号 (譲渡所得の金額)に掲げる所得に係る部分と同項第二号 に掲げる所得に係る部分とがあるときは、同項第一号 に掲げる所得に係る部分の譲渡所得の金額からまず控除する。
四 第二号の場合において、同号の規定による控除をしてもなお控除しきれない損失の金額があるときは、これを経常所得の金額(第一号の規定による控除が行なわれる場合には、同号の規定による控除後の金額)から控除する。
五 第一号又は第二号の場合において、前各号の規定による控除をしてもなお控除しきれない損失の金額があるときは、これをまず山林所得の金額から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、退職所得の金額から控除する。
六 山林所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず経常所得の金額(第一号又は第四号の規定による控除が行なわれる場合には、これらの規定による控除後の金額)から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、譲渡所得の金額及び一時所得の金額(第二号又は第三号の規定による控除が行なわれる場合には、これらの規定による控除後の金額)から順次控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、退職所得の金額(前号の規定による控除が行なわれる場合には、同号の規定による控除後の金額)から控除する。この場合においては、第三号後段の規定を準用する。
(4)損益通算の制限
生活に通常必要でない資産にかかる所得の計算上生じた損失は、損益通算の対象から除外されている(諸税69条2項)。また、垂直的公平の維持および不要不急の不動産投機の抑制のための措置として、不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する金額も、その対象から除外されている(租税特別措置法41条の4)。
3.通算される損失の範囲
(2)配当所得及び雑所得の損失が控除されないことの趣旨
①富山地判昭和48年2月9日自動車販売業者が、自動車販売会社の特約店である会社の株式を取得するために要した負債利子が所得税法24条2項に規定する負債利子に当り、事業所得計算上の必要経費ではないとされた事例。
「所得税法が配当所得につき損益通算を否定した趣旨について考えるに、もともと株式に対する投資には、経常的に生ずる配当収入を得る目的と株式自体の値上りを期待してなされる二面の性格を有するものであるから、観念的には株式取得のための負債利子のうちには配当所得に対応する部分と株式譲渡による所得に対応する部分とが考えられるので、右負債利子の全額を配当所得から控除するのは正当でないことおよび配当のない株式を負債によつて取得する者には大なる担税力があるとみなされることにあると解される。」
②福岡高判昭和54年7月17日雑所得について生じた損失が損益通算の対象とならないことが憲法22条、29条に反すると主張された事例(消極)
「雑所得においては、多くは余剰資産の運用によって得られるところのものであり、その担税力の差に着目すれば、雑所得に他の所得との損益通算の規定がないことにはそれ相当の合理性を認めることができるから、それをもって憲法第二九条、第二二条に違反するとの見解は採用できない。」
241.02純損失の繰越控除・繰戻還付
引用条文の現行全文6条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 居住者国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
四 非永住者居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。
五 非居住者居住者以外の個人をいう。
六 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
七 外国法人内国法人以外の法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
八の二 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
八の三 法人課税信託法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号の二(定義)に規定する法人課税信託をいう。
八の四 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける非居住者又は外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ非居住者又は外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ非居住者又は外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ非居住者又は外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
九 公社債公債及び社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)をいう。
十 預貯金預金及び貯金(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)をいう。
十一 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二項(定義)に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。第十二号の二及び第十三号において同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
十二 貸付信託貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項(定義)に規定する貸付信託をいう。
十二の二 投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託及び外国投資信託をいう。
十三 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
十四 オープン型の証券投資信託証券投資信託のうち、元本の追加信託をすることができるものをいう。
十五 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公社債に対する投資として運用することを目的とするもので、株式(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。第二十四条(配当所得)、第二十五条(配当等とみなす金額)、第五十七条の四第三項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百七十六条第一項及び第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)、第二百二十四条の三第二項第一号(株式等の譲渡の対価の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項第二号(支払調書及び支払通知書)において同じ。)又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
十五の二 公社債等運用投資信託証券投資信託以外の投資信託のうち、信託財産として受け入れた金銭を公社債等(公社債、手形その他の政令で定める資産をいう。)に対して運用するものとして政令で定めるものをいう。
十五の三 公募公社債等運用投資信託その設定に係る受益権の募集が公募(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項(定義)に規定する取得勧誘のうち同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものをいう。)により行われた公社債等運用投資信託(法人税法第二条第二十九号ロ(2)に掲げる投資信託に該当するものに限る。)をいう。
十五の四 特定目的信託資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項(定義)に規定する特定目的信託をいう。
十五の五 特定受益証券発行信託法人税法第二条第二十九号ハに規定する特定受益証券発行信託をいう。
十六 棚卸資産事業所得を生ずべき事業に係る商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産(有価証券、第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)に規定する暗号資産及び山林を除く。)で棚卸しをすべきものとして政令で定めるものをいう。
十七 有価証券金融商品取引法第二条第一項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。
十八 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産(山林を除く。)で政令で定めるものをいう。
十九 減価償却資産不動産所得若しくは雑所得の基因となり、又は不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供される建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十 繰延資産不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十一 各種所得第二編第二章第二節第一款(所得の種類及び各種所得の金額)に規定する利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得をいう。
二十二 各種所得の金額第二編第二章第二節第一款に規定する利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、退職所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額をいう。
二十三 変動所得漁獲から生ずる所得、著作権の使用料に係る所得その他の所得で年々の変動の著しいもののうち政令で定めるものをいう。
二十四 臨時所得役務の提供を約することにより一時に取得する契約金に係る所得その他の所得で臨時に発生するもののうち政令で定めるものをいう。
二十五 純損失の金額第六十九条第一項(損益通算)に規定する損失の金額のうち同条の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額をいう。
二十六 雑損失の金額第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十七 災害震災、風水害、火災その他政令で定める災害をいう。
二十八 障害者精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。
二十九 特別障害者障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。
三十 寡婦次に掲げる者でひとり親に該当しないものをいう。
イ夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(1)扶養親族を有すること。
(2)第七十条(純損失の繰越控除)及び第七十一条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第二十二条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が五百万円以下であること。
(3)その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
ロ夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、イ(2)及び(3)に掲げる要件を満たすもの
三十一 ひとり親現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。
イその者と生計を一にする子で政令で定めるものを有すること。
ロ合計所得金額が五百万円以下であること。
ハその者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
三十二 勤労学生次に掲げる者で、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下この号において「給与所得等」という。)を有するもののうち、合計所得金額が八十五万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が十万円以下であるものをいう。
イ学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校の学生、生徒又は児童
ロ国、地方公共団体又は私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条(定義)に規定する学校法人、同法第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人若しくはこれらに準ずるものとして政令で定める者の設置した学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項(各種学校)に規定する各種学校の学生又は生徒で政令で定める課程を履修するもの
ハ職業訓練法人の行う職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第三項(職業訓練の認定)に規定する認定職業訓練を受ける者で政令で定める課程を履修するもの
三十三 同一生計配偶者居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が五十八万円以下である者をいう。
三十三の二 控除対象配偶者同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
三十三の三 老人控除対象配偶者控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十三の四 源泉控除対象配偶者居住者(合計所得金額が九百万円以下であるものに限る。)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が九十五万円以下である者をいう。
三十四 扶養親族居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の四(定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号(市町村の採るべき措置)の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十四号の五において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が五十八万円以下である者をいう。
三十四の二 控除対象扶養親族扶養親族のうち、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。
イ居住者年齢十六歳以上の者
ロ非居住者年齢十六歳以上三十歳未満の者及び年齢七十歳以上の者並びに年齢三十歳以上七十歳未満の者であつて次に掲げる者のいずれかに該当するもの
(1)留学により国内に住所及び居所を有しなくなつた者
(2)障害者
(3)その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を三十八万円以上受けている者
三十四の三 特定扶養親族控除対象扶養親族のうち、年齢十九歳以上二十三歳未満の者をいう。
三十四の四 老人扶養親族控除対象扶養親族のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十四の五 源泉控除対象親族控除対象扶養親族並びに居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)及び児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定により同法第六条の四に規定する里親に委託された児童でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち年齢十九歳以上二十三歳未満の者で合計所得金額が百万円以下であるもの(控除対象扶養親族に該当しないものに限る。)をいう。
三十五 特別農業所得者その年において農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕に係る事業その他これに類するものとして政令で定める事業から生ずる所得をいう。以下この号において同じ。)の金額が総所得金額の十分の七に相当する金額を超え、かつ、その年九月一日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の十分の七を超える者をいう。
三十六 予定納税額第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)(これらの規定を第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税の額をいう。
三十七 確定申告書第二編第五章第二節第一款及び第二款(確定申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十八 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十九 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
四十 青色申告書第百四十三条(青色申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する確定申告書及び確定申告書に係る修正申告書をいう。
四十の二 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
四十一 確定申告期限第百二十条第一項(確定所得申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいい、年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいう。
四十二 出国居住者については、国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいい、非居住者については、同項の規定による納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しないこととなること(国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有するものについては、恒久的施設を有しないこととなることとし、国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有しないものについては、国内において行う第百六十一条第一項第六号(国内源泉所得)に規定する事業を廃止することとする。)をいう。
四十三 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十四 決定第十九条(納税地指定の処分の取消しがあつた場合の申告等の効力)、第四十四条の二(免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入)、第五十二条(貸倒引当金)、第五十七条の四(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百五十一条の四(相続により取得した有価証券等の取得費の額に変更があつた場合等の修正申告の特例)、第百五十九条(更正等による源泉徴収税額等の還付)、第百六十条(更正等による予納税額の還付)及び第二百二十八条の二(新株予約権の行使に関する調書)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十五 源泉徴収第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収し及び納付することをいう。
四十六 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十七 充当第百九十条(年末調整)及び第百九十一条(過納額の還付)の場合を除き、国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十八 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
2 この法律において、「相続人」には、包括受遺者を含むものとし、「被相続人」には、包括遺贈者を含むものとする。
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
所得税法第70条(純損失の繰越控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額(前項の規定の適用を受けるもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)のうち、当該各年において生じた次に掲げる損失の金額に係るもので政令で定めるものがあるときは、当該政令で定める純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
一 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額
二 被災事業用資産の損失の金額
3 前項第二号に掲げる被災事業用資産の損失の金額とは、棚卸資産又は第五十一条第一項若しくは第三項(資産損失の必要経費算入)に規定する資産の災害による損失の金額(その災害に関連するやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。)で前項第一号に掲げる損失の金額に該当しないものをいう。
4 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
5 第一項及び第二項の規定による控除は、純損失の繰越控除という。
所得税法第140条(純損失の繰戻しによる還付の請求)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
青色申告書を提出する居住者は、その年において生じた純損失の金額がある場合には、当該申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。
一 その年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章第一節(税率)の規定を適用して計算した所得税の額
二 その年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額から当該純損失の金額の全部又は一部を控除した金額につき第三章第一節の規定に準じて計算した所得税の額
2 前項の場合において、同項に規定する控除した金額に相当する所得税の額がその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税の額(附帯税の額を除く。)をこえるときは、同項の還付の請求をすることができる金額は、当該所得税の額に相当する金額を限度とする。
3 第一項第二号に掲げる金額を計算する場合において、同号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額のうちいずれから先に純損失の金額を控除するか、及び前年において第九十条(変動所得及び臨時所得の平均課税)の規定の適用があつた場合において同条第三項に規定する平均課税対象金額と課税総所得金額から当該平均課税対象金額を控除した金額とのうちいずれから先に純損失の金額を控除するかについては、政令で定める。
4 第一項の規定は、同項の居住者がその年の前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合であつて、その年分の青色申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。
5 居住者につき事業の全部の譲渡又は廃止その他これらに準ずる事実で政令で定めるものが生じた場合において、当該事実が生じた日の属する年の前年において生じた純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)があるときは、その者は、同日の属する年の前年分及び前前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合に限り、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、納税地の所轄税務署長に対し、当該純損失の金額につき第一項から第三項までの規定に準じて政令で定めるところにより計算した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。
所得税法施行規則第63条(帳簿書類の整理保存)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年財務省令第十七号
第六十条第一項(決算)に規定する青色申告者は、次に掲げる帳簿及び書類を整理し、起算日から七年間(第三号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあつては、五年間)、これをその者の住所地若しくは居所地又はその営む事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。
一 第五十八条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告者の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類
三 取引に関して相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
2 前項の青色申告者で、その年三月十五日における前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額の合計額(令第百九十五条第一号(小規模事業者の要件)に規定する合計額をいい、法第百二十五条第一項から第三項まで(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定の適用がある場合には、これらの規定に規定する居住者に係る当該合計額とする。)が同号に規定する金額以下であるものは、前項の規定にかかわらず、その年において作成し、又は受領した同項第三号に掲げる書類については、起算日から五年間を超えて保存することを要しない。
3 第一項に規定する現金預金取引等関係書類とは、同項第三号に掲げる書類のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたもの及び帳簿に第五十八条第一項に規定する取引に関する事項を個別に記載することに代えて日々の合計金額の一括記載をした場合における当該一括記載に係る取引に関する事項を確認するための書類をいう。
4 第一項及び第二項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する年の翌年三月十五日の翌日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する年の翌年三月十五日の翌日をいう。
5 第一項各号に掲げる帳簿及び書類のうち次の表の各号の上欄に掲げるものについての当該各号の中欄に掲げる期間における同項の規定による保存については、当該各号の下欄に掲げる方法によることができる。
一 第一項第三号に掲げる書類のうち国税庁長官が定めるもの前項に規定する起算日以後三年を経過した日から当該起算日以後五年を経過する日までの期間財務大臣の定める方法
二 第一項各号に掲げる帳簿及び書類前項に規定する起算日から五年を経過した日以後の期間財務大臣の定める方法
6 国税庁長官は、前項の表の第一号の規定により書類を定めたときは、これを告示する。
7 財務大臣は、第五項の表の各号の規定により方法を定めたときは、これを告示する。
所得税法施行令第204条(雑損失の繰越控除)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定による雑損失の金額の控除については、次に定めるところによる。
一 控除する雑損失の金額が前年以前三年内(法第七十一条の二第一項(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)の規定の適用がある場合には、前年以前五年内。次号において同じ。)の二以上の年に生じたものである場合には、これらの年のうち最も古い年に生じた雑損失の金額から順次控除する。
二 前年以前三年内の一の年において生じた雑損失の金額で前年以前において控除されなかつた部分に相当する金額があるときは、これをその年分の総所得金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。
2 その年の各種所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合又は法第七十条(純損失の繰越控除)の規定による控除が行われる場合には、まず、法第六十九条(損益通算)及び第七十条の規定による控除を行つた後、法第七十一条第一項の規定による控除を行う。この場合において、控除する純損失の金額及び雑損失の金額が前年以前三年内(法第七十条の二第一項から第三項まで(特定非常災害に係る純損失の繰越控除の特例)又は第七十一条の二第一項の規定の適用がある場合には、前年以前五年内)の二以上の年に生じたものであるときは、これらの年のうち最も古い年に生じた純損失の金額又は雑損失の金額から順次控除する。
3 前二項の規定の適用がある場合において、その者の有する他の雑損失金額(法第七十一条の二第一項に規定する特定雑損失金額(以下この項及び第二百六条第五項(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等)において「特定雑損失金額」という。)以外の雑損失の金額をいう。以下この項及び第二百六条第五項において同じ。)又は他の純損失金額の生じた年がその者の有する特例対象純損失金額若しくは特定雑損失金額の生じた年又はその翌年であるときは、当該他の雑損失金額又は当該他の純損失金額は当該特例対象純損失金額又は当該特定雑損失金額よりも古い年に生じたものとして前二項の規定による控除を行う。
日野炭鉱飛躍上告事件 最高裁昭和40年4月9日判決(民集19巻3号582頁)
1.純損失の繰越控除
(1)純損失とは
不動産・事業・山林・譲渡所得の金額の計算上生じた損失で、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額(所得税法2条1項、同69条1項)
(2)純損失の繰越控除の手続的要件
(所得税法70条1項) ⇒翌年以降3年間繰越控除可
- 純損失が生じた年において青色申告書を期限内に提出(所得税法70条4項)
- その後の年分について連続して確定申告書(青色白色問わず)を提出(同)
純損失の繰戻還付を受けていない部分のみ繰越控除可。
(3)所得税法70条2項2号、3項
被災事業用資産の損失 ⇒翌年以降3年間繰越控除可
①手続的要件
- 損失が生じた年において損失申告書(白色申告書*)を期限内に提出(70Ⅳ)
- その後の年分について連続して確定申告書(青色白色問わず)を提出(70Ⅳ)
*被災事業用資産の損失については青色申告者だけでなく白色申告者も繰越控除可。
→白色申告者は変動所得の損失と被災事業用資産の損失による純損失の繰越控除可。
②目的青色申告については純損失全てが対象になるという特典20を与える一方、事業用資産における不可抗力による損失については納税者の担税力を著しく減少させるものとして、白色申告者についても繰越控除を認めた。
*法72条2項かっこ書きの規定から、同項は白色申告者のみを対象にしている。よって、青色申告者について被災事業用資産の損失が生じた場合は、法72条1項により繰越控除。
2.純損失の繰戻還付
(1)本件判決は、純損失の繰戻還付の所得税法上の位置づけをどのように説明しているか。
純資産増加説の当然の帰結ではなくて、期間計算主義から来る徴税の不合理と税負担の不公平をなくすための期間計算主義に対する例外的措置
(2)純損失の繰戻還付の手続的要件(所得税法140条1項)
- 純損失が生じた年において青色申告書を期限内に提出
- その前年についても青色申告書を期限内に提出(所得税法140条4項)
- 青色申告書提出と同時に還付請求書を提出⇒当年の純損失の金額の全部又は一部を前年分の所得金額から控除し、前年分の税額を計算し直し、その差額の税額の還付を請求することができる(所得税法140条1項)
*繰越控除と異なり、損失が生じた年分及び前年分ともに青色申告者でなければならない。
3.期間計算主義を修正する意義と限界
(1)純損失の繰越控除、繰戻還付制度がもつ所得計算上の意味
=期間計算主義の修正*控除等の順序各種所得の金額計算 ⇒ 損益通算(69) ⇒ 純損失の繰越控除or 純損失の繰戻還付
⇒ 雑損失の繰越控除21(71)(←雑損控除の規定により控除しても控除できなかった損失)
(2)ある年の事業所得の計算上発生した損失
1年(損益通算)+1年(繰戻還付)+3年(繰越控除)=5年間控除可
(3)純損失の繰越し、繰戻しを行っても救済されない場合
損失の額が繰越し及び繰戻しを行っても控除しきれない場合、つまり(2)の例でH20年における損失が5000 だとするとH23年まで繰り越してもなお1000 の損失が残ってしまい、この場合は結果的に救済されないことになる。
青色申告書の帳簿保存義務は原則7年間(所得税法施行規則63条22)とされており、そもそも長期間にわたって控除の申請を行うことが難しいこと、税務事務が煩雑になることから、一定期間にのみ純損失の繰戻し・繰越しに限る必要がある。
純損失の繰越控除・繰戻還付について繰越控除できる損失 繰越控除期間 繰越控除の要件 繰戻還付青色申告者 純損失の金額翌年以降3年損失が生じた年に期限内に申告書その後の年分に連続して確定申告前年分も青色申告白色申告者変動所得の損失・被災事業資産の損失によって生じた純損失不可
第2節 所得控除
242.01配偶者控除・扶養控除
引用条文の現行全文1条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第83条(配偶者控除)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その居住者の第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(以下この項、次条第一項、第八十四条の二第一項(特定親族特別控除)及び第八十六条第一項(基礎控除)において「合計所得金額」という。)が九百万円以下である場合三十八万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、四十八万円)
二 その居住者の合計所得金額が九百万円を超え九百五十万円以下である場合二十六万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、三十二万円)
三 その居住者の合計所得金額が九百五十万円を超え千万円以下である場合十三万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、十六万円)
2 前項の規定による控除は、配偶者控除という。
事実婚「配偶者控除」訴訟 最高裁平成9年9月9日判決(訟月44巻6号1009頁)
1.関連裁判例
242.01判決と最判平成3.10.17 は、どのような点で考え方が共通しているか。
引用条文の現行全文1条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第83条(配偶者控除)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その居住者の第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(以下この項、次条第一項、第八十四条の二第一項(特定親族特別控除)及び第八十六条第一項(基礎控除)において「合計所得金額」という。)が九百万円以下である場合三十八万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、四十八万円)
二 その居住者の合計所得金額が九百万円を超え九百五十万円以下である場合二十六万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、三十二万円)
三 その居住者の合計所得金額が九百五十万円を超え千万円以下である場合十三万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、十六万円)
2 前項の規定による控除は、配偶者控除という。
「親族」や「配偶者」という言葉を借用概念として扱っている点。
2.制度趣旨の検討
(1)配偶者控除、扶養控除を受けるための要件を定めた規定
- 配偶者控除
- 所得税法第二条三十三号 控除対象配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が三十八万円以下である者をいう。
所得税法第八十三条1 居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から三十八万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、四十八万円)を控除する。
控除対象配偶者の要件控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で次の四つの要件のすべてに当てはまる者
(1) 民法の規定による配偶者であること。内縁関係は除かれている。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38 万円以下であること。
(4) 原則として青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
- 扶養控除
- 所得税法第二条三十四号 扶養親族 居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号 (都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の三 (定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号 (市町村の採るべき措置)の規定により同号 に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が三十八万円以下である者をいう。
三十四の二 特定扶養親族 扶養親族のうち、年齢十六歳以上二十三歳未満の者をいう。
三十四の三 老人扶養親族 扶養親族のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
所得税法第八十四条1 居住者が扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その扶養親族一人につき三十八万円(その者が特定扶養親族である場合には六十三万円とし、その者が老人扶養親族である場合には四十八万円とする。)を控除する。
扶養親族の要件扶養親族とは、その年の12月31日の現況で次の四つの要件のすべてに当てはまる者
(1) 配偶者以外の親族(6 親等内の血族及び3 親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38 万円以下であること。
(4) 原則として、青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
(2)配偶者控除及び扶養控除の制度趣旨
家族制度に対する政策的な配慮、最低生活保障もっとも、内縁関係や未認知の実子に適用されないことを考えると、「正常な」関係の家族に特典を与えようという保守的な家族間に基づく制度のようにも考えられる。友人については、そもそもそのような者を扶養する必要も社会通念上考えられず、したとしても控除という特典を与える必要はないと考えられる。
範囲の確定が困難であるので控除の対象は限定的であることに合理性はある。
(3)配偶者特別控除の役割
配偶者控除のみであると、配偶者の年間所得金額が一定額を超えると適用されず、所得額がそれを1 円でも上回ると一気に負担税額が大きくなってしまうので不連続的な制度になってしまうのを防ぐための役割であると考えられる。
3.他の法律の規定との関係
(2)社会保障関係の法律との違い
年金は保険的なもので、払った分の権利を誰かが受ける物であるから加入と給付が対応関係にあるが、控除は国が一方的に税金を一部免除するものであるから、厳密に婚姻関係に限らないと何重にも控除を受ける者が現れかねず、範囲の確定も困難で、不都合であるから。
(4)①日本の居住者A がアメリカの居住者B とアメリカで結婚して日本に帰国した場合、A はB に関して配偶者控除を受けられるか
特に適用を阻む規定は見当たらず、生計を一つにしているのであれば受けられると考えられる。
②一夫多妻婚や同性婚を認める外国法の下で「結婚」した物が日本の居住者となった場合、複数の「妻」や同性の「配偶者」について配偶者控除の適用があると考えるべきか。
日本の民法は異性婚を前提にしていると考えられるので、同姓婚の配偶者については認められないのではないか。少なくとも、認めなくても憲法違反にはならなさそうである。
重婚に関しても、日本の民法や刑法は強くこれを否定しており、公序良俗違反にあたるとすら考えられていそうである。また、そもそも所得税法83条1項は、「控除=控除+38万円×配偶者」という制度ではなく、「if(配偶者がいる)=true
→ 控除=控除+38万円」という、0か1かの条文になっているので一人分しか控除は認められないだろう。
242.02雑損控除等
引用条文の現行全文15条執筆時から改正 32026年8月16日時点
所得税法第33条(譲渡所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
所得税法第72条(雑損控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。)その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額
二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額
三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
3 第一項の規定による控除は、雑損控除という。
所得税法第71条(雑損失の繰越控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた雑損失の金額(この項又は第七十二条第一項(雑損控除)の規定により前年以前において控除されたものを除く。)は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 前項の規定は、同項の居住者が雑損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
3 第一項の規定による控除は、雑損失の繰越控除という。
所得税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 居住者国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
四 非永住者居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。
五 非居住者居住者以外の個人をいう。
六 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
七 外国法人内国法人以外の法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
八の二 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
八の三 法人課税信託法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号の二(定義)に規定する法人課税信託をいう。
八の四 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける非居住者又は外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ非居住者又は外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ非居住者又は外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ非居住者又は外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
九 公社債公債及び社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)をいう。
十 預貯金預金及び貯金(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)をいう。
十一 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二項(定義)に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。第十二号の二及び第十三号において同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
十二 貸付信託貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項(定義)に規定する貸付信託をいう。
十二の二 投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託及び外国投資信託をいう。
十三 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
十四 オープン型の証券投資信託証券投資信託のうち、元本の追加信託をすることができるものをいう。
十五 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公社債に対する投資として運用することを目的とするもので、株式(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。第二十四条(配当所得)、第二十五条(配当等とみなす金額)、第五十七条の四第三項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百七十六条第一項及び第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)、第二百二十四条の三第二項第一号(株式等の譲渡の対価の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項第二号(支払調書及び支払通知書)において同じ。)又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
十五の二 公社債等運用投資信託証券投資信託以外の投資信託のうち、信託財産として受け入れた金銭を公社債等(公社債、手形その他の政令で定める資産をいう。)に対して運用するものとして政令で定めるものをいう。
十五の三 公募公社債等運用投資信託その設定に係る受益権の募集が公募(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項(定義)に規定する取得勧誘のうち同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものをいう。)により行われた公社債等運用投資信託(法人税法第二条第二十九号ロ(2)に掲げる投資信託に該当するものに限る。)をいう。
十五の四 特定目的信託資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項(定義)に規定する特定目的信託をいう。
十五の五 特定受益証券発行信託法人税法第二条第二十九号ハに規定する特定受益証券発行信託をいう。
十六 棚卸資産事業所得を生ずべき事業に係る商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産(有価証券、第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)に規定する暗号資産及び山林を除く。)で棚卸しをすべきものとして政令で定めるものをいう。
十七 有価証券金融商品取引法第二条第一項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。
十八 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産(山林を除く。)で政令で定めるものをいう。
十九 減価償却資産不動産所得若しくは雑所得の基因となり、又は不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供される建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十 繰延資産不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十一 各種所得第二編第二章第二節第一款(所得の種類及び各種所得の金額)に規定する利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得をいう。
二十二 各種所得の金額第二編第二章第二節第一款に規定する利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、退職所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額をいう。
二十三 変動所得漁獲から生ずる所得、著作権の使用料に係る所得その他の所得で年々の変動の著しいもののうち政令で定めるものをいう。
二十四 臨時所得役務の提供を約することにより一時に取得する契約金に係る所得その他の所得で臨時に発生するもののうち政令で定めるものをいう。
二十五 純損失の金額第六十九条第一項(損益通算)に規定する損失の金額のうち同条の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額をいう。
二十六 雑損失の金額第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十七 災害震災、風水害、火災その他政令で定める災害をいう。
二十八 障害者精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。
二十九 特別障害者障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。
三十 寡婦次に掲げる者でひとり親に該当しないものをいう。
イ夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(1)扶養親族を有すること。
(2)第七十条(純損失の繰越控除)及び第七十一条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第二十二条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が五百万円以下であること。
(3)その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
ロ夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、イ(2)及び(3)に掲げる要件を満たすもの
三十一 ひとり親現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。
イその者と生計を一にする子で政令で定めるものを有すること。
ロ合計所得金額が五百万円以下であること。
ハその者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
三十二 勤労学生次に掲げる者で、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下この号において「給与所得等」という。)を有するもののうち、合計所得金額が八十五万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が十万円以下であるものをいう。
イ学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校の学生、生徒又は児童
ロ国、地方公共団体又は私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条(定義)に規定する学校法人、同法第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人若しくはこれらに準ずるものとして政令で定める者の設置した学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項(各種学校)に規定する各種学校の学生又は生徒で政令で定める課程を履修するもの
ハ職業訓練法人の行う職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第三項(職業訓練の認定)に規定する認定職業訓練を受ける者で政令で定める課程を履修するもの
三十三 同一生計配偶者居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が五十八万円以下である者をいう。
三十三の二 控除対象配偶者同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
三十三の三 老人控除対象配偶者控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十三の四 源泉控除対象配偶者居住者(合計所得金額が九百万円以下であるものに限る。)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が九十五万円以下である者をいう。
三十四 扶養親族居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の四(定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号(市町村の採るべき措置)の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十四号の五において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が五十八万円以下である者をいう。
三十四の二 控除対象扶養親族扶養親族のうち、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。
イ居住者年齢十六歳以上の者
ロ非居住者年齢十六歳以上三十歳未満の者及び年齢七十歳以上の者並びに年齢三十歳以上七十歳未満の者であつて次に掲げる者のいずれかに該当するもの
(1)留学により国内に住所及び居所を有しなくなつた者
(2)障害者
(3)その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を三十八万円以上受けている者
三十四の三 特定扶養親族控除対象扶養親族のうち、年齢十九歳以上二十三歳未満の者をいう。
三十四の四 老人扶養親族控除対象扶養親族のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十四の五 源泉控除対象親族控除対象扶養親族並びに居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)及び児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定により同法第六条の四に規定する里親に委託された児童でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち年齢十九歳以上二十三歳未満の者で合計所得金額が百万円以下であるもの(控除対象扶養親族に該当しないものに限る。)をいう。
三十五 特別農業所得者その年において農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕に係る事業その他これに類するものとして政令で定める事業から生ずる所得をいう。以下この号において同じ。)の金額が総所得金額の十分の七に相当する金額を超え、かつ、その年九月一日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の十分の七を超える者をいう。
三十六 予定納税額第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)(これらの規定を第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税の額をいう。
三十七 確定申告書第二編第五章第二節第一款及び第二款(確定申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十八 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十九 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
四十 青色申告書第百四十三条(青色申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する確定申告書及び確定申告書に係る修正申告書をいう。
四十の二 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
四十一 確定申告期限第百二十条第一項(確定所得申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいい、年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいう。
四十二 出国居住者については、国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいい、非居住者については、同項の規定による納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しないこととなること(国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有するものについては、恒久的施設を有しないこととなることとし、国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有しないものについては、国内において行う第百六十一条第一項第六号(国内源泉所得)に規定する事業を廃止することとする。)をいう。
四十三 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十四 決定第十九条(納税地指定の処分の取消しがあつた場合の申告等の効力)、第四十四条の二(免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入)、第五十二条(貸倒引当金)、第五十七条の四(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百五十一条の四(相続により取得した有価証券等の取得費の額に変更があつた場合等の修正申告の特例)、第百五十九条(更正等による源泉徴収税額等の還付)、第百六十条(更正等による予納税額の還付)及び第二百二十八条の二(新株予約権の行使に関する調書)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十五 源泉徴収第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収し及び納付することをいう。
四十六 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十七 充当第百九十条(年末調整)及び第百九十一条(過納額の還付)の場合を除き、国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十八 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
2 この法律において、「相続人」には、包括受遺者を含むものとし、「被相続人」には、包括遺贈者を含むものとする。
所得税法第9条(非課税所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
一 当座預金の利子(政令で定めるものを除く。)
二 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条(特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配
三 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
イ恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの
ロ遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
ハ条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用(自動車その他の交通用具の駐車のための施設の利用のために支出する費用を含む。)に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
七 国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの
八 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
十 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得)の規定に該当するものを除く。)
十一 オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの
十二 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第四条第一項(内廷費)及び第六条第一項(皇族費)の規定により受ける給付
十三 次に掲げる年金又は金品
イ文化功労者年金法(昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項(年金)の規定による年金
ロ日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
ハ日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
ニ学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
ホノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの
十四 オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
十六 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する事業で財務省令で定めるものにより、その業務を利用する者の居宅その他財務省令で定める場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は児童福祉法第五十九条の二第一項(認可外保育施設の届出)に規定する施設その他の財務省令で定める施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品(前号に規定する学資に充てるため給付される金品を除く。)
十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含み、同法第二十一条の三第一項第一号(贈与税の非課税財産)に規定する公益信託から給付を受けた財産に該当するものを除く。)
十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
十九 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
二 前項第十号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の取得費等の金額又は第三十二条第三項(山林所得)に規定する必要経費に満たない場合におけるその不足額
所得税法施行令第25条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品
所得税法第62条(生活に通常必要でない資産の災害による損失)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法施行令第178条(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三 生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの
2 法第六十二条第一項の規定により、同項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた同項に規定する損失の金額をその生じた日の属する年分及びその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす場合には、次に定めるところによる。
一 まず、当該損失の金額をその生じた日の属する年分の法第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、当該所得の金額の計算上控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
二 前号の規定によりなお控除しきれない損失の金額があるときは、これをその生じた日の属する年の翌年分の法第三十三条第三項第一号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、なお控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該翌年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
3 法第六十二条第一項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。
一 法第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)に規定する資産(次号に掲げるものを除く。)当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第二項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費)の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 法第三十八条第二項に規定する資産当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第三項の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
所得税法第69条(損益通算)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。
所得税法第73条(医療費控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
3 第一項の規定による控除は、医療費控除という。
所得税法第74条(社会保険料控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合又は給与から控除される場合には、その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する社会保険料とは、次に掲げるものその他これらに準ずるもので政令で定めるもの(第九条第一項第七号(在勤手当の非課税)に掲げる給与に係るものを除く。)をいう。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定により被保険者として負担する健康保険の保険料
二 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定による国民健康保険の保険料又は地方税法の規定による国民健康保険税
二の二 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定による保険料
三 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護保険の保険料
四 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の規定により雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
五 国民年金法の規定により被保険者として負担する国民年金の保険料及び国民年金基金の加入員として負担する掛金
六 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
七 厚生年金保険法の規定により被保険者として負担する厚生年金保険の保険料
八 船員保険法の規定により被保険者として負担する船員保険の保険料
九 国家公務員共済組合法の規定による掛金
十 地方公務員等共済組合法の規定による掛金(特別掛金を含む。)
十一 私立学校教職員共済法の規定により加入者として負担する掛金
十二 恩給法第五十九条(恩給納金)(他の法律において準用する場合を含む。)の規定による納金
3 第一項の規定による控除は、社会保険料控除という。
所得税法第35条(雑所得)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。
一 その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
二 その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額
3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。
一 第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号及び第二号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの
二 恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金
三 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの
4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 その年中の公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(次号及び第三号において「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」という。)が千万円以下である場合次に掲げる金額の合計額(当該合計額が六十万円に満たない場合には、六十万円)
イ四十万円
ロその年中の公的年金等の収入金額から五十万円を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
(1)当該残額が三百六十万円以下である場合当該残額の百分の二十五に相当する金額
(2)当該残額が三百六十万円を超え七百二十万円以下である場合九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額
(3)当該残額が七百二十万円を超え九百五十万円以下である場合百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額
(4)当該残額が九百五十万円を超える場合百五十五万五千円
二 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が千万円を超え二千万円以下である場合次に掲げる金額の合計額(当該合計額が五十万円に満たない場合には、五十万円)
イ三十万円
ロ前号ロに掲げる金額
三 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が二千万円を超える場合次に掲げる金額の合計額(当該合計額が四十万円に満たない場合には、四十万円)
イ二十万円
ロ第一号ロに掲げる金額
所得税法第28条(給与所得)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百九十万円以下である場合六十五万円
二 前項に規定する収入金額が百九十万円を超え三百六十万円以下である場合六十五万円と当該収入金額から百九十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
「災難」事件 最高裁昭和36年10月13日判決(民集15巻9号2332頁)
最判S36.10.13 民集15-9-2332 「災難」事件
- 事案
- 原告Xは、自分が所有する本件土地の上に、訴外A社の債務を担保するために根抵当権を設定していた。XはA社の債務300 万円を弁済し、本件土地の抵当権を抹消したうえでこの土地を訴外B銀行に560 万円で売却した。
- 論点
- 根抵当権抹消のために支出した300 万円の課税上の扱い
- 原告の主張
- ①抵当不動産は抵当権の設定により被担保債権額だけ交換価値が減少しており、真の譲渡代金は260 万円である。または、本件の代位弁済は求償できる見込みがないためXの損失となり、弁済額相当額はXの所得とならないため譲渡収入から除かれるべきである。
②抵当権を抹消し所有権移転登記と引渡しをする約定で土地を売り渡した本件において、弁済は不動産を譲渡するために必要な費用である。
③雑損控除の対象となる
- 適用条文
- 所得税法33条、36条、37条、72条
- 判旨
- 1 「収入金額とは、譲渡資産の客観的な価額を指すものではなく、具体的場合における現実の収入金額を指すものと解するのが相当である。そして、原判決の確定するところによれば、上告人はその所有資産を譲渡して売却代金として五六〇万円を受領したのであるから、その収入金額が五六〇万円であることは明白である。上告人が訴外小滝工業株式会社の三〇〇万円の債務を弁済し、右資産上の抵当権を抹消したからといつて、右の三〇〇万円を差し引いた金額をもつて収入金額と解すべき理由はない。」
2 「『譲渡に関する経費』とは、原判示のように、譲渡を実現するために直接必要な支出を意味するものと解すべく、本件譲渡資産上の抵当権抹消に三〇〇万円を要したからといつて、右三〇〇万円をもつて譲渡に関する経費ということはできない。」
3 「雑損とは、納税義務者の意思に基かない、いわば災難による損失を指すことは、同条の規定上からも明らかであり、訴外小滝工業株式会社に対する上告人の求償権が所論のとおり取立不能であつても、もともと抵当権の設定が上告人の意思に基くものであり、上記三〇〇万円を雑損として控除できないことは原判示のとおりである。」
1.制度と事案の検討
所得税法72条(雑損控除)
1 居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
3 第一項の規定による控除は、雑損控除という。
(施行令)
(雑損控除の適用を認められる親族の範囲)
第二百五条 法第七十二条第一項 (雑損控除)に規定する政令で定める親族は、居住者の配偶者その他の親族でその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が基礎控除の額に相当する金額以下であるものとする。
2 前項に規定する親族と生計を一にする居住者が二人以上ある場合における法第七十二条第一項 の規定の適用については、当該親族は、これらの居住者のうちいずれか一の居住者の親族にのみ該当するものとし、その親族がいずれの居住者の親族に該当するかについては、次に定めるところによる。
一 その親族が控除対象配偶者又は扶養親族に該当する場合には、その者を自己の控除対象配偶者又は扶養親族としている居住者の親族とする。
二 その親族が控除対象配偶者又は扶養親族に該当しない場合には、次に定めるところによる。
イ その親族が配偶者に該当する場合には、その夫又は妻である居住者の親族とする。
ロ その親族が配偶者以外の親族に該当する場合には、これらの居住者のうち総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が最も大きい居住者の親族とする。
(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等)
第二百六条 法第七十二条第一項 (雑損控除)に規定する政令で定めるやむを得ない支出は、次に掲げる支出とする。
一 災害により法第七十二条第一項 に規定する資産(以下この項において「住宅家財等」という。)が滅失し、損壊し又はその価値が減少したことによる当該住宅家財等の取壊し又は除去のための支出その他の付随する支出二 災害により住宅家財等が損壊し又はその価値が減少した場合その他災害により当該住宅家財等を使用することが困難となつた場合において、その災害のやんだ日の翌日から一年を経過した日の前日までにした次に掲げる支出その他これらに類する支出イ 災害により生じた土砂その他の障害物を除去するための支出ロ 当該住宅家財等の原状回復のための支出(当該災害により生じた当該住宅家財等の第三項に規定する損失の金額に相当する部分の支出を除く。第四号において同じ。)
ハ 当該住宅家財等の損壊又はその価値の減少を防止するための支出三 災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出四 盗難又は横領による損失が生じた住宅家財等の原状回復のための支出その他これに類する支出2 法第七十二条第一項第一号 に規定する政令で定める金額は、その年においてした前項第一号から第三号までに掲げる支出の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)とする。
3 法第七十二条第一項 の規定を適用する場合には、同項 に規定する資産について受けた損失の金額は、当該損失を生じた時の直前におけるその資産の価額を基礎として計算するものとする。
(1)①雑損控除の要件と効果
- 要件
- ①居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項及び第七十条第三項に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合、かつ、②その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額〔その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額に応じて区分〕を超えるときは、
- 効果
- その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
②雑損控除制度の特徴
- 生計単位
- 損失の発生原因が限定されている
- 総所得金額・退職所得金額・山林所得金額の合計額や、当該年度における損失額、損失額のうち当該年度における災害関連支出の金額、という複数のファクターを考慮したうえで、一定の金額を超える雑損失につき控除を認めている。
→一定の金額を超える雑損失は納税者の担税力を弱めるという考え方
(2)① 雑損失の繰越控除制度の内容
所得税法71条(雑損失の繰越控除)
1 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた雑損失の金額(この項又は次条第一項の規定により前年以前において控除されたものを除く。)は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 前項の規定は、同項の居住者が雑損失の金額が生じた年分の所得税につきその雑損失の金額に関する事項を記載した確定申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)であつて、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
3 略
所得税法2条26号 雑損失の金額 第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
②特徴
- 手続的特徴
- 主体について、確定申告を提出する居住者に限定/雑損失の金額が生じた年分の所得税につきその雑損失の金額に関する事項を記載した確定申告書をその提出期限までに提出していることが、原則として必要/雑損失の金額が生じた年から控除対象年度まで連続して確定申告書を提出していることが必要
- 実体的特徴
- 過去3年分に限定。また、雑損失の額は雑損控除制度の規定によって算定される(所得税法2条26号)。さらに、雑損控除制度との関係では、雑損失の繰越控除制度は補充的に適用される(所得税法71条1項かっこ書き参照)。
(3)本件判決における「雑損」の定義:納税義務者の意思に基づかない、いわば災難による損失
2.雑損失の意義と範囲
現行法の下で、以下のような損害は雑損控除の対象となるか。また、その結果と本件判決の一般論は整合的だといえ
るか
①クレジットカードを盗まれ、犯人がこれを使用したことによって本人が被った損害や、預金通帳と印鑑を盗まれ、犯人が預金を引き出したことによって本人が被った損害
S47 直審3-94クレジットカードの盗難に伴い、これを他人が使用したことにより発生した損失については、盗難にあったクレジットカードの記名人においてその不正使用を防止することがきわめて困難であると認められる事情があることにかえりみ、所得税法第72条の規定の適用上、これを盗難による損失として取り扱うこととします。
この場合、雑損控除の対象となる損失の生じた時期は、クレジットカードの盗難の時に関係なく、その不正使用により生じた損失を実際に負担することとなった時とします。
②詐欺による損害や人質返還のために支払った身代金などの損害
→「災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)」
- 名古屋地判S63.10.31
- 「所得税法七二条は、その資産について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合、その一定額を所得から控除することを認めているが、課税行政の明確性、公平の観点からみて、右控除の事由は限定的に規定されており、かつ、同条に定める「横領」の概念も刑法上の「横領罪」と同一のものと解するのが相当である。原告は、この点につき、横領は所有者らとの間に信頼関係に基づく委託行為が介在し、刑法上も詐欺、恐喝と区別する理由に乏しいと主張する(被告の再反論に対する認否2項)が、損害発生をもたらす実行行為自体は、横領においては所有者の意思に関わりなく行われるのに反し、詐欺、恐喝などにおいては、瑕疵が存するとはいえ一応所有者の意思に基づいて財物の移転等が行われる点に差異が認められるので、両者を区別することに全く理由がないわけではなく(もっとも、上記所得税法七二条が災害、盗難及び横領の三事由のみに限定して雑損控除を認めることの立法論的な当否については、議論の余地があろうと思われるが、これは同条の解釈とは別問題である。)、何よりも類推ないし拡張解釈によってもたらされる課税行政の混乱を考慮すると、原告の右主張は、到底、採用することができない。」
③自家用車から降車中に強い風が吹いてドアが急に閉まったため、手がドアにはさまれて指輪が壊れ、指輪についていた宝石がなくなってしまったことによる損害
- 災害にあたるか
- 生活に通常必要でない資産にあたらないか
3.雑損控除の理論的意義
雑損控除は、原則的な所得計算の制度としての位置づけも、特別な損害に対処するための制度としての位置づけも可能23。
3.「生活に通常必要でない資産」
- 生活に通常必要な資産(所得税法9条1項9号、所得税法施行令25条)
- 譲渡損
- なかったものとみなされる(所得税法9条2項1号)
横領・盗難・災害による損失:雑損控除と雑損失の繰越控除の適用(所得税法72条、同71条)
- 生活に通常必要でない資産(所得税法62条、所得税法施行令178条)
- 譲渡損
- 譲渡損失は他の譲渡所得とは通算できるが、譲渡所得の最終的な損失になる場合には損益通算が否定される(所得税法69条2項)
横領・盗難・災害による損失:その年と翌年の譲渡損失として扱われる(所得税法62条)。譲渡所得の最終的な損失になる場合には損益通算が否定される(所得税法69条2項)
6.医療費控除
所得税法73条1項の医療費控除は、ある一定額(所得金額の100分の5 または10 万円)を超えたときにその超過部分が控除されることになる。小額の医療費もくまなく控除対象とするのは実務上、非常に煩雑で処理に労力がかかるため一定額が設定されている。
※その他の所得控除
所得税法74条1項の規定によると、社会保険料は全額その年分の所得金額から控除されることになるがこれは、社会保険料の支払いにあてられた部分は担税力を持たない、という考慮によるものである。
公的年金等は、まず支払いの段階で社会保険料として所得金額から控除される(所得税法74条)。そして、受け取った公的年金等は雑所得となり公的年金控除の対象となる給与所得控除額よりも多く控除される(所得税法35条4項、同28条3項)。
8.関連裁判例
雑損控除の適用対象でないものとされた事例
- 長崎地判S32.12.18
- 「損失とは、その損失を生じた者の意思に基かないところの災害による損失のみを意味し、その損失を生じた者の意思の介在する場合の損失は、これを含まないものであると解するのが、右規定において、法の使用した用語に照らし、相当であると認められるところ、身元保証契約に基く支出の如きは、その支出をなした者の意思が根源となつて居るのであるから、その者の意思に基かないところの災害によるものと言うことのできないことは勿論であつて…」
- 名古屋地判S41.4.23
- 「原告が昭和三七年訴外株式会社鈴丹洋装店との間でその主張のような売買契約を締結し、手附金二〇〇万円を右訴外会社に交付したところ、原告において残代金の支払ができなかつたため、右手附金を右訴外会社に没収されたこと、そこで原告が昭和三七年度分所得税の確定申告において右手附金のうち金一六八万三、二六一円を雑損として事業所得金額から控除して申告したところ、被告署長が右金額を雑損にあたらないとして否認し、本件更正処分をなしたことはいずれも当事者間に争いがない。ところで、所得税法第一〇条第二項にいう必要経費とはその年中の総収入金額を得るために必要な経費であつて、総収入金額に対応する支出に限定されるべきことは右所得税法の規定上明かである。従つて、原告の蒙つた手附金の損失が必要経費の範囲に入らないということはいうまでもない。また所得税法第一一条の四の雑損とは、すべて納税義務者の意思に基かない災害または盗難による損失のみを意味することはその規定上明かである。従つて、手附金流れの如く、原告の意思に基づく損失の場合は雑損にあたらないというべきである。」
- 大分地判S56.6.17
- 「所得税法第七二条に規定する災害又は盗難若しくは横領による損失とは、納税者の意思に基づかない損失をいうものと解するのが相当であるところ、…原告が訴外藤内冨久栄に対して支払った前記金員は、訴外江口義広〔原告の息子〕が訴外藤内冨久栄に傷害を負わせたことにつき、右訴外江口義広には損害賠償の資力がないところから、原告がその意思に基づき損害賠償として右訴外藤内冨久栄に支払ったものであることが認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はなく、右の事実に照らすと、原告がなした右出損は、所得税法第七二条にいう損失に該当しないというべきである。」
- 前橋地判S57.7.13
- 「同条(雑損控除)の趣旨は、その規定の文理上明らかなように、災害、横領という異常な損失により減少した担税力に即応して課税することであり、納税者その他所定の者の有する資産について災害、盗難、横領等の法定原因によって損失が生じた場合において、一定額の控除を認めるものである。ところで、原告のいう保証債務履行による訴外会社に対する求償権の行使が同会社の倒産により不能になった本件金額の損失は、これらの法定原因に該当しないのであるから、同条を適用すべきものでないと解するのが相当である。」/「一般に所得税法にいう事業所得とは、自己の計算と危険において対価を得て継続的に行なわれる業務から生ずる所得と観念すべきであり、他方、同法にいう給与所得とは、雇傭関係又はこれに準ずべき関係(例えば会社の役員等委任関係の場合)に基づく非独立的労務の対価と観念すべきであって、この両者の異同は、所得の生ずる業務の遂行ないしは労務の提供が、前者は自己の計算と危険において独立性をもってなされるのに対し、後者は対価支払者の支配、監督に服して非独立的になされるとともに自己の計算と危険を伴わない点にあると解すべきところ(東京高裁昭和五一年一〇月一八日判決、行裁例集二七巻一〇号一六三九頁参照)、本件において、原告が株式会社桐生製鋼所等から取締役として受けた報酬は、それが委任契約に基づくものであっても、原告(取締役)が当該会社に従属し、単に「取締役」という役職において人的役務を提供するに過ぎず、その取締役の活動から生じた成果(それが利益となる場合も、あるいは損失となる場合もある。)は、そのすべてが直接当該会社に帰属するものであって、原告が受ける報酬は、その活動から生じた成果として直接に享受するものでなく、当該会社に従属して非独立的な人的役務を提供した報酬として受けるもの、すなわち、雇傭関係に準ずる役員等の委任関係に基づき収受される対価であるとみるのが相当であり、他に原告が取締役として受けた報酬が事業所得に該ると解すべき特段の事情の主張立証がない以上、右報酬は原告が申告したとおり給与所得というべきである。そうだとすれば、所得税法五一条二項が給与所得に適用のないこと文理上明白であることからして、被告が前記申告の給与所得から必要経費として本件金額の算入を認めなかった前記決定には何らの違法事由はなく、原告の右主張は理由がない。」
第3節 税額の計算
243.01税率構造
2.超過累進税率
(1)単純累進税率の不合理性
所得100 万円の場合の税引後所得:90 万円所得101 万円の場合の税引後所得:80.8 万円収入がわずかに多いだけで、上記例のように税引き後所得が逆転する場合があり、不合理である。
(2)超過累進税率の合理性
超過累進税率が用いられる場合には、課税標準が上の段階に進むにしたがって逓次に高率が適用されるので、(1)のような逆転現象は起こらず、担税力に応じた税負担となる。
3.累進税率と平準化・所得分割
(1)退職所得、山林所得の課税方式の効果
課税総所得金額、課税退職所得金額、課税山林所得金額を各々500 万円とする(所得額は各種控除後の残額)。
現行法では税額は各々、57.24 万円、57.24 万円、25 万円となり、合計額は139.48 万円となる。
一方、すべてを合計してから課税される方式では、税額は341.4 万円となる。
つまり、現行法では、税額を圧縮する効果が生ずる。
(2)課税所得が分割されることによる総税額減少のメカニズム
1000 万円の所得を分割なし、2分割、5分割してみる。
- 分割なしの場合
- 税額は176.4 万円となる
- 2分割の場合
- 500 万円×2 となり、税額は57.24 万円×2=114.48 万円となる
- 5分割の場合
- 200 万円×5 となり、税額は9.8 万円×5=49 万円となる以上より、分割されればされるほど税額は減少していくのがわかる。
7.税額控除
(1)課税総所得額が1830 万円の納税者の場合には、30 万円の所得控除は12 万円の税額を減少させる。一方、330 万円の納税者の場合には、3 万円の税額を減少させるに過ぎない。所得控除は課税総所得額の多い者のほうがより大きな恩恵を受けるといえる24。
(2)基礎控除、配偶者控除、扶養控除などの各種控除は、政策的には、担税力の低い者のほうがより大きく認められるべきであるので、税額控除のほうが、所得控除よりも望ましいといえる。また、控除額について、所得額に応じた逆進控除を取らなければ、高額所得者にとっても有利である。一方、税額控除を広く認めると所得控除に比べ、税収が減少するという側面も認められる。また、逆進控除を採用すれば、高額所得者にとって不利となる25。
第5版 243.01平均課税
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法施行令第8条(臨時所得の範囲)e-Gov
施行 2026-05-22 令和八年政令第九十三号
法第二条第一項第二十四号(臨時所得の意義)に規定する政令で定める所得は、次に掲げる所得その他これらに類する所得とする。
一 職業野球の選手その他一定の者に専属して役務の提供をする者が、三年以上の期間、当該一定の者のために役務を提供し、又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に受ける契約金で、その金額がその契約による役務の提供に対する報酬の年額の二倍に相当する金額以上であるものに係る所得
二 不動産、不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものを有する者が、三年以上の期間、他人(その者が非居住者である場合の法第百六十一条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する事業場等を含む。)にこれらの資産を使用させること(地上権、租鉱権その他の当該資産に係る権利を設定することを含む。)を約することにより一時に受ける権利金、頭金その他の対価で、その金額が当該契約によるこれらの資産の使用料の年額の二倍に相当する金額以上であるものに係る所得(譲渡所得に該当するものを除く。)
三 一定の場所における業務の全部又は一部を休止し、転換し又は廃止することとなつた者が、当該休止、転換又は廃止により当該業務に係る三年以上の期間の不動産所得、事業所得又は雑所得の補償として受ける補償金に係る所得
四 前号に掲げるもののほか、業務の用に供する資産の全部又は一部につき鉱害その他の災害により被害を受けた者が、当該被害を受けたことにより、当該業務に係る三年以上の期間の不動産所得、事業所得又は雑所得の補償として受ける補償金に係る所得
所得税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 居住者国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
四 非永住者居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。
五 非居住者居住者以外の個人をいう。
六 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
七 外国法人内国法人以外の法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
八の二 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
八の三 法人課税信託法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号の二(定義)に規定する法人課税信託をいう。
八の四 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける非居住者又は外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ非居住者又は外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ非居住者又は外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ非居住者又は外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
九 公社債公債及び社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)をいう。
十 預貯金預金及び貯金(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)をいう。
十一 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二項(定義)に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。第十二号の二及び第十三号において同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
十二 貸付信託貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項(定義)に規定する貸付信託をいう。
十二の二 投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託及び外国投資信託をいう。
十三 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
十四 オープン型の証券投資信託証券投資信託のうち、元本の追加信託をすることができるものをいう。
十五 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公社債に対する投資として運用することを目的とするもので、株式(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。第二十四条(配当所得)、第二十五条(配当等とみなす金額)、第五十七条の四第三項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百七十六条第一項及び第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)、第二百二十四条の三第二項第一号(株式等の譲渡の対価の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項第二号(支払調書及び支払通知書)において同じ。)又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
十五の二 公社債等運用投資信託証券投資信託以外の投資信託のうち、信託財産として受け入れた金銭を公社債等(公社債、手形その他の政令で定める資産をいう。)に対して運用するものとして政令で定めるものをいう。
十五の三 公募公社債等運用投資信託その設定に係る受益権の募集が公募(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項(定義)に規定する取得勧誘のうち同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものをいう。)により行われた公社債等運用投資信託(法人税法第二条第二十九号ロ(2)に掲げる投資信託に該当するものに限る。)をいう。
十五の四 特定目的信託資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項(定義)に規定する特定目的信託をいう。
十五の五 特定受益証券発行信託法人税法第二条第二十九号ハに規定する特定受益証券発行信託をいう。
十六 棚卸資産事業所得を生ずべき事業に係る商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産(有価証券、第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)に規定する暗号資産及び山林を除く。)で棚卸しをすべきものとして政令で定めるものをいう。
十七 有価証券金融商品取引法第二条第一項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。
十八 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産(山林を除く。)で政令で定めるものをいう。
十九 減価償却資産不動産所得若しくは雑所得の基因となり、又は不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供される建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十 繰延資産不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十一 各種所得第二編第二章第二節第一款(所得の種類及び各種所得の金額)に規定する利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得をいう。
二十二 各種所得の金額第二編第二章第二節第一款に規定する利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、退職所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額をいう。
二十三 変動所得漁獲から生ずる所得、著作権の使用料に係る所得その他の所得で年々の変動の著しいもののうち政令で定めるものをいう。
二十四 臨時所得役務の提供を約することにより一時に取得する契約金に係る所得その他の所得で臨時に発生するもののうち政令で定めるものをいう。
二十五 純損失の金額第六十九条第一項(損益通算)に規定する損失の金額のうち同条の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額をいう。
二十六 雑損失の金額第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十七 災害震災、風水害、火災その他政令で定める災害をいう。
二十八 障害者精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。
二十九 特別障害者障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。
三十 寡婦次に掲げる者でひとり親に該当しないものをいう。
イ夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(1)扶養親族を有すること。
(2)第七十条(純損失の繰越控除)及び第七十一条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第二十二条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が五百万円以下であること。
(3)その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
ロ夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、イ(2)及び(3)に掲げる要件を満たすもの
三十一 ひとり親現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。
イその者と生計を一にする子で政令で定めるものを有すること。
ロ合計所得金額が五百万円以下であること。
ハその者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
三十二 勤労学生次に掲げる者で、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下この号において「給与所得等」という。)を有するもののうち、合計所得金額が八十五万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が十万円以下であるものをいう。
イ学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校の学生、生徒又は児童
ロ国、地方公共団体又は私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条(定義)に規定する学校法人、同法第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人若しくはこれらに準ずるものとして政令で定める者の設置した学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項(各種学校)に規定する各種学校の学生又は生徒で政令で定める課程を履修するもの
ハ職業訓練法人の行う職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第三項(職業訓練の認定)に規定する認定職業訓練を受ける者で政令で定める課程を履修するもの
三十三 同一生計配偶者居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が五十八万円以下である者をいう。
三十三の二 控除対象配偶者同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
三十三の三 老人控除対象配偶者控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十三の四 源泉控除対象配偶者居住者(合計所得金額が九百万円以下であるものに限る。)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が九十五万円以下である者をいう。
三十四 扶養親族居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の四(定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号(市町村の採るべき措置)の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十四号の五において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が五十八万円以下である者をいう。
三十四の二 控除対象扶養親族扶養親族のうち、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。
イ居住者年齢十六歳以上の者
ロ非居住者年齢十六歳以上三十歳未満の者及び年齢七十歳以上の者並びに年齢三十歳以上七十歳未満の者であつて次に掲げる者のいずれかに該当するもの
(1)留学により国内に住所及び居所を有しなくなつた者
(2)障害者
(3)その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を三十八万円以上受けている者
三十四の三 特定扶養親族控除対象扶養親族のうち、年齢十九歳以上二十三歳未満の者をいう。
三十四の四 老人扶養親族控除対象扶養親族のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十四の五 源泉控除対象親族控除対象扶養親族並びに居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)及び児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定により同法第六条の四に規定する里親に委託された児童でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち年齢十九歳以上二十三歳未満の者で合計所得金額が百万円以下であるもの(控除対象扶養親族に該当しないものに限る。)をいう。
三十五 特別農業所得者その年において農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕に係る事業その他これに類するものとして政令で定める事業から生ずる所得をいう。以下この号において同じ。)の金額が総所得金額の十分の七に相当する金額を超え、かつ、その年九月一日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の十分の七を超える者をいう。
三十六 予定納税額第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)(これらの規定を第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税の額をいう。
三十七 確定申告書第二編第五章第二節第一款及び第二款(確定申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十八 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十九 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
四十 青色申告書第百四十三条(青色申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する確定申告書及び確定申告書に係る修正申告書をいう。
四十の二 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
四十一 確定申告期限第百二十条第一項(確定所得申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいい、年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいう。
四十二 出国居住者については、国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいい、非居住者については、同項の規定による納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しないこととなること(国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有するものについては、恒久的施設を有しないこととなることとし、国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有しないものについては、国内において行う第百六十一条第一項第六号(国内源泉所得)に規定する事業を廃止することとする。)をいう。
四十三 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十四 決定第十九条(納税地指定の処分の取消しがあつた場合の申告等の効力)、第四十四条の二(免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入)、第五十二条(貸倒引当金)、第五十七条の四(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百五十一条の四(相続により取得した有価証券等の取得費の額に変更があつた場合等の修正申告の特例)、第百五十九条(更正等による源泉徴収税額等の還付)、第百六十条(更正等による予納税額の還付)及び第二百二十八条の二(新株予約権の行使に関する調書)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十五 源泉徴収第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収し及び納付することをいう。
四十六 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十七 充当第百九十条(年末調整)及び第百九十一条(過納額の還付)の場合を除き、国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十八 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
2 この法律において、「相続人」には、包括受遺者を含むものとし、「被相続人」には、包括遺贈者を含むものとする。
1.平均課税の内容と限界
(1)変動が激しい所得や臨時的な所得について通常通りの税額計算方式を適用することの問題点と対処法
引用文献によると、一定年間にわたっては所得の総額が同一額であっても、不規則なでこぼこ所得を有する納税者は、規則的な所得を有するものより余計に税金を納める結果になるという問題点がある。
この問題に対しては不規則な所得に対する所得税の衝撃を緩和する特別規定を設けて、納税者が一定年間平均した規則的な額で同額の所得を得ると仮定した場合と結果をできるだけ同じようすることで対処すべきであるとしている。
(2)平均課税制度の目的・効果
特定の年に集中する傾向のある変動所得、臨時所得を平準化するという目的で、5分の1のみを他の所得と合算して累進税率の適用に服せしめ、残りの5分の4には平均税率を適用して累進税率の適用を緩和する効果をもつ制度といえる。
(3)生涯のある短い期間に高額の所得が集中している場合に、現行の平均課税の制度は十分に対応しているといえるか。
十分に対応しているとはいえない。例として出されている5年間だけ数億円の収入があるスポーツ選手の場合、その所得は変動所得にはあたらず、所得税法施行令8条1項1号の契約金にあたる可能性はある。この場合も平準化されるのは高い収入を得ている5年間だけであり、10年20年の長期間で考えると、期間内の所得の総額は同じだが規則的な所得を得ている者と比べより多くの税を負担していることとなってしまう。
所得税法2条1項23号 変動所得
漁獲から生ずる所得、著作権の使用料にかかる所得その他の所得で年年の変動の激しいものうち政令で定めるものをいう。
(変動所得の範囲)
第七条の二 法第二条第一項第二十三号 (変動所得の意義)に規定する政令で定める所得は、漁獲若しくはのりの採取から生ずる所得、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生ずる所得、原稿若しくは作曲の報酬に係る所得又は著作権の使用料に係る所得とする。
所得税法2条1項24号 臨時所得
役務の提供をすることにより一時に取得する契約金に係る所得その他の所得で臨時に発生するもののうち政令で定めるものをいう。
(臨時所得の範囲)
第八条 法第二条第一項第二十四号 (臨時所得の意義)に規定する政令で定める所得は、次に掲げる所得その他これらに類する所得とする。
一 職業野球の選手その他一定の者に専属して役務の提供をする者が、三年以上の期間、当該一定の者のために役務を提供し、又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に受ける契約金で、その金額がその契約による役務の提供に対する報酬の年額の二倍に相当する金額以上であるものに係る所得二 不動産、不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものを有する者が、三年以上の期間、他人にこれらの資産を使用させること(地上権、租鉱権その他の当該資産に係る権利を設定することを含む。)を約することにより一時に受ける権利金、頭金その他の対価で、その金額が当該契約によるこれらの資産の使用料の年額の二倍に相当する金額以上であるものに係る所得(譲渡所得に該当するものを除く。)
三 一定の場所における業務の全部又は一部を休止し、転換し又は廃止することとなつた者が、当該休止、転換又は廃止により当該業務に係る三年以上の期間の不動産所得、事業所得又は雑所得の補償として受ける補償金に係る所得四 前号に掲げるもののほか、業務の用に供する資産の全部又は一部につき鉱害その他の災害により被害を受けた者が、当該被害を受けたことにより、当該業務に係る三年以上の期間の不動産所得、事業所得又は雑所得の補償として受ける補償金に係る所得
第3編法人税
第1章 法人税の基礎
第2節 法人税の納税義務者
312.02公益法人等
引用条文の現行全文1条執筆時から改正 12026年8月16日時点
法人税法施行令第5条(収益事業の範囲)改正e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第二条第十三号(定義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。
一 物品販売業(動植物その他通常物品といわないものの販売業を含む。以下この号において同じ。)のうち次に掲げるもの以外のもの
イ国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法(平成十一年法律第百九十二号)第十四条第一項第四号(業務の範囲)に掲げる業務として行う物品販売業
ロ脱炭素成長型経済構造移行推進機構が脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号)第百十一条第一項第七号(業務の範囲)に掲げる業務として行う物品販売業
二 不動産販売業のうち次に掲げるもの以外のもの
イ次に掲げる法人で、その業務が地方公共団体の管理の下に運営されているもの(以下この項において「特定法人」という。)の行う不動産販売業
(1)その社員総会における議決権の総数の二分の一以上の数が当該地方公共団体により保有されている公益社団法人又は法別表第二に掲げる一般社団法人
(2)その拠出をされた金額の二分の一以上の金額が当該地方公共団体により拠出をされている公益財団法人又は法別表第二に掲げる一般財団法人
(3)その社員総会における議決権の全部が(1)又は(2)に掲げる法人により保有されている公益社団法人又は法別表第二に掲げる一般社団法人
(4)その拠出をされた金額の全額が(1)又は(2)に掲げる法人により拠出をされている公益財団法人又は法別表第二に掲げる一般財団法人
ロ日本勤労者住宅協会が日本勤労者住宅協会法(昭和四十一年法律第百三十三号)第二十三条第一号及び第二号(業務)に掲げる業務として行う不動産販売業
ハ独立行政法人農業者年金基金が独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号)附則第六条第一項第二号(業務の特例)に掲げる業務として行う不動産販売業
ニ独立行政法人中小企業基盤整備機構が独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成十四年法律第百四十七号)第十五条第一項第八号(業務の範囲)及び附則第八条の八第一号(改正前中小強化法等に係る業務の特例)に掲げる業務並びに同法附則第八条の二第一項(旧新事業創出促進法に係る業務の特例)及び第八条の四第一項(旧特定産業集積活性化法に係る業務の特例)の規定に基づく業務として行う不動産販売業
ホ民間都市開発の推進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第六十二号)第三条第一項(民間都市開発推進機構の指定)に規定する民間都市開発推進機構(次号ト及び第五号トにおいて「民間都市開発推進機構」という。)が同法第四条第一項第一号(機構の業務)(都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十条(民間都市開発法の特例)、第七十一条の二(民間都市開発法の特例)又は第百四条(民間都市開発法の特例)の規定により読み替えて適用する場合を含む。第五号トにおいて同じ。)及び民間都市開発の推進に関する特別措置法附則第十四条第二項第一号(機構の業務の特例)に掲げる業務並びに同条第十項(同条第十二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づく業務として行う不動産販売業
三 金銭貸付業のうち次に掲げるもの以外のもの
イ独立行政法人勤労者退職金共済機構が中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)第七十条第二項第一号(業務の範囲)に掲げる業務並びに同法附則第二条第一項(業務の特例)及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成十四年法律第百六十四号)附則第五条(業務の特例)の規定に基づく業務として行う金銭貸付業
ロ独立行政法人中小企業基盤整備機構が独立行政法人中小企業基盤整備機構法第十五条第一項第三号、第四号、第十一号及び第十三号並びに第二項第八号に掲げる業務として行う金銭貸付業
ハ所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第七十四条第五項(特定退職金共済団体の承認)に規定する特定退職金共済団体が行う同令第七十三条第一項第五号ヘ(特定退職金共済団体の要件)に掲げる貸付金に係る金銭貸付業
ニ独立行政法人農業者年金基金が独立行政法人農業者年金基金法附則第六条第一項第二号に掲げる業務として行う金銭貸付業
ホ独立行政法人自動車事故対策機構が独立行政法人自動車事故対策機構法(平成十四年法律第百八十三号)第十三条第五号及び第六号(業務の範囲)に掲げる業務として行う金銭貸付業
ヘ国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(平成十四年法律第百四十五号)附則第六条第一項(探鉱貸付経過業務)及び第九条第二項(鉱工業承継業務)の規定に基づく業務として行う金銭貸付業
ト民間都市開発推進機構が民間都市開発の推進に関する特別措置法第四条第一項第二号に掲げる業務として行う金銭貸付業
チ日本私立学校振興・共済事業団が日本私立学校振興・共済事業団法(平成九年法律第四十八号)第二十三条第一項第二号(業務)に掲げる業務として行う金銭貸付業
リ広域的運営推進機関が電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二十八条の四十第一項第五号の三(業務)に掲げる業務として行う金銭貸付業
四 物品貸付業(動植物その他通常物品といわないものの貸付業を含む。)のうち次に掲げるもの以外のもの
イ土地改良事業団体連合会が会員に対し土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第百十一条の九(事業)に掲げる事業として行う物品貸付業
ロ特定法人が農業若しくは林業を営む者、地方公共団体又は農業協同組合、森林組合その他農業若しくは林業を営む者の組織する団体(以下この号及び第十号ハにおいて「農業者団体等」という。)に対し農業者団体等の行う農業又は林業の目的に供される土地の造成及び改良並びに耕うん整地その他の農作業のために行う物品貸付業
五 不動産貸付業のうち次に掲げるもの以外のもの
イ特定法人が行う不動産貸付業
ロ日本勤労者住宅協会が日本勤労者住宅協会法第二十三条第一号及び第二号に掲げる業務として行う不動産貸付業
ハ社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条(定義)に規定する社会福祉法人が同法第二条第三項第八号(定義)に掲げる事業として行う不動産貸付業
ニ宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第四条第二項(法人格)に規定する宗教法人又は公益社団法人若しくは公益財団法人が行う墳墓地の貸付業
ホ国又は地方公共団体に対し直接貸し付けられる不動産の貸付業
ヘ主として住宅の用に供される土地の貸付業(イからハまで及びホに掲げる不動産貸付業を除く。)で、その貸付けの対価の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの
ト民間都市開発推進機構が民間都市開発の推進に関する特別措置法第四条第一項第一号に掲げる業務として行う不動産貸付業
チ独立行政法人農業者年金基金が独立行政法人農業者年金基金法附則第六条第一項第二号に掲げる業務として行う不動産貸付業
リ独立行政法人中小企業基盤整備機構が独立行政法人中小企業基盤整備機構法第十五条第一項第八号及び附則第八条の八第一号に掲げる業務並びに同法附則第八条の二第一項及び第八条の四第一項の規定に基づく業務として行う不動産貸付業
六 製造業(電気又はガスの供給業、熱供給業及び物品の加工修理業を含むものとし、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法第十四条第一項第二号及び第三号に掲げる業務として行うものを除く。)
七 通信業(放送業を含む。)
八 運送業(運送取扱業を含む。)
九 倉庫業(寄託を受けた物品を保管する業を含むものとし、第三十一号の事業に該当するものを除く。)
十 請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)のうち次に掲げるもの以外のもの
イ法令の規定に基づき国又は地方公共団体の事務処理を委託された法人の行うその委託に係るもので、その委託の対価がその事務処理のために必要な費用を超えないことが法令の規定により明らかなことその他の財務省令で定める要件に該当するもの
ロ土地改良事業団体連合会が会員又は国若しくは都道府県に対し土地改良法第百十一条の九に掲げる事業として行う請負業
ハ特定法人が農業者団体等に対し農業者団体等の行う農業又は林業の目的に供される土地の造成及び改良並びに耕うん整地その他の農作業のために行う請負業
ニ私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条(定義)に規定する学校法人がその設置している大学に対する他の者の委託を受けて行う研究に係るもの(その委託に係る契約又は協定において、当該研究の成果の全部若しくは一部が当該学校法人に帰属する旨又は当該研究の成果について学術研究の発展に資するため適切に公表される旨が定められているものに限る。)
ホ国民健康保険団体連合会が次に掲げる者の委託を受けて行うもの(法令の規定に基づく委託を受けて行うもの(これに準ずるものを含む。)であることその他の財務省令で定める要件に該当するものに限る。)
(1)国又は都道府県、市町村(特別区を含む。)若しくは高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第四十八条(広域連合の設立)に規定する後期高齢者医療広域連合
(2)全国健康保険協会、健康保険組合、国民健康保険組合、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団
(3)社会保険診療報酬支払基金又は独立行政法人環境再生保全機構
(4)国民健康保険団体連合会をその社員とすることその他の財務省令で定める要件に該当する公益社団法人
十一 印刷業
十二 出版業(特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うもの及び学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うものを除く。)
十三 写真業
十四 席貸業のうち次に掲げるもの
イ不特定又は多数の者の娯楽、遊興又は慰安の用に供するための席貸業
ロイに掲げる席貸業以外の席貸業(次に掲げるものを除く。)
(1)国又は地方公共団体の用に供するための席貸業
(2)社会福祉法第二条第一項に規定する社会福祉事業として行われる席貸業
(3)私立学校法第三条に規定する学校法人若しくは同法第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人又は職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第三十一条(職業訓練法人)に規定する職業訓練法人がその主たる目的とする業務に関連して行う席貸業
(4)法人がその主たる目的とする業務に関連して行う席貸業で、当該法人の会員その他これに準ずる者の用に供するためのもののうちその利用の対価の額が実費の範囲を超えないもの
十五 旅館業
十六 料理店業その他の飲食店業
十七 周旋業
十八 代理業
十九 仲立業
二十 問屋業
二十一 鉱業
二十二 土石採取業
二十三 浴場業
二十四 理容業
二十五 美容業
二十六 興行業
二十七 遊技所業
二十八 遊覧所業
二十九 医療保健業(財務省令で定める血液事業を含む。以下この号において同じ。)のうち次に掲げるもの以外のもの
イ日本赤十字社が行う医療保健業
ロ社会福祉法第二十二条に規定する社会福祉法人が行う医療保健業
ハ私立学校法第三条に規定する学校法人が行う医療保健業
ニ全国健康保険協会、健康保険組合若しくは健康保険組合連合会又は国民健康保険組合若しくは国民健康保険団体連合会が行う医療保健業
ホ国家公務員共済組合又は国家公務員共済組合連合会が行う医療保健業
ヘ地方公務員共済組合又は全国市町村職員共済組合連合会が行う医療保健業
ト日本私立学校振興・共済事業団が行う医療保健業
チ医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条の二第一項(社会医療法人)に規定する社会医療法人が行う医療保健業(同法第四十二条(附帯業務)の規定に基づき同条各号に掲げる業務として行うもの及び同項の規定に基づき同項に規定する収益業務として行うものを除く。)
リ公益社団法人若しくは公益財団法人又は法別表第二に掲げる一般社団法人若しくは一般財団法人(以下この号において「公益社団法人等」という。)で、結核に係る健康診断(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十七条第一項(健康診断)並びに第五十三条の二第一項及び第三項(定期の健康診断)の規定に基づく健康診断に限る。)、予防接種(予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第五条第一項(市町村長が行う予防接種)及び第六条第一項(臨時に行う予防接種)の規定に基づく予防接種に限る。)及び医療を行い、かつ、これらの医学的研究(その研究につき国の補助があるものに限る。)を行うもののうち法人格を異にする支部を含めて全国的組織を有するもの及びその支部であるものが行う当該健康診断及び予防接種に係る医療保健業
ヌ公益社団法人等が行うハンセン病患者の医療(その医療費の全額が国の補助によつているものに限る。)に係る医療保健業
ル公益社団法人若しくは公益財団法人で専ら学術の研究を行うもの又は法別表第二に掲げる一般社団法人若しくは一般財団法人で専ら学術の研究を行い、かつ、当該研究を円滑に行うための体制が整備されているものとして財務省令で定めるものがこれらの学術の研究に付随して行う医療保健業
ヲ一定の地域内の医師又は歯科医師を会員とする公益社団法人又は法別表第二に掲げる一般社団法人で、その残余財産が国又は地方公共団体に帰属すること、当該法人の開設する病院又は診療所が当該地域内の全ての医師又は歯科医師の利用に供されることとなつており、かつ、その診療報酬の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件に該当するものが行う医療保健業
ワ一定の医療施設を有していること、診療報酬の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件に該当する法別表第二に掲げる農業協同組合連合会が行う医療保健業
カ公益社団法人等で看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)第十四条第一項(指定等)の規定による指定を受けたものが、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第四項(定義)に規定する訪問看護、同法第八条の二第三項(定義)に規定する介護予防訪問看護、高齢者の医療の確保に関する法律第七十八条第一項(訪問看護療養費)に規定する指定訪問看護又は健康保険法(大正十一年法律第七十号)第八十八条第一項(訪問看護療養費)に規定する訪問看護の研修に付随して行う医療保健業
ヨイからカまでに掲げるもののほか、残余財産が国又は地方公共団体に帰属すること、一定の医療施設を有していること、診療報酬の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件に該当する公益法人等が行う医療保健業
三十 洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む。)、自動車操縦若しくは小型船舶(船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和二十六年法律第百四十九号)第二条第四項(定義)に規定する小型船舶をいう。)の操縦(以下この号において「技芸」という。)の教授(通信教育による技芸の教授及び技芸に関する免許の付与その他これに類する行為を含む。以下この号において同じ。)のうちイ及びハからホまでに掲げるもの以外のもの又は学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための学力の教授(通信教育による当該学力の教授を含む。以下この号において同じ。)のうちロ及びハに掲げるもの以外のもの若しくは公開模擬学力試験(学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため広く一般に参加者を募集し当該学力試験にその内容及び方法を擬して行われる試験をいう。)を行う事業
イ学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校、同法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項(各種学校)に規定する各種学校において行われる技芸の教授で財務省令で定めるもの
ロイに規定する学校、専修学校又は各種学校において行われる学力の教授で財務省令で定めるもの
ハ社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第五十一条(通信教育の認定)の規定により文部科学大臣の認定を受けた通信教育として行う技芸の教授又は学力の教授
ニ理容師法(昭和二十二年法律第二百三十四号)第三条第三項(理容師試験)又は美容師法(昭和三十二年法律第百六十三号)第四条第三項(美容師試験)の規定により都道府県知事の指定を受けた施設において養成として行う技芸の教授で財務省令で定めるもの並びに当該施設に設けられた通信課程に係る通信及び添削による指導を専ら行う法人の当該指導として行う技芸の教授
ホ技芸に関する国家試験(法令において、国家資格(資格のうち、法令において当該資格を有しない者は当該資格に係る業務若しくは行為を行い、若しくは当該資格に係る名称を使用することができないこととされているもの又は法令において一定の場合には当該資格を有する者を使用し、若しくは当該資格を有する者に当該資格に係る行為を依頼することが義務付けられているものをいう。ホにおいて同じ。)を取得し、若しくは維持し、又は当該国家資格に係る業務若しくは行為を行うにつき、試験、検定その他これらに類するもの(ホにおいて「試験等」という。)を受けることが要件とされている場合における当該試験等をいう。)の実施に関する事務(法令において当該国家資格を取得し、若しくは維持し、又は当該国家資格に係る業務若しくは行為を行うにつき、登録、免許証の交付その他の手続(ホにおいて「登録等」という。)を経ることが要件とされている場合における当該登録等に関する事務を含む。ホにおいて「国家資格付与事務」という。)を行う者として法令において定められ、又は法令に基づき指定された法人が法令に基づき当該国家資格付与事務として行う技芸の教授(国の行政機関の長又は地方公共団体の長が当該国家資格付与事務に関し監督上必要な命令をすることができるものに限る。)で、次のいずれかの要件に該当するもの
(1)その対価の額が法令で実費を勘案して定めることとされているものであること又はその対価の額が当該国家資格付与事務の処理のために必要な費用の額を超えないと見込まれるものであること。
(2)国の行政機関の長又は地方公共団体の長以外の者で当該国家資格付与事務を行う者が、公益法人等又は一般社団法人若しくは一般財団法人に限られていることが法令で定められているものであること。
三十一 駐車場業
三十二 信用保証業のうち次に掲げるもの以外のもの
イ信用保証協会法(昭和二十八年法律第百九十六号)その他財務省令で定める法令の規定に基づき行われる信用保証業
ロイに掲げる信用保証業以外の信用保証業で、その保証料が低額であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの
三十三 その有する工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の譲渡又は提供(以下この号において「無体財産権の提供等」という。)のうち次に掲げるもの以外のものを行う事業
イ国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対して行われる無体財産権の提供等
ロ国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、国立研究開発法人海洋研究開発機構その他特別の法令により設立された法人で財務省令で定めるものがその業務として行う無体財産権の提供等
ハその主たる目的とする事業に要する経費の相当部分が無体財産権の提供等に係る収益に依存している公益法人等として財務省令で定めるものが行う無体財産権の提供等
三十四 労働者派遣業(自己の雇用する者その他の者を、他の者の指揮命令を受けて、当該他の者のために当該他の者の行う事業に従事させる事業をいう。)
2 次に掲げる事業は、前項に規定する事業に含まれないものとする。
一 公益社団法人又は公益財団法人が行う前項各号に掲げる事業のうち、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第二条第四号(定義)に規定する公益目的事業に該当するもの
二 公益法人等が行う前項各号に掲げる事業のうち、その事業に従事する次に掲げる者がその事業に従事する者の総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの
イ身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第四条(身体障害者)に規定する身体障害者
ロ生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定により生活扶助を受ける者
ハ児童相談所、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第九条第六項(更生援護の実施者)に規定する知的障害者更生相談所、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第六条第一項(精神保健福祉センター)に規定する精神保健福祉センター又は精神保健指定医により知的障害者として判定された者
ニ精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第四十五条第二項(精神障害者保健福祉手帳)の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
ホ年齢六十五歳以上の者
ヘ母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第一項(定義)に規定する配偶者のない女子であつて民法第八百七十七条(扶養義務者)の規定により現に母子及び父子並びに寡婦福祉法第六条第三項に規定する児童を扶養しているもの又は同条第四項に規定する寡婦(次号ロにおいて「寡婦」という。)
三 母子及び父子並びに寡婦福祉法第六条第六項に規定する母子・父子福祉団体が行う前項各号に掲げる事業のうち母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令(昭和三十九年政令第二百二十四号)第六条第一項各号(貸付けの対象となる母子・父子福祉団体の事業)に掲げる事業で、次に掲げるもの
イ母子及び父子並びに寡婦福祉法第十四条(母子・父子福祉団体に対する貸付け)(同法第三十一条の六第四項(父子福祉資金の貸付け)又は第三十二条第四項(寡婦福祉資金の貸付け)において準用する場合を含む。)の規定による貸付金の貸付けに係る事業のうち、その貸付けの日から当該貸付金の最終の償還日までの期間内の日の属する各事業年度において行われるもの
ロ母子及び父子並びに寡婦福祉法第二十五条第一項(売店等の設置の許可)に規定する公共的施設内において同条第二項の規定に従つて行われている事業(同法第三十四条第二項(売店等の設置の許可等)の規定により寡婦をその業務に従事させて行われているものを含む。)
四 保険業法(平成七年法律第百五号)第二百五十九条(目的)の保険契約者保護機構が同法第二百六十五条の二十八第一項第五号(業務)に掲げる業務として行う事業
ペット葬祭業事件 最高裁平成20年9月12日判決(訟月55巻7号2681頁) 百選51
4.公益法人に関する税制改正
公益法人制度改革 所得税法等の一部を改正する法律 平成20年4月30日成立公益社団法人・財団法人とは、一般社団法人・財団法人(剰余金の分配はできない法人)のうち、公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人で認定をうけたもの。
(公益社団・財団法人)
○収益事業の所得に課税。(税法上の収益事業に該当しても)公益目的事業は課税除外○税率は30%○収益事業から公益目的事業に支出した金額は寄付金とみなし、損金算入限度額は次のいずれか多い額 (1) 所得の金額の50%、(2) 公益目的事業に使用し、又は使用することが確実であると認められるものに相当する額○利子等の源泉所得税は非課税(一般社団・財団法人)
○次の一般社団・財団法人は収益事業所得に課税(税率30%)
①剰余金の分配を行わない旨が定款に定められている等の要件に該当する法人
②会員に共通する利益を図ることを主たる目的としている等の要件に該当する法人○上記①②のいずれにも該当しない法人は全所得に課税(法人税法上、普通法人の扱い)
新制度への移行*現行の公益法人は特例民法人税法人とし、2008年12月1日の法律完全施行日から5年以内に新制度に移行*公益認定を受けた場合は、公益認定を受けた一般社団・財団法人へ移行となり、定款中の名称を「公益社団法人・公益財団法人」と変更したものとみなされ(名称変更の登記手続きが必要)、その名称を用いなければならない*公益認定を受けず(あるいは受けられず)に登記のみした場合は、一般社団法人・一般財団法人へ移行*5年以内に何もしなかった場合は、解散となる
①報告書は、現行の33 事業の限定列挙から、実態に合わせた事業の見直しや包括的範囲からの除外規定方法をとることにより課税の範囲を拡大すべきとしている。
②営利法人の営む事業と公益法人の収益事業が競合する場合に、課税の公平性・中立性を確保するため。(事業の競争力に差を生じさせない)
③みなし寄附金とは、公益法人等が収益事業から生じる利益を非収益事業に支出した場合には、それを寄附金とみなして、寄附金の損金算入限度額まで損金算入できる制度。
④公益法人が金融市場に主体(プレイヤー)として参加しない方向に働くこととなる。法人税法施行令5条1項3号により金銭貸付業は収益事業とされているため、自らが貸し付けるより、利子・配当等を受け取るために金融資産投資を行う方が有利となる。
312.03人格のない社団等
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第4条(人格のない社団等に対するこの法律の適用)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第一を除く。)の規定を適用する。
法人税法第3条(人格のない社団等に対するこの法律の適用)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第七十五条の四(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の七(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の十五(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の二十三(電子情報処理組織による申告)及び別表第二を除く。)の規定を適用する。
国税通則法第3条(人格のない社団等に対するこの法律の適用)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。
①ある団体が「人格のない社団等」に該当すると、租税法上どのような効果があるか。
「人格のない社団等」は法人とみなされ、各税法が適用されることとされている(所得税法4条、法人税法3条、国税通則法3条、国税徴収法3条。なお、相法66条は「個人」とみなしている)。⇒人格のない社団等と一般企業との間の税負担の衡平を図る
②ある団体が「人格のない社団等」に該当せず、事業が全てA 個人の営むものであったならば、課税関係はどうなるか。
A 個人の事業とされ、そこから発生する所得はA の事業所得として課税されることになる。
312.04法人成り
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
所得税法第12条(実質所得者課税の原則)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。
〈個人事業と法人事業の比較〉
(1)「節税の考慮」が働いて個人事業が「法人成り」するといわれる理由は何か。閉鎖会社が収益の大部分を家族従業員に対し給与として支払う場合を念頭において考えよ。
「法人成り」が我が国において極めて多い主な理由として、法人形態で事業を行ったほうが税負担が軽減されることが挙げられる。すなわち、法人形態をとった場合には、まず、家族構成員その他の関係者を役員や従業員とすることにより、それらの者に所得を分割して、高い累進税率の適用を回避することができ、さらに、利益を配当に充てず、内部に留保することによって、法人税率を上回る所得税の段階税率の適用を回避することができる。その結果、総体としての税負担は多少とも減少する。
(2)山田さんは、個人で八百屋を営んできた。このたび、事業用資産等を出資して株式会社Y を設立し、会社形態で同じ事業を営むこととした。この事業から生ずる所得は誰に帰属するか。
本件では個人が営んでいた事業の事業用資産を出資することにより、同一の事業を会社形態で営むことにしている。これは「法人成り」の一つであるが、会社形態で事業を営んでいる以上、この事業から生ずる所得は株式会社Y に帰属するのが原則である。
ただ、かかる法人成りが租税回避のみを目的として行われた場合、法人格の否認によって当該所得をその構成員たる個人の所得として課税することの可否が問題となる。すなわち、租税法の分野においても、法人格否認の法理〔①「法人格が全くの形骸にすぎない場合」(法人格の形骸化)と②「法人格が法律の適用を回避するために濫用されるが如き場合」(法人格の濫用)の場合に、会社とその背後にある社員ないし別会社とを同一視して、これらの者にその責任を負担させる〕を適用することができるかが問題となる。
これに関しては、租税法律主義のもとでは、現実に存在する法律関係から離れて課税を行うことは許されないから、消極に解するべきである。ただし、資金管理の分別がなされていないなどの実体に応じては、実質所得者課税の原則(所得税法12条)の適用によって、当該事業から生ずる所得を個人に帰属するものとするべき場合もあるものと考えられる。
第2章 法人所得の意義と計算
第1節 法人所得の意義
321.02企業会計との関係
3.会社統治と法人税-経営者に与えるインセンティブ
商法・企業会計上の扱いと法人税法上の扱いを同じくする得失商法会計・金商法会計は、株主、債権者及び投資家の保護を目的として、利害調整と情報提供という機能を有している一方、税務会計は適正な課税の実現を図ることを目的としており、それぞれ目的・機能が異なるため、必要に応じて税法固有の取り扱いをしている。商法や企業会計原則における会計処理の保守主義や選択制を容認している結果、企業間の税負担の格差や課税所得の歪みがもたらされている。
会社の経営者としては、株主に対しては利益を多くみせようとし、一方、税務署に対しては税額を抑えるため課税所得を少なくみせようとする。結果、商法・金商法会計に基づく企業会計処理と税法会計に基づく課税所得計算では差が生じ、企業間の税負担の格差や課税所得計算の歪みにつながるおそれがある。
商法・企業会計上の扱いと法人税法上の扱いを同じくすることで、企業の内部取引に経理基準を課すことによって恣意性を排除し、さらには財務諸表を統一し、会計処理の煩雑さを解消するというメリットがある。他方で、経営者の望むような株主向け・税務署向けのロジックの使い分けがしにくくなる点がデメリットかもしれない。
321.05資本等取引
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 22026年8月16日時点
法人税法施行令第8条(資本金等の額)改正e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第二条第十六号(定義)に規定する政令で定める金額は、同号に規定する法人の資本金の額又は出資金の額と、当該事業年度前の各事業年度(以下この項において「過去事業年度」という。)の第一号から第十二号までに掲げる金額の合計額から当該法人の過去事業年度の第十三号から第二十二号までに掲げる金額の合計額を減算した金額に、当該法人の当該事業年度開始の日以後の第一号から第十二号までに掲げる金額を加算し、これから当該法人の同日以後の第十三号から第二十二号までに掲げる金額を減算した金額との合計額とする。
一 株式(出資を含む。以下第十号までにおいて同じ。)の発行又は自己の株式の譲渡をした場合(次に掲げる場合を除く。)に払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額からその発行により増加した資本金の額又は出資金の額(法人の設立による株式の発行にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額
イ役務の提供の対価として自己の株式を交付した場合(その役務の提供後に当該株式を交付した場合及び当該株式と引換えに給付された債権(その役務の提供の対価として生じた債権に限る。)がある場合(次号において「事後交付等の場合」という。)を除く。)
ロ新株予約権(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十七項(定義)に規定する新投資口予約権を含む。以下同じ。)の行使によりその行使をした者に自己の株式を交付した場合
ハ取得条項付新株予約権(法第六十一条の二第十四項第五号(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する取得条項付新株予約権をいう。ハ及び第三号において同じ。)又は取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債の同項第五号に定める事由による取得の対価として自己の株式を交付した場合(同項に規定する場合に該当する場合に限る。)
ニ合併、分割、適格現物出資、株式交換又は株式移転により被合併法人の株主等、分割法人(法第二条第十二号の九イに規定する分割対価資産(以下この項において「分割対価資産」という。)の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)、現物出資法人、株式交換完全子法人の株主又は株式移転完全子法人の株主に自己の株式を交付した場合
ホ適格現物出資に該当しない現物出資(法第六十二条の八第一項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する非適格合併等に該当するものに限る。)により現物出資法人に自己の株式を交付した場合
ヘ適格分社型分割又は適格現物出資により分割承継法人又は被現物出資法人に自己が有していた自己の株式を移転した場合
ト金銭等不交付株式交換(法第六十一条の二第九項に規定する金銭等不交付株式交換をいう。第十号において同じ。)又は株式移転(同条第十一項に規定する株式移転に限る。)により自己が有していた自己の株式を株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人に取得された場合
チ組織変更(当該組織変更に際して当該法人の株主等に自己の株式のみを交付したものに限る。)により株式を発行した場合
リ法第六十一条の二第十四項第一号から第三号までに掲げる株式のこれらの号に定める事由による取得の対価として自己の株式を交付した場合(同項に規定する場合に該当する場合に限る。)
ヌ株主等に対して新たに金銭の払込み又は金銭以外の資産の給付をさせないで自己の株式を交付した場合
一の二 役務の提供の対価として自己の株式を交付した場合(事後交付等の場合を除く。)の当該役務の提供に係る費用の額のうち既に終了した事業年度において受けた役務の提供に係る部分の金額(当該株式が法第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式である場合には、同項の規定の適用がないものとした場合の当該金額)に相当する金額から当該株式の発行により既に終了した事業年度において増加した資本金の額又は出資金の額を減算した金額
二 新株予約権の行使によりその行使をした者に自己の株式を交付した場合のその行使に際して払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額(法第六十一条の二第十四項に規定する場合に該当する場合における当該新株予約権が付された新株予約権付社債についての社債にあつては、当該法人のその行使の直前の当該社債の帳簿価額)並びに当該法人の当該直前の当該新株予約権の帳簿価額に相当する金額の合計額からその行使に伴う株式の発行により増加した資本金の額を減算した金額
三 取得条項付新株予約権(取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債を含む。以下この号において同じ。)についての法第六十一条の二第十四項第五号に定める事由による取得の対価として自己の株式を交付した場合(同項に規定する場合に該当する場合に限る。)の当該法人のその取得の直前の当該取得条項付新株予約権の帳簿価額(当該新株予約権付社債にあつては、当該法人の当該直前の当該新株予約権付社債の帳簿価額)に相当する金額からその取得に伴う株式の発行により増加した資本金の額を減算した金額
四 協同組合等及び次に掲げる法人が新たにその出資者となる者から徴収した加入金の額
イ企業組合、協業組合、農住組合及び防災街区計画整備組合
ロ協同組合等に該当しない農事組合法人、漁業生産組合及び生産森林組合
ハ金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十五項(定義)に規定する金融商品会員制法人及び同法第八十五条第一項(自主規制業務の委託)に規定する自主規制法人並びに会員商品取引所
五 合併により移転を受けた資産及び負債の純資産価額(次に掲げる合併の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)から当該合併による増加資本金額等(当該合併により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する合併にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該合併により被合併法人の株主等に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産(当該株主等に対する法第二条第十二号の八に規定する剰余金の配当等として交付した金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。以下この号において同じ。)の価額の合計額をいい、適格合併(法第六十一条の二第二項に規定する金銭等不交付合併に限る。)により被合併法人の株主等に法第二条第十二号の八に規定する合併親法人の株式(以下この号において「合併親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、その交付した合併親法人株式の当該適格合併の直前の帳簿価額とする。)と法第二十四条第二項(配当等の額とみなす金額)に規定する抱合株式(以下この号において「抱合株式」という。)の当該合併の直前の帳簿価額(法人を設立する合併で適格合併に該当しないものにあつては同項の規定により当該抱合株式に対して交付されたものとみなされる当該法人の株式その他の資産の価額とし、法人を設立する合併以外の合併で適格合併に該当しないものにあつては当該帳簿価額に同項又は同条第三項の規定により当該抱合株式に対して交付されたものとみなされる当該法人の株式その他の資産の価額のうち同条第一項の規定により法第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額を加算した金額とする。)とを合計した金額を減算した金額(被合併法人の全て又は当該法人が資本又は出資を有しない法人である場合には、零)
イ適格合併に該当しない合併(ロに掲げるものを除く。)当該合併に係る被合併法人の株主等に交付した当該法人の株式、金銭並びに当該株式及び金銭以外の資産並びに法第二十四条第二項の規定により抱合株式に対して交付されたものとみなされるこれらの資産の価額の合計額
ロ適格合併に該当しない合併のうち第四条の三第二項第一号(適格組織再編成における株式の保有関係等)に規定する無対価合併で同項第二号ロに掲げる関係があるもの当該合併により移転を受けた資産(営業権にあつては、第百二十三条の十第三項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する独立取引営業権(次号ハ及び第七号ハにおいて「独立取引営業権」という。)に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該合併により移転を受けた負債の価額(法第六十二条の八第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額
ハ適格合併当該適格合併に係る被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時における資本金等の額に相当する金額
六 分割型分割により移転を受けた資産(以下この号において「移転資産」という。)及び負債(以下この号において「移転負債」という。)の純資産価額(次に掲げる分割型分割の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)から当該分割型分割による増加資本金額等(当該分割型分割により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する分割型分割にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該分割型分割により分割法人(分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分割型分割により分割法人に法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人の株式(以下この号及び次号において「分割承継親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額とする。)及び当該法人が有していた当該分割型分割(第四条の三第六項第一号イに規定する無対価分割(以下この項において「無対価分割」という。)で同条第六項第二号イ(1)又は(2)に掲げる関係があるものに限る。)に係る分割法人の株式に係る法第六十一条の二第四項に規定する分割純資産対応帳簿価額(適格分割型分割に該当しない分割型分割にあつては、法第二十四条第三項の規定により当該株式に対して交付されたものとみなされる当該法人の株式の価額のうち同条第一項の規定により法第二十三条第一項第一号に掲げる金額とみなされる金額を加算した金額)を減算した金額(当該法人が資本又は出資を有しない法人である場合には、零)
イ適格分割型分割に該当しない分割型分割(ロ及びハに掲げるものを除く。)当該分割型分割により分割法人(分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)に交付した当該法人の株式その他の資産の価額の合計額
ロ適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないもの(無対価分割に該当するものを除く。)当該移転資産の価額から当該移転負債の価額を減算した金額
ハ適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち無対価分割で第四条の三第六項第二号イ(2)に掲げる関係があるもの当該移転資産(営業権にあつては、独立取引営業権に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該移転負債の価額(法第六十二条の八第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額
ニ適格分割型分割当該適格分割型分割に係る分割法人の資本金等の額につき第十五号の規定により計算した金額に相当する金額
七 分社型分割により移転を受けた資産(以下この号において「移転資産」という。)及び負債(以下この号において「移転負債」という。)の純資産価額(次に掲げる分社型分割の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)から当該分社型分割による増加資本金額等(当該分社型分割により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する分社型分割にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該分社型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分社型分割により分割法人に分割承継親法人株式を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額とする。)を減算した金額
イ適格分社型分割に該当しない分社型分割(ロ及びハに掲げるものを除く。)当該分社型分割により分割法人に交付した当該法人の株式その他の資産の価額の合計額
ロ適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないもの(無対価分割に該当するものを除く。)当該移転資産の価額から当該移転負債の価額を減算した金額
ハ適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち無対価分割で分割法人が当該法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式を除く。)の全部を保有する関係があるもの当該移転資産(営業権にあつては、独立取引営業権に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該移転負債の価額(同条第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額
ニ適格分社型分割当該適格分社型分割に係る分割法人の当該適格分社型分割の直前の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額を減算した金額
八 適格現物出資により移転を受けた資産及び当該資産と併せて移転を受けた負債の純資産価額(現物出資法人の当該適格現物出資の直前の当該資産の帳簿価額(当該資産が当該現物出資法人である公益法人等又は人格のない社団等の収益事業以外の事業に属する資産であつた場合には、当該資産の価額として当該法人の帳簿に記載された金額)から当該現物出資法人の当該適格現物出資の直前の当該負債の帳簿価額(当該負債が当該現物出資法人である公益法人等又は人格のない社団等の収益事業以外の事業に属する負債であつた場合には、当該負債の価額として当該法人の帳簿に記載された金額)を減算した金額をいう。)から当該適格現物出資により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する適格現物出資にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額
九 適格現物出資に該当しない現物出資(法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当するものに限る。以下この号において「非適格現物出資」という。)により現物出資法人に交付した当該法人の株式の当該非適格現物出資の時の価額から当該非適格現物出資により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する非適格現物出資にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額
十 株式交換(適格株式交換等に該当しない第四条の三第十八項第一号に規定する無対価株式交換で同項第二号に規定する株主均等割合保有関係がないものを除く。)により移転を受けた株式交換完全子法人の株式の取得価額(第百十九条第一項第十号(有価証券の取得価額)に規定する費用の額が含まれている場合には、当該費用の額を控除した金額)から当該株式交換による増加資本金額等(当該株式交換により増加した資本金の額、当該株式交換により株式交換完全子法人の株主に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付した金銭その他の資産を除く。)の価額並びに次に掲げる当該株式交換の区分に応じそれぞれ次に定める金額(当該株式交換に伴い当該法人がイ又はロに規定する当該法人の新株予約権に対応する債権を取得する場合には、その債権の価額を減算した金額)の合計額をいい、適格株式交換等(金銭等不交付株式交換に限る。)により株式交換完全子法人の株主に法第二条第十二号の十七に規定する株式交換完全支配親法人の株式(以下この号において「株式交換完全支配親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、当該定める金額にその交付した株式交換完全支配親法人株式の当該適格株式交換等の直前の帳簿価額を加算した金額とする。)を減算した金額
イ適格株式交換等に該当する株式交換当該株式交換完全子法人の当該株式交換により消滅をした新株予約権に代えて当該法人の新株予約権を交付した場合の当該株式交換完全子法人のその消滅の直前のその消滅をした新株予約権の帳簿価額に相当する金額
ロ適格株式交換等に該当しない株式交換当該株式交換完全子法人の当該株式交換により消滅をした新株予約権に代えて当該法人の新株予約権を交付した場合の当該新株予約権の価額に相当する金額
十一 株式移転により移転を受けた株式移転完全子法人の株式の取得価額(第百十九条第一項第十二号に規定する費用の額が含まれている場合には、当該費用の額を控除した金額)から当該株式移転の時の資本金の額及び当該株式移転により当該株式移転に係る株式移転完全子法人の株主に交付した当該法人の株式以外の資産の価額並びに次に掲げる当該株式移転の区分に応じそれぞれ次に定める金額(当該株式移転に伴い当該法人がイ又はロに規定する当該法人の新株予約権に対応する債権を取得する場合には、その債権の価額を減算した金額)の合計額を減算した金額
イ適格株式移転当該株式移転完全子法人の当該適格株式移転により消滅をした新株予約権に代えて当該法人の新株予約権を交付した場合の当該株式移転完全子法人のその消滅の直前のその消滅をした新株予約権の帳簿価額に相当する金額
ロ適格株式移転に該当しない株式移転当該株式移転完全子法人の当該株式移転により消滅をした新株予約権に代えて当該法人の新株予約権を交付した場合の当該新株予約権の価額に相当する金額
十二 資本金の額又は出資金の額を減少した場合(第十四号に規定する場合を除く。)のその減少した金額に相当する金額
十三 準備金(会社法第四百四十五条第四項(資本金の額及び準備金の額)に規定する準備金その他これに類するものをいう。)の額若しくは剰余金の額を減少して資本金の額若しくは出資金の額を増加した場合のその増加した金額又は再評価積立金を資本(株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律(昭和二十九年法律第百十号)第二条(資本組入の決議)に規定する資本をいう。)に組み入れた場合のその組み入れた金額に相当する金額
十四 資本又は出資を有する法人が資本又は出資を有しないこととなつた場合のその有しないこととなつた時の直前における資本金等の額(資本金の額又は出資金の額を除く。)に相当する金額
十五 分割法人の分割型分割の直前の資本金等の額に当該分割法人の当該分割型分割に係るイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額及びロに掲げる金額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該分割型分割が適格分割型分割でない場合において、当該計算した金額が当該分割型分割により当該分割法人の株主等に交付した分割承継法人の株式(出資を含む。以下この条において同じ。)その他の資産の価額(法第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する特定分割型分割にあつては、同項後段の規定により当該特定分割型分割に係る分割法人の株主等に交付したものとされる分割対価資産又は分割承継法人の株式の価額)を超えるときは、その超える部分の金額を減算した金額)
イ分割型分割の日の属する事業年度の前事業年度(当該分割型分割の日以前六月以内に法第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)に規定する期間(通算子法人にあつては、同条第五項第一号に規定する期間。以下この項及び次項第三号イにおいて同じ。)について同条第一項各号に掲げる事項を記載した中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該分割型分割の日までの間に確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書に係る同項に規定する期間)終了の時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該分割型分割の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合にはその増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額とし、当該直前の時において調整対象通算法人の株式を有する場合には当該株式の修正前帳簿価額が修正帳簿価額に満たないときにおけるその満たない部分の金額を加算し、又は当該株式の修正前帳簿価額が修正帳簿価額を超えるときにおけるその超える部分の金額を減算した金額とする。)
ロ分割型分割の直前の移転資産(当該分割型分割により当該分割法人から分割承継法人に移転をした資産をいう。)の帳簿価額(調整対象通算法人の株式にあつては、当該株式の修正帳簿価額を当該分割法人が当該直前に有していた当該調整対象通算法人の株式の数(出資にあつては、金額。ロにおいて同じ。)で除し、これに当該分割型分割により当該分割法人から当該分割承継法人に移転をした当該調整対象通算法人の株式の数を乗じて計算した金額)の合計額から移転負債(当該分割型分割により当該分割法人から当該分割承継法人に移転をした負債をいう。)の帳簿価額の合計額を控除した金額(当該金額がイに掲げる金額を超える場合(イに掲げる金額が零に満たない場合を除く。)には、イに掲げる金額)
十六 現物分配法人の適格株式分配の直前の当該適格株式分配によりその株主等に交付した法第二条第十二号の十五の二に規定する完全子法人の株式(次号において「完全子法人株式」という。)の帳簿価額に相当する金額
十七 現物分配法人の適格株式分配に該当しない株式分配の直前の資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額及びロに掲げる金額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該金額が当該株式分配により当該現物分配法人の株主等に交付した完全子法人株式その他の資産の価額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額)
イ当該株式分配を第十五号イの分割型分割とみなした場合における同号イに掲げる金額
ロ当該現物分配法人の当該株式分配の直前の当該株式分配に係る完全子法人株式の帳簿価額(調整対象通算法人の株式にあつては、当該株式の修正帳簿価額)に相当する金額(当該金額が零以下である場合には零とし、当該金額がイに掲げる金額を超える場合(イに掲げる金額が零に満たない場合を除く。)にはイに掲げる金額とする。)
十八 資本の払戻し等(法第二十四条第一項第四号に規定する資本の払戻し(法第二十三条第一項第二号に規定する出資等減少分配を除く。以下この号において「資本の払戻し」という。)及び解散による残余財産の一部の分配をいう。以下この号において同じ。)に係る減資資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)
イロに掲げる場合以外の場合当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、(1)に掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該資本の払戻し等が資本の払戻しである場合において、当該計算した金額が当該資本の払戻し等により減少した資本剰余金の額を超えるときは、その超える部分の金額を控除した金額)
(1)当該資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度(当該資本の払戻し等の日以前六月以内に法第七十二条第一項に規定する期間について同項各号に掲げる事項を記載した中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該資本の払戻し等の日までの間に確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書に係る同項に規定する期間)終了の時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該資本の払戻し等の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)
(2)当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額(当該減少した資本剰余金の額又は当該合計額が(1)に掲げる金額を超える場合には、(1)に掲げる金額)
ロ当該資本の払戻しを行つた法人が二以上の種類の株式を発行していた法人である場合当該資本の払戻しに係る株式の種類ごとに、当該資本の払戻しの直前のその種類の株式に係る種類資本金額(ロにおいて「直前種類資本金額」という。)に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(直前種類資本金額又は当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、直前種類資本金額及び当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、(1)に掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該金額が(2)(i)又は(ii)に掲げる場合の区分に応じそれぞれ(2)(i)又は(ii)に定める金額を超える場合には、その超える部分の金額を控除した金額)の合計額
(1)イ(1)に掲げる金額に当該資本の払戻しの直前の資本金等の額のうちに直前種類資本金額の占める割合を乗じて計算した金額
(2)次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額(当該金額が(1)に掲げる金額を超える場合には、(1)に掲げる金額)
(i)当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額のうち当該種類の株式に係る部分の金額が明らかな場合当該金額
(ii)(i)に掲げる場合以外の場合当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額に当該資本の払戻しの直前の当該資本の払戻しに係る各種類の株式に係る種類資本金額(当該種類資本金額が零以下である場合には、零)の合計額のうちに直前種類資本金額の占める割合(当該合計額が零である場合には、一)を乗じて計算した金額
十九 出資等減少分配(法第二十三条第一項第二号に規定する出資等減少分配をいう。以下この号において同じ。)に係る分配資本金額(当該出資等減少分配の直前の資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額をいい、当該計算した金額が当該出資等減少分配による出資総額等の減少額として財務省令で定める金額(ロにおいて「出資総額等減少額」という。)を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)
イ当該出資等減少分配の日の属する事業年度の前事業年度終了の時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該出資等減少分配の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)
ロ出資総額等減少額(当該出資総額等減少額がイに掲げる金額を超える場合には、イに掲げる金額)
二十 法第二十四条第一項第五号から第七号までに掲げる事由(以下この号において「自己株式の取得等」という。)により金銭その他の資産を交付した場合の取得資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該自己株式の取得等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)
イ当該自己株式の取得等をした法人が一の種類の株式を発行していた法人(口数の定めがない出資を発行する法人を含む。)である場合当該法人の当該自己株式の取得等の直前の資本金等の額を当該直前の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式を除く。)の総数(出資にあつては、総額)で除し、これに当該自己株式の取得等に係る株式の数(出資にあつては、金額)を乗じて計算した金額(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には、零)
ロ当該自己株式の取得等をした法人が二以上の種類の株式を発行していた法人である場合当該法人の当該自己株式の取得等の直前の当該自己株式の取得等に係る株式と同一の種類の株式に係る種類資本金額を当該直前の当該種類の株式(当該法人が当該直前に有していた自己の株式を除く。)の総数で除し、これに当該自己株式の取得等に係る当該種類の株式の数を乗じて計算した金額(当該直前の当該種類資本金額が零以下である場合には、零)
二十一 自己の株式の取得(適格合併又は適格分割型分割による被合併法人又は分割法人からの引継ぎを含むものとし、前号に規定する自己株式の取得等(合併による合併法人からの取得、分割型分割に係る分割法人の株主等としての取得、適格分割に該当しない無対価分割による取得で第二十三条第四項第五号(所有株式に対応する資本金等の額の計算方法等)に掲げる事由による取得に該当しないもの及び法第二条第十二号の五の二に規定する現物分配による現物分配法人からの取得を除く。)及び法第六十一条の二第十四項第一号から第三号までに掲げる株式のこれらの号に定める事由による取得で同項に規定する場合に該当するものを除く。以下この号において同じ。)の対価の額に相当する金額(その取得をした自己の株式が次に掲げるものである場合には、それぞれ次に定める金額に相当する金額)
イその取得をした自己の株式を有価証券とみなした場合に当該自己の株式が第百十九条第一項第五号から第九号まで、第二十六号又は第二十七号に掲げる有価証券に該当するときにおける当該自己の株式(ロに掲げるものを除く。)これらの号に定める金額(同項第五号から第九号までに掲げる有価証券に該当する場合にあつては、これらの号に規定する費用の額を除く。)
ロ適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により移転を受けた自己の株式第百二十三条の三第三項(適格合併及び適格分割型分割における合併法人等の資産及び負債の引継価額等)に規定する帳簿価額、第百二十三条の四(適格分社型分割における分割承継法人の資産及び負債の取得価額)に規定する帳簿価額、第百二十三条の五(適格現物出資における被現物出資法人の資産及び負債の取得価額)に規定する帳簿価額に相当する金額(同条に規定する費用の額が含まれている場合には、当該費用の額を控除した金額)又は第百二十三条の六第一項(適格現物分配における被現物分配法人の資産の取得価額)に規定する帳簿価額
二十二 当該法人(内国法人に限る。)が法第二十四条第一項各号に掲げる事由(法第六十一条の二第二項の規定の適用がある合併、同条第四項に規定する金銭等不交付分割型分割及び同条第八項に規定する金銭等不交付株式分配を除く。以下この号及び第七項において「みなし配当事由」という。)により当該法人との間に完全支配関係がある他の内国法人から金銭その他の資産の交付を受けた場合(法第二十四条第一項第二号に掲げる分割型分割、同項第三号に掲げる株式分配、同項第四号に規定する資本の払戻し若しくは解散による残余財産の一部の分配又は口数の定めがない出資についての出資の払戻しに係るものである場合にあつては、その交付を受けた時において当該他の内国法人の株式を有する場合に限る。)又は当該みなし配当事由により当該他の内国法人の株式を有しないこととなつた場合(当該他の内国法人の残余財産の分配を受けないことが確定した場合を含む。)の当該みなし配当事由に係る同項の規定により法第二十三条第一項第一号又は第二号に掲げる金額とみなされる金額及び当該みなし配当事由(当該残余財産の分配を受けないことが確定したことを含む。)に係る法第六十一条の二第十七項の規定により同条第一項第一号に掲げる金額とされる金額の合計額から当該金銭の額及び当該資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、第百二十三条の六第一項の規定により当該資産の取得価額とされる金額)の合計額を減算した金額に相当する金額(当該みなし配当事由が法第二十四条第一項第一号に掲げる合併である場合の当該合併に係る合併法人にあつては、零)
2 前項第十五号及び第十七号並びにこの項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 調整対象通算法人前項第十五号の分割型分割又は同項第十七号の株式分配に係る分割法人又は現物分配法人が通算法人である場合における他の通算法人(第二十四条の三(資産の評価益の計上ができない株式の発行法人等から除外される通算法人)に規定する初年度離脱通算子法人及び通算親法人を除く。)のうち当該分割型分割又は株式分配に基因して通算終了事由(第百十九条の三第五項(移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があつた場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例)に規定する通算終了事由をいう。次号において同じ。)が生ずるものをいう。
二 修正前帳簿価額調整対象通算法人について前項第十五号の分割型分割又は同項第十七号の株式分配に基因して通算終了事由が生じた場合における当該調整対象通算法人の株式を有していた法人の当該株式の第百十九条の三第五項に規定する直前の帳簿価額に相当する金額をいう。
三 修正帳簿価額調整対象通算法人の株式の修正前帳簿価額に次に掲げる金額をそれぞれ次に定める金額とみなして第百十九条の三第五項(第百十九条の四第一項後段(評価換え等があつた場合の総平均法の適用の特例)においてその例による場合を含む。以下この号において同じ。)の規定を適用した場合における第百十九条の三第五項に規定する簿価純資産不足額を加算し、又は当該修正前帳簿価額から次に掲げる金額をそれぞれ次に定める金額とみなして同項の規定を適用した場合における同項に規定する簿価純資産超過額を減算した金額をいう。
イ前項第十五号の分割型分割又は同項第十七号の株式分配に係る分割法人又は現物分配法人の同項第十五号イに規定する前事業年度(同項第十七号イの規定により当該株式分配を同項第十五号イの分割型分割とみなして同号イに掲げる金額を計算する場合における同号イに規定する前事業年度を含む。)終了の時(当該終了の時が当該調整対象通算法人の事業年度又は同号イに規定する中間申告書に係る法第七十二条第一項に規定する期間(前項第十七号イの規定により当該株式分配を同項第十五号イの分割型分割とみなして同号イに掲げる金額を計算する場合における同号イに規定する中間申告書に係る同条第一項に規定する期間を含む。)終了の時でない場合には、当該前事業年度終了の時の属する当該調整対象通算法人の事業年度(当該事業年度が当該分割型分割又は株式分配の日の前日の属する事業年度である場合には、その前事業年度)終了の時。(1)及びロにおいて「前期期末時」という。)において当該調整対象通算法人の有する資産の帳簿価額の合計額(次に掲げる場合には、それぞれ次に定める金額を加算した金額)当該調整対象通算法人の第百十九条の三第五項第一号に掲げる金額
(1)前期期末時から当該分割型分割又は株式分配の直前の時までの間に当該調整対象通算法人の資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。ロ(1)において同じ。)が増加した場合その増加した金額
(2)当該調整対象通算法人が当該分割型分割又は株式分配の直前の時に他の調整対象通算法人の株式を有する場合において、当該株式の修正前帳簿価額が修正帳簿価額に相当する金額として財務省令で定めるところにより計算した金額に満たないときその満たない部分の金額
ロ前期期末時において当該調整対象通算法人の有する負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額の合計額(次に掲げる場合には、それぞれ次に定める金額を加算した金額)当該調整対象通算法人の第百十九条の三第五項第二号に掲げる金額
(1)前期期末時から前項第十五号の分割型分割又は同項第十七号の株式分配の直前の時までの間に当該調整対象通算法人の資本金等の額又は利益積立金額が減少した場合その減少した金額
(2)当該調整対象通算法人が前項第十五号の分割型分割又は同項第十七号の株式分配の直前の時に他の調整対象通算法人の株式を有する場合において、当該株式の修正前帳簿価額が修正帳簿価額に相当する金額として財務省令で定めるところにより計算した金額を超えるときその超える部分の金額
3 第一項第十八号ロ及び第二十号ロに規定する種類資本金額とは、同項第十八号に規定する資本の払戻し又は同項第二十号に規定する自己株式の取得等の直前までのその種類の株式の交付(次項に規定する場合における同項に規定する合併等による交付を除く。)に係る増加した資本金の額又は出資金の額及び第一項第一号から第十一号までに掲げる金額の合計額から当該資本の払戻し又は自己株式の取得等の直前までのその種類の株式に係る同項第十五号から第二十二号までに掲げる金額の合計額(第六項に規定する場合における第一項第十五号から第十七号までに掲げる金額を除く。)を減算した金額をいう。
4 第一項の法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人、株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人とする合併、分割、適格現物出資、同項第九号に規定する非適格現物出資、株式交換又は株式移転(当該法人の株式が交付されるものに限る。以下この項において「合併等」という。)が行われた場合(当該法人が当該合併等の直後に二以上の種類の株式を発行している場合に限る。)には、当該合併等に係る増加した資本金の額又は出資金の額及び第一項第五号から第十一号までに掲げる金額の合計額を当該合併等により交付した株式の当該合併等の直後の価額の合計額で除し、これに当該合併等により交付した当該種類の株式の当該合併等の直後の価額の合計額を乗じて計算した金額を、当該種類の株式に係る前項の種類資本金額に加算する。
5 二以上の種類の株式を発行する法人を合併法人、分割承継法人又は株式交換完全親法人とする合併、分割又は株式交換(当該法人の株式が交付されないものに限る。以下この項において「合併等」という。)が行われた場合には、当該合併等に係る第一項第五号から第七号まで又は第十号に掲げる金額を当該法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式及び償還株式(法人が次に掲げる株式及び次に掲げる株式以外の株式を発行している場合における次に掲げる株式をいう。以下この項及び第七項において同じ。)を除く。)の当該合併等の直後の価額の合計額で除し、これに株式の種類ごとにその種類の株式(自己が有する自己の株式及び償還株式を除く。)の当該合併等の直後の価額の合計額を乗じて計算した金額を、それぞれその種類の株式に係る第三項の種類資本金額に加算する。
一 法人がその発行する一部の株式の内容として株主等が当該法人に対して確定額又は確定額とその確定額に対する利息に相当する金額との合計額の金銭を対価として当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合の当該株式
二 法人がその発行する一部の株式の内容として当該法人が一定の事由が発生したことを条件として確定額又は確定額とその確定額に対する利息に相当する金額との合計額の金銭を対価として当該株式の取得をすることができる旨の定めを設けている場合の当該株式
6 二以上の種類の株式を発行する法人が自己を分割法人又は現物分配法人とする分割型分割又は株式分配(以下この項において「分割型分割等」という。)を行つた場合には、当該分割型分割等に係る第一項第十五号から第十七号までに掲げる金額を当該法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式及び当該分割型分割等によつてその価額が減少しなかつたと認められる種類の株式を除く。)の当該分割型分割等の直後の価額の合計額で除し、これに株式の種類ごとにその種類の株式(自己が有する自己の株式及び当該分割型分割等によつてその価額が減少しなかつたと認められる種類の株式を除く。)の当該分割型分割等の直後の価額の合計額を乗じて計算した金額を、それぞれその種類の株式に係る第三項の種類資本金額から減算する。
7 二以上の種類の株式を発行する法人が第一項第二十二号に規定する場合に該当する場合には、同号のみなし配当事由(同号の残余財産の分配を受けないことが確定したことを含む。以下この項において同じ。)に係る同号に掲げる金額を当該法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式及び償還株式を除く。)の当該みなし配当事由が生じた時の直後の価額の合計額で除し、これに株式の種類ごとにその種類の株式(自己が有する自己の株式及び償還株式を除く。)の当該直後の価額の合計額を乗じて計算した金額を、それぞれその種類の株式に係る第三項の種類資本金額から減算する。
8 法人が法第六十一条の二第十四項第一号から第三号までに掲げる株式(以下この項において「旧株」という。)のこれらの号に定める事由による取得(同条第十四項に規定する場合に該当する場合に限る。)の対価として自己の株式(以下この項において「新株」という。)の交付をした場合には、当該事由が生じた時の直前の旧株と同一の種類の株式に係る第三項の種類資本金額を当該種類の株式(自己が有する自己の株式を除く。)の総数で除し、これに当該取得をした株式の数を乗じて計算した金額を、当該新株と同一の種類の株式に係る同項の種類資本金額に加算し、当該旧株と同一の種類の株式に係る同項の種類資本金額から減算する。
法人税法施行令第9条(利益積立金額)改正e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第二条第十八号(定義)に規定する政令で定める金額は、同号に規定する法人の当該事業年度前の各事業年度(当該法人が公共法人に該当していた事業年度を除く。以下この条において「過去事業年度」という。)の第一号から第七号までに掲げる金額の合計額から当該法人の過去事業年度の第八号から第十四号までに掲げる金額の合計額を減算した金額に、当該法人の当該事業年度開始の日以後の第一号から第七号までに掲げる金額を加算し、これから当該法人の同日以後の第八号から第十四号までに掲げる金額を減算した金額とする。
一 イからヲまでに掲げる金額の合計額からワからネまでに掲げる金額の合計額を減算した金額(当該金額のうちに当該法人が留保していない金額がある場合には当該留保していない金額を減算した金額とし、公益法人等又は人格のない社団等にあつては収益事業から生じたものに限る。)
イ所得の金額
ロ法第二十三条(受取配当等の益金不算入)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入されない金額
ハ法第二十三条の二(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入されない金額
ニ法第二十五条の二第一項(受贈益)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入されない金額
ホ法第二十六条第一項(還付金等の益金不算入)に規定する還付を受け又は充当される金額(同項第一号に掲げる金額にあつては、法第三十八条第一項(法人税額等の損金不算入)の規定により所得の金額の計算上損金の額に算入されない法人税(法第五条(内国法人の課税所得の範囲)の規定により課される法人税に限る。)の額及び地方法人税(基準法人税額に対する地方法人税に限る。ホにおいて同じ。)の額並びに当該法人税の額に係る地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及びこれらの税に係る均等割を含む。ホにおいて同じ。)の額に係る部分の金額を除く。)、法第二十六条第二項に規定する減額された金額、同条第三項に規定する減額された部分として政令で定める金額、同条第四項に規定する通算税効果額を受け取る場合のその受け取る金額(附帯税の額に係る部分の金額に限る。)及び同条第五項に規定する還付を受ける金額並びに法第百四十二条の二第一項(還付金等の益金不算入)に規定する還付を受け又は充当される金額(同項第一号に掲げる金額にあつては、法第百四十二条第二項(恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算)の規定により法第三十八条第一項の規定に準じて計算する場合に法第百四十一条第一号イ(課税標準)に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額の計算上損金の額に算入されない法人税(法第八条第一項(外国法人の課税所得の範囲)の規定により課される法人税に限る。)の額及び地方法人税の額並びに当該法人税の額に係る地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税の額に係る部分の金額を除く。)、法第百四十二条の二第二項に規定する減額された部分として政令で定める金額及び同条第三項に規定する還付を受ける金額
ヘ法第二十六条第四項に規定する通算税効果額を受け取ることとなる場合のその受け取ることとなる金額(附帯税の額に係る部分の金額を除く。)
ト法第五十七条(欠損金の繰越し)又は第五十九条(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)の規定により所得の金額の計算上損金の額に算入される金額
チ法第六十一条の十一第八項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用がある譲渡損益調整資産(同条第一項に規定する譲渡損益調整資産をいう。チ及びタにおいて同じ。)に係る同条第一項に規定する譲渡利益額に相当する金額から同条第八項の規定の適用がある譲渡損益調整資産に係る同条第一項に規定する譲渡損失額に相当する金額を減算した金額
リ法第六十四条の三第三項(法人課税信託に係る所得の金額の計算)に規定する資産の同項に規定する帳簿価額から同項に規定する負債の同項に規定する帳簿価額を減算した金額
ヌ法第六十四条の五第一項(損益通算)の規定により所得の金額の計算上損金の額に算入される金額
ル法第六十四条の八(通算法人の合併等があつた場合の欠損金の損金算入)の規定により所得の金額の計算上損金の額に算入される金額
ヲ第百三十六条の三第一項(医療法人の設立に係る資産の受贈益等)に規定する金銭の額又は金銭以外の資産の価額及び同条第二項に規定する利益の額
ワ欠損金額
カ法人税(当該過去事業年度又は当該事業年度の所得に対する法人税に限るものとし、法第三十八条第一項第二号に掲げる法人税及び附帯税を除く。カにおいて同じ。)及び地方法人税(基準法人税額に対する地方法人税に限るものとし、同項第四号及び第五号に掲げる地方法人税並びに附帯税を除く。)として納付することとなる金額、地方税法の規定により当該法人税に係る道府県民税及び市町村民税(都民税及びこれらの税に係る均等割を含む。)として納付することとなる金額並びに同条第三項に規定する通算税効果額を支払うこととなる場合のその支払うこととなる金額(附帯税の額に係る部分の金額を除く。)
ヨ法第二十七条(中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金額の益金算入)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入される金額及び法第百四十二条の二の二(中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金額の益金算入)の規定により法第百四十一条第一号イに掲げる国内源泉所得に係る所得の金額の計算上益金の額に算入される金額
タ法第六十一条の十一第七項の規定により譲渡損益調整資産の取得価額に算入しない金額から同項の規定により譲渡損益調整資産の取得価額に算入する金額を減算した金額
レ法第六十四条の五第三項の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入される金額
ソ法第六十四条の七第六項(欠損金の通算)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入される金額
ツ第十九条第六項(関連法人株式等に係る配当等の額から控除する利子の額)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入される金額
ネ第百十九条の三第十項(移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があつた場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例)(第百十九条の四第一項後段(評価換え等があつた場合の総平均法の適用の特例)においてその例による場合を含む。)の規定により第百十九条の三第十項に規定する他の法人の株式又は出資の同項に規定する基準時の直前における帳簿価額から減算される金額
二 当該法人を合併法人とする適格合併により当該適格合併に係る被合併法人から移転を受けた資産の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時の帳簿価額(当該適格合併に基因して第六号に掲げる金額が生じた場合には、当該金額に相当する金額を含む。)から当該適格合併により当該被合併法人から移転を受けた負債の当該終了の時の帳簿価額並びに当該適格合併に係る前条第一項第五号に掲げる金額、同号に規定する増加資本金額等及び同号に規定する抱合株式の当該適格合併の直前の帳簿価額の合計額を減算した金額(当該法人を合併法人とする適格合併に係る被合併法人が公益法人等である場合には、当該被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時の利益積立金額に相当する金額)
三 当該法人を分割承継法人とする適格分割型分割により当該適格分割型分割に係る分割法人から移転を受けた資産の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額から当該適格分割型分割により当該分割法人から移転を受けた負債の当該直前の帳簿価額並びに当該適格分割型分割により増加した資本金等の額(当該適格分割型分割が当該法人を設立するものである場合には、当該法人の設立の時の資本金等の額)、当該適格分割型分割により当該分割法人に交付した前条第一項第六号に規定する分割承継親法人株式の当該直前の帳簿価額及び当該法人が有していた当該適格分割型分割(第四条の三第六項第一号イ(適格組織再編成における株式の保有関係等)に規定する無対価分割に該当するものに限る。)に係る分割法人の株式に係る法第六十一条の二第四項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する分割純資産対応帳簿価額の合計額を減算した金額
四 当該法人を被現物分配法人とする適格現物分配により当該適格現物分配に係る現物分配法人から交付を受けた資産の当該適格現物分配の直前の帳簿価額に相当する金額(当該適格現物分配が法第二十四条第一項第四号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由に係るものである場合には、当該適格現物分配に係る同項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額を除く。)
五 資本又は出資を有する法人が資本又は出資を有しないこととなつた場合のその有しないこととなつた時の直前における資本金等の額に相当する金額
六 通算法人が第百十九条の三第五項に規定する他の通算法人の株式又は出資を有する場合において、当該他の通算法人について同項に規定する通算終了事由が生ずるときの同項に規定する簿価純資産不足額に相当する金額から同項に規定する簿価純資産超過額に相当する金額を減算した金額
七 当該法人が有する当該法人との間に完全支配関係(通算完全支配関係を除く。)がある法人(以下この号において「子法人」という。)の株式又は出資について寄附修正事由(子法人が他の内国法人から法第二十五条の二第二項に規定する受贈益の額で同条第一項の規定の適用があるものを受け、又は子法人が他の内国法人に対して法第三十七条第七項(寄附金の損金不算入)に規定する寄附金の額で同条第二項の規定の適用があるものを支出したことをいう。以下この号において同じ。)が生ずる場合の当該受贈益の額に当該寄附修正事由に係る持分割合(当該子法人の寄附修正事由が生じた時の直前の発行済株式又は出資(当該子法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額のうちに当該法人が当該直前に有する当該子法人の株式又は出資の数又は金額の占める割合をいう。以下この号において同じ。)を乗じて計算した金額から寄附修正事由が生ずる場合の当該寄附金の額に当該寄附修正事由に係る持分割合を乗じて計算した金額を減算した金額
八 剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの並びに分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)若しくは剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配(法第二十三条第一項第二号に規定する出資等減少分配を除く。)又は資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配の額として株主等に交付する金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額(法第二十四条第一項の規定により法第二十三条第一項第一号又は第二号に掲げる金額とみなされる金額を除く。)
九 分割型分割(適格分割型分割を除く。)に係る分割法人が当該分割型分割により当該分割法人の株主等に交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額(法第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する特定分割型分割にあつては、同項後段の規定により当該特定分割型分割に係る分割法人が当該分割法人の株主等に交付したものとされる同項に規定する分割対価資産又は分割承継法人の株式若しくは出資の価額)から前条第一項第十五号に掲げる金額を減算した金額
十 当該法人を分割法人とする適格分割型分割により当該適格分割型分割に係る分割承継法人に移転をした資産の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額から当該適格分割型分割により当該分割承継法人に移転をした負債の当該直前の帳簿価額及び当該適格分割型分割に係る前条第一項第十五号に掲げる金額の合計額を減算した金額
十一 株式分配(適格株式分配を除く。)に係る現物分配法人が当該株式分配により当該現物分配法人の株主等に交付した法第二条第十二号の十五の二に規定する完全子法人の株式その他の資産の価額の合計額から前条第一項第十七号に掲げる金額を減算した金額
十二 前条第一項第十八号に規定する資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額が当該資本の払戻し等に係る同号に規定する減資資本金額を超える場合におけるその超える部分の金額
十三 前条第一項第十九号に規定する出資等減少分配により交付した金銭の額が当該出資等減少分配に係る同号に規定する分配資本金額を超える場合におけるその超える部分の金額
十四 前条第一項第二十号に規定する合計額が同号に規定する取得資本金額を超える場合におけるその超える部分の金額
4.資本等取引の適用例
A 株式会社とその株主B との間の次の取引につき、A 社に対して、法人税法施行令8条と9条のどの規定が適用さ
れるか。
①B がA 社に1 億円を出資した。 →法人税法施行令8条1項1号
②A 社がB に100 万円の剰余金を配当した。 →法人税法施行令9条1項8号
③A 社がB に自己の株式を譲渡し、対価として1000 万円を受け取った。 →法人税法施行令8条1項1号
④A 社がB から自己の株式を取得し、対価として1000 万円を支払った。 →法人税法施行令8条1項18号第2節 益金の意義
322.01概説
引用条文の現行全文2条2026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下この条において「資産の販売等」という。)に係る収益の額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
2 内国法人が、資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて当該資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日その他の前項に規定する日に近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合には、同項の規定にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
3 内国法人が資産の販売等を行つた場合(当該資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて第一項に規定する日又は前項に規定する近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合を除く。)において、当該資産の販売等に係る同項に規定する近接する日の属する事業年度の確定申告書に当該資産の販売等に係る収益の額の益金算入に関する申告の記載があるときは、その額につき当該事業年度の確定した決算において収益として経理したものとみなして、同項の規定を適用する。
4 内国法人の各事業年度の資産の販売等に係る収益の額として第一項又は第二項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とする。
5 前項の引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、同項の資産の販売等につき次に掲げる事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とする。
一 当該資産の販売等の対価の額に係る金銭債権の貸倒れ
二 当該資産の販売等(資産の販売又は譲渡に限る。)に係る資産の買戻し
6 前各項及び前条第二項の場合には、無償による資産の譲渡に係る収益の額は、金銭以外の資産による利益又は剰余金の分配及び残余財産の分配又は引渡しその他これらに類する行為としての資産の譲渡に係る収益の額を含むものとする。
7 前二項に定めるもののほか、資産の販売等に係る収益の額につき修正の経理をした場合の処理その他第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法
第二編 内国法人の法人税第一章 各事業年度の所得に対する法人税第一節 課税標準及びその計算第一款 課税標準(各事業年度の所得に対する法人税の課税標準)
第二十一条 内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。
第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
第三款 益金の額の計算第一目 収益の額第二十二条の二 内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下この条において「資産の販売等」という。)に係る収益の額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
2 内国法人が、資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて当該資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日その他の前項に規定する日に近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合には、同項の規定にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
3 内国法人が資産の販売等を行つた場合(当該資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて第一項に規定する日又は前項に規定する近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合を除く。)において、当該資産の販売等に係る同項に規定する近接する日の属する事業年度の確定申告書に当該資産の販売等に係る収益の額の益金算入に関する申告の記載があるときは、その額につき当該事業年度の確定した決算において収益として経理したものとみなして、同項の規定を適用する。
4 内国法人の各事業年度の資産の販売等に係る収益の額として第一項又は第二項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とする。
5 前項の引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、同項の資産の販売等につき次に掲げる事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とする。
一 当該資産の販売等の対価の額に係る金銭債権の貸倒れ二 当該資産の販売等(資産の販売又は譲渡に限る。)に係る資産の買戻し6 前各項及び前条第二項の場合には、無償による資産の譲渡に係る収益の額は、金銭以外の資産による利益又は剰余金の分配及び残余財産の分配又は引渡しその他これらに類する行為としての資産の譲渡に係る収益の額を含むものとする。
7 前二項に定めるもののほか、資産の販売等に係る収益の額につき修正の経理をした場合の処理その他第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
1.法人税法22条2項を読む
(1)「資本等取引」からは益金が生じない
(2)「取引に係る」と規定していることから未実現の利得を原則として課税の対象から除外
(3)「有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供」→4 通りの組み合わせ(有償/無償)×(資産の譲渡/役務の提供)
(4)「無償による資産の譲受け」に係る収益の額も益金(受贈益) ※「無償による役務の受領」は益金とされていない
(5)「別段の定め」があればそれに従って、益金の額を計算する。
2.法人税法22条の2
法人税法22条の2 第4項かっこ書き「前条第四項を除く。」の意義
3.大竹貿易株式会社事件
大竹貿易株式会社事件 最高裁平成5年11月25日判決(民集47-9-5278) 百選65
- 事案
- Xは、ビデオデッキ、カラーテレビ等の輸出取引を業とする株式会社であるが、Xと海外の顧客との間の輸出取引は、Xにおいて輸出商品を船積みし、運送人から船荷証券の発行を受けた上、商品代金取立てのための為替手形を振り出して、これに船荷証券その他の船積書類を添付し、いわゆる荷為替手形として、これをXの取引銀行で買い取ってもらうというものであった。なお、国際商業会議所において採択された貿易条件の解釈に関する国際規則(インコタームス)に示された主要貿易条件に関する統一的解釈によれば、右のように船荷証券が発行されている場合には、Xが採用しているいずれの貿易条件によっても、売主が船荷証券を中心とする船積書類を整えて買主に提供したときに、商品の所有権は買主に移転し、その効果が船積みの時にさかのぼるものとされている。
Xは、前記の荷為替手形を取引銀行で買い取ってもらう際に船荷証券を取引銀行に交付することによって商品の引渡しをしたものとして、従前から、荷為替手形の買取りの時点において、その輸出取引による収益を計上してきており(以下、この会計処理基準を「為替取組日基準」という。)、昭和五五年三月期及び同五六年三月期においても、輸出取引による収益を右の為替取組日基準によって計上して所得金額を計算し、法人税の申告を行った。
これに対し、Yは、為替取組日基準により収益を計上する会計処理は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合せず、輸出取引による収益を船積日基準によって計上すべきものとして、Xの昭和五五年三月期及び同五六年三月期の所得金額及び法人税額の更正を行った。
- 論点
- 輸出取引にかかる収益の計上時期
- 条文
- 法人税法22条2項、4項
- 判旨
- 「法人税法二二条四項は、現に法人のした利益計算が法人税法の企図する公平な所得計算という要請に反するものでない限り、課税所得の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地から、収益を一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計上すべきものと定めたものと解されるから、右の権利の確定時期に関する会計処理を、法律上どの時点で権利の行使が可能となるかという基準を唯一の基準としてしなければならないとするのは相当でなく、取引の経済的実態からみて合理的なものとみられる収益計上の基準の中から、当該法人が特定の基準を選択し、継続してその基準によって収益を計上している場合には、法人税法上も右会計処理を正当なものとして是認すべきである。しかし、その権利の実現が未確定であるにもかかわらずこれを収益に計上したり、既に確定した収入すべき権利を現金の回収を待って収益に計上するなどの会計処理は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとは認め難いものというべきである。」
「これを本件のようなたな卸資産の販売による収益についてみると、前記の事実関係によれば、船荷証券が発行されている本件の場合には、船荷証券が買主に提供されることによって、商品の完全な引渡しが完了し、代金請求権の行使が法律上可能になるものというべきである。したがって、法律上どの時点で代金請求権の行使が可能となるかという基準によってみるならば、買主に船荷証券を提供した時点において、商品の引渡しにより収入すべき権利が確定したものとして、その収益を計上するという会計処理が相当なものということになる。しかし、今日の輸出取引においては、既に商品の船積時点で、売買契約に基づく売主の引渡義務の履行は、実質的に完了したものとみられるとともに、前記のとおり、売主は、商品の船積みを完了すれば、その時点以降はいつでも、取引銀行に為替手形を買い取ってもらうことにより、売買代金相当額の回収を図り得るという実情にあるから、右船積時点において、売買契約による代金請求権が確定したものとみることができる。したがって、このような輸出取引の経済的実態からすると、船荷証券が発行されている場合でも、商品の船積時点において、その取引によって収入すべき権利が既に確定したものとして、これを収益に計上するという会計処理も、合理的なものというべきであり、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものということができる。」
「これに対して、Xが採用している会計処理は、…為替取組日基準によって収益を計上するものである。しかし、この船荷証券の交付は、売買契約に基づく引渡義務の履行としてされるものではなく、為替手形を買い取ってもらうための担保として、これを取引銀行に提供するものであるから、右の交付の時点をもって売買契約上の商品の引渡しがあったとすることはできない。そうすると、Xが採用している為替取組日基準は、右のように商品の船積みによって既に確定したものとみられる売買代金請求権を、為替手形を取引銀行に買い取ってもらうことにより現実に売買代金相当額を回収する時点まで待って、収益に計上するものであって、その収益計上時期を人為的に操作する余地を生じさせる点において、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとはいえないというべきである。このような処理による企業の利益計算は、法人税法の企図する公平な所得計算の要請という観点からも是認し難い…。」
- 解説
- (権利確定主義)①今日の経済取引においては、信用取引が支配的であるから、たとえ現実の収入がなくても、収入すべき権利が確定すれば、その段階で所得の実現があったと考えるのが合理的であること、②現金主義の下では、租税を回避するため、収入の時期を先に引き延ばし、あるいは人為的に操作する傾向が生じやすいこと、にかんがみると、(広義の発生主義のうちの)権利確定主義が妥当/(公正処理基準)法的な観点から見た場合は、「公正妥当」という観念の中には、法的救済の機会の保証も含まれている/(収益の年度帰属・実現主義)船荷証券の発行されている商品の輸出取引による収益の年度帰属については、すでに成立している売買契約の履行の一環としての船積みによって、引き渡すべき商品が特定し、また売買代金債権が確定するから、船積みの時点で収益が発生すると解すべきである。
③本件判決が船積日基準を合理的であるとする理由はどこにあるか。為替取組日基準を排斥する理由はどこにあるか。
既に商品の船積時点で売買契約に基づく売主の引渡義務の履行は実質的に完了したものとみられるとともに、売主は商品の船積みを完了すればその時点以降いつでも為替手形を買い取ってもらうことにより、売買代金相当額の回収を図り得、代金請求権が確定したものとみることができる。よって、商品の船積時点でその取引によって収入すべき権利が確定したものとして、これを収益に計上する会計処理も合理的である。
船荷証券の交付は、売買契約に基づく引渡義務の履行としてではなく、為替手形を買い取ってもらうための担保として提供するものだから、為替手形交付の時点で売買契約上の商品の引渡しがあったとすることはできない。よって、為替取組日基準は収益計上時期を人為的に操作する余地を生じさせ、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとはいえず、法人税法の企図する公平な所得計算の要請という観点からも是認しがたい。
※本判決の反対意見は、為替取組日基準も合理的であると結論している。どうして法廷意見とことなる結論に至ったか。
原則として売主が船荷証券を買主に引き渡すことによって売買契約に基づく商品引渡義務を完全に履行したといえるが、船荷証券を取引銀行に交付することは、買主への船荷証券の引渡しと同視でき、これにより商品の引渡しのために行うべき行為を完了したことになるから、為替取扱日基準による会計処理も一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合する。
322.02無償による資産の譲渡
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 12026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
法人税法第37条(寄附金の損金不算入)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ広く一般に募集されること。
ロ教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下第六項までにおいて同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
5 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに公益信託に関する法律第二条第一項第一号(定義)に規定する公益信託の信託財産とするために支出した当該公益信託に係る信託事務に関連する寄附金(出資に関する信託事務に充てられることが明らかなもの及び第三項各号又は前項に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が前項に規定する政令で定めるところにより計算した金額から同項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額を控除した金額を超える場合には、当該控除した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
6 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。
7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項及び第五項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項又は第五項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金がこれらの規定に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項から第五項までの規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
10 税務署長は、第四項又は第五項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項又は第五項の規定を適用することができる。
11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。
12 第六項から前項までに定めるもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
削除
南西通商株式会社事件 最判H7.12.19 民集49-10-3121
最判H7.12.19 民集49-10-3121 南西通商株式会社事件
- 要旨
- 被上告人である税務署長が、上告人会社に対し行った法人税についての更正処分と原告会社の代表取締役である上告人Aに対して行った所得税についての更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分につき、上告人らが被告に対し各処分の取消しを求めた事案の上告審で、資産の低額譲渡が行われた場合には、譲渡時における当該資産の適正な価額をもって法人税法22条2項にいう資産の譲渡に係る収益の額に当たると解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断を正当と是認して、上告を棄却した事例。
- 論点
- 低額譲渡と法人税法22条2項
- 適用条文
- 法人税法22条2項、37条7項
- 判旨
- 1 「〔法人税法22条2項は〕法人が資産を他に譲渡する場合には、その譲渡が代金の受入れその他資産の増加を来すべき反対給付を伴わないものであっても、譲渡時における資産の適正な価額に相当する収益があると認識すべきものであることを明らかにしたものと解される」
2 「…資産の低額譲渡は、〔法人税法22条2項〕にいう有償による資産の譲渡に当たることはいうまでもないが、この場合にも、当該資産には譲渡時における適正な価額に相当する経済的価値が認められるのであって、たまたま現実に収受した対価がそのうちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識され得ないものとすれば、前記のような取扱いを受ける無償譲渡の場合との間の公平を欠くことになる。したがって、右規定の趣旨からして、この場合に益金の額に算入すべき収益の額には、〔ⅰ〕当該資産の譲渡の対価の額のほか、〔ⅱ〕これと右資産の譲渡時における適正な価額との差額も含まれるものと解するのが相当である。このように解することは、〔法人税法37条7項〕が、資産の低額譲渡の場合に、当該譲渡の対価の額と当該資産の譲渡時における価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額が寄付金の額に含まれるものとしていることとも対応するものである。」
3 「以上によれば、資産の低額譲渡が行われた場合には、譲渡時における当該資産の適正な価額をもって〔法人税法22条2項〕にいう資産の譲渡に係る収益の額に当たると解するのが相当である。…そして、原審の適法に確定した事実関係の下においては、本件株式の時価として原審が認定した額とその実際の譲渡対価の額との差額に相当する金額が益金に算入されるべきであるとした原審の判断も、正当として是認することができる。」
1.事案の検討
①本件判決は、資産の低額譲渡について、法人税法22条2項のどの規定を適用したか。第一審判決と対比せよ。
→「有償による資産の譲渡」
- cf.第一審
- 「このような〔法人税法22条2項〕の趣旨及び〔法人税法37条7項〕が資産の低額譲渡の場合に譲渡価額と時価との差額を寄附金に含めていることからすれば、同項の無償譲渡には時価より低い価額による取引が含まれるものと解するのが相当である。したがって、原告会社が、時価より低い価格で本件株式を譲渡した本件には、〔法人税法22条2項〕が適用され、本件株式の譲渡価格と時価との差額に相当する金額が益金に算入されるというべきである。」→無償譲渡に含ませているようにも見えるが厳密に言えば、不明確
②判旨第2 段落の論理のはこびを整理せよ。
資産の低額譲渡は、〔法人税法22条2項〕にいう有償による資産の譲渡に当たる↓この場合にも、当該資産には適正な価額に相当する経済的価値が認められる↓たまたま現実に収受した対価がその〔=当該資産の適正な価額に相当する経済的価値の〕うちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識され得ないものとすれば、無償譲渡の場合との間の公平を欠く↓結論したがって、右規定の趣旨からして、この場合に益金の額に算入すべき収益の額には、〔ⅰ〕当該資産の譲渡の対価の額のほか〔ⅱ〕これと右資産の譲渡時における適正な価額との差額も含まれるものと解するのが相当↓付加的な理由(法人税法37条7項との整合性)
③資産の適正な価額は、どのように認定すべきか。
- 第一審
- 「…宮崎太陽銀行の株式は、本件株式の各譲渡がなされた当時、取引相場のない株式であったこと、持株会は、宮崎太陽銀行の株式を会員以外の特別な利害関係がない者からも購入していたこと、持株会の買収価格は、単位未満株式の買収価格と同額であるが、照会があれば、公表され、一般の株主もその価格を知り得る状態であったこと、持株会は、昭和五七年以降宮崎太陽銀行の筆頭株主となっていたこと、持株会の取引数は、昭和六二年、昭和六三年及び平成元年において、宮崎太陽銀行の株式の取引総数に対して、低くはない一定の割合を占めており、持株会の取引が右期間において経常的に行われていたこと、宮崎太陽銀行の単位未満株式の買取価格は、昭和六三年四月以前には、同種の銀行の株価を参考に取締役会で決めていたが、同月以降は野村証券株式会社に評価させており、野村証券株式会社は、類似会社と比較して、その株価を算定していたこと、その際の単位未満株式の買取価格は、照会があれば公表され、一般の株主もその価格を知り得る状態であったこと、上場されるまでの間の宮崎太陽銀行の株式価格については西日本新聞紙上に店頭気配値が公表されていたこと(右店頭気配値は、一般の株主が宮崎太陽銀行の株式を取引する際、価格の決定について参考とされるものであったと推認される。)、被告は、前記持株会の買取価格または宮崎太陽銀行の単位未満株式の買取価格を基準として、本件株式の各譲渡当時の時価をそれぞれ認定したが、被告の認定額はいずれも前記の買取価格を上回るものではなく、店頭気配値と概ね同額か近似した価格であったことが認められる。
これらの事実及び原告会社は、原告岡が代表取締役としてその経営を支配する会社であり、その資本金も原告岡が実質的に全額出資し、他の株主は名目上のものにすぎないという会社であり、原告会社と原告岡との間の取引においては、価格を原告岡において任意に設定しうることを考慮すれば、被告が時価として認定した本件株式の各譲渡当時の価格は、当時の客観的な交換価値を上回るものではないと認めることができる。したがって、前記1(五)のとおり、昭和六三年四月一日当時の本件株式の時価を一株二八〇円、平成元年三月三一日当時の本件株式の時価を一株四三〇円であると被告が認定したことに違法は存しないというべきである。
3 原告らは、時価の算定にあたっては、本件株式の各譲渡が実質上同一人格間の取引であること、本件は一四万株と多量の株式が譲渡された場合であるから、一株あたりの金額が通常低くなるということを考慮して決定されるべきであると主張するので、以下検討する。
時価とは、正常な取引において形成された価額、すなわち客観的な交換価値をいうと解され、原告会社は、実質は原告岡が資本金を全額出資した会社であるが、原告会社と原告岡とは別の人格を有しており、右のとおり時価が客観的な交換価値であることを考えれば、原告会社と原告岡との関係は、価額を任意に決定できる事情とはなりえても、このことにより、時価が一般の場合より低く定まるとする根拠とは考えられない。
また、多量の株式が譲渡されたことにより、一株あたりの金額が低くなる場合とは、公開の市場等で、価格の形成につき特別の動機を持たない者の間で取引が行われている際に、多量の株式が供給され、その株式に対する需要を供給が上回った場合を考えることができるが、本件株式の各譲渡は、会社とその代表者との間で行われたものであり、公開の市場において行われたものではなく、譲渡当事者の特別な関係に鑑みるときには、客観的な交換価値である時価の形成には関係なく行われたものと認めるのが相当である。」
④本件株式の含み益をX1 の段階で認識するのは何のためか。
- A.適正所得算出説(第一審)
- 「…無償譲渡の場合には、外部からの経済的な価値の流入はないが、法人は譲渡時まで当該資産を保有していたことにより、有償譲渡の場合に値上がり益として顕在化する利益を保有していたものと認められ、外部からの経済的な価値の流入がないことのみをもって、値上がり益として顕在化する利益に対して課税されないということは、税負担の公平の見地から認められない。したがって、同項は、正常な対価で取引を行った者との間の負担の公平を維持するために、無償取引からも収益が生ずることを擬制した創設的な規定と解される。」
- B.清算課税説
- 所得課税の論理からは、資産の値上がり益は、その資産を値上がり時に保有していた者に対して課税されるべきである。つまり、資産値上がり益は、資産を保有していた者、すなわち、資産を譲渡したものに帰属する。譲渡という行為は、資産を保有していたものに対して値上がり益に課税ができる最後の機会である。したがって、譲渡者は、譲渡資産にかかる価値変動を、譲渡を機会として清算し課税を受けるべきこととなる。たとえ対価が無償であっても、値上がり益は存在するから、清算課税は発生する。26→AB両者は排他的関係に立たない(私見)
⑤代表取締役のX2 はどう課税されるか。
- 第一審
- 「…原告会社〔X1〕と原告岡〔X2〕の人的関係に照らし、被告が認定した本件株式の時価と原告岡の譲受価格との差額を所得税法三六条所定の経済的利益と認め、所得税法二八条の給与所得(賞与)にかかる収入金額に算入する更正処分を行い、これとともに過少申告加算税の賦課決定処分を行った被告の本件第二処分も適法」
2.相互タクシー事件
最判S41.6.24 民集20-5-1146 相互タクシー事件
- 要旨
- 会社が、その所有する増資会社の株式を一時自社の重役に信託的に譲渡し株主名義を重役個人に書き換える方法により、または増資会社から第三者指名権を与えられて自社の重役個人を指名する方法により、これらの重役に各社の増資新株の割り当てを受けさせ、それぞれの新株を取得させた。
- 論点
- 他社の増資新株の取得と重役への課税(新株引受権)
- 適用条文
- 法人税法22、35
- 判旨
- 移転の対象となった経済的利益は、会社所有の増資会社株式について生じる新株プレミアムその利益の移転は、株式の値上がり部分の価値の流出を意味する→未計上の資産取得価額以上に値上りしているがその値上り部分を計上していない資産の譲渡をしたときは、その資産に適正な価額を付して会社の資産に計上し、流出すべき資産価値の存在とその価額を確定することは、会社の資産の増減を明確にするため当然必要な措置であって、このような隠れていた資産価値の計上は当該事業年度において資産を増加しその増加資産額に相当する益金を構成するものといわなければならなく、そしてこのことは、社外流出の資産に対し代金の受入その他資産の増加を来すべき反対給付を伴うか否かにかかわらない。
- 解説
- 法人税法22条2項は益金を取引にかかる収益として観念しているが、このことは、法人税法も、所得税法と同様に原則として実現した利益のみが所得であるという考え方(実現原則)を採用していることを意味する。実現した利益はすべて益金に含まれるというのがこの規定の趣旨であり、その意味で、法人税法についても所得概念は包括的に構成されていると解すべきである。
3.関連裁判例
相互タクシー事件最判の考え方に従った例
- 大阪高判S43.6.27
- 会社資産に未計上の借地権であっても、これを第三者に譲渡するときは資産計上し、その譲渡が無償であるときはその価額相当額について旧法人税法9条3項の寄附金として取り扱うべきである。
322.03無償による役務の提供
引用条文の現行全文5条執筆時から改正 12026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
削除
民法第404条(法定利率)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十五号
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
4 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除して計算した割合(その割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。
法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロその事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。
所得税法第59条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するもの及び公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)に限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの並びに公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
清水惣事件 大阪高裁昭和53年3月30日判決(高裁民31巻1号63頁) 百選53
1.事案の検討
(1)①法人税法22条2項は、なぜ、無償による役務の提供からも収益が生ずる旨を定めたのであろうか。本件判決の理由づけを整理せよ。
法人税法22条2項は、資本等取引以外において資産の増加の原因となるべき一切の取引によって生じた収益の額を益金として算入すべきものとする趣旨である。そして、役務の無償提供は実質的に見た場合において、役務の有償提供によって得た代償を無償で給付したのと同じであるから担税力を示すものとして、これを収益発生源として規定した。さらに、金銭を他人に貸し付けた場合には、借主においてこれを利用しうる期間内における右果実相当額の利益を享受しうるのであるから、ここに貸主から借主への利益の移転があったものとされる。
②役務の無償提供に関する本件判決の判旨を、資産の低額譲渡に関する322.02(南西通商事件)と比較せよ。
南西通商事件では、資産の低額譲渡は、無償譲渡ではなく有償譲渡であるが、適正価額と対価の差額が収益の額に認識されないとすると「無償譲渡の場合との公平性を欠く」として、差額も収益に含まれるとした。本件では、無償譲渡が収益を発生させる実質的理由が述べられているが、南西通商事件では低額譲渡が収益を発生させる実質的な理由は述べられていない点が、両判決の違い。
③法人税法22条2項の無償取引にかかる規定は、昭和40年の法人税法全文改正によって現在の形をとるに至ったものである。本件では、昭和39 事業年度には改正前の旧法が、昭和40 事業年度には改正後の現行法が、それぞれ適用されている。この規定は、確認的規定か、それとも創設的規定か。
判旨(四)「しかし本件に適用されるべき法条に関する法の規定は旧法の解釈上も妥当と考えられていたところを法文化したもの」という部分から、本規定は確認規定であると考えられる。
(2)①Y 税務署長は、更正処分において、適正な利益相当額と寄付金の損金算入限度額の差額を益金に加算した。
この処理は適切か。
処理の方法は妥当である。本問の問いの意味としては、差額を益金に加算するのではなく、無利息貸付により発生した益金及び貸主から借主へ移転した利益たる損金をいちいち計上すべきではないかということと解される。法の趣旨としては、いちいち計上するのが妥当であろう。その意味では税務署の処理は適切ではない。しかし、総額主義の建前からして、課税額はおなじであるので、処分の取消しを求める取消訴訟は認められない。
②適正な利息相当額はどのようにして算定すべきか。
適正な利息相当額は、取引の態様、規模、頻度等によって取引ごとに個別具体的に決まるものであるとも考えられる。しかし、課税実務において、そのような個々の取引ごとに適正な利息を算出することは多大な手間がかかること、および、金銭債権については法定利率が決まっていることから、商人間の取引ならば年6分、それ以外は年5分とするのが、合理的な考え方であろう(商法514条、民法404条参照)。
(3)①本件のX とT はともに同族会社である。法人税法132条の適用の可能性はあるか。
法人税法132条の適用には、「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる」場合でなくてはならない。本件では、Xが黒字でTが赤字ならば、XがTに無利息で融資したことによりXの益金が過大に減少することがあれば、「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる」場合として同条の適用がありうる。ただし、法条競合の場合には、22条が優先されるのが通説。
②もしXとTが非同族会社の場合、結論は異なっていたか。
本件では法人税法22条2項の適用例なので、同族・非同族は関係がない。ただし、判旨「合理的な経済目的」が認定されて結論が異なる場合も考えられる。
2.合理的な経済目的
合理的な経済目的がある場合には、無利息融資をなした法人に収益が生じないと解すべきか。
約定利息は私的自治が妥当するものであり、無利息約定も当然に認められるものである。ゆえに、本件判決にもあるように、合理的な経済目的がある場合には、法人には収益が発生しないと考えるべきである。
国税不服審判所裁決昭和56年10月14日
貸付金から生ずる利息は、当該利息の計算期間の経過に応じて益金の額に算入するのが原則であるが、債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により、その支払を督促したにもかかわらず、相当期間未収の状態が継続し、現実に利息を回収することが極めて困難であり、未収利息を益金の額に算入することが著しく実情に即さないと認められる場合には、実際に利息を回収するまで益金の額に算入しないことも、公正妥当な会計処理の基準に従っているものと解すべきである。ところで、本件貸付金利息を免除した関連会社は、業績が逐年悪化し、相当期間債務超過の状態が継続しており、同社から、現実に利息を回収することは極めて困難な状態にあったことが認められる。したがって、本件利息を法人の益金の額に算入すべきものと認定し、当該金額を免除したことは、相手方会社に対する経済的利益の無償供与に当たるから法人税法上の寄付金には当らないとするのが相当である。
東京地判昭和61年9月29日
[要旨] ホテル業務一切の委託を受けた親会社が、委託者である子会社に対する賦課金の一部を遡及的に免除したことが、寄付金に当るとされた事例。
法人税基本通達9-4-2
(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2 において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭55年直法2-8「三十三」により追加、平10年課法2-6 により改正)
(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。
3.対価的意義を有する利益
本件判決は、「対価的意義を有するものと認められる経済的利益の供与を受けている場合にも、無償取引に係る収益
は生じないとしている。
①対価があるのならそれは有償取引であるから、このこと自体はむしろ当然ではないか。
「対価的意義を有する」とは、客観的な取引自体は無償取引であるが、当該取引以外に何らかの対価を得ているものがある場合を意味すると考える。ゆえに、有償取引とはいえない場合にも収益が発生しない場合があるということを述べたのであり、当然というわけではない。
②「対価的意義を有するものと認められる」か否かは、どのようにして判定するか。
相当因果関係があるとかいう事情や広く両者の取引関係全体から合理的に判断するべきである。無利息融資の代わりに、商品の仕入れの値引きを行っているような場合には、両者の取引関係全体から見て、対価的意義を有するものといえる。
③「対価的意義を有するもの」が認められる場合には、常に「合理的な経済目的」があるといえるか。「対価的意義を有するものと認められる経済的利益」の価額が、適正利息相当額よりも低額である場合にはどうなるか。
一方が受ける利益が他方に比べて過大であったりした場合には、合理的な経済目的とは言えない。ゆえに、対価的意義を有する場合であっても常に合理的な経済目的を有しているとはいえない。対価的意義を有する経済的利益が適正利息相当額よりも低額であった場合には、南西通商事件の規範に照らし、低額譲渡と同視して、差額が利益となると解すべき。
4. 会社間の所得振替
本件では、X からT へと利息相当額の経済的利益が移転している。その結果、会社グループのメンバー間で所得が振り
替えられていることになる。
①所得が振り替えられることで何か不都合はあるか。
黒字会社から赤字会社へ利益が移転することで、会社グループ全体の利益額が減少する場合があり、法人税額が全体として減少することになるという不都合が生じる。
②X に対して法人税法22条2項と37条を適用すると、結局、X の課税所得はどう計算されるか。37条の損金算入限度額の枠内におさまっている場合はどうか。
Xの課税所得はまず、22条2項によって適正利息相当額が益金として計算される。そして、それらは全額Tへの寄付金として利益が移転したものとされるから、37条を適用して寄付金の損金算入限度額と適正利息相当額との差額が所得金額となる。損金算入限度額の枠内ならば、課税所得は発生しないことになる。
5.法人税法22条2項にいう「取引」
オウブンシャホールディング事件 最判平成18年1月24日(訟月53巻10号2946頁、判時1923号20
頁、判タ1203号108頁、百選54)
①相互タクシー事件の最高裁判決は、本件に対する適切な先例といえるか。旧法下の事件であった点や、事案の異同をもとに検討せよ。
適切な先例とはいえない。相互タクシー事件では、原告会社から役員に対する増資会社の株式の一時的信託的譲渡や役員に対して増資の第三者指名を与えることにより、原告会社と経済的利益の移転先との間に直接の取引関係ないし積極的意思表示関係が存在するが、本件では原告会社による直接の行為で経済的利益が移転したものではない。
②南西通商事件の最高裁判決は、本件の先例として適切か。
適切とはいえない。南西通商事件では、原告会社が低額譲渡による直接取引によって経済的利益を移転しているが、本件では原告会社と直接の取引関係にない。
③新株の有利発行によって、X・A・B の三者の経済的ポジションはどう変化するか。
- X は、A 増資によるA 資産価値の増加による影響よりもA 持分比率低下(dilution)による影響が大きいため、保有A 株式の価値が減少する。
- A は、増資によって、純資産が増加する。
- B は、有利発行によりA の持分の大部分を取得し、増資した価値より大きいA 社株式価値を手に入れる。
④B は、約2 億円相当額をA 社に払い込み、その代わりにA 株を手にしている。差戻審によると、A 社の資産価値のうち、約222 億円がX からB に移転したと認定された。B は2 億円を支払って222 億円のものを受け取ったことになる。このとき、B の得た220 億円相当額の利得はどこから生じていると考えられるか。
X が保有していたA 株株式の価値
⑤X とB の経済的立場の変化は、A 社がオランダ法人であるから特別に生じたことか。
オランダ法人に限られない。A が日本法人であっても同様の変化が生ずる(オランダ法人も日本法人も株主総会で株式募集事項の決定が行われる)。
⑥X が失うのがA 株に表彰されるA 社の資産価値だとすると、後にX がA 株を譲渡した場合、A 株の譲渡損を計上できるか。
評価損を計上できない。判旨は「実現したものということができる」としているので、取引が生じたとされる時点で、dilution部分が時価相当額で移転されたとみなされる。dilution によって、222 億円相当の株式の移転があったものとみなされ、残りの分は非譲渡資産としてnominal な金額で保有しているものと処理するのが相当27。
⑦判旨は、本件の事案が法人税法22条2項にいう「取引」に該当すると判断するに当たり、どのような論理的ステップを踏んでいるか。
ⅰ.A はX の100%子会社でありA の新株発行はX が自由に決定することができた。
ⅱ.X はA の有利発行によりX の保有のA 株資産価値をB に移転させる意思があった。
ⅲ.X・A・B の役員兼任によって、X の意思をB が承諾し、A の増資より資産価値の移転を受けた。
ⅳ.よって、X とB との間に取引があった。
⑧X とB の間に合意があったという認定は、争いのどの段階で確定したか。
控訴審(原審)
⑨原審判決は「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たると判示していた。本件判決はいずれに当たるかを明言しているか。
「取引」とだけ述べており明言していない。
322.04無償による資産の譲受け
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 12026年8月16日時点
所得税法第59条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するもの及び公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)に限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの並びに公益信託の受託者である個人に対するもの(その信託財産とするためのものに限る。)及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
有限会社柿木荘事件 東京高裁平成3年2月5日判決(行集42巻2号199頁)
2.課税のタイミング
①本判決はいかなる理由によりどの時点でX に課税すべきとしたか。
遺留分減殺請求があれば受遺者は現物の返還をするか、価額弁償をするかの選択権があり、価額弁償により現物返還義務を免れることができる。遺留分減殺請求権を行使するかも慰留分権者の任意であり、行使の時期も確定的でない。遺贈の効果の発生と遺留分減殺の具体的効果の発生との間に時間の経過が常に存し、後者の効果の発生が相続を原因としてされた課税処分に相続開始時に遡及して影響するものとすると、課税処分の効力を不安定なものし、課税実務の円滑な進行を著しく害するとした。
受贈益をいったん相続開始の事業年度として処理するとともに(本件では土地の価額については昭和58事業年度)、遺留分減殺請求がされ具体的に価額弁償の額が決定され、受贈益の減少があった場合にその時点の事業年度として損金として処理すべき(本件の3000 万については合意があった昭和59事業年度)とした。
②本判決とXの主張とでは、課税のタイミングがどう違ってくるか。
本判決によると、昭和58 事業年度において遺贈を受けた土地の価額が益金に算入され、B、Cに対して支払った価額弁償1000 万が損金に算入される。D、Eに対する3000 万の価額弁償は合意が成立した昭和59 事業年度に損金に算入されることになる。
Xの主張によると土地の価額から価額弁償計4000 万を控除した額が昭和58 事業年度の益金となる。
3.遺贈を行った個人との相互関係
①Aの所得税の課税
法人への遺贈に対する遺留分減殺請求につき、価額弁償がされた場合の所得税法59条による譲渡所得の収入金額は、遺贈された遺産そのものの価額である。本件遺贈の際に土地の時価による譲渡があったものとみなされ、譲渡所得課税が行われる。(最判平成4年11月16日)
②遺贈の段階でA に所得税法59条1項を適用していたとすれば、Xにおける土地の取得価額はいくらとみるべきか。
法人の遺贈による土地の取得は法人税法22条2項所定の「無償による資産の譲受け」に当たり、その取得価額の算定は、同条四項に従い一般に公正妥当な会計処理の基準に照らし、減価償却資産の取得価額の評価に関する法人税法施行令五四条一項七号イを類推適用して「その取得の時における当該資産の取得のために通常要する価額」によるべきであるところ、右の「通常要する価額」とは通常の取引がされた場合に成立すると認められる客観的価額と解される。
遺贈による土地の取得は法人税法22条2項の無償による資産の譲り受けにあたり、土地の取得価額は遺贈時の時価となる。
4.有償で資産を譲り受ける場合
①A株式会社は時価3億円の土地を対価として現金3億円を支払って取得した。益金は生じるか。
法人税法22条2項は資産の有償譲受を規定していないので、益金は生じない。
②①において対価として現金1億円を支払った場合はどうか。
差額部分は無償による資産の譲受けにあたり、対価1億円と時価との差額2億円の益金が生じる。
5.関連裁判例
十字堂事件 千葉地判昭和59年7月25日(判時1143号67頁):化粧品メ-カ-の負担で、販売店内に化粧品コ-ナ-を設置し、その陳列棚・ウインドケ-ス等の広告宣伝用資産を使用目的を制限して販売店に贈与したものであるときは、メ-カ-の負担した金額の3分の2 に相当する金額を、販売店の贈与による収益の額であるとされた事例。28法人税基本通達4-2-1(広告宣伝費等の受贈益)
販売業者等が製造業者等から資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供されるものを除く。)を無償又は製造業者等の当該資産の取得価額に満たない価額により取得した場合には、当該取得価額又は当該取得価額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額を経済的利益の額としてその取得の日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その取得した資産が次に掲げるような広告宣伝用のものである場合には、その経済的利益の額は、製造業者等のその資産の取得価額の3分の2 に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2 以上の資産を取得したときは当該金額の合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。(昭55年直法2-8「十四」、平元年直法2-7「一」、平14年課法2-1「十三」により改正)
(1) 自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む。)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(2) 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(3) 展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの(注) 広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように、専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はない。
第3節 損金の意義-総説
323.02利益の分配
東光商事株式会社事件29 最高裁大法廷昭和43年11月13日判決(民集22巻12号2449頁)
1.事案の検討
①本件判決は、株主優待金を損金不算入とする理由として、いかなる理由を挙げているか。
「そのような事業経費の支出自体が法律上禁止されているような場合には、少なくとも法人税法上の取扱いのうえでは、損金に算入することは許され」ず、「会社が株主に対し〔株主優待金〕を支払っても、その支出は、法人税法上は少なくとも、資金調達のための必要経費として会社の損金に算入することは許されない」
「X が株式買受人に対して支払う本件株主優待金は、実質的には、株主が払い込んだ株金に対して支払われるものにほかならないということができ」、「会社から株主たる地位にある者に対し株主たる地位に基づいてなされる金銭的給付は、たとえ、X に利益がなく、かつ、株主総会の決議を経ていない違法があるとしても、法人税法上、その性質は配当以外のものではあり得ず、これをX の損金に算入することは許されない」
②本件判決が結論を導く上で決め手となっている理由はどれか。
「本件株主優待金は・・・配当とはその性質を異にすることX の主張とおりとしても、このような金員の支払は、前示のとおり、法律上許されないのであるから、少なくともその支出額を必要経費として法人税法上会社の損金に算入することは許されないといわなければならない。」⇒①に挙げた理由のうち前者が決め手となっている
2.奥野反対意見との比較
「所得額算定の要素たる損金は、経済社会において一般に通常且つ必要な事業経費として取り扱われている損失を指称するもの、というべきである。従ってそれは、当該法人の行う行為、計算の如何によって左右されるものではない。」
「本件株主優待金は、・・・、銀行等の金融機関が預金者に対して支払う利息と同様の性質を有する」
「本来、或る支出が資本充実、維持の原則に違反して法律上無効であるかどうかということと、無効な行為によるとはいえ、現実に支出された経費が法人所得の計算上損金に該当するかどうかということとは、次元を異にする別個の問題であるから、かようなことは、本件株主優待金の損金性を否定する理由とはなり得ない」
⇒支出の違法性は費用性には影響しない(=現実に支出された以上費用に該当する)
3.松田意見との比較
「本件株主優待金が株主に対し株主たる地位に対して支払われるものであると認められるからには、X には利益がなく、かつ、株主総会の決議を経ていない違法があるにしても、法律的観点よりするとき、本件優待金の支払は利益の配当と解さざるを得ない。要するに、本件株主優待金が右のような性格を有するからには、法人税法上、その支払は損金ではないというべきである。」⇒利益の配当≠費用「X が株式会社であり、株主相互金融方式の加入者をもってその株主をしている以上、X と加入者とは、会社対株主としての法律関係に立つものと解さざるをえないのであって、たとえ両者の間に反対意見のいうがごとき経済的関係〔銀行等の金融機関と預金者との関係と類似の関係〕があるにしても、加入者に対する本件株主優待金の支払いは、すなわち株主たる地位にある者に対してなされるものといわざるを得ない」
4.株主優待金の性質決定
①株主相互金融が問題となった別の事件において、最判昭和35年10月7日は、株主優待金が所得税法上の利益配当に当たらないとしている。昭和35年判決と本件判決は矛盾しないか。
昭和35年判決は、株主優待金の性質に関してかなり実体的な判断を示していたようにもみられるが、構成的には、もっぱら株主優待金は所得税法上の配当所得にあたらない旨を判示することを意図するものであった。そこでは、株主優待金の「全部もしくは一部が法人所得の計算上益金と認められるかどうかの点はともかく」といって、法人税法上の性格に関しては判断を留保するというかたちがとられていた。本判決は、株主優待金の法人税法上の性格に関する最初の最高裁判決という評価が、一般に行われている。
②株主優待金の法律上の性質について、「利益の配当」か「銀行等の金融機関が預金者に対して支払う利息と同様の費用」かを一元的に決することは妥当か。両方の性質を同時に有しており、一部分は「利益の配当」であり他の部分は「利息と同様の費用」であるとみることはできないか。最高裁判所がこのような二元的構成を採用しなかった理由はどこにあると考えられるか。
二元的構成の場合、いかなる基準によって「利益の配当」と「利息と同様の費用」に配分するかが問題となる。分割をすることは執行上の煩雑さを生じさせることになる。この問題を回避するため、最高裁は一元的にその性質を決することとし、二元的構成を採用しなかったものと考えることができる。また、基礎にある私法上の法律行為が1 つである以上、これを分けることはできないとしたと考えることもできる。
5.後続事件における判示との比較
最判昭和45年7月16日(判時602・47)
「かりに経済的・実質的にみれば、本件株主優待金が原審説示のような性質を有するとしても、その関係を法律的にみれば、前記の株主が被上告会社に支払うのは株式買受代金にほかならず、しかも、これのみに限られるのであつて、右の株式買受代金が、同時に、被上告会社に対する消費貸借ないし消費寄託の目的となることはあり得ない。たとえ、被上告会社の新株発行に特異のものが認められるにもせよ、新株の買受人による買受代金の払込みにより、株金相当額が受け入れられて被上告会社は自己資本を増加し、増資の方法による資金調達の目的が達成されるのであつて、かかる新株の発行を当然無効のものということはできず、株式買受人が取得するのは株主の地位以外のものではない。したがつて、原判決が、実質的にみれば、株式買受代金が買受人と被上告会社との間の消費貸借ないし消費寄託における元本に、株主優待金がその利息に該当するというのは、前記の新株発行により有効に成立した法律状態を無視するものといわなければならない。
これを要するに、株式買受人が被上告会社から融資を受けるのも、また、株主優待金の支払を受けるのも、すべて、同会社の株主として享受しうるところであつて、このように、被上告会社から株主たる地位にある者に対し、株主たる地位に基づいてなされる金銭的給付は、たとえ、被上告会社に利益がなく、かつ、株主総会の決議を経ていない違法があるとしても、法人税法上、その性質は配当以外のものではあり得ず、これを被上告会社の損金に算入することは許されない。」
株主優待金=配当⇒損金算入否定(前記松田意見と同様)、違法支出に関する言及はなし。
323.03違法支出
引用条文の現行全文4条執筆時から改正 12026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が、その所得の金額若しくは欠損金額又は法人税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装すること(以下この条において「隠蔽仮装行為」という。)によりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合には、当該隠蔽仮装行為に要する費用の額又は当該隠蔽仮装行為により生ずる損失の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の規定は、内国法人が隠蔽仮装行為によりその納付すべき法人税以外の租税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合について準用する。
3 内国法人が、隠蔽仮装行為に基づき確定申告書(その申告に係る法人税についての調査があつたことにより当該法人税について国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかつた場合には、これらの確定申告書に係る事業年度の第二十二条第三項第一号(各事業年度の所得の金額の計算の通則)に掲げる原価の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として政令で定める額を除く。)、同項第二号に掲げる費用の額及び同項第三号に掲げる損失の額(その内国法人が当該事業年度の確定申告書を提出していた場合には、これらの額のうち、その提出した当該確定申告書に記載した第七十四条第一項第一号(確定申告)に掲げる金額又は当該確定申告書に係る修正申告書(その申告に係る法人税についての調査があつたことにより当該法人税について更正があるべきことを予知した後に提出された修正申告書を除く。)に記載した同法第十九条第四項第一号(修正申告)に掲げる課税標準等の計算の基礎とされていた金額を除く。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する当該原価の額、費用の額又は損失の額については、この限りでない。
一 次に掲げるものにより当該原価の額、費用の額又は損失の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかつたことをその内国法人において証明した場合を含む。)
イその内国法人が第百二十六条第一項(青色申告法人の帳簿書類)又は第百五十条の二第一項(帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定めるところにより保存する帳簿書類
ロイに掲げるもののほか、その内国法人がその納税地その他の財務省令で定める場所に保存する帳簿書類その他の物件
二 前号イ又はロに掲げるものにより、当該原価の額、費用の額又は損失の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(同号に掲げる場合を除く。)であつて、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
4 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
二 地方税法の規定による延滞金(同法第六十五条(法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)、第七十二条の四十五の二(法人の事業税に係る納期限の延長の場合の延滞金)又は第三百二十七条(法人の市町村民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)の規定により徴収されるものを除く。)、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
三 前二号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
5 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
二 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
四 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
五 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
六 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金
七 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金及び延滞金
八 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号)の規定による課徴金及び延滞金
6 内国法人が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第十八条第一項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の資産の価額並びに経済的な利益の額の合計額に相当する費用又は損失の額(その供与に要する費用の額又はその供与により生ずる損失の額を含む。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
国税通則法第23条(更正の請求)e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内
三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内
3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
株式会社エス・ブイ・シー事件 最高裁平成6年9月16日決定(刑集48巻6号357頁)
1.法人税法55条の制定
①本件が現在の時点で問題になっていたとすれば、法人税法55条1項のどの規定が適用されることになるか。
「仮装すること」
②法人税法55条1項は確認的規定といえるか。
違法支出は法22条4項に反し公正処理基準に従ったものではないのでもとより損金として認められるものではなく、法55条1項は確認規定。
③法人税法55条2項はどのような租税につき適用されるか。
消費税
④法人税法55条5項の適用のためには、刑事手続において実際に賄賂として認定されることを要するか。
刑事手続において実際に賄賂として認定される必要はない。刑事手続と行政手続は別個。ちなみに、後に刑事手続において賄賂が否定されたら、後発的理由による更正の請求(国税通則法23条2項1号)が可能か。
→「判決」にあたるのか。一般的に刑事判決は含まれないとされているが、いずれも脱税事件にかかる判例30であって、本件のような賄賂の場合、「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」と言える。
2.判旨の読み取り
①本件決定は合計1900 万円の手数料について損金算入を否定する条文上の根拠をどこに求めているか。法人税法22条4項の立法趣旨に関する321.02 とはどのような関係に立つか。
この1900 万円は架空で事実に反する会計処理であるという点を指摘しているため、損金算入否定の条文上の根拠は法人税法22条4項と解される。321.02 は事実に反するものではないという点が異なる。31
②本件決定の射程は違法支出一般に及んでいたか。例えば、宅建業法違反の支出を行った場合にはどうなるか。
本件決定の射程は脱税協力金のように直接に法人税法の趣旨目的に反すると判断される支出に限定されており、一般の違法支出については及ばない。
③X から本件手数料を受け取った訴外A 個人における課税関係はどうなるか。違法な所得に関する211.02(利息制限法違反利息事件)を参照。
経済的にみて、利得者が現実にそれを支配し、自己のために享受している限り、違法ないし私法上無効な利得であっても、課税対象たる所得にあたるから、A がX から受け取った謝礼1900 万円についても雑所得(事業として行っていたら事業所得)として課税の対象になる。
3.控訴審との比較
- 原審
- 本件脱税協力金の支出が法人税法22条3項各号のいずれにもあたらないことを指摘し、さらに納税者相互間における税の均衡を図っている法人税法の趣旨から、その損金算入を認めることは法人税法の自己否定であって許されない。
- 最高裁
- 法人税法22条3項各号への該当性判断をすることなく、同条4項を理由として、損金算入を否定している。これは同条4項による検討で十分であるからという理解のほかに、法人税法22条3項をこのような場面で損金算入の制限規定をして働かせることへの否定的な評価を含んでいるという理解も可能。
原審判決のいうとおり「共犯者間の利益分配」に当たるとしたら、法人税法上どのように取り扱うべきことになるか。
「実質的には同法違反の共犯者間における利益分配に相当する本件違法支出につき」→組合として収入が分割される(内部取引であり、分け前を与えている)
4.東光商事株式会社事件との比較
本件の争点の解決に当たり、東光商事株式会社事件最判(323.02)の判旨第4 段落は先例たりえたか。本件手数
料の支出自体が法律上禁止されていたかどうかを念頭に置いて考えよ。
本件第1 審判決では、昭和43年大法廷判決(東光商事株式会社事件最判)を引用して、「右最高裁判決に示された法理は、少なくとも本件の如く法人税法自体がその支出を禁止しているものについては、一層強く妥当するものといわなければならない。」としている。昭和43年判決の「法律上禁止されているような場合」に法人税法も含むと解すれば、本件においても先例たりえた。
※本件決定と東光商事株式会社事件最判 判旨第4 段落の比較
- 本件決定
- 架空の経費を計上して所得を秘匿することは事実に反する会計処理であり、公正処理基準に照らして否定されるべきである。本件手数料は公正処理基準に反する処理により法人税法を免れるための費用というべきであるから、このような支出を費用または損失として損金の額に計上する会計処理も公正処理基準に従ったものということはできない。」
東光商事株式会社事件最判 判旨第4 段落:「仮に経済的・実質的には事業経費であるとしても、そのような事業経費の支出自体が法律上禁止されているような場合には、少なくとも法人税法上の取扱いのうえでは、損金に算入することは許されない」
5.関連裁判例
- 東京高判平成2年1月17日
- 暴力団員らに警備費名目で支払われた金員を寄付金に当たるとして法人の損金に認容すると、その支出が暴力団の活動を助長する資金となるだけでなく、その分だけ国が法人税を徴収することが出来なくなり、結局、国が企業を介し暴力団に経済的な助成をすることと同じ結果になるので、正規に算出された税額が確実に納入されることを期待し、その実現に罰則をもつて臨んでいる法人税法の立法趣旨に悖るばかりか、そのこと自体自己矛盾であって、その不当なことは明らかであるから、所論の支出を法人の損金に算入することにつき、法人税法がこれを是認しているものとは到底解されない。
第4節 損金の意義――22条3項1号から3号
324.01売上原価
引用条文の現行全文4条執筆時から改正 22026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
法人税法第159条改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
偽りその他不正の行為により、第七十四条第一項第二号(確定申告)に規定する法人税の額(第六十八条(所得税額の控除)又は第六十九条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十二条の六第一項第二号(国際最低課税額に係る確定申告)に規定する法人税の額、第八十二条の十四第一項第二号(国際最低課税残余額に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額、第八十二条の二十二第一項第二号(国内最低課税額に係る確定申告)(第百四十五条の九(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額、第八十九条第二号(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の十三(申告及び納付)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額若しくは第百四十四条の六第一項第三号若しくは第四号(確定申告)に規定する法人税の額(第百四十四条(外国法人に係る所得税額の控除)において準用する第六十八条の規定又は第百四十四条の二(外国法人に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同項第三号又は第四号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)若しくは第百四十四条の六第二項第二号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れ、又は第八十条第十項(欠損金の繰戻しによる還付)(第百四十四条の十三第十三項(欠損金の繰戻しによる還付)において準用する場合を含む。)の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者(人格のない社団等の管理人及び法人課税信託の受託者である個人を含む。以下第百六十二条までにおいて同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(当該法人が通算法人である場合には、他の通算法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者を含む。第百六十三条第一項(罰則)において同じ。)でその違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が千万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、千万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。
3 第一項に規定するもののほか、第七十四条第一項、第八十二条の六第一項、第八十二条の十四第一項(第百四十五条の五において準用する場合を含む。)、第八十二条の二十二第一項(第百四十五条の九において準用する場合を含む。)、第八十九条(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項の規定による申告書をその提出期限までに提出しないことにより、第七十四条第一項第二号に規定する法人税の額(第六十八条又は第六十九条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十二条の六第一項第二号に規定する法人税の額、第八十二条の十四第一項第二号(第百四十五条の五において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額、第八十二条の二十二第一項第二号(第百四十五条の九において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額、第八十九条第二号(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額又は第百四十四条の六第一項第三号若しくは第四号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定又は第百四十四条の二の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同項第三号又は第四号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)若しくは第百四十四条の六第二項第二号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4 前項の免れた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。
法人税法第131条(推計による更正又は決定)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
税務署長は、内国法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合には、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税(その内国法人が通算法人(通算法人であつた内国法人を含む。以下この条において同じ。)である場合には、第百二十七条第三項又は第四項(青色申告の承認の取消し)の規定により読み替えられた同条第一項各号に定める事業年度から当該事業年度後の事業年度のうち最初に青色申告書以外の申告書を提出する事業年度の前事業年度までの各事業年度に係る法人税を除く。)の課税標準若しくは欠損金額又は内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税若しくは各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の課税標準の更正をする場合を除き、その内国法人(その内国法人が通算法人である場合には、他の通算法人を含む。)の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその内国法人に係る法人税の課税標準(更正をする場合にあつては、課税標準又は欠損金額)を推計して、これをすることができる。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
牛久市売上原価見積事件 最判H16.10.29 刑集58-7-697
1.法人税法22条3項1号を読む
法人税法第二編 内国法人の法人税第一章 各事業年度の所得に対する法人税第一節 課税標準及びその計算第一款 課税標準第二十一条 (略)
第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
法人税基本通達2-1-4(販売代金の額が確定していない場合の見積り)
法人がその販売に係るたな卸資産を引き渡した場合において、その引渡しの日の属する事業年度終了の日までにその販売代金の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。この場合において、その後確定した販売代金の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)の益金の額又は損金の額に算入する。
法人税基本通達2-2-1(売上原価等が確定していない場合の見積り)
法第22条第3項第1号《損金の額に算入される売上原価等》に規定する「当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価」(以下2-2-1 において「売上原価等」という。)となるべき費用の額の全部又は一部が当該事業年度終了の日までに確定していない場合には、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。この場合において、その確定していない費用が売上原価等となるべき費用かどうかは、当該売上原価等に係る資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に関する契約の内容、当該費用の性質等を勘案して合理的に判断するのであるが、たとえその販売、譲渡又は提供に関連して発生する費用であっても、単なる事後的費用の性格を有するものはこれに含まれないことに留意する。
(2)①法人税法22条3項1号の規定は、原価の額が「確定」することを明文で要求しているか。
2号のようなかっこ書きがなく、明文で要求してはいない
②1号と2号を対比して読みあわせた場合、1号について債務の確定を要求すべきか。
1号はいわゆる直接費用であり収益と個別的対応の関係にあり、2号の間接費用と違い対応関係が明確であるり、計上時期が操作できるものではないから、債務の確定を要求する必要はない。
2.事案の検討
最判H16.10.29 刑集58-7-697 牛久売上原価見積事件
- 事案
- Xは牛久町内の土地を購入して造成し宅地として販売することとした。Xは、上記開発行為につき茨城県知事の許可を得るため、都市計画法に基づいて牛久市と協議をした。牛久市は、宅地開発に当たっては、開発区域の内外を問わず、流末排水路を開発業者に整備させるという行政指導を行い、開発業者がこれに従わない場合には、同法に基づく公共施設の管理者としての同意を与えず、開発許可申請を茨城県知事に申達しないという取扱いをしていた。このため、牛久市の担当者は改修工事を行うよう指導した(以下、この工事の内容を「第1案」という。)。被告会社は、これを了承し、牛久市の同意を得て、昭和58年6月に茨城県知事から開発許可を受けた。その後、被告会社は、本件土地を造成し、昭和62年6月にこれを販売した。
同年7月ころ、牛久市の担当者は、方針を変更し、被告会社に対し、第一案とは異なる内容で改修工事を行うよう指導した(以下、この工事の内容を「第2案」という。)。第2案は第1案の約3倍の工費を必要とするため、Xが難色を示すと、牛久市の担当者は、第1案の工費の範囲内でXが第2案の工事を部分的に施工するとの代案を提示した。これを受入れた被告会社は、本件改修工事を請け負わせようと考えていた株式会社C建設に対し、第1案の工費を見積もるよう依頼した。同年9月ころ、同社は1億4668万円と見積もり、被告会社はこの見積金額を牛久市の担当者に連絡した。
同年10月ころ、牛久市側は、更に方針を変更し、本件改修工事をすべて公共工事として行うこととし、被告会社に対し、第1案の工費に相当する上記金額を都市下水路整備負担金として牛久市に支払うよう求め、被告会社はこれを了承した。
同年11月30日、被告会社は、本件土地の販売に係る収益の額を昭和61年10月1日から同62年9月30日までの事業年度(以下「当期」という。)の益金の額に算入し、上記1億4668万円を上記収益に係る売上原価の額として当期の損金の額に算入した上、確定申告をした。
牛久市は、昭和63年度から3年計画で本件改修工事を行うこととし、同年3月成立の同年度一般会計予算において、被告会社が支出する上記負担金の初年度分として総額の約3分の1に当たる5000万円を歳入に計上した。
しかし、その後、牛久市は、住民の反対運動が起きることを懸念して同工事を行わず、被告会社も、上記負担金を支出していない。
- 争点
- 検察官は、Xが架空造成費の計上などにより虚偽過少申告をして法人税を免れたとして法人税法159 および164 に基づいてXを起訴。その中で、上の損金算入の可否が争われた。
- 条文
- 法人税法22条3項
- 判旨
- 「(1)牛久市は、都市計画法上の同意権を背景として、被告会社に対し本件改修工事を行うよう求めたものであって、被告会社は、事実上その費用を支出せざるを得ない立場に置かれていたこと、(2)同工事の内容等は、牛久市側の方針の変更に伴い変遷しているものの、被告会社が支出すべき費用の額は、終始第1案の工費に相当する金額であったこと、(3)被告会社は、昭和62年9月ころに建設会社にこれを見積もらせるなど、同年9月末日までの時点において既にその支出を見込んでいたこと、などが明らかである。これらの事実関係に照らすと、当期終了の日である同年9月末日において、被告会社が近い将来に上記費用を支出することが相当程度の確実性をもって見込まれており、かつ、同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であったとみることができる。このような事情がある場合には、当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が確定していないときであっても、上記の見積金額を法人税法22条3項1号にいう「当該事業年度の収益に係る売上原価」の額として当該事業年度の損金の額に算入することができると解するのが相当である。」
- 関連裁判例
- 福岡高判H11.2.17 継続的に仕入れていた原料ガスの仕入価額について、経常的に割戻金の名目で精算金を支払っていたことから、課税庁が右仕入価額を未確定な仮価格であるとして否認し、帳簿記載以外の資料を用いて同業種法人の最高仕入価格を原告の仕入価格として直接認定して更正することは、法人税法131条にいう推計課税に当たらないとした原判決が維持された事例山口地判S56.11.5 法人が部品販売に当り、その取付費用の半額を負担することを約していたとしても、その部品がいわゆるマルチ商法により販売されるため、系列販売店に販売された時点では、最終的に取付けられる数量を合理的に算定することができないので、損金に算入することはできないとされた事例。
- 解説
- (費用の見越)所得税法37条1項かっこ書き・法人税法22条3項2号かっこ書きの『償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないもの』は費用として計上できない旨の規定は、一般に、所得税法または法人税法が特に定めている場合を除いては、費用の見越や引当金への繰入損の計上を認めない趣旨であると解されている。しかし、著者としては、この規定はそのようにせまく解すべきではなく、『債務の確定』というのは、…債務の発生が確実であり、かつその金額が確認できることを意味するものと解し、費用の見越は許される、と解しておきたい。〔本件判決は〕売上原価につき同旨か。
①X が近い将来に費用を支出することが「相当程度の確実性をもって見込まれて」いたと本件判決が述べる理由はどこにあったか。
- 市が都市計画法上の同意権を背景としてXは事実上その費用を支出せざるを得ない立場にあったこと
- Xが負担すべき額は終始一貫していたこと
- Xは建設会社に見積もりを取らせて、具体的に支出を見込んでいた
②当期終了の日の「現況によりその金額を適正に見積もることが可能であったとみることができる」と本件判決が判断するに当たって重要な事実はどれであったか。
上記の①の回答と同様だと考える。2番目と3番目の事情が重要。
③その後牛久市が工事を行わず、X が負担金を支出していないという事実は、判旨とどのような関係にあると考えられるか。
その時点での犯罪行為の成否を問題としているので、最高裁は、その点は無関係と判断したように思われる。
324.02債務の確定
引用条文の現行全文4条2026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
法人税法第34条(役員給与の損金不算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)
二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)
イその給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。
ロ株式を交付する場合当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。
ハ新株予約権を交付する場合当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。
三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)
イ交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。
(1)金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2)政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。
(3)その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。
ロその他政令で定める要件
2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。
5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。
6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。
7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。
8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
削除
租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
法人が平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(以下この条において「適用年度」という。)において支出する交際費等の額(当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額。以下この項及び次項において同じ。)が百億円以下である法人(通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の同日における資本金の額又は出資金の額が百億円を超える場合における当該通算法人を除く。)については、当該交際費等の額のうち接待飲食費の額の百分の五十に相当する金額を超える部分の金額)は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の場合において、法人(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人及び資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社を除く。)のうち当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるもの(次に掲げる法人を除く。)については、前項の交際費等の額のうち定額控除限度額(八百万円に当該適用年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額をいう。)を超える部分の金額をもつて、同項に規定する超える部分の金額とすることができる。
一 普通法人のうち当該適用年度終了の日において法人税法第六十六条第五項第二号又は第三号に掲げる法人に該当するもの
二 通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人が次に掲げる法人である場合における当該通算法人
イ当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人
ロ前号に掲げる法人
3 通算法人(通算子法人にあつては、当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。)に対する前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 通算子法人の適用年度は、当該通算子法人に係る通算親法人の適用年度終了の日に終了する当該通算子法人の事業年度とする。
二 前項に規定する定額控除限度額は、八百万円に当該適用年度終了の日に終了する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(第四号イにおいて「通算定額控除限度額」という。)に、イに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(第五項において「通算定額控除限度分配額」という。)とする。
イ当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額
ロ当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額及び当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額の合計額
三 前号の規定を適用する場合において、同号イ及びロの交際費等の額が同号の通算法人の同号の適用年度又は同号ロの他の通算法人の同号ロに規定する事業年度(以下この項において「通算事業年度」という。)の確定申告書等(期限後申告書を除く。)に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額(以下この号及び第五号において「当初申告交際費等の額」という。)と異なるときは、当初申告交際費等の額を前号イ及びロの交際費等の額とみなす。
四 通算事業年度のいずれかについて修正申告書の提出又は国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(次号において「更正」という。)がされる場合において、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二号の通算法人の同号の適用年度については、前号の規定は、適用しない。
イ前号の規定を適用しないものとした場合における第二号ロに掲げる金額が通算定額控除限度額以下である場合
ロ法人税法第六十四条の五第六項の規定の適用がある場合
ハ法人税法第六十四条の五第八項の規定の適用がある場合
五 通算事業年度について前号(ハに係る部分を除く。)の規定を適用して修正申告書の提出又は更正がされた後における第三号の規定の適用については、当該修正申告書又は当該更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額を当初申告交際費等の額とみなす。
4 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
5 第三項の通算法人の適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この項において「他の通算法人」という。)の同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額がある場合における当該適用年度に係る第二項の規定は、第七項の規定にかかわらず、当該交際費等の額を支出する他の通算法人の全てにつき、それぞれ同日に終了する事業年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合で、かつ、当該適用年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
6 第一項、第三項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
7 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
8 第六項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。
ポイントシステム事件 東京地裁令和元年10月24日判決(裁判所サイト)32
1.法人税法22条3項2号を読む
法人税法第二編 内国法人の法人税第一章 各事業年度の所得に対する法人税第一節 課税標準及びその計算第二款 課税標準第二十一条 (略)
第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
- 直接的対応
- 売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用
- 間接的対応
- 販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用
①販売費と一般管理費は例示と解してよいか
販売費、一般管理費その他の費用とは、企業会計における非原価項目および資産に係る償却費に該当する。…非原価項目や償却費は、収益との間に直接的な因果関係が認められる原価とは異なり、当期に発生した収益と対応するという意味で期間を媒介として形式的に、つまり、単に発生年度が同一であるという理由に基づいて、収益に対応することとされている(期間対応)。33
②企業会計では、「会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。」(財務諸表等規則84条)とされ、たとえば、「販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関連の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料及び不動産賃借料をいう。」(財務諸表等規則ガイドライン84)とされている。この中で、法人税法22条3項柱書きにいう「別段の定め」によって除かれるものはどれか。
- 別段の定め=損金算入規制
- ①給与 ②寄付金 ③租税・不正行為等 ④交際費等 ⑤使途不明金と使途秘匿金34
- 役員給与の損金不算入(法人税法34条、35条)
- 過大な使用人給与の損金不算入(36条)※特殊関係使用人
- 寄付金の損金不算入(37条)
- 法人税額等の損金不算入(38条)
- 不正行為等に係る費用等の損金不算入(55条)
- 交際費等の損金不算入(措法61条の4) など
③2号かっこ書き(「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。」)は何を意味しているか
非原価項目のうち、ⅰ.償却費は債務の確定を観念せず、損金算入するⅱ.償却費以外は債務の確定により年度帰属を確定し、損金算入する
3.関連裁判例
山口地判S56.11.5 行集32-11-1916 株式会社ケーエム事件
- 判示事項
- 法人が部品販売に当り、その取付費用の半額を負担することを約していたとしても、その部品がいわゆるマルチ商法により販売されるため、系列販売店に販売された時点では、最終的に取付けられる数量を合理的に算定することができないので、損金に算入することはできないとされた事例。
- 論点
- 債務の確定の意義
- 適用条文
- 法人税法22条3項
- 判旨
①「原告が損金計上した右取付費用が法人税法二二条三項一号、二号のいずれに該当するものであるかはともかく、そのいずれであるにしても、右取付費用は当該事業年度終了の日までに債務として確定していなければならないのであり(法人税法二二条三項二号…参照)、そして右債務の確定ありといいうるためには、当該事業年度の終了の日までに、(1)債務が成立していること、(2)当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、(3)金額を合理的に算定できること、という三つの要件を全て充たしていなければならない…。」
②「これを本件についてみるに、原告は、前記認定のとおり本件商品が原告の指定工場において取付けられた後同工場からの請求を受けて始めて、取付費用の半額を支払うこととなるのであるから、右請求を受けた時点において原告の取付費用に係る債務は確定すると言うべきである。これに対し原告は本件商品販売の時点で債務は確定する旨主張するが、なるほど右時点において原告が将来取付費用の半額を負担する旨の債務が成立したと認められるとしても、原告は前記1認定のとおり本件商品販売につきマルチ商法という特異な販売形態をとっているため、本件商品が最終的に消費者にまで売却され取付けられるのはごくわずかであり、原告がディレクターやチーフに販売した時点で最終的に取付けられることとなるであろう数量を合理的に算定することは不可能と言わざるを得ないのであるから、前記(二)及び(三)の要件を充足しないものと認めるのが相当である。
右のとおり原告が損金計上した取付費用四二五二万〇四九〇円は確定した債務と言えず、これを損金計上することは法人税法により禁止されているところである。」
- 解説
①本件判決は、本件商品の取付費用を、法人税法22条3項の2号の規定に該当すると考えたか、それとも1号か。 →判旨:「原告が損金計上した右取付費用が法人税法二二条三項一号、二号のいずれに該当するものであるかはともかく、そのいずれであるにしても、右取付費用は当該事業年度終了の日までに債務として確定していなければならない」
②もし法人税法22条3項1号を適用するとした場合、債務の確定は必要か。 →牛久市売上原価見積事件事件(最判平成16年10月29日):一定の事実関係の下では債務が未確定であっても売上原価の見積もり計上が可能であることを示した。売上原価について債務確定基準を採用しなければならない理論的必然性はない。売上原価は、非原価項目に係る期間対応の費用とは異なり、個別的に収益と対応していることから、収益の発生年度(権利確定時)に費用計上すべきものといえるため。
③本件の取付費用が要件(2)と(3)のいずれも満たさないとされた理由 →判旨:「本件商品販売につきマルチ商法という特異な販売形態をとっているため、本件商品が最終的に消費者にまで売却され取付けられるのはごくわずかであり、原告がディレクターやチーフに販売した時点で最終的に取付けられることとなるであろう数量を合理的に算定することは不可能と言わざるを得ない」 ※取引の流れ:X社→ディレクターやチーフ→インストラクターやトレーダー→消費者→債務の確定のために必要とされる、(1)債務が成立していること、(2)当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、(3)金額を合理的に算定できること、という三つの要件へのあてはめの問題
- 大阪地判S48.8.27
- 事業年度終了の時において在職する使用人の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職給与として支給されるべき金額の見積額を、法人税法に定める退職給与引当金とは別途に「退職給与未払金」として計上しても、右退職給与未払金は同法上損金に当らない。
- 大阪地判S48.8.27
- 事業年度終了の時にはいまだ納付義務の内容の確定していない当該事業年度の法人事業税の金額(中間申告納付分を除く)は、当期の法人税の課税標準の計算に当り損金に算入することはできず、翌期の損金とすべきものというべきである。
- 岡山地判S54.7.18
- 会社が従業員の親睦会が主催するハワイ旅行の費用に充てるために親睦会あてに支出した金員は、現実に旅行が行われていないため、支出の日を含む事業年度において「債務が確定」しておらず、損金に当らないとされた事例。
- 宇都宮地判S54.8.30
- 従業員に対し、利益の一部を特別賞与として支給する形式を採ると同時に、譲渡制限つきの社債を発行し、右賞与金を社債の払込金に充当するという方法を採った場合、その特別賞与支払債務は、社債の償還期日が到来するまで確定せず、特別賞与の額を損金に計上できない。
- 熊本地判H13.3.29
- 原告が、増販コンテストに優秀な成績を修めた従業員を海外旅行に招待する費用に充てるため、旅行会社から購入した旅行ギフト券の購入費用相当額を法人税確定申告において損金に計上したのに対し、被告が更正処分を行うとともに、過少申告加算税の賦課決定をしたため、原告が被告のした右処分の取消しを求めた事案で、平成9年3月31日時点での金20万4000円の金額は、あくまで見積もりの金額であって、右金額の変動があり得ることが明記されていたのであり、同日の時点で、本件旅行の一人当たりの費用が合理的に算定することができたということはできないとし、請求を棄却した事例。
〈その他の費用〉
①法人税法22条3項2号にいう「その他の費用」にはどのようなものがあるか。法人税基本通達9-7-1 以下を参照
法人税法基本通達9-7-1(抽選券付販売に要する景品等の費用)、同9-7-2(金品引換券付販売に要する費用)
②海外渡航費について定める法人税法基本通達9-7-6 を読み、その合理性を検討せよ。
同9-7-6(海外渡航費) 法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(仕度金を含む。以下この款において同じ。)は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認める。したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注) その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができる。
- 解説
- 通達は、海外渡航費について、事業遂行上必要な海外渡航であっても、その金額が通常必要と認められないものであれば、その認められない部分の金額を、給与と判定している(通達9-7-6)。その場合、給与を受け取る相手方に、所得税の課税が行われる。法人側では、使用人に対するものは損金算入が認められ、役員に対するものは別段の定めにより損金不算入となる(34条)ここで、通常性の判断が行われていることには注意すべきである。金額の通常性を求める考え方は、海外渡航費だけに止まるものではないと考えられる。35
324.03減価償却
引用条文の現行全文5条執筆時から改正 32026年8月16日時点
法人税法第31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。
2 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下第四項までにおいて「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に減価償却資産を移転する場合において、当該減価償却資産について損金経理額に相当する金額を費用の額としたときは、当該費用の額とした金額(次項及び第四項において「期中損金経理額」という。)のうち、当該減価償却資産につき当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される償却限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度(第四項において「分割等事業年度」という。)の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中損金経理額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
4 損金経理額には、第一項の減価償却資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(以下この項において「償却事業年度」という。)前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額(当該減価償却資産が適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)により被合併法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該被合併法人等の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度以前の各事業年度の損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を、当該減価償却資産が適格分割等により分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「分割法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該分割法人等の分割等事業年度の期中損金経理額として帳簿に記載した金額及び分割等事業年度前の各事業年度の損金経理額のうち分割等事業年度以前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含む。以下この項において同じ。)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとし、期中損金経理額には、第二項の内国法人の分割等事業年度前の各事業年度における同項の減価償却資産に係る損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとする。
5 前項の場合において、内国法人の有する減価償却資産(適格合併により被合併法人から移転を受けた減価償却資産、第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)の規定の適用を受けた同項に規定する時価評価資産に該当する減価償却資産その他の政令で定める減価償却資産に限る。)につきその価額として帳簿に記載されていた金額として政令で定める金額が当該移転の直前に当該被合併法人の帳簿に記載されていた金額、同条第一項の規定の適用を受けた直後の帳簿価額その他の政令で定める金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、政令で定める事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなす。
6 第一項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
四 外国法人内国法人以外の法人をいう。
五 公共法人別表第一に掲げる法人をいう。
六 公益法人等別表第二に掲げる法人をいう。
七 協同組合等別表第三に掲げる法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
九 普通法人第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。
九の二 非営利型法人一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。
イその行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
ロその会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
十 同族会社会社(投資法人を含む。以下この号において同じ。)の株主等(その会社が自己の株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下同じ。)又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。
十一 被合併法人合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。
十二 合併法人合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。
十二の二 分割法人分割によりその有する資産又は負債の移転を行つた法人をいう。
十二の三 分割承継法人分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた法人をいう。
十二の四 現物出資法人現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人をいう。
十二の五 被現物出資法人現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人をいう。
十二の五の二 現物分配法人現物分配(法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。以下この条において同じ。)によりその有する資産の移転を行つた法人をいう。
イ剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、分割型分割によるものを除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)
ロ解散による残余財産の分配
ハ第二十四条第一項第五号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由
十二の五の三 被現物分配法人現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた法人をいう。
十二の六 株式交換完全子法人株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の二 株式交換等完全子法人株式交換完全子法人及び株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六に規定する対象法人をいう。
十二の六の三 株式交換完全親法人株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人をいう。
十二の六の四 株式交換等完全親法人株式交換完全親法人並びに株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六イ及びロに規定する最大株主等である法人並びに同号ハの一の株主等である法人をいう。
十二の六の五 株式移転完全子法人株式移転によりその株主の有する株式を当該株式移転により設立された法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の六 株式移転完全親法人株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得した当該株式移転により設立された法人をいう。
十二の六の七 通算親法人第六十四条の九第一項(通算承認)に規定する親法人であつて同項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七 通算子法人第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人であつて同条第一項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七の二 通算法人通算親法人及び通算子法人をいう。
十二の七の三 投資法人投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。
十二の七の四 特定目的会社資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する特定目的会社をいう。
十二の七の五 支配関係一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の六 完全支配関係一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の七 通算完全支配関係通算親法人と通算子法人との間の完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この号において同じ。)又は通算親法人との間に完全支配関係がある通算子法人相互の関係をいう。
十二の八 適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人又は合併親法人(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産、合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産及び合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数又は総額の三分の二以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併
ロその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(2)当該合併に係る被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を行うための合併として政令で定めるもの
十二の九 分割型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によつて交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割
ロ分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割
十二の十 分社型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。)
ロ無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割
十二の十一 適格分割次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
イその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割
ロその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。
(2)当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの
ニその分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの
十二の十二 適格分割型分割分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十三 適格分社型分割分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十四 適格現物出資次のいずれかに該当する現物出資(被現物出資法人である外国法人に国内にある不動産その他の政令で定める資産(以下この号において「国内不動産等」という。)、国内事業所等(内国法人にあつては第六十九条第四項第一号(外国税額の控除)に規定する本店等をいい、外国法人にあつては恒久的施設をいう。)を通じて行う事業に係る資産(外国法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式を有する場合におけるその外国法人の株式を除く。)若しくは負債(以下この号において「国内資産等」という。)又は内国法人の工業所有権、著作権その他の政令で定める資産(以下この号において「無形資産等」という。)の移転を行うもの(当該国内不動産等、国内資産等及び無形資産等の全部が当該移転により当該被現物出資法人である外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものとして政令で定めるものを除く。)、外国法人が内国法人又は他の外国法人に第百三十八条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する本店等(以下この号において「本店等」という。)を通じて行う事業に係る資産(国内不動産等を除く。)又は負債(以下この号において「外国法人国外資産等」という。)の移転を行うもの(当該他の外国法人に外国法人国外資産等の移転を行うものにあつては、当該外国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものに限る。)及び内国法人が外国法人に第六十九条第四項第一号に規定する国外事業所等を通じて行う事業に係る資産又は負債(以下この号において「内国法人国外資産等」という。)の移転を行うもので当該内国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該外国法人の本店等を通じて行う事業に係る資産又は負債となるもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるものに限る。)並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限る。)をいう。
イその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資
ロその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該現物出資により現物出資事業(現物出資法人の現物出資前に行う事業のうち、当該現物出資により被現物出資法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該被現物出資法人に移転していること。
(2)当該現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該現物出資後に当該被現物出資法人の業務(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該現物出資に係る現物出資事業が当該現物出資後に当該被現物出資法人(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人(当該現物出資が法人を設立する現物出資である場合にあつては、当該現物出資法人と他の現物出資法人)とが共同で事業を行うための現物出資として政令で定めるもの
十二の十五 適格現物分配内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。
十二の十五の二 株式分配現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限る。)のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(次号において「完全子法人」という。)の当該発行済株式等の全部が移転するもの(その現物分配により当該発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合における当該現物分配を除く。)をいう。
十二の十五の三 適格株式分配完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として政令で定めるもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
十二の十六 株式交換等株式交換及びイからハまでに掲げる行為により対象法人(それぞれイからハまでに規定する法人をいう。)がそれぞれイ若しくはロに規定する最大株主等である法人又はハの一の株主等である法人との間にこれらの法人による完全支配関係を有することとなることをいう。
イ全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(イにおいて「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合の当該取得決議
ロ株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの
ハ株式売渡請求(法人の一の株主等が当該法人の承認を得て当該法人の他の株主等(当該法人及び当該一の株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の全てに対して法令(外国の法令を含む。ハにおいて同じ。)の規定に基づいて行う当該法人の株式の全部を売り渡すことの請求をいう。)に係る当該承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等(当該一の株主等又は当該一の株主等との間に完全支配関係がある者が有するものを除く。)の全部が当該一の株主等に取得されることとなる場合の当該承認
十二の十七 適格株式交換等次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換等完全親法人又は株式交換完全支配親法人(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産、株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産、株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式(当該株式交換完全子法人が有する自己の株式を除く。)の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産、前号イの取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産及び同号ハの取得の対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロその株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式交換等後に行われる適格合併又は当該株式交換等完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換として政令で定めるもの
十二の十八 適格株式移転次のいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式移転に係る株式移転完全子法人と当該株式移転に係る他の株式移転完全子法人(以下この号において「他の株式移転完全子法人」という。)との間に同一の者による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転で政令で定めるもの
ロその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式移転後に行われる適格合併又は当該株式移転完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該株式移転完全子法人(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式移転後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人とが共同で事業を行うための株式移転として政令で定めるもの
十二の十九 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
十三 収益事業販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。
十四 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
十五 役員法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。
十六 資本金等の額法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。
十七 削除
十八 利益積立金額法人の所得の金額で留保している金額として政令で定める金額をいう。
十九 欠損金額各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十 棚卸資産商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。
二十一 有価証券金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式又は出資及び第六十一条の五第一項(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。
二十二 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
二十三 減価償却資産建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十四 繰延資産法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十五 損金経理法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。
二十六 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。次号及び第二十九号ロにおいて同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
二十七 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
二十八 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公債又は社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
二十九 集団投資信託次に掲げる信託をいう。
イ合同運用信託
ロ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託
(1)投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託
(2)その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第一項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第八項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの
ハ特定受益証券発行信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)
(1)信託事務の実施につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人((1)において「承認受託者」という。)が引き受けたものであること(その計算期間開始の日の前日までに、当該承認受託者(当該受益証券発行信託の受託者に就任したことによりその信託事務の引継ぎを受けた承認受託者を含む。)がその承認を取り消された場合及び当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合を除く。)。
(2)各計算期間終了の時における未分配利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のその時における元本の総額に対する割合((3)において「利益留保割合」という。)が政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。
(3)各計算期間開始の時において、その時までに到来した利益留保割合の算定の時期として政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(2)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。
(4)その計算期間が一年を超えないこと。
(5)受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)が存しない信託に該当したことがないこと。
二十九の二 法人課税信託次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する公益信託等を除く。)をいう。
イ受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託
ロ第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託
ハ法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの
(1)当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。
(2)その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。
(3)その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。
ニ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託
ホ資産の流動化に関する法律第二条第十三項に規定する特定目的信託
三十 中間申告書第七十一条第一項(中間申告)又は第百四十四条の三第一項若しくは第二項(中間申告)の規定による申告書をいう。
三十一 確定申告書第七十四条第一項(確定申告)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項(確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の二 国際最低課税額確定申告書第八十二条の六第一項(国際最低課税額に係る確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の三 国際最低課税残余額確定申告書第八十二条の十四第一項(国際最低課税残余額に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の四 国内最低課税額確定申告書第八十二条の二十二第一項(国内最低課税額に係る確定申告)(第百四十五条の九(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十二 退職年金等積立金中間申告書第八十八条(退職年金等積立金に係る中間申告)(第百四十五条の十三(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十三 退職年金等積立金確定申告書第八十九条(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十四 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十五 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
三十六 青色申告書第百二十一条(青色申告)(第百四十六条第一項(青色申告)において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する第三十号、第三十一号、第三十二号及び第三十三号に掲げる申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書をいう。
三十七 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
三十八 中間納付額第七十六条(中間申告による納付)又は第百四十四条の九(中間申告による納付)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)をいう。
三十九 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十 決定この編、次編第一章第一節(課税標準及びその計算)、第八十条第四項(欠損金の繰戻しによる還付)、第百三十三条(更正等による所得税額等の還付)、第百三十四条(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)、第百三十五条第三項第三号及び第四項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、第百四十七条の三(更正等による所得税額等の還付)並びに第百四十七条の四(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十一 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十二 充当国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十三 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
四十四 地方税地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。
法人税法施行令第13条(減価償却資産の範囲)改正e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第二条第二十三号(定義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。
一 建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)
二 構築物(ドック、橋、岸壁、桟橋、軌道、貯水池、坑道、煙突その他土地に定着する土木設備又は工作物をいう。)
三 機械及び装置
四 船舶
五 航空機
六 車両及び運搬具
七 工具、器具及び備品(観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生物を含む。)
八 次に掲げる無形固定資産
イ鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利(ロに掲げる無形固定資産を除く。)を含む。)
ロ貯留権(二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第三十八号)第二条第八項(定義)に規定する試掘権を含む。)
ハ漁業権(入漁権を含む。)
ニダム使用権
ホ水利権
ヘ特許権
ト実用新案権
チ意匠権
リ商標権
ヌソフトウエア
ル育成者権
ヲ公共施設等運営権
ワ樹木採取権
カ漁港水面施設運営権
ヨ営業権
タ専用側線利用権(鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二条第一項(定義)に規定する鉄道事業又は軌道法(大正十年法律第七十六号)第一条第一項(軌道法の適用対象)に規定する軌道を敷設して行う運輸事業を営む者(以下この号において「鉄道事業者等」という。)に対して鉄道又は軌道の敷設に要する費用を負担し、その鉄道又は軌道を専用する権利をいう。)
レ鉄道軌道連絡通行施設利用権(鉄道事業者等が、他の鉄道事業者等、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構又は国若しくは地方公共団体に対して当該他の鉄道事業者等、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構若しくは独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の鉄道若しくは軌道との連絡に必要な橋、地下道その他の施設又は鉄道若しくは軌道の敷設に必要な施設を設けるために要する費用を負担し、これらの施設を利用する権利をいう。)
ソ電気ガス供給施設利用権(電気事業法第二条第一項第八号(定義)に規定する一般送配電事業、同項第十号に規定する送電事業、同項第十一号の二に規定する配電事業若しくは同項第十四号に規定する発電事業又はガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第五項(定義)に規定する一般ガス導管事業を営む者に対して電気又はガスの供給施設(同条第七項に規定する特定ガス導管事業の用に供するものを除く。)を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して電気又はガスの供給を受ける権利をいう。)
ツ水道施設利用権(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第五項(用語の定義)に規定する水道事業者に対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して水の供給を受ける権利をいう。)
ネ工業用水道施設利用権(工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第五項(定義)に規定する工業用水道事業者に対して工業用水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して工業用水の供給を受ける権利をいう。)
ナ電気通信施設利用権(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第九条第一号(電気通信事業の登録)に規定する電気通信回線設備を設置する同法第二条第五号(定義)に規定する電気通信事業者に対して同条第四号に規定する電気通信事業の用に供する同条第二号に規定する電気通信設備の設置に要する費用を負担し、その設備を利用して同条第三号に規定する電気通信役務の提供を受ける権利(電話加入権及びこれに準ずる権利を除く。)をいう。)
九 次に掲げる生物(第七号に掲げるものに該当するものを除く。)
イ牛、馬、豚、綿羊及びやぎ
ロかんきつ樹、りんご樹、ぶどう樹、梨樹、桃樹、桜桃樹、びわ樹、くり樹、梅樹、柿樹、あんず樹、すもも樹、いちじく樹、キウイフルーツ樹、ブルーベリー樹及びパイナップル
ハ茶樹、オリーブ樹、つばき樹、桑樹、こりやなぎ、みつまた、こうぞ、もう宗竹、アスパラガス、ラミー、まおらん及びホップ
法人税法施行令第48条(減価償却資産の償却の方法)e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
平成十九年三月三十一日以前に取得をされた減価償却資産(第六号に掲げる減価償却資産にあつては、当該減価償却資産についての同号に規定する改正前リース取引に係る契約が平成二十年三月三十一日までに締結されたもの)の償却限度額(法第三十一条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定による減価償却資産の償却費として損金の額に算入する金額の限度額をいう。以下第七目までにおいて同じ。)の計算上選定をすることができる同項に規定する政令で定める償却の方法は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める方法とする。
一 建物(第三号に掲げるものを除く。)次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める方法
イ平成十年三月三十一日以前に取得をされた建物次に掲げる方法
(1)旧定額法(当該減価償却資産の取得価額からその残存価額を控除した金額にその償却費が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。以下この目及び第七目(減価償却資産の償却限度額等)において同じ。)
(2)旧定率法(当該減価償却資産の取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)にその償却費が毎年一定の割合で逓減するように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。以下この目及び第七目において同じ。)
ロイに掲げる建物以外の建物旧定額法
二 第十三条第一号(減価償却資産の範囲)に掲げる建物の附属設備及び同条第二号から第七号までに掲げる減価償却資産(次号及び第六号に掲げるものを除く。)次に掲げる方法
イ旧定額法
ロ旧定率法
三 鉱業用減価償却資産(第五号及び第六号に掲げるものを除く。)次に掲げる方法
イ旧定額法
ロ旧定率法
ハ旧生産高比例法(当該鉱業用減価償却資産の取得価額からその残存価額を控除した金額を当該資産の耐用年数(当該資産の属する鉱区の採掘予定年数がその耐用年数より短い場合には、当該鉱区の採掘予定年数)の期間内における当該資産の属する鉱区の採掘予定数量で除して計算した一定単位当たりの金額に各事業年度における当該鉱区の採掘数量を乗じて計算した金額を当該事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。以下この目及び第七目において同じ。)
四 第十三条第八号に掲げる無形固定資産(次号に掲げる鉱業権を除く。)及び同条第九号に掲げる生物旧定額法
五 第十三条第八号イに掲げる鉱業権次に掲げる方法
イ旧定額法
ロ旧生産高比例法
六 国外リース資産(法人税法施行令の一部を改正する政令(平成十九年政令第八十三号)による改正前の法人税法施行令第百三十六条の三第一項(リース取引に係る所得の計算)に規定するリース取引(同項又は同条第二項の規定により資産の賃貸借取引以外の取引とされるものを除く。以下この号において「改正前リース取引」という。)の目的とされている減価償却資産で所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第五号(定義)に規定する非居住者又は外国法人に対して賃貸されているもの(これらの者の専ら国内において行う事業の用に供されるものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)旧国外リース期間定額法(改正前リース取引に係る国外リース資産の取得価額から見積残存価額を控除した残額を当該改正前リース取引に係る契約において定められている当該国外リース資産の賃貸借の期間の月数で除して計算した金額に当該事業年度における当該国外リース資産の賃貸借の期間の月数を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。第七目において同じ。)
2 前項第一号から第三号までに掲げる減価償却資産につき評価換え等が行われたことによりその帳簿価額が減額された場合には、当該評価換え等が行われた事業年度後の各事業年度(当該評価換え等が期中評価換え等である場合には、当該期中評価換え等が行われた事業年度以後の各事業年度)における当該資産に係る同項第一号イ(2)に規定する損金の額に算入された金額には、当該帳簿価額が減額された金額を含むものとする。
3 第一項第三号に掲げる鉱業用減価償却資産又は同項第五号に掲げる鉱業権につき評価換え等が行われたことによりその帳簿価額が増額され、又は減額された場合には、当該評価換え等が行われた事業年度後の各事業年度(当該評価換え等が期中評価換え等である場合には、当該期中評価換え等が行われた事業年度以後の各事業年度)におけるこれらの資産に係る同項第三号ハに規定する一定単位当たりの金額は、これらの資産の当該評価換え等の直後の帳簿価額からその残存価額を控除し、これを残存採掘予定数量(同号ハに規定する採掘予定数量から同号ハに規定する耐用年数の期間内で当該評価換え等が行われた事業年度終了の日以前の期間(当該評価換え等が期中評価換え等である場合には、当該期中評価換え等が行われた事業年度開始の日前の期間)内における採掘数量を控除した数量をいう。)で除して計算した金額とする。
4 国外リース資産につき評価換え等が行われたことによりその帳簿価額が増額され、又は減額された場合には、当該評価換え等が行われた事業年度後の各事業年度(当該評価換え等が期中評価換え等である場合には、当該期中評価換え等が行われた事業年度以後の各事業年度)における当該国外リース資産に係る第一項第六号に規定する除して計算した金額は、当該国外リース資産の当該評価換え等の直後の帳簿価額から見積残存価額を控除し、これを当該国外リース資産の賃貸借の期間のうち当該評価換え等が行われた事業年度終了の日後の期間(当該評価換え等が期中評価換え等である場合には、当該期中評価換え等が行われた事業年度開始の日(当該事業年度が当該国外リース資産を賃貸の用に供した日の属する事業年度である場合には、同日)以後の期間)の月数で除して計算した金額とする。
5 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 鉱業用減価償却資産鉱業経営上直接必要な減価償却資産で鉱業の廃止により著しくその価値を減ずるものをいう。
二 見積残存価額国外リース資産をその賃貸借の終了の時において譲渡するとした場合に見込まれるその譲渡対価の額に相当する金額をいう。
三 評価換え等次に掲げるものをいう。
イ法第二十五条第二項(資産の評価益)に規定する評価換え及び法第三十三条第二項又は第三項(資産の評価損)の規定の適用を受ける評価換え
ロ民事再生等評価換え(法第二十五条第三項又は第三十三条第四項に規定する事実が生じた日の属する事業年度において、法第二十五条第三項に規定する資産の同項に規定する評価益の額として政令で定める金額又は法第三十三条第四項に規定する資産の同項に規定する評価損の額として政令で定める金額をこれらの規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額又は損金の額に算入することをいう。)
ハ非適格株式交換等時価評価(法第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)に規定する非適格株式交換等の日の属する事業年度において、同項に規定する時価評価資産の同項に規定する評価益の額又は評価損の額を同項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額又は損金の額に算入することをいう。)
ニ通算時価評価(時価評価事業年度(法第六十四条の十一第一項(通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益)に規定する通算開始直前事業年度、法第六十四条の十二第一項(通算制度への加入に伴う資産の時価評価損益)に規定する通算加入直前事業年度又は法第六十四条の十三第一項(通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価損益)に規定する通算終了直前事業年度をいう。ニにおいて同じ。)において、これらの規定に規定する時価評価資産のこれらの規定に規定する評価益の額又は評価損の額をこれらの規定により当該時価評価事業年度の所得の金額の計算上益金の額又は損金の額に算入することをいう。)
四 期中評価換え等法第二十五条第二項に規定する評価換え若しくは法第三十三条第三項の規定の適用を受ける評価換え若しくは前号ロに規定する民事再生等評価換え又は同号ハに規定する非適格株式交換等時価評価をいう。
6 第一項第六号及び第四項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
法人税法第62条の8(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が非適格合併等(適格合併に該当しない合併又は適格分割に該当しない分割、適格現物出資に該当しない現物出資若しくは事業の譲受けのうち、政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により当該非適格合併等に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人その他政令で定める法人(以下この条において「被合併法人等」という。)から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該内国法人が当該非適格合併等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産(適格合併に該当しない合併にあつては、第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する新株等)の価額の合計額(当該非適格合併等において当該被合併法人等から支出を受けた第三十七条第七項(寄附金の損金不算入)に規定する寄附金の額に相当する金額を含み、当該被合併法人等に対して支出をした同項に規定する寄附金の額に相当する金額を除く。第三項において「非適格合併等対価額」という。)が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(当該資産(営業権にあつては、政令で定めるものに限る。)の取得価額(第六十一条の十一第七項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用がある場合には、同項の規定の適用がないものとした場合の取得価額)の合計額から当該負債の額(次項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)の合計額を減算した金額をいう。第三項において同じ。)を超えるときは、その超える部分の金額のうち政令で定める部分の金額は、資産調整勘定の金額とする。
2 内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を負債調整勘定の金額とする。
一 当該内国法人が当該非適格合併等に伴い当該被合併法人等から引継ぎを受けた従業者につき退職給与債務引受け(非適格合併等後の退職その他の事由により当該非適格合併等に伴い引継ぎを受けた従業者に支給する退職給与の額につき、非適格合併等前における在職期間その他の勤務実績等を勘案して算定する旨を約し、かつ、これに伴う負担の引受けをすることをいう。以下この条において同じ。)をした場合当該退職給与債務引受けに係る金額として政令で定める金額(第六項第一号において「退職給与債務引受額」という。)
二 当該内国法人が当該非適格合併等により当該被合併法人等から移転を受けた事業に係る将来の債務(当該事業の利益に重大な影響を与えるものに限るものとし、前号の退職給与債務引受けに係るもの及び既にその履行をすべきことが確定しているものを除く。)で、その履行が当該非適格合併等の日からおおむね三年以内に見込まれるものについて、当該内国法人がその履行に係る負担の引受けをした場合当該債務の額に相当する金額として政令で定める金額(第六項第二号において「短期重要債務見込額」という。)
3 内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該非適格合併等に係る非適格合併等対価額が当該被合併法人等から移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額に満たないときは、その満たない部分の金額は、負債調整勘定の金額とする。
4 第一項の資産調整勘定の金額を有する内国法人は、各資産調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該資産調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を六十で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度が当該資産調整勘定の金額に係る非適格合併等の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を、当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度)において減額しなければならない。
5 前項の規定により減額すべきこととなつた資産調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
6 第二項に規定する負債調整勘定の金額を有する内国法人は、次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該負債調整勘定の金額につき、その該当することとなつた日の属する事業年度(その該当することとなつた日が自己を被合併法人とする合併の日である場合には、当該合併の日の前日の属する事業年度)において当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を減額しなければならない。
一 退職給与引受従業者(退職給与債務引受けの対象とされた第二項第一号に規定する従業者をいう。以下この号及び第九項において同じ。)が退職その他の事由により当該内国法人の従業者でなくなつた場合(当該退職給与引受従業者が、第九項第一号イ又は第二号イに規定する場合に該当する場合を除く。)又は退職給与引受従業者に対して退職給与を支給する場合退職給与債務引受額に係る負債調整勘定の金額(第九項及び第十項において「退職給与負債調整勘定の金額」という。)のうちこれらの退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額
二 短期重要債務見込額に係る損失が生じ、若しくは非適格合併等の日から三年が経過した場合又は自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合若しくはその残余財産が確定した場合当該短期重要債務見込額に係る負債調整勘定の金額(以下この条において「短期重要負債調整勘定の金額」という。)のうち当該損失の額に相当する金額(当該三年が経過した場合又は当該合併を行う場合若しくは当該残余財産が確定した場合にあつては、当該短期重要負債調整勘定の金額)
7 第三項の負債調整勘定の金額(以下この条において「差額負債調整勘定の金額」という。)を有する内国法人は、各差額負債調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該差額負債調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を六十で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度が当該差額負債調整勘定の金額に係る非適格合併等の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を、当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度)において減額しなければならない。
8 前二項の規定により減額すべきこととなつた負債調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
9 内国法人が自己を被合併法人、分割法人又は現物出資法人とする適格合併、適格分割又は適格現物出資(以下この条において「適格合併等」という。)を行つた場合には、次の各号に掲げる適格合併等の区分に応じ当該各号に定める資産調整勘定の金額及び負債調整勘定の金額は、当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(次項及び第十二項において「合併法人等」という。)に引き継ぐものとする。
一 適格合併当該適格合併の直前における資産調整勘定の金額及び次に掲げる負債調整勘定の金額
イ退職給与負債調整勘定の金額のうち、当該内国法人が当該適格合併を行つたことに伴いその退職給与引受従業者が当該適格合併に係る合併法人の業務に従事することとなつた場合(当該合併法人において退職給与債務引受けがされた場合に限る。)の当該退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額
ロ短期重要負債調整勘定の金額
ハ差額負債調整勘定の金額
二 適格分割又は適格現物出資(以下この号において「適格分割等」という。)当該適格分割等の直前における次に掲げる負債調整勘定の金額
イ退職給与負債調整勘定の金額のうち、当該内国法人が当該適格分割等を行つたことに伴いその退職給与引受従業者が当該適格分割等に係る分割承継法人又は被現物出資法人(イにおいて「分割承継法人等」という。)の業務に従事することとなつた場合(当該分割承継法人等において退職給与債務引受けがされた場合に限る。)の当該退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額
ロ当該適格分割等により移転する事業又は資産若しくは負債と密接な関連を有する短期重要負債調整勘定の金額として政令で定めるもの
10 前項の規定により合併法人等が引継ぎを受けた資産調整勘定の金額並びに退職給与負債調整勘定の金額、短期重要負債調整勘定の金額及び差額負債調整勘定の金額は、それぞれ当該合併法人等が同項の適格合併等の時において有する資産調整勘定の金額並びに退職給与負債調整勘定の金額、短期重要負債調整勘定の金額及び差額負債調整勘定の金額とみなす。
11 第四項及び第七項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
12 前項に定めるもののほか、内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において当該内国法人が当該非適格合併等(当該内国法人の株式又は出資の交付が省略されたと認められるものに限る。)により金銭その他の資産を交付しないときの第一項の資産調整勘定の金額又は差額負債調整勘定の金額の計算、第十項の合併法人等が適格合併等により引継ぎを受けた資産調整勘定の金額につき第四項の規定により減額すべき金額の計算その他第一項から第十項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
NTT ドコモ事件 最高裁平成20年9月16日判決(民集62巻8号2089頁) 百選57
2.法人税法31条1項の概観
法人税法(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
第三十一条 内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。
2 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下第四項までにおいて「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に減価償却資産を移転する場合において、当該減価償却資産について損金経理額に相当する金額を費用の額としたときは、当該費用の額とした金額(次項及び第四項において「期中損金経理額」という。)のうち、当該減価償却資産につき当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される償却限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度(第四項において「分割等事業年度」という。)の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中損金経理額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
4 損金経理額には、第一項の減価償却資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(以下この項において「償却事業年度」という。)前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額(当該減価償却資産が適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)により被合併法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該被合併法人等の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度以前の各事業年度の損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を、当該減価償却資産が適格分割等により分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「分割法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該分割法人等の分割等事業年度の期中損金経理額として帳簿に記載した金額及び分割等事業年度前の各事業年度の損金経理額のうち分割等事業年度以前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含む。以下この項において同じ。)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとし、期中損金経理額には、第二項の内国法人の分割等事業年度前の各事業年度における同項の減価償却資産に係る損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとする。
5 前項の場合において、内国法人の有する減価償却資産(適格合併により被合併法人から移転を受けた減価償却資産、第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)
の規定の適用を受けた同項に規定する時価評価資産に該当する減価償却資産その他の政令で定める減価償却資産に限る。)につきその価額として帳簿に記載されていた金額として政令で定める金額が当該移転の直前に当該被合併法人の帳簿に記載されていた金額、同条第一項の規定の適用を受けた直後の帳簿価額その他の政令で定める金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、政令で定める事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなす。
6 第一項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
①法人税法31条1項にいう「減価償却資産」とは、何を指すか。
減価償却資産とは、事業のように供する固定資産のうち、使用または時間の経過によって価値の減少するものをいう。その中には、建物、構築物、機械および装置、船舶、車両・運搬具、工具、器具・備品のような有形の減価償却資産と鉱業権・水利権・無体財産権・営業権(のれん)等のような無形の減価償却資産とがある(法人税法2条23号、法人税法施行令13条)。
②ある会社が建物を取得して事業の用に供した。このとき、この建物につきどのような減価償却のやり方が可能か。
事業用に取得した建物の減価償却については、次の区分にしたがって計算される。
(ⅰ)平成10年3月31日以前に取得した建物の場合旧定額法(当該減価償却資産の取得価額からその残存価額を控除した金額にその償却費が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法)、および旧定率法(当該減価償却資産の取得価額にその償却費が毎年一定の割合で逓減するように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法)で計算する(法人税法施行令48条1項1号イ)。
(ⅱ)平成10年4月1日以降平成19年3月31日以前に取得した建物の場合旧定額法で計算する(同48条1項1号ロ)。
(ⅲ)平成19年4月1日以降に取得した建物の場合定額法(当該減価償却資産の取得価額にその償却費が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法)で計算する法税令(同48条の2第1項1号)。
③平成19年度税制改正(償却可能限度額や残存価額の廃止)
固定資産についての投下費用を早期にほぼ全額回収することができるようになり、設備投資が促進されることになる。
6.企業買収における営業権の計上
営業権の意義
協和化学工業株式会社事件
①Aの収益力が同種企業の平均収益よりもはるかに低いものであったこと、が本件判決の結論を導く際に重要な事実であったと考えられる。→将来の見積もり超過収益力を予測できるほどの合理性を認めることができない。という部分も重要な事実に当たる。
②判決によると、本件営業権は税法上無価値なものであるので、本件営業権譲渡にかかる支出は収益を上げるために必要な支出ではないといえる。とすれば、費用収益対応の原則からいって、費用性はみとめられず、償却費用としては税法上認められないと考える。よって、Xが自己資金で2000 万円を支出していたとしても結論は変わらない。→寄付金として課税されると考える
③支払利息金および減価償却費の損金算入が認められなくなる。
非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等
法人税法62条の8(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)
第六十二条の八 内国法人が非適格合併等(適格合併に該当しない合併又は適格分割に該当しない分割、適格現物出資に該当しない現物出資若しくは事業の譲受けのうち、政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により当該非適格合併等に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人その他政令で定める法人(以下この条において「被合併法人等」という。)から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該内国法人が当該非適格合併等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産(適格合併に該当しない合併にあつては、第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する新株等)の価額の合計額(当該非適格合併等において当該被合併法人等から支出を受けた第三十七条第七項(寄附金の損金不算入)に規定する寄附金の額に相当する金額を含み、当該被合併法人等に対して支出をした同項に規定する寄附金の額に相当する金額を除く。第三項において「非適格合併等対価額」という。)が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(当該資産(営業権にあつては、政令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)の取得価額(第六十一条の十三第七項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用がある場合には、同項の規定の適用がないものとした場合の取得価額。以下この項において同じ。)の合計額から当該負債の額(次項に規定する負債調整勘定の金額を含む。以下この項において同じ。)の合計額を控除した金額をいう。第三項において同じ。)を超えるときは、その超える部分の金額(当該資産の取得価額の合計額が当該負債の額の合計額に満たない場合には、その満たない部分の金額を加算した金額)のうち政令で定める部分の金額は、資産調整勘定の金額とする。
2 内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を負債調整勘定の金額とする。
一 当該内国法人が当該非適格合併等に伴い当該被合併法人等から引継ぎを受けた従業者につき退職給与債務引受け(非適格合併等後の退職その他の事由により当該非適格合併等に伴い引継ぎを受けた従業者に支給する退職給与の額につき、非適格合併等前における在職期間その他の勤務実績等を勘案して算定する旨を約し、かつ、これに伴う負担の引受けをすることをいう。以下この条において同じ。)をした場合 当該退職給与債務引受けに係る金額として政令で定める金額(第六項第一号において「退職給与債務引受額」という。)
二 当該内国法人が当該非適格合併等により当該被合併法人等から移転を受けた事業に係る将来の債務(当該事業の利益に重大な影響を与えるものに限るものとし、前号の退職給与債務引受けに係るもの及び既にその履行をすべきことが確定しているものを除く。)で、その履行が当該非適格合併等の日からおおむね三年以内に見込まれるものについて、当該内国法人がその履行に係る負担の引受けをした場合 当該債務の額に相当する金額として政令で定める金額(第六項第二号において「短期重要債務見込額」という。)
3 内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該非適格合併等に係る非適格合併等対価額が当該被合併法人等から移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額に満たないときは、その満たない部分の金額は、負債調整勘定の金額とする。
4 第一項の資産調整勘定の金額を有する内国法人は、各資産調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該資産調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を六十で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度が当該資産調整勘定の金額に係る非適格合併等の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を、当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度)において減額しなければならない。
5 前項の規定により減額すべきこととなつた資産調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
6 第二項に規定する負債調整勘定の金額を有する内国法人は、次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該負債調整勘定の金額につき、その該当することとなつた日の属する事業年度(その該当することとなつた日が自己を被合併法人とする合併の日である場合には、当該合併の日の前日の属する事業年度)において当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を減額しなければならない。
一 退職給与引受従業者(退職給与債務引受けの対象とされた第二項第一号に規定する従業者をいう。以下この号及び第九項において同じ。)が退職その他の事由により当該内国法人の従業者でなくなつた場合(当該退職給与引受従業者が、第九項第一号イ又は第二号イに規定する場合に該当する場合を除く。)又は退職給与引受従業者に対して退職給与を支給する場合 退職給与債務引受額に係る負債調整勘定の金額(第九項及び第十項において「退職給与負債調整勘定の金額」という。)のうちこれらの退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額二 短期重要債務見込額に係る損失が生じ、若しくは非適格合併等の日から三年が経過した場合又は自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合若しくはその残余財産が確定した場合 当該短期重要債務見込額に係る負債調整勘定の金額(以下この条において「短期重要負債調整勘定の金額」という。)のうち当該損失の額に相当する金額(当該三年が経過した場合又は当該合併を行う場合若しくは当該残余財産が確定した場合にあつては、当該短期重要負債調整勘定の金額)
7 第三項の負債調整勘定の金額(以下この条において「差額負債調整勘定の金額」という。)を有する内国法人は、各差額負債調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該差額負債調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を六十で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度が当該差額負債調整勘定の金額に係る非適格合併等の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を、当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度)において減額しなければならない。
8 前二項の規定により減額すべきこととなつた負債調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
9 内国法人が自己を被合併法人、分割法人又は現物出資法人とする適格合併、適格分割又は適格現物出資(以下この条において「適格合併等」という。)を行つた場合には、次の各号に掲げる適格合併等の区分に応じ、当該各号に定める資産調整勘定の金額及び負債調整勘定の金額は、当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(次項及び第十二項において「合併法人等」という。)に引き継ぐものとする。
一 適格合併 当該適格合併の直前における資産調整勘定の金額及び次に掲げる負債調整勘定の金額イ 退職給与負債調整勘定の金額のうち、当該内国法人が当該適格合併を行つたことに伴いその退職給与引受従業者が当該適格合併に係る合併法人の業務に従事することとなつた場合(当該合併法人において退職給与債務引受けがされた場合に限る。)の当該退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額ロ 短期重要負債調整勘定の金額ハ 差額負債調整勘定の金額二 適格分割又は適格現物出資(以下この号において「適格分割等」という。) 当該適格分割等の直前における次に掲げる負債調整勘定の金額イ 退職給与負債調整勘定の金額のうち、当該内国法人が当該適格分割等を行つたことに伴いその退職給与引受従業者が当該適格分割等に係る分割承継法人又は被現物出資法人(イにおいて「分割承継法人等」という。)の業務に従事することとなつた場合(当該分割承継法人等において退職給与債務引受けがされた場合に限る。)の当該退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額ロ 当該適格分割等により移転する事業又は資産若しくは負債と密接な関連を有する短期重要負債調整勘定の金額として政令で定めるもの10 前項の規定により合併法人等が引継ぎを受けた資産調整勘定の金額並びに退職給与負債調整勘定の金額、短期重要負債調整勘定の金額及び差額負債調整勘定の金額は、それぞれ当該合併法人等が同項の適格合併等の時において有する資産調整勘定の金額並びに退職給与負債調整勘定の金額、短期重要負債調整勘定の金額及び差額負債調整勘定の金額とみなす。
11 第四項及び第七項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
12 前項に定めるもののほか、内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において当該内国法人が当該非適格合併等により金銭その他の資産を交付しないときの第一項の資産調整勘定の金額又は差額負債調整勘定の金額の計算、第十項の合併法人等が適格合併等により引継ぎを受けた資産調整勘定の金額につき第四項の規定により減額すべき金額の計算その他第一項から第十項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
- 注
- 適用要件
- 単純な株式譲渡は、含まない。
- LBO でSPC が株式を譲り受け、SPC の100%子会社とした後に当該会社とSPC を合併させる場合は、「非」適格にならないため、税法上は資産調整勘定(のれん)は生じない。財務会計上は生じる(法人税申告書の別表で修正される)。
324.04貸倒損失
引用条文の現行全文9条執筆時から改正 22026年8月16日時点
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人の有する資産につき、災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたことその他の政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、前項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 内国法人がその有する資産につき更生計画認可の決定があつたことにより会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従つて行う評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、第一項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
4 内国法人について再生計画認可の決定があつたことその他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人がその有する資産の価額につき政令で定める評定を行つているときは、その資産(評価損の計上に適しないものとして政令で定めるものを除く。)の評価損の額として政令で定める金額は、第一項の規定にかかわらず、これらの事実が生じた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
5 前三項の内国法人がこれらの内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人で政令で定めるものの株式又は出資を有する場合における当該株式又は出資及びこれらの規定の内国法人が通算法人である場合におけるこれらの内国法人が有する他の通算法人(第六十四条の五(損益通算)の規定の適用を受けない法人として政令で定める法人及び通算親法人を除く。)の株式又は出資については、前三項の規定は、適用しない。
6 第一項の規定の適用があつた場合において、同項の評価換えにより減額された金額を損金の額に算入されなかつた資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その減額がされなかつたものとみなす。
7 第四項の規定は、確定申告書に同項に規定する評価損の額として政令で定める金額の損金算入に関する明細(次項において「評価損明細」という。)の記載があり、かつ、財務省令で定める書類(次項において「評価損関係書類」という。)の添付がある場合(第二十五条第三項(資産の評価益)に規定する資産につき同項に規定する評価益の額として政令で定める金額がある場合(次項において「評価益がある場合」という。)には、同条第六項に規定する評価益明細(次項において「評価益明細」という。)の記載及び同条第六項に規定する評価益関係書類(次項において「評価益関係書類」という。)の添付がある場合に限る。)に限り、適用する。
8 税務署長は、評価損明細(評価益がある場合には、評価損明細又は評価益明細)の記載又は評価損関係書類(評価益がある場合には、評価損関係書類又は評価益関係書類)の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、当該記載又は当該添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第四項の規定を適用することができる。
9 前三項に定めるもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
次に掲げる内国法人が、その有する金銭債権(債券に表示されるべきものを除く。以下この項及び次項において同じ。)のうち、更生計画認可の決定に基づいて弁済を猶予され、又は賦払により弁済されることその他の政令で定める事実が生じていることによりその一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれるもの(当該金銭債権に係る債務者に対する他の金銭債権がある場合には、当該他の金銭債権を含む。以下この条において「個別評価金銭債権」という。)のその損失の見込額として、各事業年度(被合併法人の適格合併に該当しない合併の日の前日の属する事業年度及び残余財産の確定(その残余財産の分配が適格現物分配に該当しないものに限る。次項において同じ。)の日の属する事業年度を除く。)において損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、当該事業年度終了の時において当該個別評価金銭債権の取立て又は弁済の見込みがないと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第五項において「個別貸倒引当金繰入限度額」という。)に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
一 当該事業年度終了の時において次に掲げる法人に該当する内国法人
イ普通法人(投資法人及び特定目的会社を除く。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの(第六十六条第五項第二号又は第三号(各事業年度の所得に対する法人税の税率)に掲げる法人に該当するもの及び同条第六項に規定する大通算法人を除く。)又は資本若しくは出資を有しないもの(同項に規定する大通算法人を除く。)
ロ公益法人等又は協同組合等
ハ人格のない社団等
二 次に掲げる内国法人
イ銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項(定義等)に規定する銀行
ロ保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項(定義)に規定する保険会社
ハイ又はロに掲げるものに準ずるものとして政令で定める内国法人
三 第六十四条の二第一項(リース取引に係る所得の金額の計算)の規定により売買があつたものとされる同項に規定するリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する内国法人その他の金融に関する取引に係る金銭債権を有する内国法人として政令で定める内国法人(前二号に掲げる内国法人を除く。)
2 前項各号に掲げる内国法人が、その有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(個別評価金銭債権を除く。以下この条において「一括評価金銭債権」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各事業年度(被合併法人の適格合併に該当しない合併の日の前日の属する事業年度及び残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。)において損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、当該事業年度終了の時において有する一括評価金銭債権の額及び最近における売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権の貸倒れによる損失の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第六項において「一括貸倒引当金繰入限度額」という。)に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定に規定する貸倒引当金勘定に繰り入れた金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項及び第二項の規定を適用することができる。
5 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下この条において「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に個別評価金銭債権を移転する場合(当該適格分割等の直前の時を事業年度終了の時とした場合に当該内国法人が第一項各号に掲げる法人に該当する場合に限る。)において、当該個別評価金銭債権について同項の貸倒引当金勘定に相当するもの(以下この条において「期中個別貸倒引当金勘定」という。)を設けたときは、その設けた期中個別貸倒引当金勘定の金額に相当する金額のうち、当該個別評価金銭債権につき当該適格分割等の直前の時を事業年度終了の時とした場合に同項の規定により計算される個別貸倒引当金繰入限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
6 内国法人が、適格分割等により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に一括評価金銭債権を移転する場合(当該適格分割等の直前の時を事業年度終了の時とした場合に当該内国法人が第一項各号に掲げる法人に該当する場合に限る。)において、当該一括評価金銭債権について第二項の貸倒引当金勘定に相当するもの(以下この条において「期中一括貸倒引当金勘定」という。)を設けたときは、その設けた期中一括貸倒引当金勘定の金額に相当する金額のうち、当該一括評価金銭債権につき当該適格分割等の直前の時を事業年度終了の時とした場合に同項の規定により計算される一括貸倒引当金繰入限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
7 前二項の規定は、これらの規定に規定する内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中個別貸倒引当金勘定の金額又は期中一括貸倒引当金勘定の金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
8 内国法人が、適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び第十一項において「適格組織再編成」という。)を行つた場合には、次の各号に掲げる適格組織再編成の区分に応じ当該各号に定める貸倒引当金勘定の金額又は期中個別貸倒引当金勘定の金額若しくは期中一括貸倒引当金勘定の金額は、当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(第十一項において「合併法人等」という。)に引き継ぐものとする。
一 適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)第一項又は第二項の規定により当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたこれらの規定に規定する貸倒引当金勘定の金額
二 適格分割等第五項又は第六項の規定により当該適格分割等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された期中個別貸倒引当金勘定の金額又は期中一括貸倒引当金勘定の金額
9 第一項、第二項、第五項及び第六項の規定の適用については、個別評価金銭債権及び一括評価金銭債権には、次に掲げる金銭債権を含まないものとする。
一 第一項第三号に掲げる内国法人(第五項又は第六項の規定を適用する場合にあつては、適格分割等の直前の時を事業年度終了の時とした場合に同号に掲げる内国法人に該当するもの)が有する金銭債権のうち当該内国法人の区分に応じ政令で定める金銭債権以外のもの
二 内国法人が当該内国法人との間に完全支配関係がある他の法人に対して有する金銭債権
10 第一項又は第二項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたこれらの規定に規定する貸倒引当金勘定の金額は、当該事業年度の翌事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
11 第八項の規定により合併法人等が引継ぎを受けた貸倒引当金勘定の金額又は期中個別貸倒引当金勘定の金額若しくは期中一括貸倒引当金勘定の金額は、当該合併法人等の適格組織再編成の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
12 普通法人又は協同組合等が公益法人等に該当することとなる場合の当該普通法人又は協同組合等のその該当することとなる日の前日の属する事業年度については、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
13 第三項、第四項及び第七項に定めるもののほか、第一項、第二項、第五項、第六項及び第八項から前項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法第61条の3(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が事業年度終了の時において有する有価証券については、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額をもつて、その時における評価額とする。
一 売買目的有価証券(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券として政令で定めるものをいう。以下第三項までにおいて同じ。)当該売買目的有価証券を時価法(事業年度終了の時において有する有価証券を銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄の同じものについて、その時における価額として政令で定めるところにより計算した金額をもつて当該有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額(次項において「時価評価金額」という。)
二 売買目的外有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券をいう。)当該売買目的外有価証券を原価法(事業年度終了の時において有する有価証券(以下この号において「期末保有有価証券」という。)について、その時における帳簿価額(償還期限及び償還金額の定めのある有価証券にあつては、政令で定めるところにより当該帳簿価額と当該償還金額との差額のうち当該事業年度に配分すべき金額を加算し、又は減算した金額)をもつて当該期末保有有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額
2 内国法人が事業年度終了の時において売買目的有価証券を有する場合には、当該売買目的有価証券に係る評価益(当該売買目的有価証券の時価評価金額が当該売買目的有価証券のその時における帳簿価額(以下この項において「期末帳簿価額」という。)を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。次項において同じ。)又は評価損(当該売買目的有価証券の期末帳簿価額が当該売買目的有価証券の時価評価金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。次項において同じ。)は、第二十五条第一項(資産の評価益の益金不算入)又は第三十三条第一項(資産の評価損の損金不算入)の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
3 内国法人が適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下この項において「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に売買目的有価証券を移転する場合には、当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される当該売買目的有価証券に係る評価益又は評価損に相当する金額は、第二十五条第一項又は第三十三条第一項の規定にかかわらず、当該適格分割等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
4 第二項に規定する評価益又は評価損の翌事業年度における処理その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法施行令第119条の15(売買目的有価証券の評価益又は評価損の翌事業年度における処理等)e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
内国法人が法第六十一条の三第二項(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入)の規定により当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入した金額に相当する金額は、当該事業年度の翌事業年度の所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入する。
2 内国法人が法第六十一条の三第三項の規定の適用を受ける場合には、同項に規定する適格分割等(以下この条において「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に移転する売買目的有価証券(法第六十一条の三第一項第一号に規定する売買目的有価証券をいう。以下この条において同じ。)の当該適格分割等の直前の帳簿価額は、当該売買目的有価証券につき法第六十一条の三第三項の規定により同項に規定する評価益又は評価損に相当する金額を計算する場合の同条第二項の時価評価金額とする。
3 内国法人が適格合併若しくは適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。以下この項及び第五項において同じ。)又は適格分割等により売買目的有価証券の移転を受けたときは、当該適格合併に係る被合併法人の最後事業年度(法第六十二条第二項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する最後事業年度をいう。第五項において同じ。)若しくは当該適格現物分配に係る現物分配法人の当該残余財産の確定の日の属する事業年度又は当該適格分割等に係る分割法人、現物出資法人若しくは現物分配法人(第五項において「分割法人等」という。)の当該適格分割等の日の属する事業年度において当該移転を受けた売買目的有価証券につき法第六十一条の三第二項又は第三項の規定により益金の額又は損金の額に算入された金額に相当する金額は、当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度若しくは当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度又は当該適格分割等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入する。
4 法第六十一条の三第二項の規定により同項に規定する評価益又は評価損を当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入した売買目的有価証券の当該事業年度の翌事業年度開始の時における帳簿価額は、その売買目的有価証券の同項の規定を適用した後の当該事業年度終了の時における帳簿価額から第一項の規定により損金の額に算入される金額に相当する金額を減算し、又はその帳簿価額に同項の規定により益金の額に算入される金額に相当する金額を加算した金額とする。
5 内国法人が適格合併若しくは適格現物分配又は適格分割等により移転を受けた売買目的有価証券で、当該適格合併若しくは適格現物分配に係る被合併法人若しくは現物分配法人が法第六十一条の三第二項の規定により同項に規定する評価益若しくは評価損を最後事業年度若しくは当該適格現物分配に係る残余財産の確定の日の属する事業年度の益金の額若しくは損金の額に算入したもの又は当該適格分割等に係る分割法人等が同条第三項の規定により同項に規定する評価益若しくは評価損に相当する金額を当該適格分割等の日の属する事業年度の益金の額若しくは損金の額に算入したもののその移転を受けた時における帳簿価額は、その売買目的有価証券につき当該被合併法人若しくは現物分配法人において同条第二項の規定を適用した後の当該最後事業年度終了の時若しくは当該残余財産の確定の時の帳簿価額若しくは当該分割法人等における当該適格分割等の直前の帳簿価額から第三項の規定により損金の額に算入される金額に相当する金額を減算し、又はこれらの帳簿価額に同項の規定により益金の額に算入される金額に相当する金額を加算した金額とする。
6 法第六十一条の三第二項に規定する期末帳簿価額は、法第二十五条第二項(資産の評価益の益金不算入等)に規定する評価換えをしてその帳簿価額を増額した場合にはその増額をした後の帳簿価額とし、法第三十三条第二項(資産の評価損の損金算入)に規定する評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額した場合には同項に規定する差額に達するまでの金額の減額をした後の帳簿価額とし、同条第三項に規定する評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合にはその減額をした後の帳簿価額とする。
法人税法施行令第68条(資産の評価損の計上ができる事実)e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第三十三条第二項(資産の評価損の損金不算入等)に規定する政令で定める事実は、物損等の事実(次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める事実であつて、当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。
一 棚卸資産次に掲げる事実
イ当該資産が災害により著しく損傷したこと。
ロ当該資産が著しく陳腐化したこと。
ハイ又はロに準ずる特別の事実
二 有価証券次に掲げる事実(法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券にあつては、ロ又はハに掲げる事実)
イ第百十九条の十三第一項第一号から第四号まで(売買目的有価証券の時価評価金額)に掲げる有価証券(第百十九条の二第二項第二号(有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法)に掲げる株式又は出資に該当するものを除く。)の価額が著しく低下したこと。
ロイに規定する有価証券以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと。
ハロに準ずる特別の事実
三 固定資産次に掲げる事実
イ当該資産が災害により著しく損傷したこと。
ロ当該資産が一年以上にわたり遊休状態にあること。
ハ当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと。
ニ当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと。
ホイからニまでに準ずる特別の事実
四 繰延資産(第十四条第一項第六号(繰延資産の範囲)に掲げるもののうち他の者の有する固定資産を利用するために支出されたものに限る。)次に掲げる事実
イその繰延資産となる費用の支出の対象となつた固定資産につき前号イからニまでに掲げる事実が生じたこと。
ロイに準ずる特別の事実
2 内国法人の有する資産について法第三十三条第二項に規定する政令で定める事実が生じ、かつ、当該内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額する場合において、当該内国法人が当該評価換えをする事業年度につき同条第四項の規定の適用を受けるとき(当該事実が生じた日後に当該適用に係る次条第二項各号に定める評定が行われるときに限る。)は、当該評価換えについては、法第三十三条第二項の規定は、適用しない。この場合において、当該資産(同条第四項に規定する資産に該当しないものに限る。)は、同条第四項に規定する資産とみなす。
法人税法第61条の2(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第六十二条から第六十二条の五まで(合併等による資産の譲渡)の規定の適用がある場合を除き、その譲渡に係る契約をした日(その譲渡が剰余金の配当その他の財務省令で定める事由によるものである場合には、当該剰余金の配当の効力が生ずる日その他の財務省令で定める日)の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
一 その有価証券の譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額がある場合には、そのみなされる金額に相当する金額を控除した金額)
二 その有価証券の譲渡に係る原価の額(その有価証券についてその内国法人が選定した一単位当たりの帳簿価額の算出の方法により算出した金額(算出の方法を選定しなかつた場合又は選定した方法により算出しなかつた場合には、算出の方法のうち政令で定める方法により算出した金額)にその譲渡をした有価証券の数を乗じて計算した金額をいう。)
2 内国法人が、旧株(当該内国法人が有していた株式(出資を含む。以下この条において同じ。)をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の合併(当該法人の株主等に合併法人又は合併法人との間に当該合併法人の発行済株式若しくは出資(自己が有する自己の株式を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する第二条第十二号の八(定義)に規定する剰余金の配当等として交付された金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。以下この項及び第六項において「金銭等不交付合併」という。)により当該株式の交付を受けた場合又は旧株を発行した法人の特定無対価合併(当該法人の株主等に合併法人の株式その他の資産が交付されなかつた合併で、当該法人の株主等に対する合併法人の株式の交付が省略されたと認められる合併として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により当該旧株を有しないこととなつた場合における前項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、これらの旧株の当該金銭等不交付合併又は特定無対価合併の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
3 合併法人の第二十四条第二項に規定する抱合株式(前項の規定の適用があるものを除く。)に係る第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該抱合株式の合併の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
4 内国法人が所有株式(当該内国法人が有する株式をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の行つた分割型分割により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けた場合には、当該所有株式のうち当該分割型分割により当該分割承継法人に移転した資産及び負債に対応する部分の譲渡を行つたものとみなして、第一項の規定を適用する。この場合において、その分割型分割(第二条第十二号の九イに規定する分割対価資産として分割承継法人又は分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人(以下この項において「親法人」という。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されなかつたもの(当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数又は金額の割合に応じて交付されたものに限る。以下この項において「金銭等不交付分割型分割」という。)を除く。)により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、その所有株式の当該分割型分割の直前の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「分割純資産対応帳簿価額」という。)とし、その分割型分割(金銭等不交付分割型分割に限る。)により分割承継法人又は親法人の株式の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる金額は、いずれもその所有株式の当該分割型分割の直前の分割純資産対応帳簿価額とする。
5 内国法人が自己を分割法人とする適格分割型分割により当該適格分割型分割に係る分割承継法人又は第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人(第七項において「分割承継親法人」という。)の株式を当該内国法人の株主等に交付した場合における第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる金額は、いずれも第六十二条の二第三項(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)に規定する政令で定める金額に相当する金額とする。
6 内国法人が自己を合併法人とする適格合併(金銭等不交付合併に限る。)により第二条第十二号の八に規定する合併親法人の株式を交付した場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該合併親法人の株式の当該適格合併の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
7 内国法人が自己を分割承継法人とする適格分割により分割承継親法人の株式を交付した場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該分割承継親法人の株式の当該適格分割の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
8 内国法人が所有株式(当該内国法人が有する株式をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の行つた株式分配により第二条第十二号の十五の二に規定する完全子法人(以下この項において「完全子法人」という。)の株式その他の資産の交付を受けた場合には、当該所有株式のうち当該完全子法人の株式に対応する部分の譲渡を行つたものとみなして、第一項の規定を適用する。この場合において、その株式分配(完全子法人の株式以外の資産が交付されなかつたもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数又は金額の割合に応じて交付されたものに限る。以下この項において「金銭等不交付株式分配」という。)を除く。)により完全子法人の株式その他の資産の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、その所有株式の当該株式分配の直前の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「完全子法人株式対応帳簿価額」という。)とし、その株式分配(金銭等不交付株式分配に限る。)により完全子法人の株式の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる金額は、いずれもその所有株式の当該株式分配の直前の完全子法人株式対応帳簿価額とする。
9 内国法人が、旧株(当該内国法人が有していた株式をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の行つた株式交換(当該法人の株主に株式交換完全親法人又は株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付された金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。以下この項及び次項において「金銭等不交付株式交換」という。)により当該株式の交付を受けた場合又は旧株を発行した法人の行つた特定無対価株式交換(当該法人の株主に株式交換完全親法人の株式その他の資産が交付されなかつた株式交換で、当該法人の株主に対する株式交換完全親法人の株式の交付が省略されたと認められる株式交換として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により当該旧株を有しないこととなつた場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、これらの旧株の当該金銭等不交付株式交換又は特定無対価株式交換の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
10 内国法人が自己を株式交換完全親法人とする適格株式交換等(金銭等不交付株式交換に限る。)により第二条第十二号の十七に規定する株式交換完全支配親法人の株式を交付した場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該株式交換完全支配親法人の株式の当該適格株式交換等の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
11 内国法人が旧株(当該内国法人が有していた株式をいう。)を発行した法人の行つた株式移転(当該法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式の交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該旧株の当該株式移転の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
12 内国法人がその有する新株予約権(新株予約権付社債を含む。以下この項において「旧新株予約権等」という。)を発行した法人を被合併法人、分割法人、株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人とする合併、分割、株式交換又は株式移転(以下この項において「合併等」という。)により当該旧新株予約権等に代えて当該合併等に係る合併法人、分割承継法人、株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人の新株予約権(新株予約権付社債を含む。)のみの交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該旧新株予約権等の当該合併等の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
13 内国法人が旧株(当該内国法人が有していた株式をいう。)を発行した法人の行つた組織変更(当該法人の株主等に当該法人の株式のみが交付されたものに限る。)に際して当該法人の株式の交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該旧株の当該組織変更の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
14 内国法人が次の各号に掲げる有価証券を当該各号に定める事由により譲渡をし、かつ、当該事由により当該各号に規定する取得をする法人の株式又は新株予約権の交付を受けた場合(当該交付を受けた株式又は新株予約権の価額が当該譲渡をした有価証券の価額とおおむね同額となつていないと認められる場合を除く。)における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該各号に掲げる有価証券の当該譲渡の直前の帳簿価額(第四号に掲げる有価証券にあつては、同号の新株予約権付社債の当該譲渡の直前の帳簿価額)に相当する金額とする。
一 取得請求権付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主等が当該法人に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。)当該取得請求権付株式に係る請求権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該請求権の行使
二 取得条項付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件として当該株式の取得をすることができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。)当該取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合(その取得の対象となつた種類の株式の全てが取得をされる場合には、その取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含む。)の当該取得事由の発生
三 全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(以下この号において「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)当該全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式(当該株式と併せて交付される当該取得をする法人の新株予約権を含む。)以外の資産(当該取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されない場合の当該取得決議
四 新株予約権付社債についての社債当該新株予約権付社債に付された新株予約権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式が交付される場合の当該新株予約権の行使
五 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいう。以下この号において同じ。)又は取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債これらの取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生
15 内国法人が旧受益権(当該内国法人が有していた集団投資信託の受益権をいう。)に係る信託の併合(当該集団投資信託の受益者に当該信託の併合に係る新たな信託の受益権以外の資産(信託の併合に反対する当該受益者に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該受益権の交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該旧受益権の当該信託の併合の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
16 内国法人が旧受益権(当該内国法人が有していた集団投資信託の受益権をいう。以下この項において同じ。)に係る信託の分割により承継信託(信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託をいう。以下この項において同じ。)の受益権その他の資産の交付を受けた場合には、当該旧受益権のうち当該信託の分割により当該承継信託に移転した資産及び負債に対応する部分の譲渡を行つたものとみなして、第一項の規定を適用する。この場合において、その信託の分割(分割信託(信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する信託をいう。)の受益者に承継信託の受益権以外の資産(信託の分割に反対する当該受益者に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されたもの(以下この項において「金銭等交付分割」という。)に限る。)により承継信託の受益権その他の資産の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、その旧受益権の当該信託の分割の直前の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「分割純資産対応帳簿価額」という。)とし、その信託の分割(金銭等交付分割を除く。)により承継信託の受益権の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる金額は、いずれもその旧受益権の当該信託の分割の直前の分割純資産対応帳簿価額とする。
17 内国法人が、所有株式(当該内国法人が有していた株式をいう。)を発行した他の内国法人(当該内国法人との間に完全支配関係があるものに限る。)の第二十四条第一項各号に掲げる事由(第二項の規定の適用がある合併、第四項に規定する金銭等不交付分割型分割及び第八項に規定する金銭等不交付株式分配を除く。)により金銭その他の資産の交付を受けた場合(当該他の内国法人の同条第一項第二号に掲げる分割型分割、同項第三号に掲げる株式分配、同項第四号に規定する資本の払戻し若しくは解散による残余財産の一部の分配又は口数の定めがない出資についての出資の払戻しに係るものである場合にあつては、その交付を受けた時において当該所有株式を有する場合に限る。)又は当該事由により当該他の内国法人の株式を有しないこととなつた場合(当該他の内国法人の残余財産の分配を受けないことが確定した場合を含む。)における第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、同項第二号に掲げる金額(第四項、第八項、次項又は第十九項の規定の適用がある場合には、これらの規定により同号に掲げる金額とされる金額)に相当する金額とする。
18 内国法人が所有株式(当該内国法人が有する株式をいう。)を発行した法人の第二十四条第一項第四号に規定する資本の払戻し又は解散による残余財産の一部の分配(以下この項において「払戻し等」という。)として金銭その他の資産の交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、当該所有株式の払戻し等の直前の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。
19 内国法人がその出資(口数の定めがないものに限る。以下この項において「所有出資」という。)を有する法人の出資の払戻し(以下この項において「払戻し」という。)として金銭その他の資産の交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、当該払戻しの直前の当該所有出資の帳簿価額に当該払戻しの直前の当該所有出資の金額のうちに当該払戻しに係る出資の金額の占める割合を乗じて計算した金額に相当する金額とする。
20 内国法人が所有受益権(当該内国法人が有する第二条第二十九号ハに規定する特定受益証券発行信託の受益権をいう。)に係る同号ハに規定する特定受益証券発行信託の元本の払戻し(当該特定受益証券発行信託に係る信託の終了若しくは一部の解約又は信託の分割によるものを除く。以下この項において「払戻し」という。)として金銭の交付を受けた場合における第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、当該所有受益権の払戻しの直前の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。
21 内国法人が、有価証券の空売り(有価証券を有しないでその売付けをし、その後にその有価証券と銘柄を同じくする有価証券の買戻しをして決済をする取引その他財務省令で定める取引をいい、次項に規定する信用取引及び発行日取引に該当するものを除く。)の方法により、有価証券の売付けをし、その後にその有価証券と銘柄を同じくする有価証券の買戻しをして決済をした場合における第一項の規定の適用については、同項に規定する譲渡利益額は第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡損失額は同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡に係る契約をした日はその決済に係る買戻しの契約をした日とする。
一 その売付けをした有価証券の一単位当たりの譲渡に係る対価の額を算出する方法として政令で定める方法により算出した金額にその買戻しをした有価証券の数を乗じて計算した金額
二 その買戻しをした有価証券のその買戻しに係る対価の額
22 内国法人が、金融商品取引法第百五十六条の二十四第一項(免許及び免許の申請)に規定する信用取引又は発行日取引(有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引であつて財務省令で定める取引をいう。)の方法により、株式の売付け又は買付けをし、その後にその株式と銘柄を同じくする株式の買付け又は売付けをして決済をした場合における第一項の規定の適用については、同項に規定する譲渡利益額は第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡損失額は同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡に係る契約をした日はその決済に係る買付け又は売付けの契約をした日とする。
一 その売付けをした株式のその売付けに係る対価の額
二 その買付けをした株式のその買付けに係る対価の額
23 内国法人が次条第一項第一号に規定する売買目的有価証券、社債、株式等の振替に関する法律第九十条第一項(定義)に規定する分離適格振替国債である有価証券その他の政令で定める有価証券(以下この項において「特定有価証券」という。)を有する場合において、その特定有価証券について、同号に規定する目的で有価証券の売買を行う業務の全部を廃止したこと、同条第一項に規定する元利分離が行われたことその他の政令で定める事実が生じたときは、政令で定めるところにより、当該事実が生じた時において、当該特定有価証券を譲渡し、かつ、当該特定有価証券以外の有価証券を取得したものとみなして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
24 内国法人が、自己を合併法人、分割承継法人又は株式交換完全親法人とする合併、分割又は株式交換(以下この項において「合併等」という。)により親法人株式(その内国法人との間に当該内国法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人に該当することが当該合併等に係る契約をする日(以下この項において「契約日」という。)において見込まれる法人の株式をいう。以下この項において同じ。)を交付しようとする場合において、契約日に親法人株式を有していたとき、又は契約日後に当該内国法人を合併法人とする適格合併その他の政令で定める事由により親法人株式の移転を受けたときは、当該契約日又は当該移転を受けた日(以下この項において「契約日等」という。)において、これらの親法人株式(その交付しようとすることが見込まれる数を超える部分の数として政令で定める数に相当するものを除く。以下この項において同じ。)を当該契約日等における価額により譲渡し、かつ、これらの親法人株式をその価額により取得したものとみなして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
25 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の基礎となる取得価額の算出の方法、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の種類、その算出の方法の選定の手続その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
四 外国法人内国法人以外の法人をいう。
五 公共法人別表第一に掲げる法人をいう。
六 公益法人等別表第二に掲げる法人をいう。
七 協同組合等別表第三に掲げる法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
九 普通法人第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。
九の二 非営利型法人一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。
イその行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
ロその会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
十 同族会社会社(投資法人を含む。以下この号において同じ。)の株主等(その会社が自己の株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下同じ。)又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。
十一 被合併法人合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。
十二 合併法人合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。
十二の二 分割法人分割によりその有する資産又は負債の移転を行つた法人をいう。
十二の三 分割承継法人分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた法人をいう。
十二の四 現物出資法人現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人をいう。
十二の五 被現物出資法人現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人をいう。
十二の五の二 現物分配法人現物分配(法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。以下この条において同じ。)によりその有する資産の移転を行つた法人をいう。
イ剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、分割型分割によるものを除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)
ロ解散による残余財産の分配
ハ第二十四条第一項第五号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由
十二の五の三 被現物分配法人現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた法人をいう。
十二の六 株式交換完全子法人株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の二 株式交換等完全子法人株式交換完全子法人及び株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六に規定する対象法人をいう。
十二の六の三 株式交換完全親法人株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人をいう。
十二の六の四 株式交換等完全親法人株式交換完全親法人並びに株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六イ及びロに規定する最大株主等である法人並びに同号ハの一の株主等である法人をいう。
十二の六の五 株式移転完全子法人株式移転によりその株主の有する株式を当該株式移転により設立された法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の六 株式移転完全親法人株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得した当該株式移転により設立された法人をいう。
十二の六の七 通算親法人第六十四条の九第一項(通算承認)に規定する親法人であつて同項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七 通算子法人第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人であつて同条第一項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七の二 通算法人通算親法人及び通算子法人をいう。
十二の七の三 投資法人投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。
十二の七の四 特定目的会社資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する特定目的会社をいう。
十二の七の五 支配関係一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の六 完全支配関係一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の七 通算完全支配関係通算親法人と通算子法人との間の完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この号において同じ。)又は通算親法人との間に完全支配関係がある通算子法人相互の関係をいう。
十二の八 適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人又は合併親法人(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産、合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産及び合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数又は総額の三分の二以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併
ロその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(2)当該合併に係る被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を行うための合併として政令で定めるもの
十二の九 分割型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によつて交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割
ロ分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割
十二の十 分社型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。)
ロ無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割
十二の十一 適格分割次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
イその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割
ロその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。
(2)当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの
ニその分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの
十二の十二 適格分割型分割分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十三 適格分社型分割分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十四 適格現物出資次のいずれかに該当する現物出資(被現物出資法人である外国法人に国内にある不動産その他の政令で定める資産(以下この号において「国内不動産等」という。)、国内事業所等(内国法人にあつては第六十九条第四項第一号(外国税額の控除)に規定する本店等をいい、外国法人にあつては恒久的施設をいう。)を通じて行う事業に係る資産(外国法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式を有する場合におけるその外国法人の株式を除く。)若しくは負債(以下この号において「国内資産等」という。)又は内国法人の工業所有権、著作権その他の政令で定める資産(以下この号において「無形資産等」という。)の移転を行うもの(当該国内不動産等、国内資産等及び無形資産等の全部が当該移転により当該被現物出資法人である外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものとして政令で定めるものを除く。)、外国法人が内国法人又は他の外国法人に第百三十八条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する本店等(以下この号において「本店等」という。)を通じて行う事業に係る資産(国内不動産等を除く。)又は負債(以下この号において「外国法人国外資産等」という。)の移転を行うもの(当該他の外国法人に外国法人国外資産等の移転を行うものにあつては、当該外国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものに限る。)及び内国法人が外国法人に第六十九条第四項第一号に規定する国外事業所等を通じて行う事業に係る資産又は負債(以下この号において「内国法人国外資産等」という。)の移転を行うもので当該内国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該外国法人の本店等を通じて行う事業に係る資産又は負債となるもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるものに限る。)並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限る。)をいう。
イその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資
ロその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該現物出資により現物出資事業(現物出資法人の現物出資前に行う事業のうち、当該現物出資により被現物出資法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該被現物出資法人に移転していること。
(2)当該現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該現物出資後に当該被現物出資法人の業務(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該現物出資に係る現物出資事業が当該現物出資後に当該被現物出資法人(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人(当該現物出資が法人を設立する現物出資である場合にあつては、当該現物出資法人と他の現物出資法人)とが共同で事業を行うための現物出資として政令で定めるもの
十二の十五 適格現物分配内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。
十二の十五の二 株式分配現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限る。)のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(次号において「完全子法人」という。)の当該発行済株式等の全部が移転するもの(その現物分配により当該発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合における当該現物分配を除く。)をいう。
十二の十五の三 適格株式分配完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として政令で定めるもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
十二の十六 株式交換等株式交換及びイからハまでに掲げる行為により対象法人(それぞれイからハまでに規定する法人をいう。)がそれぞれイ若しくはロに規定する最大株主等である法人又はハの一の株主等である法人との間にこれらの法人による完全支配関係を有することとなることをいう。
イ全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(イにおいて「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合の当該取得決議
ロ株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの
ハ株式売渡請求(法人の一の株主等が当該法人の承認を得て当該法人の他の株主等(当該法人及び当該一の株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の全てに対して法令(外国の法令を含む。ハにおいて同じ。)の規定に基づいて行う当該法人の株式の全部を売り渡すことの請求をいう。)に係る当該承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等(当該一の株主等又は当該一の株主等との間に完全支配関係がある者が有するものを除く。)の全部が当該一の株主等に取得されることとなる場合の当該承認
十二の十七 適格株式交換等次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換等完全親法人又は株式交換完全支配親法人(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産、株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産、株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式(当該株式交換完全子法人が有する自己の株式を除く。)の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産、前号イの取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産及び同号ハの取得の対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロその株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式交換等後に行われる適格合併又は当該株式交換等完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換として政令で定めるもの
十二の十八 適格株式移転次のいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式移転に係る株式移転完全子法人と当該株式移転に係る他の株式移転完全子法人(以下この号において「他の株式移転完全子法人」という。)との間に同一の者による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転で政令で定めるもの
ロその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式移転後に行われる適格合併又は当該株式移転完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該株式移転完全子法人(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式移転後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人とが共同で事業を行うための株式移転として政令で定めるもの
十二の十九 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
十三 収益事業販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。
十四 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
十五 役員法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。
十六 資本金等の額法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。
十七 削除
十八 利益積立金額法人の所得の金額で留保している金額として政令で定める金額をいう。
十九 欠損金額各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十 棚卸資産商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。
二十一 有価証券金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式又は出資及び第六十一条の五第一項(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。
二十二 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
二十三 減価償却資産建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十四 繰延資産法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十五 損金経理法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。
二十六 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。次号及び第二十九号ロにおいて同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
二十七 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
二十八 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公債又は社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
二十九 集団投資信託次に掲げる信託をいう。
イ合同運用信託
ロ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託
(1)投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託
(2)その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第一項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第八項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの
ハ特定受益証券発行信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)
(1)信託事務の実施につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人((1)において「承認受託者」という。)が引き受けたものであること(その計算期間開始の日の前日までに、当該承認受託者(当該受益証券発行信託の受託者に就任したことによりその信託事務の引継ぎを受けた承認受託者を含む。)がその承認を取り消された場合及び当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合を除く。)。
(2)各計算期間終了の時における未分配利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のその時における元本の総額に対する割合((3)において「利益留保割合」という。)が政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。
(3)各計算期間開始の時において、その時までに到来した利益留保割合の算定の時期として政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(2)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。
(4)その計算期間が一年を超えないこと。
(5)受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)が存しない信託に該当したことがないこと。
二十九の二 法人課税信託次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する公益信託等を除く。)をいう。
イ受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託
ロ第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託
ハ法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの
(1)当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。
(2)その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。
(3)その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。
ニ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託
ホ資産の流動化に関する法律第二条第十三項に規定する特定目的信託
三十 中間申告書第七十一条第一項(中間申告)又は第百四十四条の三第一項若しくは第二項(中間申告)の規定による申告書をいう。
三十一 確定申告書第七十四条第一項(確定申告)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項(確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の二 国際最低課税額確定申告書第八十二条の六第一項(国際最低課税額に係る確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の三 国際最低課税残余額確定申告書第八十二条の十四第一項(国際最低課税残余額に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の四 国内最低課税額確定申告書第八十二条の二十二第一項(国内最低課税額に係る確定申告)(第百四十五条の九(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十二 退職年金等積立金中間申告書第八十八条(退職年金等積立金に係る中間申告)(第百四十五条の十三(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十三 退職年金等積立金確定申告書第八十九条(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十四 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十五 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
三十六 青色申告書第百二十一条(青色申告)(第百四十六条第一項(青色申告)において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する第三十号、第三十一号、第三十二号及び第三十三号に掲げる申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書をいう。
三十七 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
三十八 中間納付額第七十六条(中間申告による納付)又は第百四十四条の九(中間申告による納付)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)をいう。
三十九 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十 決定この編、次編第一章第一節(課税標準及びその計算)、第八十条第四項(欠損金の繰戻しによる還付)、第百三十三条(更正等による所得税額等の還付)、第百三十四条(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)、第百三十五条第三項第三号及び第四項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、第百四十七条の三(更正等による所得税額等の還付)並びに第百四十七条の四(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十一 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十二 充当国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十三 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
四十四 地方税地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。
法人税法施行令第11条(有価証券に準ずるものの範囲)e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第二条第二十一号(定義)に規定する政令で定める有価証券は、次に掲げるものとする。
一 金融商品取引法第二条第一項第一号から第十五号まで(定義)に掲げる有価証券及び同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)に表示されるべき権利(これらの有価証券が発行されていないものに限るものとし、資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第九項(定義)に規定する特定信託受益権を除く。)
二 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十条第二項第五号(業務の範囲)に規定する証書をもつて表示される金銭債権のうち財務省令で定めるもの
三 合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分
四 株主又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十六項(定義)に規定する投資主をいう。)となる権利、優先出資者(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)第十三条第一項(優先出資者となる時期等)の優先出資者をいう。)となる権利、特定社員(資産の流動化に関する法律第二条第五項(定義)に規定する特定社員をいう。)又は優先出資社員(同法第二十六条(社員)に規定する優先出資社員をいう。)となる権利その他法人の出資者となる権利
興銀事件 最高裁平成16年12月24日判決(民集58巻9号2637頁) 百選58
1.法人税法22条3項3号を読む
法人税法第二編 内国法人の法人税第一章 各事業年度の所得に対する法人税第一節 課税標準及びその計算第三款 課税標準第二十一条 (略)
第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
①損失とはどういうものか。
損失とは企業価値の減少・消失のうち収益獲得には貢献しないが収益をもって回収せざるを得ないものをいう。具体例としては貸倒損失、災害損失などがある。
②損失の概念は、費用の概念とどう違うか。
費用は収益獲得に直接貢献し、企業の意思に基づき経常的に発生する企業価値の減耗・消失である。それに対し損失は、収益獲得には貢献せず、非自発的・偶発的に発生する企業価値の減耗・消失である。また、損失は利益に対応したネットの概念であるのに対し、費用は収益に対応したグロスの概念である。
③3号の損失と2号の費用にあたることとの効果を比較すると、損金算入の時期や金額に違いは生ずるか。
費用の場合、費用収益対応の原則より、収益に貢献した年度に計上される。債務確定主義より債務の確定しない費用は損金に算入されないのに対し、損失は債務確定主義が及ばず発生したら損金算入できるので時期に違いが生じる。
貸倒れは、貸倒引当金であれば部分貸倒れでも損金に算入できるのに対し、貸倒損失であれば全額回収不能でないと損金に算入できず、金額に違いが生じる。
④損失を損金に算入する要件として、損失の確定は要求されていると解すべきか。
債務の確定を明文で要求しているのは費用だけであり、租税法律主義からは要求されていないといえる。損失の性質上納税者の操作の余地がないことからも支持される。
⑤3号が「資本等取引以外の取引に係るもの」と規定している理由
企業会計は資本取引と損益取引を厳格に区別し、利益と損失の発生を損益取引のみに限定している。その考え方を法人税法は受けて、損失は資本等取引からは生じないとして除外している。
2.事案の検討
(1)判旨(1)の部分の整理
貸倒損失を損金算入するためには全額が回収不能であることを要する。全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならないが、それは債務者側の事情のみならず債権者側の事情も踏まえ社会通念に従って総合的に判断されるべきとした。
(2)①損金算入のために「全額が回収不能であることを要する」とする理由
部分貸倒れは資産の評価損といえる。法人税法33条2項かっこ書きは金銭債権の評価損の損金算入を禁止しており、損金算入ができるのは全額が回収不能である場合に限られるといえる。
②全額が回収不能であることが「客観的に明らかでなければならない」理由
損金算入時期を人為的に操作して課税負担を免れることの発生を防ぐため。
③全額が回収不能であることが客観的に明らかであるかどうかを判断するにあたり、本判決があげた考慮要素
債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情、債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衡量、債権回収を強行することによって生じる他の債権者との軋轢などによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等を挙げている。
④「社会通念に従って総合的に判断」するという判断基準と控訴審判決の判断基準との比較
控訴審は、債権の全額が回収不能であるとは、債務者の実際の資産状況、支払能力等の信用状態から当該債権の資産性が全部失われたことをいうとし、責任財産がありながら、債権行使に対する社会的批判等の他事を考慮して債権者が当該債権を行使しないこととしたような場合などは、これに当たるものではないとして損金算入を否定した。最高裁は控訴審の示した債務者側の事情という判断要素に加えて、債権者側の事情等も踏まえて社会通念にしたがって総合的に判断されるべきという基準を示した。
⑤最高裁が結論を導くにあたり本件どの事実が③判断にあたって重要であったか。
B銀行はA社の経営に深く関わっていたこと、平成5年の再建計画策定の際責任をもって計画に対応することを明確にしていたこと、B銀行はA社の整理が避けがたい情勢になった後においても母体ニューマネーを回収していたこと、再建計画において本件債権が農協系金融機関の債権に劣後するものとされていた等の事実が重要であった。
(3)①債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衡量を考慮要素に入れることは課税実務からの乖離か
乖離ではない。法人税基本通達9-6-3 が売掛債権の総額が取立費用に満たない場合において支払いを督促したにもかかわらず弁済がないときに貸倒れとして処理することを認めているように、このような考慮要素はこれまでの課税実務でもすでに採用されていた。
②債権回収を強行することによって生じる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失を考慮要素に入れることは課税実務からの乖離か
法人税基本通達9-4-1 はより大きな損害を避けるための債権放棄を寄付金に該当しないとしているが、この考え方を更に進めて債権放棄をするまでもなく行使不可能であるとしたと解すれば課税実務と乖離しているとはいえない。
③判旨(3)が「本件債権の放棄が解除条件付きでされたことによって左右されるものではない」と述べている趣旨
控訴審では流動的な事実関係の下においては、債権放棄の効力が消滅する可能性も高く、いまだ確定したとはいえないから、解除条件の不成就が確定した時の属する事業年度において、損失を計上すべきであるとされた。最高裁はたとえ解除条件が成就したとしても農協系金融機関の反発を覚悟した上で債権額に応じた損失の平等負担を主張することは社会通念上不可能であると判断したといえる。
3.全部貸倒れと部分貸倒れ
(1)3 億円を貸して1 億円の回収可能性がなくなった場合の損金算入
賛成の立場からは、期間損益の計算がより適正で実体にあったものになり、不良債権処理に役立ち、適切であるといえる。
本件例では1 億円を損金に算入でき、帳簿上も貸付金の額が1 億減少する。
反対の立場からは、1 億円の回収可能性がなくなったというのは債権の回収不能の見込みにすぎず、債権の評価であって法人税法33条から損金算入が禁止され、適切ではないといえる。また、税収が減るということがいえる。
(2)部分貸倒れの損金算入を認めるための条文操作
資産の評価損は所有資産の価値の減少、未実現の損失であるので実現主義の原則からすると損金に算入することは別段の定めがない限り許されず、法人税法33条2項は別段の定めにあたる。一方貸倒損失は事業の取引活動に基づく損失であり、実現主義の原則からは外部との損益取引に基づく損失として損金に算入することが認められている。このことからすると同項が金銭債権を除外しているのは部分貸倒れの損金算入を禁止する趣旨ではなく、金銭債権の価値の減少の取り扱いは同項の範囲内の問題ではないことを確認的・注意的に規定したのにすぎない。
以上のように解すれば部分貸倒れの損金算入と法人税法33条2項は矛盾しない。36(子会社等を整理する場合の損失負担等)
9-4-1 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1 において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭55年直法2-8「三十三」により追加、平10年課法2-6 により改正)
(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9-4-2 において同じ。)。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
9-6-3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3 において同じ。)
について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
(昭46年直審(法)20「6」、昭55年直法2-15「十五」により改正)
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
4.貸倒引当金
(3)①現実に貸倒れが生ずることは、貸倒引当金の扱いに影響するか。
信用取引において不可避的な貸倒コストが、高度に発生すると予測される場合に、見積額を計上することによって、費用と収益を対応させ期間損益を正確に把握計算するものが貸倒引当金であり、現実の貸倒れが貸倒引当金の計上に影響することはないが、洗替えの際に対象債権が貸倒損失で消えている場合に貸倒引当金もその引当てに対応する資産を失うこととなり、計上されないことになる、という意味では影響しているといえる。
②貸倒引当金の損金算入を認めることは、部分貸倒れの損金参入をみとめることと、どこが違うか。
引当金の場合は、翌期洗替処理を行い、帳簿に残す効果を有する。部分貸倒れの場合は、損失が確定し、帳簿に残らない効果を有する。引当金の場合は、費用ないし損失の見積額を損金算入できるという例外的効果を持ち、部分貸倒れの場合は、現実に発生した費用ないし損失を損金算入できるという原則に戻すという効果を持つ。
③もし法人税法52条が存在しなかったとすれば、同22条3項3号のみを根拠として貸倒引当金を計上することは可能であろうか。同項2号は根拠たりえないか。
不可能である。引当金は3号の「損失」には該当しない。引当金は償却費に該当せず、費用として確定もしていないので2号も根拠たりえない。
6.譲渡損との横断的比較
①ある会社が(あ)株式を保有したまま評価損を計上することと、(い)株式を第三者に譲渡して譲渡損を出すことを比較し、それぞれに関する課税ルールを整理せよ。
(あ)株式が売買目的有価証券の場合 時価法による期末評価を行い評価損は損金算入可能(法人税法61条の3 第1項1号、2項)翌期洗替え処理(法人税法61条の3 第3項、法人税法施行令119条の15) その他の場合原価法による期末評価(法人税法61条の3 第1項2号)評価替えをしても評価損の損金算入は原則として不可(法人税法33条1項)。ただし、売買目的有価証券の時価が著しく低下した場合や、それ以外の有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した場合やこれに準ずる場合、損金算入できる(法人税法33条2項、法人税法施行令68条1項2号)。
(い)譲渡損失額は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する(法人税法61条の2 第1項)。
②上の①(い)において、当該株式を譲渡した直後に時価で買い戻した場合はどうなるか。
売買がなかったものとされる(法通2-1-23-4)。当該事業年度で譲渡損が計上され、また、当該株式を時価で買ったということで、その株式が時価を簿価として資産に計上される、ということにはならない。
法人税基本通達(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)
2-1-23 の4 同一の有価証券(法第61条の3 第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券を除く。)が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻し又は再購入(証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該証券業者等からの購入又は当該証券業者等に購入の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該購入を含む。)をする同時の契約があるときは、当該売却をした有価証券のうち当該買戻し又は再購入をした部分は、その売却がなかったものとして取り扱う。(平12年課法2-7「二」により追加)
(注)
1 同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているとき又はこれらの価額が売却の決済日と購入の決済日との間に係る金利調整のみを行った価額となるよう設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱う。
2 本文の適用を受ける取引に伴い支出する委託手数料その他の費用は、当該有価証券の取得価額に含めない。
3 購入の直後に売却が行われた場合の当該購入についても同様に取り扱う。
③金銭債権の譲渡と、株式の譲渡とで、法人税法上の課税ルールに違いはあるか。
違いがある。金銭債権は「有価証券(金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券37その他これに準ずるもので政令で定めるもの)」に該当しない(法人税法2条21号・法人税法施行令11条38)。
324.05損失と損害賠償請求権の関係
日本美装株式会社事件 東京高判平成21年2月18日(訟月56巻5号1644頁) 百選69
2.事案の検討
①判旨(1)の一般論を読み、アからオにかけての論旨のはこびを整理せよ。
同一原因による収益と損失が発生しその両者の額が互に時を隔てることなく確定するような場合に、便宜上右両者の額を相殺勘定して残額につき単に収益若しくは損失として計上することは実務上許されるとしても、益金、損金のそれぞれの項目につき金額を明らかにして計上すべきものとしている制度本来の趣旨からすれば、収益及び損失はそれが同一原因によって生ずるものであっても、各個独立に確定すべきことを原則とし、従って、両者互いに他方の確定を待たなければ当該事業年度における確定をさまたげるという関係に立つものではないと解するのが相当である。ただし、損害賠償請求権がその取得当初から全額回収不能が明らかであるときは、貸倒損失として扱い、損失として損金算入が許される。
②判旨(1)イの最終段落と、ウとは、どのような論理的関係にあるか。
原則例外の関係
③判旨(2)のアとイの部分は、それぞれ判旨(1)のどの一般論を本件に当てはめているか。
判旨(2)ア→判旨(1)のイの計上の時期の原則か、ウの例外に該当するかの当てはめ判旨(2)イ→判旨(1)のオに指示する、損害賠償請求権の貸倒損失計上を認める事由が各事業年度においてあるかの当てはめ
④本件判決と第一審判決が結論を異にした理由はどこにあるか。
- 本件判決
- 原則として損失発生時に権利確定、ただし、通常人を基準にして、損害賠償請求権の存在・内容等を把握しえない場合はそれが解消される時点まで確定は延期される
- 第一審
- 損害及び加害者を知った時に権利が確定する
3.関連裁判例
(1)大栄プラスチックス株式会社事件 最判昭和43年10月17日(訟月14巻12号1437頁)
①横領による損失計上と損害賠償請求権の取得による益金計上の相関関係「横領行為によって法人の被った損害が、その法人の資産を減少せしめたものとして、右損害を生じた事業年度における損金を構成することは明らかであり、他面、横領者に対して法人がその被った損害に相当する金額の損害賠償請求権を取得するものである以上、それが法人の資産を増加させたものとして、同じ事業年度における益金を構成するものであることも疑ない。」=損失計上と益金計上の両建てを認める
②判示部分第2 段落の「犯罪行為に基づき法人に損害賠償請求権の取得が認められる以上」というくだりは、横領による損失計上に連動して(いわばひも付きで)必ず損害賠償請求権が益金計上の対象になるという一般論を宣明したものと解することができるか。
できない。権利の確定が常に必ず認められるわけがないからである。損害賠償請求権の確定の要素:相手方の所在、資力等+合意、判決等による賠償額の確定
(2)日本綜合物産事件 東京高判昭和54年10月30日(訟月26巻2号306頁)
(1)の判決とは損害賠償請求権の益金計上、損害の損金計上時期についての考え方を異にする。すなわち、最高裁判決は損害賠償請求権を益金計上したうえで、当該損害の生じた事業年度において損金計上されるものとする。そうすると、益金として計上した当該損害賠償請求権の実現不能が明白になった時点でこれを損金に計上することになる。一方、東京高裁判決は当該事業年度に損金計上されるものとする。そして、損害賠償請求権はこれが確定したときに益金に計上されることになる。39
4.取得価額となる場合
【大阪高判S55.6.27】およそ裁判上の和解は、私的紛争について当事者双方の互譲により成立するものであり、土地の売買契約による代金の一部未払の場合における土地所有権の譲渡の成否をめぐって紛争となった訴訟の係属中において成立した和解であっても、その和解金は常に固定資産たる係争土地の取得価額であるとは限らないけれども、和解において、係争土地の所有権を取得時効により終局的確定的に当事者の一方たる買主に帰属させることによって、多年にわたる紛争をすべて解決するため和解における所有権帰属者が相手方に和解金を支払うのと引換えに、相手方が係争土地の右時効取得を原因とする所有権移転登記手続をする旨の和解が成立し、和解条項が履行されたような場合には、その和解金はその不動産取得の対価としての取引代金それ自体ではなく、不動産の帰属に伴う紛争解決のための費用を包含するものであるけれども、なお不動産取得に付随する費用として支出したものであり、法人税法二二条二項にいう益金に該当するものと解すべきである。
【横浜地判S52.3.30】法人税法施行令五四条一項は、固定資産のうち減価償却資産の取得価額について、その取得の形態に応じて取得価額の範囲につき規定している。そして、土地等の非減価償却資産の取得価額については明文の規定はないが、企業会計原則に照らし、またその取得価額の範囲について減価償却資産と非減価償却資産とを異別に取扱うべき合理的な理由は見当らないから、非減価償却資産の取得価額の範囲についても右規定が準用されるのが相当である。
従って前記認定にかかる本件手数料は、同項一号かっこ書にいう「当該資産の購入のために要した費用」として本件物件の取得価額に包含される性質のものと解すべきである。
第5節 損金の意義――別段の定め
325.01役員給与
引用条文の現行全文8条執筆時から改正 12026年8月16日時点
法人税法第34条(役員給与の損金不算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)
二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)
イその給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。
ロ株式を交付する場合当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。
ハ新株予約権を交付する場合当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。
三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)
イ交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。
(1)金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2)政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。
(3)その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。
ロその他政令で定める要件
2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。
5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。
6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。
7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。
8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
法人税法施行令第70条(過大な役員給与の額)e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第三十四条第二項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。
一 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額
イ内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与(法第三十四条第二項に規定する給与のうち、退職給与以外のものをいう。以下この号において同じ。)の額(第三号に掲げる金額に相当する金額を除く。)が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額(その役員の数が二以上である場合には、これらの役員に係る当該超える部分の金額の合計額)
ロ定款の規定又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により、役員に対する給与として支給することができる金銭その他の資産について、金銭の額の限度額若しくは算定方法、その内国法人の株式若しくは新株予約権の数の上限又は金銭以外の資産(ロにおいて「支給対象資産」という。)の内容(ロにおいて「限度額等」という。)を定めている内国法人が、各事業年度においてその役員(当該限度額等が定められた給与の支給の対象となるものに限る。ロにおいて同じ。)に対して支給した給与の額(法第三十四条第六項に規定する使用人としての職務を有する役員(第三号において「使用人兼務役員」という。)に対して支給する給与のうちその使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額等を定めている内国法人については、当該事業年度において当該職務に対する給与として支給した金額(同号に掲げる金額に相当する金額を除く。)のうち、その内国法人の他の使用人に対する給与の支給の状況等に照らし、当該職務に対する給与として相当であると認められる金額を除く。)の合計額が当該事業年度に係る当該限度額及び当該算定方法により算定された金額、当該株式又は新株予約権(当該事業年度に支給されたものに限る。)の当該上限及びその支給の時(第七十一条の三第一項(確定した数の株式を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に係る費用の額等)に規定する確定数給与(ロにおいて「確定数給与」という。)にあつては、同項の定めをした日)における一単位当たりの価額により算定された金額並びに当該支給対象資産(当該事業年度に支給されたものに限る。)の支給の時における価額(確定数給与にあつては、同項に規定する交付決議時価額)に相当する金額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額(同号に掲げる金額がある場合には、当該超える部分の金額から同号に掲げる金額に相当する金額を控除した金額)
二 内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与(法第三十四条第一項又は第三項の規定の適用があるものを除く。以下この号において同じ。)の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額
三 使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの額
法人税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
四 外国法人内国法人以外の法人をいう。
五 公共法人別表第一に掲げる法人をいう。
六 公益法人等別表第二に掲げる法人をいう。
七 協同組合等別表第三に掲げる法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
九 普通法人第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。
九の二 非営利型法人一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。
イその行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
ロその会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
十 同族会社会社(投資法人を含む。以下この号において同じ。)の株主等(その会社が自己の株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下同じ。)又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。
十一 被合併法人合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。
十二 合併法人合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。
十二の二 分割法人分割によりその有する資産又は負債の移転を行つた法人をいう。
十二の三 分割承継法人分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた法人をいう。
十二の四 現物出資法人現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人をいう。
十二の五 被現物出資法人現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人をいう。
十二の五の二 現物分配法人現物分配(法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。以下この条において同じ。)によりその有する資産の移転を行つた法人をいう。
イ剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、分割型分割によるものを除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)
ロ解散による残余財産の分配
ハ第二十四条第一項第五号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由
十二の五の三 被現物分配法人現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた法人をいう。
十二の六 株式交換完全子法人株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の二 株式交換等完全子法人株式交換完全子法人及び株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六に規定する対象法人をいう。
十二の六の三 株式交換完全親法人株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人をいう。
十二の六の四 株式交換等完全親法人株式交換完全親法人並びに株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六イ及びロに規定する最大株主等である法人並びに同号ハの一の株主等である法人をいう。
十二の六の五 株式移転完全子法人株式移転によりその株主の有する株式を当該株式移転により設立された法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の六 株式移転完全親法人株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得した当該株式移転により設立された法人をいう。
十二の六の七 通算親法人第六十四条の九第一項(通算承認)に規定する親法人であつて同項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七 通算子法人第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人であつて同条第一項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七の二 通算法人通算親法人及び通算子法人をいう。
十二の七の三 投資法人投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。
十二の七の四 特定目的会社資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する特定目的会社をいう。
十二の七の五 支配関係一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の六 完全支配関係一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の七 通算完全支配関係通算親法人と通算子法人との間の完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この号において同じ。)又は通算親法人との間に完全支配関係がある通算子法人相互の関係をいう。
十二の八 適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人又は合併親法人(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産、合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産及び合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数又は総額の三分の二以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併
ロその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(2)当該合併に係る被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を行うための合併として政令で定めるもの
十二の九 分割型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によつて交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割
ロ分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割
十二の十 分社型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。)
ロ無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割
十二の十一 適格分割次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
イその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割
ロその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。
(2)当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの
ニその分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの
十二の十二 適格分割型分割分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十三 適格分社型分割分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十四 適格現物出資次のいずれかに該当する現物出資(被現物出資法人である外国法人に国内にある不動産その他の政令で定める資産(以下この号において「国内不動産等」という。)、国内事業所等(内国法人にあつては第六十九条第四項第一号(外国税額の控除)に規定する本店等をいい、外国法人にあつては恒久的施設をいう。)を通じて行う事業に係る資産(外国法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式を有する場合におけるその外国法人の株式を除く。)若しくは負債(以下この号において「国内資産等」という。)又は内国法人の工業所有権、著作権その他の政令で定める資産(以下この号において「無形資産等」という。)の移転を行うもの(当該国内不動産等、国内資産等及び無形資産等の全部が当該移転により当該被現物出資法人である外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものとして政令で定めるものを除く。)、外国法人が内国法人又は他の外国法人に第百三十八条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する本店等(以下この号において「本店等」という。)を通じて行う事業に係る資産(国内不動産等を除く。)又は負債(以下この号において「外国法人国外資産等」という。)の移転を行うもの(当該他の外国法人に外国法人国外資産等の移転を行うものにあつては、当該外国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものに限る。)及び内国法人が外国法人に第六十九条第四項第一号に規定する国外事業所等を通じて行う事業に係る資産又は負債(以下この号において「内国法人国外資産等」という。)の移転を行うもので当該内国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該外国法人の本店等を通じて行う事業に係る資産又は負債となるもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるものに限る。)並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限る。)をいう。
イその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資
ロその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該現物出資により現物出資事業(現物出資法人の現物出資前に行う事業のうち、当該現物出資により被現物出資法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該被現物出資法人に移転していること。
(2)当該現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該現物出資後に当該被現物出資法人の業務(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該現物出資に係る現物出資事業が当該現物出資後に当該被現物出資法人(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人(当該現物出資が法人を設立する現物出資である場合にあつては、当該現物出資法人と他の現物出資法人)とが共同で事業を行うための現物出資として政令で定めるもの
十二の十五 適格現物分配内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。
十二の十五の二 株式分配現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限る。)のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(次号において「完全子法人」という。)の当該発行済株式等の全部が移転するもの(その現物分配により当該発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合における当該現物分配を除く。)をいう。
十二の十五の三 適格株式分配完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として政令で定めるもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
十二の十六 株式交換等株式交換及びイからハまでに掲げる行為により対象法人(それぞれイからハまでに規定する法人をいう。)がそれぞれイ若しくはロに規定する最大株主等である法人又はハの一の株主等である法人との間にこれらの法人による完全支配関係を有することとなることをいう。
イ全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(イにおいて「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合の当該取得決議
ロ株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの
ハ株式売渡請求(法人の一の株主等が当該法人の承認を得て当該法人の他の株主等(当該法人及び当該一の株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の全てに対して法令(外国の法令を含む。ハにおいて同じ。)の規定に基づいて行う当該法人の株式の全部を売り渡すことの請求をいう。)に係る当該承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等(当該一の株主等又は当該一の株主等との間に完全支配関係がある者が有するものを除く。)の全部が当該一の株主等に取得されることとなる場合の当該承認
十二の十七 適格株式交換等次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換等完全親法人又は株式交換完全支配親法人(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産、株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産、株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式(当該株式交換完全子法人が有する自己の株式を除く。)の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産、前号イの取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産及び同号ハの取得の対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロその株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式交換等後に行われる適格合併又は当該株式交換等完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換として政令で定めるもの
十二の十八 適格株式移転次のいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式移転に係る株式移転完全子法人と当該株式移転に係る他の株式移転完全子法人(以下この号において「他の株式移転完全子法人」という。)との間に同一の者による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転で政令で定めるもの
ロその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式移転後に行われる適格合併又は当該株式移転完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該株式移転完全子法人(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式移転後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人とが共同で事業を行うための株式移転として政令で定めるもの
十二の十九 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
十三 収益事業販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。
十四 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
十五 役員法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。
十六 資本金等の額法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。
十七 削除
十八 利益積立金額法人の所得の金額で留保している金額として政令で定める金額をいう。
十九 欠損金額各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十 棚卸資産商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。
二十一 有価証券金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式又は出資及び第六十一条の五第一項(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。
二十二 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
二十三 減価償却資産建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十四 繰延資産法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十五 損金経理法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。
二十六 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。次号及び第二十九号ロにおいて同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
二十七 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
二十八 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公債又は社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
二十九 集団投資信託次に掲げる信託をいう。
イ合同運用信託
ロ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託
(1)投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託
(2)その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第一項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第八項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの
ハ特定受益証券発行信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)
(1)信託事務の実施につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人((1)において「承認受託者」という。)が引き受けたものであること(その計算期間開始の日の前日までに、当該承認受託者(当該受益証券発行信託の受託者に就任したことによりその信託事務の引継ぎを受けた承認受託者を含む。)がその承認を取り消された場合及び当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合を除く。)。
(2)各計算期間終了の時における未分配利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のその時における元本の総額に対する割合((3)において「利益留保割合」という。)が政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。
(3)各計算期間開始の時において、その時までに到来した利益留保割合の算定の時期として政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(2)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。
(4)その計算期間が一年を超えないこと。
(5)受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)が存しない信託に該当したことがないこと。
二十九の二 法人課税信託次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する公益信託等を除く。)をいう。
イ受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託
ロ第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託
ハ法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの
(1)当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。
(2)その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。
(3)その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。
ニ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託
ホ資産の流動化に関する法律第二条第十三項に規定する特定目的信託
三十 中間申告書第七十一条第一項(中間申告)又は第百四十四条の三第一項若しくは第二項(中間申告)の規定による申告書をいう。
三十一 確定申告書第七十四条第一項(確定申告)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項(確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の二 国際最低課税額確定申告書第八十二条の六第一項(国際最低課税額に係る確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の三 国際最低課税残余額確定申告書第八十二条の十四第一項(国際最低課税残余額に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の四 国内最低課税額確定申告書第八十二条の二十二第一項(国内最低課税額に係る確定申告)(第百四十五条の九(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十二 退職年金等積立金中間申告書第八十八条(退職年金等積立金に係る中間申告)(第百四十五条の十三(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十三 退職年金等積立金確定申告書第八十九条(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十四 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十五 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
三十六 青色申告書第百二十一条(青色申告)(第百四十六条第一項(青色申告)において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する第三十号、第三十一号、第三十二号及び第三十三号に掲げる申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書をいう。
三十七 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
三十八 中間納付額第七十六条(中間申告による納付)又は第百四十四条の九(中間申告による納付)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)をいう。
三十九 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十 決定この編、次編第一章第一節(課税標準及びその計算)、第八十条第四項(欠損金の繰戻しによる還付)、第百三十三条(更正等による所得税額等の還付)、第百三十四条(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)、第百三十五条第三項第三号及び第四項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、第百四十七条の三(更正等による所得税額等の還付)並びに第百四十七条の四(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十一 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十二 充当国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十三 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
四十四 地方税地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。
法人税法施行令第69条(定期同額給与の範囲等)e-Gov
施行 2026-07-31 令和八年政令第九十四号
法第三十四条第一項第一号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第三十四条第一項第一号に規定する定期給与(以下第六項までにおいて「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第十三条第一項(事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から三月(次に掲げる法人にあつては、それぞれ次に定める月数)を経過する日(イにおいて「三月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が三月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあつては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定
(1)法第七十五条の二第一項(確定申告書の提出期限の延長の特例)の規定の適用を受けている通算法人((2)に掲げる法人を除く。)のうち同項に規定する定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から三月以内に当該通算法人(会計監査人を置いているものに限る。)の当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合その他の財務省令で定める場合に該当するもの四月
(2)法第七十五条の二第一項各号の指定を受けている内国法人その指定に係る月数に二を加えた月数
ロ当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(第四項第二号及び第五項第一号において「臨時改定事由」という。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除く。)
ハ当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(第五項第二号において「業績悪化改定事由」という。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、イ及びロに掲げる改定を除く。)
二 継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
2 法第三十四条第一項第一号及び前項第一号の規定の適用については、定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額(当該定期給与について所得税法第二条第一項第四十五号(定義)に規定する源泉徴収をされる所得税の額、当該定期給与について地方税法第一条第一項第九号(用語)に規定する特別徴収をされる同項第四号に規定する地方税の額、健康保険法第百六十七条第一項(保険料の源泉控除)その他の法令の規定により当該定期給与の額から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)の額その他これらに類するものの額の合計額をいう。)を控除した金額が同額である場合には、当該定期給与の当該各支給時期における支給額は、同額であるものとみなす。
3 法第三十四条第一項第二号イに規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 法第三十四条第一項第二号の役員の職務につき株主総会、社員総会その他これらに準ずるもの(次項第一号及び第五項第二号において「株主総会等」という。)の決議(当該職務の執行の開始の日から一月を経過する日までにされるものに限る。)により同条第一項第二号の定め(当該決議の日から一月を経過する日までに、特定譲渡制限付株式(法第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式をいう。以下この項及び第八項において同じ。)又は特定新株予約権(法第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権をいう。以下この条において同じ。)を交付する旨の定めに限る。)をした場合における当該定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式又は特定新株予約権による給与
二 特定譲渡制限付株式による給与が前号に掲げる給与又は法第三十四条第一項第二号イに定める要件を満たす給与に該当する場合における当該特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式(法第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式をいう。)による給与
三 特定新株予約権による給与が第一号に掲げる給与又は法第三十四条第一項第二号イに定める要件を満たす給与に該当する場合における当該特定新株予約権に係る承継新株予約権(法第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権をいう。第十九項第一号ロ及び第二十一項において同じ。)による給与
4 法第三十四条第一項第二号イに規定する届出は、第一号に掲げる日(第二号に規定する臨時改定事由が生じた場合における同号の役員の職務についてした同号の定めの内容に関する届出については、次に掲げる日のうちいずれか遅い日。第七項において「届出期限」という。)までに、財務省令で定める事項を記載した書類をもつてしなければならない。
一 株主総会等の決議により法第三十四条第一項第二号の役員の職務につき同号の定めをした場合における当該決議をした日(同日がその職務の執行の開始の日後である場合にあつては、当該開始の日)から一月を経過する日(同日が当該開始の日の属する会計期間開始の日から四月(第一項第一号イ(1)に掲げる法人にあつては五月とし、同号イ(2)に掲げる法人にあつてはその指定に係る月数に三を加えた月数とする。)を経過する日(以下この号において「四月経過日等」という。)後である場合には当該四月経過日等とし、新たに設立した内国法人がその役員のその設立の時に開始する職務につき同条第一項第二号の定めをした場合にはその設立の日以後二月を経過する日とする。)
二 臨時改定事由(当該臨時改定事由により当該臨時改定事由に係る役員の職務につき法第三十四条第一項第二号の定めをした場合(当該役員の当該臨時改定事由が生ずる直前の職務につき同号の定めがあつた場合を除く。)における当該臨時改定事由に限る。)が生じた日から一月を経過する日
5 法第三十四条第一項第二号に規定する定めに基づいて支給する給与につき既に前項又はこの項の規定による届出(以下この項において「直前届出」という。)をしている内国法人が当該直前届出に係る定めの内容を変更する場合において、その変更が次の各号に掲げる事由に基因するものであるとき(第二号に掲げる事由に基因する変更にあつては、当該定めに基づく給与の支給額を減額し、又は交付する株式(出資を含む。以下この条において同じ。)若しくは新株予約権の数を減少させるものであるときに限る。)は、当該変更後の法第三十四条第一項第二号イに規定する定めの内容に関する届出は、前項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる事由の区分に応じ当該各号に定める日(第七項において「変更届出期限」という。)までに、財務省令で定める事項を記載した書類をもつてしなければならない。
一 臨時改定事由当該臨時改定事由が生じた日から一月を経過する日
二 業績悪化改定事由当該業績悪化改定事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から一月を経過する日(当該変更前の当該直前届出に係る定めに基づく給与の支給の日(当該決議をした日後最初に到来するものに限る。)が当該一月を経過する日前にある場合には、当該支給の日の前日)
6 法第三十四条第一項第二号イの場合において、内国法人が同族会社に該当するかどうかの判定は、当該内国法人が定期給与を支給しない役員の職務につき同号の定めをした日(第四項第一号の新たに設立した内国法人が同号に規定する設立の時に開始する職務についてした同号の定めにあつては、同号の設立の日)の現況による。
7 税務署長は、届出期限又は変更届出期限までに法第三十四条第一項第二号イの届出がなかつた場合においても、その届出がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該届出期限又は変更届出期限までにその届出があつたものとして同項の規定を適用することができる。
8 内国法人の役員の職務につき、確定した額に相当する法第三十四条第一項第二号ロに規定する適格株式又は同号ハに規定する適格新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与(確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式又は特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与を除く。)は、確定した額の金銭を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に該当するものとして、同号の規定を適用する。
9 法第三十四条第一項第三号に規定する政令で定める役員は、同号イの算定方法についての第十六項各号又は第十七項各号に掲げる手続の終了の日において次に掲げる役員に該当する者とする。
一 会社法第三百六十三条第一項各号(取締役会設置会社の取締役の権限)に掲げる取締役
二 会社法第四百十八条(執行役の権限)の執行役
三 前二号に掲げる役員に準ずる役員
10 法第三十四条第一項第三号イに規定する利益に関する指標として政令で定めるものは、次に掲げる指標(第二号から第五号までに掲げる指標にあつては、利益に関するものに限る。)とする。
一 法第三十四条第一項第三号イに規定する職務執行期間開始日以後に終了する事業年度(以下この項及び第十二項において「対象事業年度」という。)における有価証券報告書(同号イに規定する有価証券報告書をいう。以下第十二項までにおいて同じ。)に記載されるべき利益の額
二 前号に掲げる指標の数値に対象事業年度における減価償却費の額、支払利息の額その他の有価証券報告書に記載されるべき費用の額を加算し、又は当該指標の数値から対象事業年度における受取利息の額その他の有価証券報告書に記載されるべき収益の額を減算して得た額
三 前二号に掲げる指標の数値の次に掲げる金額のうちに占める割合又は当該指標の数値を対象事業年度における有価証券報告書に記載されるべき発行済株式(自己が有する自己の株式を除く。次項第三号及び第四号において同じ。)の総数で除して得た額
イ対象事業年度における売上高の額その他の有価証券報告書に記載されるべき収益の額又は対象事業年度における支払利息の額その他の有価証券報告書に記載されるべき費用の額
ロ貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額
ハロに掲げる金額から貸借対照表に計上されている総負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を控除した金額
四 前三号に掲げる指標の数値が対象事業年度前の事業年度の当該指標に相当する指標の数値その他の対象事業年度において目標とする指標の数値であつて既に確定しているもの(以下この号において「確定値」という。)を上回る数値又は前三号に掲げる指標の数値の確定値に対する比率
五 前各号に掲げる指標に準ずる指標
11 法第三十四条第一項第三号イに規定する株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものは、次に掲げる指標とする。
一 法第三十四条第一項第三号イに規定する所定の期間又は所定の日における株式(同号に規定する内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式に限る。第四号において同じ。)の市場価格又はその平均値
二 前号に掲げる指標の数値が確定値(同号に規定する所定の期間以前の期間又は同号に規定する所定の日以前の日における次に掲げる指標の数値その他の目標とする指標の数値であつて既に確定しているものをいう。以下この号において同じ。)を上回る数値又は前号に掲げる指標の数値の確定値に対する比率
イ前号に掲げる指標に相当する指標の数値
ロ金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所に上場されている株式について多数の銘柄の価格の水準を総合的に表した指標の数値
三 第一号に掲げる指標の数値に同号に規定する所定の期間又は所定の日の属する事業年度における有価証券報告書に記載されるべき発行済株式の総数を乗じて得た額
四 法第三十四条第一項第三号イに規定する所定の期間又は所定の日における株式の市場価格又はその平均値が確定値(当該所定の期間以前の期間又は当該所定の日以前の日における当該株式の市場価格の数値で既に確定しているものをいう。以下この号において同じ。)を上回る数値と当該所定の期間開始の日又は当該所定の日以後に終了する事業年度の有価証券報告書に記載されるべき支払配当の額を発行済株式の総数で除して得た数値とを合計した数値の当該確定値に対する比率
五 前各号に掲げる指標に準ずる指標
12 法第三十四条第一項第三号イに規定する売上高に関する指標として政令で定めるものは、次に掲げる指標とする。
一 対象事業年度における有価証券報告書に記載されるべき売上高の額
二 前号に掲げる指標の数値から対象事業年度における有価証券報告書に記載されるべき費用の額を減算して得た額
三 前二号に掲げる指標の数値が対象事業年度前の事業年度の当該指標に相当する指標の数値その他の対象事業年度において目標とする指標の数値であつて既に確定しているもの(以下この号において「確定値」という。)を上回る数値又は前二号に掲げる指標の数値の確定値に対する比率
四 前三号に掲げる指標に準ずる指標
13 法第三十四条第一項第三号イ(2)に規定する政令で定める日は、同号イに規定する職務執行期間開始日の属する会計期間開始の日から三月(第一項第一号イ(1)に掲げる法人にあつては四月とし、同号イ(2)に掲げる法人にあつてはその指定に係る月数に二を加えた月数とする。)を経過する日とする。
14 法第三十四条第一項第三号イ(2)に規定する政令で定める者は、会社法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役である独立職務執行者とする。
15 法第三十四条第一項第三号イ(2)に規定する政令で定める特殊の関係のある者は、次に掲げる者とする。
一 法第三十四条第一項第三号に規定する業務執行役員(以下第十七項までにおいて「業務執行役員」という。)の親族
二 業務執行役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
三 業務執行役員(個人である業務執行役員に限る。次号において同じ。)の使用人
四 前三号に掲げる者以外の者で業務執行役員から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持しているもの
五 前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族
16 法第三十四条第一項第三号に規定する内国法人が同族会社でない場合における同号イ(2)に規定する政令で定める適正な手続は、次に掲げるものとする。
一 当該内国法人の会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(以下第十八項までにおいて「報酬委員会」という。)の決定であつて次に掲げる要件の全てを満たすもの
イ当該報酬委員会の委員の過半数が当該内国法人の独立社外取締役(法第三十四条第一項第三号イ(2)に規定する独立社外取締役をいう。以下この項及び次項において同じ。)であること。
ロ当該内国法人の業務執行役員に係る法第三十四条第一項第三号イ(2)に規定する特殊の関係のある者(第三号ロ及び次項において「特殊関係者」という。)が当該報酬委員会の委員でないこと。
ハ当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成していること。
二 当該内国法人(指名委員会等設置会社を除く。)の株主総会の決議による決定
三 当該内国法人(指名委員会等設置会社を除く。)の報酬諮問委員会(取締役会の諮問に応じ、当該内国法人の業務執行役員の個人別の給与の内容を調査審議し、及びこれに関し必要と認める意見を取締役会に述べることができる三以上の委員から構成される合議体をいう。以下この号において同じ。)に対する諮問その他の手続を経た取締役会の決議による決定であつて次に掲げる要件の全てを満たすもの
イ当該報酬諮問委員会の委員の過半数が当該内国法人の独立社外取締役(当該内国法人の会社法第二条第十六号に規定する社外監査役(次項第二号イにおいて「社外監査役」という。)である独立職務執行者を含む。ハにおいて「独立社外取締役等」という。)であること。
ロ当該内国法人の業務執行役員に係る特殊関係者が当該報酬諮問委員会の委員でないこと。
ハ当該報酬諮問委員会の委員である独立社外取締役等の全員が当該諮問に対する当該報酬諮問委員会の意見に係る決議に賛成していること。
ニ当該決定に係る給与の支給を受ける業務執行役員がハの決議に参加していないこと。
四 前三号に掲げる手続に準ずる手続
17 法第三十四条第一項第三号に規定する内国法人が同族会社である場合における同号イ(2)に規定する政令で定める適正な手続は、次に掲げるものとする。
一 当該内国法人との間に完全支配関係がある法人(同族会社を除く。以下この号及び次号において「完全支配関係法人」という。)の報酬委員会の決定(次に掲げる要件の全てを満たす場合における当該決定に限る。)に従つてする当該内国法人の株主総会又は取締役会の決議による決定
イ当該報酬委員会の委員の過半数が当該完全支配関係法人の独立社外取締役であること。
ロ次に掲げる者(当該完全支配関係法人の業務執行役員を除く。)が当該報酬委員会の委員でないこと。
(1)当該内国法人の業務執行役員
(2)当該内国法人又は当該完全支配関係法人の業務執行役員に係る特殊関係者
ハ当該報酬委員会の委員である当該完全支配関係法人の独立社外取締役の全員が当該報酬委員会の決定に係る決議に賛成していること。
二 完全支配関係法人(指名委員会等設置会社を除く。)の報酬諮問委員会(取締役会の諮問に応じ、当該完全支配関係法人及び当該内国法人の業務執行役員の個人別の給与の内容を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める意見を取締役会に述べることができる三以上の委員から構成される合議体をいう。以下この号において同じ。)に対する諮問その他の手続を経た当該完全支配関係法人の取締役会の決議による決定(次に掲げる要件の全てを満たす場合における当該決定に限る。)に従つてする当該内国法人の株主総会又は取締役会の決議による決定
イ当該報酬諮問委員会の委員の過半数が当該完全支配関係法人の独立社外取締役(当該完全支配関係法人の社外監査役である独立職務執行者を含む。ハにおいて「独立社外取締役等」という。)であること。
ロ次に掲げる者(当該完全支配関係法人の業務執行役員を除く。)が当該報酬諮問委員会の委員でないこと。
(1)当該内国法人の業務執行役員
(2)当該内国法人又は当該完全支配関係法人の業務執行役員に係る特殊関係者
ハ当該報酬諮問委員会の委員である当該完全支配関係法人の独立社外取締役等の全員が当該諮問に対する当該報酬諮問委員会の意見に係る決議に賛成していること。
ニ当該完全支配関係法人の取締役会の決議による決定に係る給与の支給を受ける業務執行役員がハの決議に参加していないこと。
三 前二号に掲げる手続に準ずる手続
18 第十四項、第十六項第三号イ及び前項第二号イに規定する独立職務執行者とは、報酬委員会又は第十六項第三号若しくは前項第二号に規定する報酬諮問委員会を置く法人(以下この項において「設置法人」という。)の取締役又は監査役のうち、次に掲げる者のいずれにも該当しないものをいう。
一 法第三十四条第一項第三号イの算定方法についての第十六項各号又は前項各号に掲げる手続の終了の日の属する同条第一項第三号に規定する内国法人の会計期間開始の日の一年前の日から当該手続の終了の日までの期間内のいずれかの時において次に掲げる者に該当する者
イ当該設置法人の主要な取引先である者又はその者の業務執行者(業務を執行する者として財務省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)
ロ当該設置法人を主要な取引先とする者又はその者の業務執行者
二 前号に規定する期間内のいずれかの時において次に掲げる者に該当する者の配偶者又は二親等以内の親族(ハ又はホに掲げる者に該当する者の配偶者又は二親等以内の親族にあつては、同号に規定する終了の日において当該設置法人の監査役であるものに限る。)
イ前号イ又はロに掲げる者(業務執行者にあつては、財務省令で定めるものを除く。)
ロ当該設置法人の業務執行者(イに規定する財務省令で定めるものを除く。ニにおいて同じ。)
ハ当該設置法人の業務執行者以外の取締役又は会計参与(会計参与が法人である場合には、その職務を行うべき社員。ホにおいて同じ。)
ニ当該設置法人による支配関係がある法人の業務執行者
ホ当該設置法人による支配関係がある法人の業務執行者以外の取締役又は会計参与
三 法第三十四条第一項第三号イの算定方法についての第十六項各号又は前項各号に掲げる手続の終了の日の属する同条第一項第三号に規定する内国法人の会計期間開始の日の十年前の日から当該手続の終了の日までの期間内のいずれかの時において次に掲げる者に該当する者(ロに掲げる者に該当する者にあつては、同日において当該設置法人の監査役であるものに限る。)
イ当該設置法人と当該設置法人以外の法人との間に当該法人による支配関係がある場合の当該法人(ロ及びハにおいて「親法人」という。)の業務執行者又は業務執行者以外の取締役
ロ親法人の監査役
ハ当該設置法人との間に支配関係がある法人(親法人及び当該設置法人による支配関係がある法人を除く。)の業務執行者
四 前号に規定する期間内のいずれかの時において次に掲げる者に該当する者の配偶者又は二親等以内の親族(ロに掲げる者に該当する者の配偶者又は二親等以内の親族にあつては、同号に規定する終了の日において当該設置法人の監査役であるものに限る。)
イ前号イ又はハに掲げる者(業務執行者にあつては、第二号イに規定する財務省令で定めるものを除く。)
ロ前号ロに掲げる者
19 法第三十四条第一項第三号ロに規定する政令で定める要件は、次に掲げる要件とする。
一 次に掲げる給与の区分に応じそれぞれ次に定める要件
イロに掲げる給与以外の給与次に掲げる給与の区分に応じそれぞれ次に定める日(次に掲げる給与で二以上のもの(その給与に係る職務を執行する期間が同一であるものに限る。)が合わせて支給される場合には、それぞれの給与に係る次に定める日のうち最も遅い日)までに交付され、又は交付される見込みであること。
(1)金銭による給与当該金銭の額の算定の基礎とした法第三十四条第一項第三号イに規定する利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標又は売上高の状況を示す指標((2)において「業績連動指標」という。)の数値が確定した日の翌日から一月を経過する日
(2)株式又は新株予約権による給与当該株式又は新株予約権の数の算定の基礎とした業績連動指標の数値が確定した日の翌日から二月を経過する日
ロ特定新株予約権又は承継新株予約権による給与で、無償で取得され、又は消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの当該特定新株予約権又は当該承継新株予約権に係る特定新株予約権が第十六項各号又は第十七項各号に掲げる手続の終了の日の翌日から一月を経過する日までに交付されること。
二 損金経理をしていること(法第三十四条第一項第三号の給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含む。)。
20 法第三十四条第一項第三号の場合において、内国法人が同号の同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに該当するかどうかの判定及び同号イ(2)に規定する独立社外取締役、第十六項第三号イに規定する独立社外取締役等又は第十七項第二号イに規定する独立社外取締役等に該当するかどうかの判定は、第十六項各号又は第十七項各号に掲げる手続の終了の日の現況による。
21 法第三十四条第一項第三号の給与(特定新株予約権によるものに限る。)に係る算定方法が同号イ(2)及び(3)に掲げる要件を満たす場合には、当該特定新株予約権に係る承継新株予約権による給与に係る算定方法は、当該要件を満たすものとする。
法人税法第36条(過大な使用人給与の損金不算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人がその役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に対して支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロその事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
削除
三和クリエーション株式会社事件 東京地判平成24年10月9日(訟月59巻12号3182頁)
2.法人税法34条を読む
- 法人税法34条の趣旨役員給与も職務執行の対価として、原則は損金に算入されるものであるところ、役員給与に関しては役員が自ら操作することが可能であるから、その恣意性を排除するため、法34条によって例外的に損金不算入規定を設け、不当な税負担の軽減を図ることを防止。
- 法人税法34条1項により損金不算入となるもの→下記(え)(お) ※(う)は3項で損金不算入(あ)退職給与→損金算入(1項柱書かっこ書き→法人税法22条3項2号により)、2項適用可能性あり(法人税法施行令70条2号)。
(い)使用人兼務役員に対して支給する当該職務に対する給与→損金算入(1項柱書括弧書→法人税法22条3項2号により)、2項適用可能性あり(法人税法施行令70条3号)。
(う)仮装給与→損金不算入(3項)
(え)届出なし→損金不算入(1項柱書)
(お)利益連動給与で上限の定めがないもの→法人税法34条1項3号イ(1)の要件満たさず、損金不算入(1項)
法人税法(役員給与の損金不算入)
第三十四条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)
二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)
イ その給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合 政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。
ロ 株式を交付する場合 当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。
ハ 新株予約権を交付する場合 当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。
三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)
イ 交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)
であること。
(1) 金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2) 政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。
(3) その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。
ロ その他政令で定める要件2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。
5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。
6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。
7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。
8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
④本条にいう「役員」とは
法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち、政令40で定めるもの(法人税法2条15号)。
⑥1項1号の典型例は、毎月同額で支給される役員給与である。それでは、定期給与の額を事業年度の中途で改定した場合、その全額が定期同額給与に該当しないことになるか。
法人税法施行令69条1号41に該当する場合は、定額給与の額を改定した場合であっても、法人税法34条1項2号「その他これに準ずるものとして政令で定める給与」に該当し、定期同額給与として損金算入される。
⑨2項にいう「不相当に高額な退職給与」は、どのように定められていれるか。法人税法施行令70条参照。
不相当に高額な退職給与→34条2項により、不相当に高額な部分について損金不算入42
2項にいう「不相当に高額な部分の金額」は、どのように判定し、誰が主張立証すべきか。
- 実質基準
- 「役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし」(法人税法施行令70条1項1号イ)
- 形式基準
- 「定款の規定又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により役員に対する給与として支給することができる金銭の額の限度額若しくは算定方法又は金銭以外の資産の内容」(法人税法施行令70条1項1号ロ)
課税要件事実の存否及び課税標準については、原則として租税行政庁が主張立証責任を負う。
4.法人税法36条
①趣旨
企業の経営者が使用人である親族等に過大な報酬を支払うことにより経営者の所得の分散を図ることは、役員給与の損金不算入を定めた34条1項を潜脱するものであり、これを防止する趣旨。
②役員と特殊な関係のない使用人に対して、過大な給与を支払った場合は、36条の適用はあるか。
ない。しかし、その使用人と法人との間に業務関連性が無く、あるいは対価としての性格をもっていないものについては、損金性がないのであるから法人税法22条3項、132条によって課税の対象になる。
③C 社が、その役員D の夫E に対して、使用人給与を3 億円支払った。給与のうち2 億円が過大であったとした場合、C・D・E はそれぞれ同課税されるだろうか。
- F
- 2 億円につき損金不算入(法人税法36条)
- H
- 3 億円につき給与所得 (法の趣旨から、Hに1 億円、Gに2 億円の給与所得を課税することもあり得る。)
法人税法35条(特殊支配同族会社の役員給与)43 →改正により条文削除
6.不相当に高額な役員給与
札幌地判H11.12.10月報47-5-1226 役員退職給与事件
- 事案
- X社は昭和44年に設立された食品製造業等を営む同族会社。平成5年1月19日の株主総会において、会社創業者である代取甲の辞任を承認、退職金3 億円を支給する旨の決議。そしてこれを支給した。Xはこれを全額損金算入したところ、Yは、平均功績倍率法によると支給された退職金のうち1 億5960 万円が過大であるとして同金額を否認する更正処分
- 論点
- 退職給与金の相当性
- 条文
- 法人税法34Ⅰ柱書括弧書、34Ⅱ、法人税法施行令70②
- 判旨
- 「〔法人税法34Ⅱ〕の趣旨は、法人の役員に対する退職給与が、損金として認めるには不相当に高額であるため、実質的には法人の利益処分たる性質を有していると解すべき場合も想定され得るところ、このような場合には、その不合理な部分について損金算入を認めないことによって、法人が租税負担を不当に回避することを防止し、適正な課税を確保しようとするものであると解される。
そして、令〔70〕条は、右の損金に算入しない金額は、法人がその退職した役員に対して支給した退職給与の額が、当該役員のその法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額をこえる場合におけるそのこえる部分の金額とする旨規定する。これは、法〔34〕条を受けて、退職給与の額の相当性について判断基準を定めたものであるところ、退職給与の額はその法人及び退職役員の個別的事情によって異なり得るものであるから、あらゆる場合を想定して相当な退職給与の額を明確かつ一義的に定めることは困難であるというべきである一方、右の定めは相当な退職給与の額の決定に当たり考慮すべき事情を類型的に列挙しており、その事情を総合すれば相当な退職給与の額を判断することができるものと解されるのであって、この観点からすれば、令〔70〕条の規定は、退職給与の額の相当性の判断基準について、一般的に是認できる程度に具体的、客観的に定めているということができる。
したがって、法〔34〕条及び令〔70〕条は、租税法律主義(課税要件明確主義)に反するものではなく、憲法八四条に違反するものではないというべきである」
「平均功績倍率法は、当該退職役員の当該法人に対する功績はその退職時の報酬に反映されていると考え、同種類似の法人の役員に対する退職給与の支給の状況を平均功績倍率として把握し、比較法人の平均功績倍率に当該退職役員の最終報酬月額及び勤続年数を乗じて役員退職給与の適正額を算定する方法であり、適正に算出された平均功績倍率を用いる限り、その判断方法は客観的かつ合理的であり、令〔70〕条の趣旨に最もよく合致する方法であるというべきである。」
- 解説
- 「本判決は、役員甲の功績を高く評価しつつも、平均功績倍率法が最終報酬金額を使って適正退職給与を算定することから、すでに甲の功績が反映されたとし、比較法人が少数でありかつ事業規模的にXより劣ったが、他の方法を検討せずに、平均功績倍率法の適用を認めた。役員退職給与の相当性判断は、このように判定者が役員の功績および比較法人の類似性をどの程度考慮するかに左右される傾向がある」
功績倍率法:退職給与金額が、最終月額報酬に勤続年数を乗じた金額の何倍かを比較する方法
- A.平均功績倍率法
- 退職役員に退職給与を支給した法人と同種の事業を営み、その事業規模が類似する法人(以下「比較法人」という。)の役員退職給与の支給事例の平均功績倍率(〔退職役員の最終報酬月額×勤務年数÷役員退職給与の額=功績倍率〕の平均値)に、当該退職役員の最終報酬月額及び勤続年数を乗じて算出する方法
- B.最高功績倍率法
- 比較法人の役員退職給与の支給事例の最高値の功績倍率に、当該退職役員の最終報酬月額及び勤続年数を乗じて算出する方法
- Cf.一年当たり平均額法
- 比較法人における退職役員の退職給与の額をその勤続年数で除して得た金額(一年当たりの退職給与の額)の平均額に、当該退職役員の勤続年数を乗じて算出する方法である。
325.02寄附金(1)――要件と効果
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 12026年8月16日時点
法人税法第37条(寄附金の損金不算入)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ広く一般に募集されること。
ロ教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下第六項までにおいて同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
5 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに公益信託に関する法律第二条第一項第一号(定義)に規定する公益信託の信託財産とするために支出した当該公益信託に係る信託事務に関連する寄附金(出資に関する信託事務に充てられることが明らかなもの及び第三項各号又は前項に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が前項に規定する政令で定めるところにより計算した金額から同項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額を控除した金額を超える場合には、当該控除した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
6 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。
7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項及び第五項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項又は第五項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金がこれらの規定に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項から第五項までの規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
10 税務署長は、第四項又は第五項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項又は第五項の規定を適用することができる。
11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。
12 第六項から前項までに定めるもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
法人が平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(以下この条において「適用年度」という。)において支出する交際費等の額(当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額。以下この項及び次項において同じ。)が百億円以下である法人(通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の同日における資本金の額又は出資金の額が百億円を超える場合における当該通算法人を除く。)については、当該交際費等の額のうち接待飲食費の額の百分の五十に相当する金額を超える部分の金額)は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の場合において、法人(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人及び資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社を除く。)のうち当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるもの(次に掲げる法人を除く。)については、前項の交際費等の額のうち定額控除限度額(八百万円に当該適用年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額をいう。)を超える部分の金額をもつて、同項に規定する超える部分の金額とすることができる。
一 普通法人のうち当該適用年度終了の日において法人税法第六十六条第五項第二号又は第三号に掲げる法人に該当するもの
二 通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人が次に掲げる法人である場合における当該通算法人
イ当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人
ロ前号に掲げる法人
3 通算法人(通算子法人にあつては、当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。)に対する前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 通算子法人の適用年度は、当該通算子法人に係る通算親法人の適用年度終了の日に終了する当該通算子法人の事業年度とする。
二 前項に規定する定額控除限度額は、八百万円に当該適用年度終了の日に終了する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(第四号イにおいて「通算定額控除限度額」という。)に、イに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(第五項において「通算定額控除限度分配額」という。)とする。
イ当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額
ロ当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額及び当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額の合計額
三 前号の規定を適用する場合において、同号イ及びロの交際費等の額が同号の通算法人の同号の適用年度又は同号ロの他の通算法人の同号ロに規定する事業年度(以下この項において「通算事業年度」という。)の確定申告書等(期限後申告書を除く。)に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額(以下この号及び第五号において「当初申告交際費等の額」という。)と異なるときは、当初申告交際費等の額を前号イ及びロの交際費等の額とみなす。
四 通算事業年度のいずれかについて修正申告書の提出又は国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(次号において「更正」という。)がされる場合において、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二号の通算法人の同号の適用年度については、前号の規定は、適用しない。
イ前号の規定を適用しないものとした場合における第二号ロに掲げる金額が通算定額控除限度額以下である場合
ロ法人税法第六十四条の五第六項の規定の適用がある場合
ハ法人税法第六十四条の五第八項の規定の適用がある場合
五 通算事業年度について前号(ハに係る部分を除く。)の規定を適用して修正申告書の提出又は更正がされた後における第三号の規定の適用については、当該修正申告書又は当該更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額を当初申告交際費等の額とみなす。
4 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
5 第三項の通算法人の適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この項において「他の通算法人」という。)の同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額がある場合における当該適用年度に係る第二項の規定は、第七項の規定にかかわらず、当該交際費等の額を支出する他の通算法人の全てにつき、それぞれ同日に終了する事業年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合で、かつ、当該適用年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
6 第一項、第三項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
7 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
8 第六項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。
太洋物産売上値引事件 東京高判平成4年9月24日(行集43巻8=9号1181頁)
2.法人税法37条を読む
(寄附金の損金不算入)
第三十七条 内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下この項及び次項において同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
5 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。
6 内国法人が特定公益信託(公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)の信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金の額とみなして第一項、第四項、第九項及び第十項の規定を適用する。この場合において、第四項中「)の額」とあるのは、「)の額(第六項に規定する特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭の額を含む。)」とするほか、この項の規定の適用を受けるための手続に関し必要な事項は、政令で定める。
7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金が同項に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項又は第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
10 税務署長は、第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項の規定を適用することができる。
11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。
12 第五項から前項までに定めるもののほか、第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
①1項を適用すると、どのような効果が生ずるか。2項の場合はどうか。
1項は、政令で定めるところにより計算した金額を超える部分については損金算入が認められず、所得の額が増えることになる。2項の場合は全額損金不算入。
②寄附金の額は、どのように定義されているか。
寄附金の額とは、その名義のいかんを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額と定義されている(法人税法37条7項)。
③7項の括弧書に該当する場合、どのように扱われることになるか。
括弧書に該当する場合は除かれるのであるから、原則に立ち返り損金に算入することが認められる。ただし、租税特別措置法61条の444の適用がある場合も。
④内国法人が時価3 億円の資産を対価1 億円で譲渡した場合、寄附金の額はいくらになるか。
2 億円(8項)。
⑤内国法人が金銭の贈与をした場合、7項と8項のいずれが適用されるか。
7項。
⑥3項各号に掲げる寄附金の額は、どのように扱われるか。
全額について損金算入が認められる。
⑦4項はいかなる法人に対する寄附金を念頭に置いているか。
公益性の高い法人を念頭に置いている。※一般の寄付金の損金算入限度額とは別枠の損金算入限度額の枠内で損金算入が認められる(4項括弧書)。
3.事案の検討
①本件では、本件売上値引きがA の欠損金を填補するためになされたことが、請求書の目的記載及び金額から明らか認定されている。もしこの事実が認定されていなかったら、結論は変わったか。
普通であれば、値引きの目的が販売促進であり、寄付ではないと認定されるため、結論は変わる。
②赤字援助のための値引きと、営業経費の性質を有する値引きとはどのように区別できるか。
- 値引きを行わなければ、Xの死活にかかわるような経営、信用の危機に陥る切迫したおそれが明らかにあったか否か
- 値引きにつき経済取引として十分肯首し得る合理的理由があったか否かで営業経費の性質を有する値引きか否かが区別できる。
325.03寄附金(2)――法人税法22条2項との関係
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 22026年8月16日時点
法人税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
四 外国法人内国法人以外の法人をいう。
五 公共法人別表第一に掲げる法人をいう。
六 公益法人等別表第二に掲げる法人をいう。
七 協同組合等別表第三に掲げる法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
九 普通法人第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。
九の二 非営利型法人一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。
イその行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
ロその会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
十 同族会社会社(投資法人を含む。以下この号において同じ。)の株主等(その会社が自己の株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下同じ。)又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。
十一 被合併法人合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。
十二 合併法人合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。
十二の二 分割法人分割によりその有する資産又は負債の移転を行つた法人をいう。
十二の三 分割承継法人分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた法人をいう。
十二の四 現物出資法人現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人をいう。
十二の五 被現物出資法人現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人をいう。
十二の五の二 現物分配法人現物分配(法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。以下この条において同じ。)によりその有する資産の移転を行つた法人をいう。
イ剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、分割型分割によるものを除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)
ロ解散による残余財産の分配
ハ第二十四条第一項第五号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由
十二の五の三 被現物分配法人現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた法人をいう。
十二の六 株式交換完全子法人株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の二 株式交換等完全子法人株式交換完全子法人及び株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六に規定する対象法人をいう。
十二の六の三 株式交換完全親法人株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人をいう。
十二の六の四 株式交換等完全親法人株式交換完全親法人並びに株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六イ及びロに規定する最大株主等である法人並びに同号ハの一の株主等である法人をいう。
十二の六の五 株式移転完全子法人株式移転によりその株主の有する株式を当該株式移転により設立された法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の六 株式移転完全親法人株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得した当該株式移転により設立された法人をいう。
十二の六の七 通算親法人第六十四条の九第一項(通算承認)に規定する親法人であつて同項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七 通算子法人第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人であつて同条第一項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七の二 通算法人通算親法人及び通算子法人をいう。
十二の七の三 投資法人投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。
十二の七の四 特定目的会社資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する特定目的会社をいう。
十二の七の五 支配関係一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の六 完全支配関係一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の七 通算完全支配関係通算親法人と通算子法人との間の完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この号において同じ。)又は通算親法人との間に完全支配関係がある通算子法人相互の関係をいう。
十二の八 適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人又は合併親法人(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産、合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産及び合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数又は総額の三分の二以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併
ロその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(2)当該合併に係る被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を行うための合併として政令で定めるもの
十二の九 分割型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によつて交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割
ロ分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割
十二の十 分社型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。)
ロ無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割
十二の十一 適格分割次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
イその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割
ロその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。
(2)当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの
ニその分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの
十二の十二 適格分割型分割分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十三 適格分社型分割分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十四 適格現物出資次のいずれかに該当する現物出資(被現物出資法人である外国法人に国内にある不動産その他の政令で定める資産(以下この号において「国内不動産等」という。)、国内事業所等(内国法人にあつては第六十九条第四項第一号(外国税額の控除)に規定する本店等をいい、外国法人にあつては恒久的施設をいう。)を通じて行う事業に係る資産(外国法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式を有する場合におけるその外国法人の株式を除く。)若しくは負債(以下この号において「国内資産等」という。)又は内国法人の工業所有権、著作権その他の政令で定める資産(以下この号において「無形資産等」という。)の移転を行うもの(当該国内不動産等、国内資産等及び無形資産等の全部が当該移転により当該被現物出資法人である外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものとして政令で定めるものを除く。)、外国法人が内国法人又は他の外国法人に第百三十八条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する本店等(以下この号において「本店等」という。)を通じて行う事業に係る資産(国内不動産等を除く。)又は負債(以下この号において「外国法人国外資産等」という。)の移転を行うもの(当該他の外国法人に外国法人国外資産等の移転を行うものにあつては、当該外国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものに限る。)及び内国法人が外国法人に第六十九条第四項第一号に規定する国外事業所等を通じて行う事業に係る資産又は負債(以下この号において「内国法人国外資産等」という。)の移転を行うもので当該内国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該外国法人の本店等を通じて行う事業に係る資産又は負債となるもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるものに限る。)並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限る。)をいう。
イその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資
ロその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該現物出資により現物出資事業(現物出資法人の現物出資前に行う事業のうち、当該現物出資により被現物出資法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該被現物出資法人に移転していること。
(2)当該現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該現物出資後に当該被現物出資法人の業務(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該現物出資に係る現物出資事業が当該現物出資後に当該被現物出資法人(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人(当該現物出資が法人を設立する現物出資である場合にあつては、当該現物出資法人と他の現物出資法人)とが共同で事業を行うための現物出資として政令で定めるもの
十二の十五 適格現物分配内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。
十二の十五の二 株式分配現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限る。)のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(次号において「完全子法人」という。)の当該発行済株式等の全部が移転するもの(その現物分配により当該発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合における当該現物分配を除く。)をいう。
十二の十五の三 適格株式分配完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として政令で定めるもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
十二の十六 株式交換等株式交換及びイからハまでに掲げる行為により対象法人(それぞれイからハまでに規定する法人をいう。)がそれぞれイ若しくはロに規定する最大株主等である法人又はハの一の株主等である法人との間にこれらの法人による完全支配関係を有することとなることをいう。
イ全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(イにおいて「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合の当該取得決議
ロ株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの
ハ株式売渡請求(法人の一の株主等が当該法人の承認を得て当該法人の他の株主等(当該法人及び当該一の株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の全てに対して法令(外国の法令を含む。ハにおいて同じ。)の規定に基づいて行う当該法人の株式の全部を売り渡すことの請求をいう。)に係る当該承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等(当該一の株主等又は当該一の株主等との間に完全支配関係がある者が有するものを除く。)の全部が当該一の株主等に取得されることとなる場合の当該承認
十二の十七 適格株式交換等次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換等完全親法人又は株式交換完全支配親法人(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産、株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産、株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式(当該株式交換完全子法人が有する自己の株式を除く。)の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産、前号イの取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産及び同号ハの取得の対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロその株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式交換等後に行われる適格合併又は当該株式交換等完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換として政令で定めるもの
十二の十八 適格株式移転次のいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式移転に係る株式移転完全子法人と当該株式移転に係る他の株式移転完全子法人(以下この号において「他の株式移転完全子法人」という。)との間に同一の者による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転で政令で定めるもの
ロその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式移転後に行われる適格合併又は当該株式移転完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該株式移転完全子法人(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式移転後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人とが共同で事業を行うための株式移転として政令で定めるもの
十二の十九 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
十三 収益事業販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。
十四 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
十五 役員法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。
十六 資本金等の額法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。
十七 削除
十八 利益積立金額法人の所得の金額で留保している金額として政令で定める金額をいう。
十九 欠損金額各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十 棚卸資産商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。
二十一 有価証券金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式又は出資及び第六十一条の五第一項(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。
二十二 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
二十三 減価償却資産建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十四 繰延資産法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十五 損金経理法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。
二十六 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。次号及び第二十九号ロにおいて同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
二十七 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
二十八 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公債又は社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
二十九 集団投資信託次に掲げる信託をいう。
イ合同運用信託
ロ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託
(1)投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託
(2)その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第一項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第八項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの
ハ特定受益証券発行信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)
(1)信託事務の実施につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人((1)において「承認受託者」という。)が引き受けたものであること(その計算期間開始の日の前日までに、当該承認受託者(当該受益証券発行信託の受託者に就任したことによりその信託事務の引継ぎを受けた承認受託者を含む。)がその承認を取り消された場合及び当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合を除く。)。
(2)各計算期間終了の時における未分配利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のその時における元本の総額に対する割合((3)において「利益留保割合」という。)が政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。
(3)各計算期間開始の時において、その時までに到来した利益留保割合の算定の時期として政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(2)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。
(4)その計算期間が一年を超えないこと。
(5)受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)が存しない信託に該当したことがないこと。
二十九の二 法人課税信託次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する公益信託等を除く。)をいう。
イ受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託
ロ第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託
ハ法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの
(1)当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。
(2)その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。
(3)その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。
ニ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託
ホ資産の流動化に関する法律第二条第十三項に規定する特定目的信託
三十 中間申告書第七十一条第一項(中間申告)又は第百四十四条の三第一項若しくは第二項(中間申告)の規定による申告書をいう。
三十一 確定申告書第七十四条第一項(確定申告)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項(確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の二 国際最低課税額確定申告書第八十二条の六第一項(国際最低課税額に係る確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の三 国際最低課税残余額確定申告書第八十二条の十四第一項(国際最低課税残余額に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の四 国内最低課税額確定申告書第八十二条の二十二第一項(国内最低課税額に係る確定申告)(第百四十五条の九(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十二 退職年金等積立金中間申告書第八十八条(退職年金等積立金に係る中間申告)(第百四十五条の十三(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十三 退職年金等積立金確定申告書第八十九条(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十四 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十五 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
三十六 青色申告書第百二十一条(青色申告)(第百四十六条第一項(青色申告)において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する第三十号、第三十一号、第三十二号及び第三十三号に掲げる申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書をいう。
三十七 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
三十八 中間納付額第七十六条(中間申告による納付)又は第百四十四条の九(中間申告による納付)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)をいう。
三十九 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十 決定この編、次編第一章第一節(課税標準及びその計算)、第八十条第四項(欠損金の繰戻しによる還付)、第百三十三条(更正等による所得税額等の還付)、第百三十四条(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)、第百三十五条第三項第三号及び第四項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、第百四十七条の三(更正等による所得税額等の還付)並びに第百四十七条の四(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十一 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十二 充当国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十三 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
四十四 地方税地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。
法人税法第37条(寄附金の損金不算入)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ広く一般に募集されること。
ロ教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下第六項までにおいて同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
5 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに公益信託に関する法律第二条第一項第一号(定義)に規定する公益信託の信託財産とするために支出した当該公益信託に係る信託事務に関連する寄附金(出資に関する信託事務に充てられることが明らかなもの及び第三項各号又は前項に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が前項に規定する政令で定めるところにより計算した金額から同項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額を控除した金額を超える場合には、当該控除した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
6 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。
7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項及び第五項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項又は第五項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金がこれらの規定に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項から第五項までの規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
10 税務署長は、第四項又は第五項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項又は第五項の規定を適用することができる。
11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。
12 第六項から前項までに定めるもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
PL 農場事件 大阪高判昭和59年6月29日判決(行集35巻6号822頁)
1.会社間利益移転と法人税法の適用45
(2)親会社P 社と子会社S 社との間に完全支配関係がない場合
①S社が親会社P社に対して現金3 億円を贈与した。Sに対しては法人税法のどの規定がどのように規定されることになるか
A.SP間に連結完全支配関係(法人税法2条12号の7 の5)がある場合:法人税法37条2項
- B.それ以外
- 法人税法37条1項
②S社がP社に時価3 億円の土地を贈与した場合46
(ⅰ)土地の簿価が1 億円の場合
- 益金
- 法人税法22条2項により3 億円
- 損金
- 譲渡原価(同22条3項1号)として1億円寄付金の処理(同37条7項):寄付金とされる金額は時価の3 億円(その上で同37条1項または2項の適用)
(ⅱ)土地の簿価が5 億円の場合
- 益金
- 法人税法22条2項により3 億円
- 損金
- 原価(同22条3項1号)として5億円
- 寄付金の処理
- 原価のうち3 億円が37条7項によって寄付金となる。
③S 社がP 社に適正市場価格1 億円相当の役務を無償で提供した場合47
無償による役務の提供(法人税法22条2項)として、益金発生。寄付金の処理は、資産の場合と同様。役務提供が「経済的利益の…無償の供与」にあたると解される(清水惣事件参照)。さらに考えていくと、同37条7項かっこ書きに目がとまるが、この設例では、S 社自身の宣伝費として供与されたものではないので適用されない(あくまでもP 社の宣伝広告のため)。
(3)以上の①から③についてPの課税関係
- ①(現金の贈与)
- 無償による資産の譲受けとして、益金算入(法人税法22条2項)
- ②(土地の贈与)
- 無償による資産の譲受けとして、土地の時価が受贈益となる(法人税法22条2項)。48
- ③(無償による役務の提供)
- 益金算入はなし(法人税法22条2項)。
2.本件における法人所得の計算
大阪高判S59.6.29 行集35-6-822 PL農場事件
- 判示事項
- 1.時価6億円の土地を1億7000万円で譲受けるに当り、両者間において、その土地を系列会社である第三者に2億2000万円で転売しなければならない旨の特約が付されている場合には、譲受人が得た低価譲受による収益の額は、予定転売価額と支払った対価との差額であるとされた事例。
2.低価譲渡で時価と対価との差額が実質的に贈与したと認められる場合における譲渡者の法人税法上の取扱は法人税法37条によるが、譲受者の法人税法上の取扱は同法22条2項によるべきものである。
- 論点
- 法人税法22条2項の収益の額を判断するに当たって、特約を含めた全契約内容に従って収益の額を定めるべきものであるとされた事例。
- 適用条文
- 法人税法22条2項、同37条
- 判旨
- 「被控訴人は、時価六億〇一八八万〇八九〇円と右買受価額との差額四億二八三九万二三五五円が、控訴人がミキ観光株式会社より実質的に贈与を受けた額(法人税法三七条〔7〕項)であると主張する。しかし、右にいう時価は何の特約もない場合の時価であるところ、右主張は右売買契約に前記のような転売特約があることを無視しているから、採用することはできない(なお、控訴人の買受にともなう法人税法上の取扱は、同法三七条〔7〕項の問題ではなく、二二条二項の問題である)。
法人税法二二条二項の収益の額を判断するに当って、その収益が契約によって生じているときは、法に特別の規定がない限り、その契約の全内容、つまり特約をも含めた全契約内容に従って収益の額を定めるべきものである」
「…ミキ観光株式会社は、控訴人と株式会社フードサプライの両者に対して、あわせると、何の特約も存しないときの本件不動産の時価と、控訴人への売却価額との差額を贈与したものとされ、その差額部分は損金の額に算入されない(法人税法三七条〔7〕項)ことになるから、被控訴人の主張のように租税回避が意のままになるということはできない(本件においても、ミキ観光株式会社の租税回避的行為は同法三七条六項の適用により否認されている)。」
「控訴人の本件土地の売却にともなう収益、原価はいずれも二億二六二二万四三九五円であって、売却差益は存しないと解される。
被控訴人は、本件土地の前記時価と株式会社フードサプライへの売却額との差額は、控訴人が同会社に実質的に贈与したものであると主張する。しかしながら、控訴人が本件土地について有していた利益、価値は前記のとおり二億二六二二万四三九五円にすぎなかったから、控訴人はこれを超える額の利益を他に贈与により与えることができる筈はない。もっとも、株式会社フードサプライは本件土地を取得し、右額を超える利益を得ているものであるが、その超える部分の利益は控訴人から与えられたと評価することはできず、ミキ観光株式会社からその転売特約により与えられたものと評価すべきである。
低額譲渡があった場合には、その差額部分にも収益があり、それが譲受人に実質的に贈与されたものとする法人税法二二条二項、三七条〔7〕項は、譲受人が譲渡価額よりもより高価に譲渡できるのに、経済人としては不合理にも、それよりも低額に譲渡した場合に適用されるのであって、譲渡価額よりも高額にできる利益、権利、地位を有していなかったときは、より高額に譲渡しなかったからといって、自己の有していたところを不当にも低く譲渡したとして同法三七条〔7〕項を適用することはできない。」
①X農場の益金と損金の額(※一万円未満切捨てで計算)
- 益金
- ・低額譲渡による受贈益として(ミキ観光→X)、約定された転売対価2 億2622 万円
- 転売による収益として(X→F社)、2 億2622 万円→益金 5 億5244 万円
- 損金
- ・低額で譲り受けた本件土地の取得費用として、ミキ観光に支払った本件土地の取得対価1億7347 万円
- 転売された本件土地の原価として、ミキ観光に支払った本件土地の取得対価1億7347 万円+課税対象となる受贈益の5275 万円=2 億2622 万円→損金 3 億9971 万円
②本件判決はなぜこのように収益を計算したか。判旨三と四を通底するロジックを読み取ってみよ。
「法人税法二二条二項の収益の額を判断するに当って、その収益が契約によって生じているときは、法に特別の規定がない限り、その契約の全内容、つまり特約をも含めた全契約内容に従って収益の額を定めるべきものである」
③もしミキ観光に課税されていなかったら、結論は異なったか。
異なるはずがない。ただ、ミキ観光に課税された事実があったからこそ、本件判決において、時価で益金を計算する必要がなかったともいえなくもないが、その程度だと思う。
3.関連裁判例
名古屋高裁金沢支判H10.11.30:「三 資産の低額譲渡と法人税法二二条二項にいう収益の額について 法人税法二二条二項に規定する内国法人の各事業年度の所得の金額の計算に当たっては、譲渡時における適正な価額より低い対価をもってする資産の低額譲渡も同条項にいう有償による資産の譲渡に該当することになるが、この場合にも、当該資産には譲渡時における適正な価額に相当する経済的価値が認められるのであって、たまたま現実に収受した対価がそのうちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識され得ないものとすれば、右条項が収益の発生原因となることを認めている資産の無償譲渡の場合との間の公平を欠くことになる。したがって、右規定の趣旨からして、資産の低額譲渡の場合において益金の額に算入すべき収益の額には、当該資産の譲渡の対価の額のほか、これと右資産の譲渡時における適正な価額との差額も含まれるものと解するのが相当である」「六 …被控訴人らの申告に係る各年度の法人税の申告等に対し、本件各取引について控訴人らが認定した本件株式の時価(各取引日における東証の終値)と現実の譲渡価額との差額に相当する金額を益金に算入し、また、右金額を寄付金として損金不算入額に加える(法人税法三七条七項参照)などして被控訴人ら各社の所得金額を算出して行った本件各処分に違法はないことになる。」
325.04交際費等
引用条文の現行全文4条執筆時から改正 22026年8月16日時点
租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
法人が平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(以下この条において「適用年度」という。)において支出する交際費等の額(当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額。以下この項及び次項において同じ。)が百億円以下である法人(通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の同日における資本金の額又は出資金の額が百億円を超える場合における当該通算法人を除く。)については、当該交際費等の額のうち接待飲食費の額の百分の五十に相当する金額を超える部分の金額)は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の場合において、法人(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人及び資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社を除く。)のうち当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるもの(次に掲げる法人を除く。)については、前項の交際費等の額のうち定額控除限度額(八百万円に当該適用年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額をいう。)を超える部分の金額をもつて、同項に規定する超える部分の金額とすることができる。
一 普通法人のうち当該適用年度終了の日において法人税法第六十六条第五項第二号又は第三号に掲げる法人に該当するもの
二 通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人が次に掲げる法人である場合における当該通算法人
イ当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人
ロ前号に掲げる法人
3 通算法人(通算子法人にあつては、当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。)に対する前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 通算子法人の適用年度は、当該通算子法人に係る通算親法人の適用年度終了の日に終了する当該通算子法人の事業年度とする。
二 前項に規定する定額控除限度額は、八百万円に当該適用年度終了の日に終了する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(第四号イにおいて「通算定額控除限度額」という。)に、イに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(第五項において「通算定額控除限度分配額」という。)とする。
イ当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額
ロ当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額及び当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額の合計額
三 前号の規定を適用する場合において、同号イ及びロの交際費等の額が同号の通算法人の同号の適用年度又は同号ロの他の通算法人の同号ロに規定する事業年度(以下この項において「通算事業年度」という。)の確定申告書等(期限後申告書を除く。)に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額(以下この号及び第五号において「当初申告交際費等の額」という。)と異なるときは、当初申告交際費等の額を前号イ及びロの交際費等の額とみなす。
四 通算事業年度のいずれかについて修正申告書の提出又は国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(次号において「更正」という。)がされる場合において、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二号の通算法人の同号の適用年度については、前号の規定は、適用しない。
イ前号の規定を適用しないものとした場合における第二号ロに掲げる金額が通算定額控除限度額以下である場合
ロ法人税法第六十四条の五第六項の規定の適用がある場合
ハ法人税法第六十四条の五第八項の規定の適用がある場合
五 通算事業年度について前号(ハに係る部分を除く。)の規定を適用して修正申告書の提出又は更正がされた後における第三号の規定の適用については、当該修正申告書又は当該更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額を当初申告交際費等の額とみなす。
4 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
5 第三項の通算法人の適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この項において「他の通算法人」という。)の同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額がある場合における当該適用年度に係る第二項の規定は、第七項の規定にかかわらず、当該交際費等の額を支出する他の通算法人の全てにつき、それぞれ同日に終了する事業年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合で、かつ、当該適用年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
6 第一項、第三項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
7 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
8 第六項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。
租税特別措置法第61条改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
青色申告書を提出する内国法人で各事業年度終了の日において国家戦略特別区域法第二十七条の三に規定する法人に該当するもの(国家戦略特別区域法の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十五号)の施行の日から令和十年三月三十一日までの間に同条の指定を受けたものに限る。以下この項及び第三項において「対象内国法人」という。)が、当該各事業年度(当該対象内国法人の設立の日から同日以後五年を経過する日までの期間(当該対象内国法人が合併により設立された法人である場合その他の政令で定める場合には、当該期間のうち政令で定める期間)内に終了する事業年度に限る。以下この条において「対象事業年度」という。)において、国家戦略特別区域法第二条第一項に規定する国家戦略特別区域内において行われる同法第二十七条の三に規定する特定事業(当該国家戦略特別区域以外の地域において行われる当該特定事業に関連する事業として財務省令で定める事業を含む。第三項及び第四項において「特定事業等」という。)に係る所得の金額として政令で定める金額を有する場合には、当該金額の百分の十八に相当する金額は、当該各対象事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
2 前項の規定は、次に掲げる規定の適用を受ける事業年度については、適用しない。
一 第四十二条の十第一項若しくは第二項又は第四十二条の十一第一項若しくは第二項の規定
二 第四十二条の十第一項又は第四十二条の十一第一項の規定に係る第五十二条の二第一項又は第四項の規定
三 第四十二条の十第一項又は第四十二条の十一第一項の規定に係る第五十二条の三第一項から第三項まで、第十一項又は第十二項の規定
四 第五十九条の三第一項又は前条第一項若しくは第二項の規定
3 対象内国法人である通算法人について次に掲げる場合に該当する場合には、当該通算法人の対象事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限る。以下この項において同じ。)の特定事業等に係る第一項に規定する所得の金額として政令で定める金額は、特定事業等欠損控除前所得金額(当該通算法人及び対象内国法人である他の通算法人(当該対象事業年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。第一号及び次項において「他の対象通算法人」という。)の特定事業等により生じた所得のみについて法人税を課するものとした場合における対象事業年度又は同日に終了する事業年度(以下この項において「対象事業年度等」という。)の法人税法第六十四条の五第一項に規定する通算前所得金額及び通算前欠損金額として政令で定める金額(以下この項及び次項においてそれぞれ「通算前所得金額」及び「通算前欠損金額」という。)を基礎として同条の規定により計算した当該通算法人の特定事業等に係る所得の金額として政令で定める金額をいう。)に相当する金額(当該金額が当該通算法人及び他の通算法人(同日において当該通算法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。第二号及び次項において「他の通算法人」という。)の当該対象事業年度等の通算前所得金額及び通算前欠損金額を基礎として同条の規定により計算した当該通算法人の所得の金額として政令で定める金額(以下この項において「欠損控除前所得金額」という。)を超える場合には、当該欠損控除前所得金額に相当する金額)とする。
一 他の対象通算法人の他の事業年度(当該通算法人の対象事業年度終了の日に終了する事業年度をいう。次号及び次項において同じ。)において特定事業等に係る通算前欠損金額が生ずる場合
二 他の通算法人の他の事業年度において通算前欠損金額が生ずる場合
4 前項の場合において、他の対象通算法人の特定事業等により生じた所得のみについて法人税を課するものとした場合における他の事業年度の通算前所得金額若しくは通算前欠損金額として政令で定める金額又は他の通算法人の他の事業年度の通算前所得金額若しくは通算前欠損金額が当初特定事業等通算前所得金額若しくは当初特定事業等通算前欠損金額又は当初通算前所得金額若しくは当初通算前欠損金額(それぞれ他の対象通算法人の他の事業年度の確定申告書等(期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)に添付された書類に当該他の対象通算法人の特定事業等により生じた所得のみについて法人税を課するものとした場合における当該他の事業年度の通算前所得金額若しくは通算前欠損金額として政令で定める金額として記載された金額又は他の通算法人の他の事業年度の確定申告書等に添付された書類に当該他の通算法人の当該他の事業年度の通算前所得金額若しくは通算前欠損金額として記載された金額をいう。以下この項において同じ。)と異なるときは、当初特定事業等通算前所得金額若しくは当初特定事業等通算前欠損金額又は当初通算前所得金額若しくは当初通算前欠損金額を当該他の対象通算法人の特定事業等により生じた所得のみについて法人税を課するものとした場合における他の事業年度の通算前所得金額若しくは通算前欠損金額として政令で定める金額又は他の通算法人の他の事業年度の通算前所得金額若しくは通算前欠損金額とみなす。
5 内国法人の第一項の規定の適用を受けた事業年度(当該内国法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限る。以下この項において「適用事業年度」という。)後の各事業年度(以下この項において「調整事業年度」という。)終了の時において、他の通算法人(当該内国法人の当該適用事業年度終了の日(以下この項において「基準日」という。)において当該内国法人との間に通算完全支配関係がある他の内国法人をいう。以下この項において同じ。)のいずれかの基準日に終了する事業年度(以下この項において「他の適用事業年度」という。)において生じた通算前欠損金額(法人税法第六十四条の五第一項に規定する通算前欠損金額をいい、同法第六十四条の六の規定によりないものとされたものを除く。以下この項及び次項において同じ。)が当該他の通算法人の当該他の適用事業年度の確定申告書等に添付された書類に通算前欠損金額として記載された金額を超える場合(その超える部分の金額(以下この項において「通算不足欠損金額」という。)のうちに事実を仮装して経理したところに基づくものがある場合に限る。以下この項において「過大申告の場合」という。)又は他の通算法人のいずれかの他の適用事業年度の確定申告書等(期限後申告書に限る。)に添付された書類に通算前欠損金額として記載された金額(以下この項において「期限後欠損金額」という。)がある場合(以下この項において「期限後欠損金額の場合」という。)において、当該適用事業年度において第一項の規定により損金の額に算入した金額のうち第一号に掲げる金額に第二号に掲げる割合を乗じて計算した金額の百分の十八に相当する金額に達するまでの金額(当該相当する金額につき当該調整事業年度前の各事業年度においてこの項の規定により益金の額に算入された金額がある場合には、その算入された金額の合計額を控除した金額。以下この項において「要加算調整額」という。)があるときは、当該要加算調整額は、当該調整事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
一 他の通算法人(過大申告の場合又は期限後欠損金額の場合に係るものに限る。次号において「事由該当通算法人」という。)に係る通算不足欠損金額又は期限後欠損金額の合計額
二 事由該当通算法人につき法人税法第六十四条の五第五項の規定を適用しないものとした場合の当該内国法人の当該適用事業年度の同項の規定を適用した同条第二項に規定する割合
6 前項の内国法人の同項に規定する調整事業年度の同項の規定の適用において、同項第一号に規定する事由該当通算法人の同項に規定する他の適用事業年度において生じた通算前欠損金額が既確定通算前欠損金額(当該調整事業年度終了の日以前に提出された当該他の適用事業年度の確定申告書等若しくは修正申告書に添付された書類又は同日以前にされた国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正に係る同法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類のうち、最も新しいものに通算前欠損金額として記載された金額をいう。以下この項において同じ。)と異なる場合には、当該既確定通算前欠損金額を当該他の適用事業年度において生じた通算前欠損金額とみなす。
7 第三項の通算法人の対象事業年度において、法人税法第六十四条の五第八項の規定の適用がある場合には、第四項の規定は、当該対象事業年度については、適用しない。この場合において、当該対象事業年度を第五項に規定する適用事業年度とする同項の内国法人の同項に規定する調整事業年度については、前二項の規定は、適用がないものとする。
8 第一項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に同項の規定により損金の額に算入される金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該確定申告書等にその損金の額に算入される金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定により損金の額に算入される金額は、当該申告に係るその損金の額に算入されるべき金額に限るものとする。
9 税務署長は、前項の記載又は添付がない確定申告書等の提出があつた場合においても、その記載又は添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の明細書の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
10 第一項の規定の適用を受けた法人の同項の規定により損金の額に算入された金額は、法人税法第六十七条第三項及び第五項の規定の適用については、これらの規定に規定する所得等の金額に含まれるものとし、第五項の規定により益金の額に算入された金額は、同条第三項及び第五項の規定の適用については、これらの規定に規定する所得等の金額に含まれないものとする。
11 第二項及び前三項に定めるもののほか、第一項又は第五項の規定の適用を受けた法人の利益積立金額の計算その他第一項又は第三項から第七項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
租税特別措置法第62条改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
法人(公共法人を除く。以下この項において同じ。)は、その使途秘匿金の支出について法人税を納める義務があるものとし、法人が平成六年四月一日以後に使途秘匿金の支出をした場合には、当該法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、法人税法第六十六条第一項から第三項まで及び第六項、第六十九条第十九項(同条第二十三項又は第二十四項において準用する場合を含む。)並びに第百四十三条第一項及び第二項の規定、第四十二条の四第八項第六号ロ及び第七号(これらの規定を第四十二条の四の二第二項又は第四十二条の五第三項第二号において準用する場合を含む。)、第四十二条の十四第一項及び第四項、第六十二条の三第一項及び第九項、第六十三条第一項、第六十七条の二第一項並びに第六十八条第一項の規定その他法人税に関する法令の規定にかかわらず、これらの規定により計算した法人税の額に、当該使途秘匿金の支出の額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
2 前項に規定する使途秘匿金の支出とは、法人がした金銭の支出(贈与、供与その他これらに類する目的のためにする金銭以外の資産の引渡しを含む。以下この条において同じ。)のうち、相当の理由がなく、その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由(以下この条において「相手方の氏名等」という。)を当該法人の帳簿書類に記載していないもの(資産の譲受けその他の取引の対価の支払としてされたもの(当該支出に係る金銭又は金銭以外の資産が当該取引の対価として相当であると認められるものに限る。)であることが明らかなものを除く。)をいう。
3 税務署長は、法人がした金銭の支出のうちにその相手方の氏名等を当該法人の帳簿書類に記載していないものがある場合においても、その記載をしていないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認めるときは、その金銭の支出を第一項に規定する使途秘匿金の支出に含めないことができる。
4 第一項の規定は、次の各号に掲げる法人の当該各号に定める事業以外の事業に係る金銭の支出については、適用しない。
一 公益法人等又は人格のない社団等(国内に本店又は主たる事務所を有するものに限る。)収益事業
二 外国法人当該外国法人が法人税法第百四十一条各号に掲げる外国法人のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める国内源泉所得(同法第百三十八条第一項第一号又は第四号に掲げるものに限る。)に係る事業(人格のない社団等にあつては、当該国内源泉所得に係る収益事業)
5 法人が金銭の支出の相手方の氏名等をその帳簿書類に記載しているかどうかの判定の時期その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
6 第一項の規定の適用がある場合における法人税法第六十七条の規定の適用については、同条第一項中「前条第一項、第二項及び第六項並びに第六十九条第十九項(外国税額の控除)(同条第二十三項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)」とあるのは「租税特別措置法第六十二条第一項(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例)」と、「これら」とあるのは「同項」と、同条第三項中「前条第一項、第二項及び第六項並びに第六十九条第十九項」とあるのは「租税特別措置法第六十二条第一項」とする。
7 第一項の規定の適用がある場合における法人税法第二編第一章(第二節を除く。)及び第三編第二章(第二節を除く。)の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 法人税法第七十二条第一項第二号に掲げる金額は、同項に規定する期間(通算子法人にあつては、同条第五項第一号に規定する期間)を一事業年度とみなして同条第一項第一号に掲げる所得の金額につき同法第二編第一章第二節(第六十七条、第六十八条第三項及び第七十条を除く。)の規定及び第一項の規定(次号から第四号までにおいて「特別税額加算規定」という。)を適用するものとした場合に計算される法人税の額とする。
二 法人税法第七十四条第一項第二号に掲げる金額は、同項第一号に掲げる所得の金額につき同法第二編第一章第二節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とする。
三 法人税法第百四十四条の四第一項第三号若しくは第四号又は第二項第二号に掲げる金額は、同条第一項又は第二項に規定する期間を一事業年度とみなして同条第一項第一号若しくは第二号又は第二項第一号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第三編第二章第二節(第百四十四条(同法第六十八条第三項の規定を準用する部分に限る。)を除く。)の規定及び特別税額加算規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とする。
四 法人税法第百四十四条の六第一項第三号若しくは第四号又は第二項第二号に掲げる金額は、同条第一項第一号若しくは第二号又は第二項第一号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第三編第二章第二節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とする。
8 前二項に定めるもののほか、第一項の規定の適用がある場合における法人税の申告又は還付に関する法人税法その他法人税に関する法令の規定及び地方法人税の申告又は還付に関する地方法人税法その他地方法人税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
9 第一項の規定は、法人がした金銭の支出について同項の規定の適用がある場合において、その相手方の氏名等に関して、国税通則法第七十四条の二(第一項第二号に係る部分に限る。)の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求をすることを妨げるものではない。
萬有製薬事件 東京高裁平成15年9月9日判決(高裁民56巻3号1頁) 百選62
1.租税特別措置法61条の4 を読む
租税特別措置法
第四節の二 交際費等の課税の特例(交際費等の損金不算入)
第六十一条の四 法人が平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(以下この条において「適用年度」という。)において支出する交際費等の額(当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額。以下この項及び次項において同じ。)が百億円以下である法人(通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の同日における資本金の額又は出資金の額が百億円を超える場合における当該通算法人を除く。)については、当該交際費等の額のうち接待飲食費の額の百分の五十に相当する金額を超える部分の金額)は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の場合において、法人(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人及び資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社を除く。)のうち当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるもの(次に掲げる法人を除く。)については、前項の交際費等の額のうち定額控除限度額(八百万円に当該適用年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額をいう。)を超える部分の金額をもつて、同項に規定する超える部分の金額とすることができる。
一 普通法人のうち当該適用年度終了の日において法人税法第六十六条第五項第二号又は第三号に掲げる法人に該当するもの二 通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人が次に掲げる法人である場合における当該通算法人イ 当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人ロ 前号に掲げる法人3 通算法人(通算子法人にあつては、当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。)に対する前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 通算子法人の適用年度は、当該通算子法人に係る通算親法人の適用年度終了の日に終了する当該通算子法人の事業年度とする。
二 前項に規定する定額控除限度額は、八百万円に当該適用年度終了の日に終了する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(第四号イにおいて「通算定額控除限度額」という。)に、イに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(第五項において「通算定額控除限度分配額」という。)とする。
イ 当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額ロ 当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額及び当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額の合計額三 前号の規定を適用する場合において、同号イ及びロの交際費等の額が同号の通算法人の同号の適用年度又は同号ロの他の通算法人の同号ロに規定する事業年度(以下この項において「通算事業年度」という。)の確定申告書等(期限後申告書を除く。)に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額(以下この号及び第五号において「当初申告交際費等の額」という。)と異なるときは、当初申告交際費等の額を前号イ及びロの交際費等の額とみなす。
四 通算事業年度のいずれかについて修正申告書の提出又は国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(次号において「更正」という。)がされる場合において、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二号の通算法人の同号の適用年度については、前号の規定は、適用しない。
イ 前号の規定を適用しないものとした場合における第二号ロに掲げる金額が通算定額控除限度額以下である場合ロ 法人税法第六十四条の五第六項の規定の適用がある場合ハ 法人税法第六十四条の五第八項の規定の適用がある場合五 通算事業年度について前号(ハに係る部分を除く。)の規定を適用して修正申告書の提出又は更正がされた後における第三号の規定の適用については、当該修正申告書又は当該更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額を当初申告交際費等の額とみなす。
4 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
5 第三項の通算法人の適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この項において「他の通算法人」という。)の同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額がある場合における当該適用年度に係る第二項の規定は、第七項の規定にかかわらず、当該交際費等の額を支出する他の通算法人の全てにつき、それぞれ同日に終了する事業年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合で、かつ、当該適用年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
6 第一項、第三項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。
第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用7 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
8 第六項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。
(1)③仮に租税特別措置法61条の4 が存在しなかったとしたら、交際費等は、法人税法22条3項により損金に算入できるだろうか。
交際費等も、事業との直接の関連がある限り費用性を有するものであり、損金の額に算入してもよいと考える。よって、租税特別措置法61 法の4の規定がなければ、法人税法22条3項により損金に算入できる。個人事業者が「交際費等」
に相当する支出をした場合、当然、必要経費算入は可能である。
支払奨励金、販売促進費、宣伝広告費は「販売費」として法人税法22条3項2号が適用される。交際費とその他の費用の区別は、支出する法人の側で取引関係の円滑な進行を図るという目的があるかどうかだけでなく、それが客観的に法人の活動の一環として認められる目的のために支出されていること、あるいはその相手方がそれによって法人から利益を受けていると認識しうる客観的な状況の元で支出されているかどうか、で判断される。
3.交際費等の意義に関する裁判例
新井商事オートオークション事件
本件オートオークションに誰でも自由に参加できたとなると、「支出の相手方が事業に関係のあるもの」という交際費の要件を満たさない。したがって、本件費用は交際費には当たらないと考えられる。そして、本件費用は販売促進費(22条3項2号)に当たると考える余地がある。接待等にあたるかは、支出の目的が、得意先との親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためのものであるかどうかという点から判断すべきである。そして、景品をえさにして夜中まで会場に引き止める行為は、販売促進目的であり、得意先との親睦の度を密にするための支出とはいえない。よって、かかる行為は接待等にあたらない。
4.交際費等からの除外規定
租税特別措置法61条の4 第6項第2 かっこ書き 上記条文参照
5.使途不明金
①使途不明金の損金不算入の根拠法令の規定
法人税法22条4項「公正妥当と認められる会計処理の基準」
②税務調査の時点では費途が明らかではなかったが、後に裁判の過程において費途が明らかになり、広告宣伝費に当たることがわかったとする。この場合、損金算入は可能か。
当初は、使途が不明な支出であったとしても、裁判の過程における立証によって、広告宣伝費であることが明らかになった場合には、その支出は費用性が認められるので、法人税法22条3項2号によって損金算入が認められる。
5.使途秘匿金
①使途秘匿金の要件
法人がした支出のうち(ⅰ)相当の理由がなく、(ⅱ)その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由を当該法人の帳簿書類に記載していないもの、である(租税特別措置法62条2項)。
②使途不明金と使途秘匿金との違い
使途不明金は損金に算入されないが、使途秘匿金は通常の法人税額に加えて、使途秘匿金の40%に相当する金額の法人税額が課されることになる、という違いがある(同62条1項)。
租税特別措置法第六十二条 (使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例)
1 法人は、その使途秘匿金の支出について法人税を納める義務があるものとし、法人が平成六年四月一日から平成二十二年三月三十一日までの間に使途秘匿金の支出をした場合…における法人税の額は、(中略)これらの規定により計算した法人税の額に、当該使途秘匿金の支出の額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
2 前項に規定する使途秘匿金の支出とは、法人がした金銭の支出(贈与、供与その他これらに類する目的のためにする金銭以外の資産の引渡しを含む。以下この条において同じ。)のうち、相当の理由がなく、その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由(以下この条において「相手方の氏名等」という。)を当該法人の帳簿書類に記載していないもの(資産の譲受けその他の取引の対価の支払としてされたもの(当該支出に係る金銭又は金銭以外の資産が当該取引の対価として相当であると認められるものに限る。)であることが明らかなものを除く。)をいう。
3 税務署長は、法人がした金銭の支出のうちにその相手方の氏名等を当該法人の帳簿書類に記載していないものがある場合においても、その記載をしていないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認めるときは、その金銭の支出を第一項に規定する使途秘匿金の支出に含めないことができる。
325.05繰越欠損金
引用条文の現行全文2条執筆時から改正 12026年8月16日時点
法人税法第57条(欠損金の繰越し)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人の各事業年度開始の日前十年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(この項の規定により当該各事業年度前の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条(欠損金の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。ただし、当該欠損金額に相当する金額が損金算入限度額(本文の規定を適用せず、かつ、第五十九条第三項及び第四項(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)並びに第六十二条の五第五項(現物分配による資産の譲渡)の規定を適用しないものとして計算した場合における当該各事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額をいう。)から当該欠損金額の生じた事業年度前の事業年度において生じた欠損金額に相当する金額で本文の規定により当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額を控除した金額を超える場合は、その超える部分の金額については、この限りでない。
2 前項の内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合又は当該内国法人との間に完全支配関係(当該内国法人による完全支配関係又は第二条第十二号の七の六(定義)に規定する相互の関係に限る。)がある他の内国法人で当該内国法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、当該適格合併に係る被合併法人又は当該他の内国法人(以下この項において「被合併法人等」という。)の当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した各事業年度(以下この項、次項及び第七項第一号において「前十年内事業年度」という。)において生じた欠損金額(当該被合併法人等が当該欠損金額(この項の規定により当該被合併法人等の欠損金額とみなされたものを含み、第四項から第六項まで、第八項若しくは第九項又は第五十八条第一項(青色申告書を提出しなかつた事業年度の欠損金の特例)の規定によりないものとされたものを除く。次項において同じ。)の生じた前十年内事業年度について確定申告書を提出していることその他の政令で定める要件を満たしている場合における当該欠損金額に限るものとし、前項の規定により当該被合併法人等の前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。以下この項において「未処理欠損金額」という。)があるときは、当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度又は当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度(以下この項において「合併等事業年度」という。)以後の各事業年度における前項の規定の適用については、当該前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額(当該他の内国法人に株主等が二以上ある場合には、当該未処理欠損金額を当該他の内国法人の発行済株式又は出資(当該他の内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額で除し、これに当該内国法人の有する当該他の内国法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額)は、それぞれ当該未処理欠損金額の生じた前十年内事業年度開始の日の属する当該内国法人の各事業年度(当該内国法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の当該前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度)において生じた欠損金額とみなす。
3 前項の適格合併に係る被合併法人(同項の内国法人(当該内国法人が当該適格合併により設立された法人である場合にあつては、当該適格合併に係る他の被合併法人。以下この項において同じ。)との間に支配関係があるものに限る。)又は前項の残余財産が確定した他の内国法人(以下この項において「被合併法人等」という。)の前項に規定する未処理欠損金額には、当該適格合併が共同で事業を行うための合併として政令で定めるものに該当する場合又は当該被合併法人等と同項の内国法人との間に当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度開始の日(当該適格合併が法人を設立するものである場合には、当該適格合併の日)の五年前の日若しくは当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の五年前の日、当該被合併法人等の設立の日若しくは当該内国法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して支配関係がある場合として政令で定める場合のいずれにも該当しない場合には、次に掲げる欠損金額を含まないものとする。
一 当該被合併法人等の支配関係事業年度(当該被合併法人等が当該内国法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額(当該被合併法人等において第一項の規定により前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)
二 当該被合併法人等の支配関係事業年度以後の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十二条の七第二項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額
4 第一項の内国法人と支配関係法人(当該内国法人との間に支配関係がある法人をいう。以下この項において同じ。)との間で当該内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする適格合併若しくは適格合併に該当しない合併で第六十一条の十一第一項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用があるもの、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項において「適格組織再編成等」という。)が行われた場合(当該内国法人の当該適格組織再編成等の日(当該適格組織再編成等が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日の翌日)の属する事業年度(以下この項において「組織再編成事業年度」という。)開始の日の五年前の日、当該内国法人の設立の日又は当該支配関係法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して当該内国法人と当該支配関係法人との間に支配関係がある場合として政令で定める場合を除く。)において、当該適格組織再編成等が共同で事業を行うための適格組織再編成等として政令で定めるものに該当しないときは、当該内国法人の当該組織再編成事業年度以後の各事業年度における第一項の規定の適用については、当該内国法人の同項に規定する欠損金額(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものを含み、この項から第六項まで、第八項若しくは第九項又は第五十八条第一項の規定によりないものとされたものを除く。以下この項及び次項において同じ。)のうち次に掲げる欠損金額は、ないものとする。
一 当該内国法人の支配関係事業年度(当該内国法人が当該支配関係法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で前十年内事業年度(当該組織再編成事業年度開始の日前十年以内に開始した各事業年度をいう。以下この項において同じ。)に該当する事業年度において生じた欠損金額(第一項の規定により前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)
二 当該内国法人の支配関係事業年度以後の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十二条の七第二項に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額
5 第一項の内国法人が第五十九条第一項、第二項又は第四項の規定の適用を受ける場合には、当該内国法人のこれらの規定に規定する適用年度(以下この項において「適用年度」という。)以後の各事業年度(同条第四項の規定の適用を受ける場合にあつては、適用年度後の各事業年度)における第一項の規定の適用については、同項に規定する欠損金額のうち同条第一項、第二項又は第四項の規定により適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額から成る部分の金額として政令で定める金額は、ないものとする。
6 通算法人が第六十四条の十一第一項各号(通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益)又は第六十四条の十二第一項各号(通算制度への加入に伴う資産の時価評価損益)に掲げる法人(次項第一号及び第八項において「時価評価除外法人」という。)に該当しない場合(当該通算法人が通算子法人である場合において、当該通算法人について第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認(以下この条において「通算承認」という。)の効力が生じた日から同日の属する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日までの間に第六十四条の十第五項又は第六項(通算制度の取りやめ等)の規定により当該通算承認が効力を失つたとき(当該通算法人を被合併法人とする合併で他の通算法人を合併法人とするものが行われたこと又は当該通算法人の残余財産が確定したことに基因してその効力を失つた場合を除く。)を除く。)には、当該通算法人(当該通算法人であつた内国法人を含む。)の通算承認の効力が生じた日以後に開始する各事業年度における第一項の規定の適用については、同日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額(同日前に開始した各事業年度において第二項の規定により当該各事業年度前の事業年度において生じた欠損金額とみなされたものを含む。)は、ないものとする。
7 通算法人を合併法人とする合併で当該通算法人との間に通算完全支配関係(これに準ずる関係として政令で定める関係を含む。以下この項において同じ。)がある他の内国法人を被合併法人とするものが行われた場合又は通算法人との間に通算完全支配関係(当該通算法人による完全支配関係又は第二条第十二号の七の六に規定する相互の関係に限る。)がある他の内国法人で当該通算法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合には、次に掲げる欠損金額については、第二項の規定は、適用しない。
一 これらの他の内国法人が時価評価除外法人に該当しない場合(当該合併(適格合併に限る。)の日の前日又は当該残余財産の確定した日がこれらの他の内国法人が通算親法人との間に通算完全支配関係を有することとなつた日の前日から当該有することとなつた日の属する当該通算親法人の事業年度終了の日までの期間内の日であることその他の政令で定める要件に該当する場合に限る。)におけるこれらの他の内国法人の前十年内事業年度において生じた欠損金額(第二項の規定によりこれらの他の内国法人の欠損金額とみなされたものを含む。)
二 これらの他の内国法人の第六十四条の八(通算法人の合併等があつた場合の欠損金の損金算入)の規定の適用がある欠損金額
8 通算法人で時価評価除外法人に該当するものが通算承認の効力が生じた日の五年前の日又は当該通算法人の設立の日のうちいずれか遅い日から当該通算承認の効力が生じた日まで継続して当該通算法人に係る通算親法人(当該通算法人が通算親法人である場合には、他の通算法人のいずれか)との間に支配関係がある場合として政令で定める場合に該当しない場合(当該通算法人が通算子法人である場合において、同日から同日の属する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日までの間に第六十四条の十第五項又は第六項の規定により当該通算承認が効力を失つたとき(当該通算法人を被合併法人とする合併で他の通算法人を合併法人とするものが行われたこと又は当該通算法人の残余財産が確定したことに基因してその効力を失つた場合を除く。)を除く。)で、かつ、当該通算法人について通算承認の効力が生じた後に当該通算法人と他の通算法人とが共同で事業を行う場合として政令で定める場合に該当しない場合において、当該通算法人が当該通算法人に係る通算親法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日(当該通算法人が通算親法人である場合には、他の通算法人のうち当該通算法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日が最も早いものとの間に最後に支配関係を有することとなつた日。第一号において「支配関係発生日」という。)以後に新たな事業を開始したときは、当該通算法人(当該通算法人であつた内国法人を含む。)の当該通算承認の効力が生じた日以後に開始する各事業年度(同日の属する事業年度終了の日後に当該事業を開始した場合には、その開始した日以後に終了する各事業年度)における第一項の規定の適用については、次に掲げる欠損金額は、ないものとする。
一 当該通算法人の支配関係事業年度(支配関係発生日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で通算前十年内事業年度(当該通算承認の効力が生じた日前十年以内に開始した各事業年度をいう。以下この号及び次号において同じ。)に該当する事業年度において生じた欠損金額(第二項の規定により当該通算法人の欠損金額とみなされたものを含み、第一項の規定により通算前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの、第四項から第六項まで、この項若しくは次項又は第五十八条第一項の規定によりないものとされたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)
二 当該通算法人の支配関係事業年度以後の各事業年度で通算前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十四条の十四第二項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額
9 通算法人について、第六十四条の十第五項の規定により通算承認が効力を失う場合には、その効力を失う日以後に開始する当該通算法人であつた内国法人の各事業年度における第一項の規定の適用については、同日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額(同日前に開始した各事業年度において第二項の規定により当該各事業年度前の事業年度において生じた欠損金額とみなされたものを含む。)は、ないものとする。
10 第一項の規定は、同項の内国法人が欠損金額(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものを除く。)の生じた事業年度について確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものにつき第一項の規定を適用する場合にあつては、第二項の合併等事業年度について確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合)であつて欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を財務省令で定めるところにより保存している場合に限り、適用する。
11 次の各号に掲げる内国法人の当該各号に定める各事業年度の所得に係る第一項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「所得の金額の百分の五十に相当する金額」とあるのは、「所得の金額」とする。
一 第一項の各事業年度終了の時において次に掲げる法人(次号及び第三号において「中小法人等」という。)に該当する内国法人当該各事業年度
イ普通法人(投資法人、特定目的会社及び第四条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人を除く。第三号において同じ。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの(第六十六条第五項第二号又は第三号(各事業年度の所得に対する法人税の税率)に掲げる法人に該当するもの及び同条第六項に規定する大通算法人を除く。)又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社及び同項に規定する大通算法人を除く。)
ロ公益法人等又は協同組合等
ハ人格のない社団等
二 第一項の各事業年度が内国法人について生じた次に掲げる事実の区分に応じそれぞれ次に定める事業年度である場合における当該内国法人(当該各事業年度終了の時において中小法人等に該当するものを除く。)当該各事業年度(当該事実が生じた日以後に当該内国法人の発行する株式が金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所に上場されたことその他の当該内国法人の事業の再生が図られたと認められる事由として政令で定める事由のいずれかが生じた場合には、その上場された日その他の当該事由が生じた日として政令で定める日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)
イ更生手続開始の決定があつたこと当該更生手続開始の決定の日から当該更生手続開始の決定に係る更生計画認可の決定の日以後七年を経過する日までの期間(同日前において当該更生手続開始の決定を取り消す決定の確定その他の政令で定める事実が生じた場合には、当該更生手続開始の決定の日から当該事実が生じた日までの期間)内の日の属する事業年度
ロ再生手続開始の決定があつたこと当該再生手続開始の決定の日から当該再生手続開始の決定に係る再生計画認可の決定の日以後七年を経過する日までの期間(同日前において当該再生手続開始の決定を取り消す決定の確定その他の政令で定める事実が生じた場合には、当該再生手続開始の決定の日から当該事実が生じた日までの期間)内の日の属する事業年度
ハ第五十九条第二項に規定する政令で定める事実(ロに掲げるものを除く。)当該事実が生じた日から同日の翌日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度
ニイからハまでに掲げる事実に準ずるものとして政令で定める事実当該事実が生じた日から同日の翌日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度
三 第一項の各事業年度が内国法人の設立の日として政令で定める日から同日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度である場合における当該内国法人(普通法人に限り、当該各事業年度終了の時において中小法人等又は第六十六条第五項第二号若しくは第三号に掲げる法人に該当するもの及び当該内国法人が通算法人である場合において他の通算法人のいずれかの当該各事業年度終了の日の属する事業年度が当該他の通算法人の設立の日として政令で定める日から同日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度でないときにおける当該内国法人並びに株式移転完全親法人を除く。)当該各事業年度(当該内国法人の発行する株式が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されたことその他の政令で定める事由のいずれかが生じた場合には、その上場された日その他の当該事由が生じた日として政令で定める日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)
12 前項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同号に規定する事実が生じたことを証する書類の添付がある場合に限り、適用する。
13 税務署長は、前項の書類の添付がない確定申告書、修正申告書又は更正請求書の提出があつた場合においても、その添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第十一項(第二号に係る部分に限る。)の規定を適用することができる。
14 第二項の合併法人が適格合併により設立された法人である場合における第一項の規定の適用その他同項から第九項まで及び第十一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内この法律の施行地をいう。
二 国外この法律の施行地外の地域をいう。
三 内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
四 外国法人内国法人以外の法人をいう。
五 公共法人別表第一に掲げる法人をいう。
六 公益法人等別表第二に掲げる法人をいう。
七 協同組合等別表第三に掲げる法人をいう。
八 人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
九 普通法人第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。
九の二 非営利型法人一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。
イその行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
ロその会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの
十 同族会社会社(投資法人を含む。以下この号において同じ。)の株主等(その会社が自己の株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下同じ。)又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。
十一 被合併法人合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。
十二 合併法人合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。
十二の二 分割法人分割によりその有する資産又は負債の移転を行つた法人をいう。
十二の三 分割承継法人分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた法人をいう。
十二の四 現物出資法人現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人をいう。
十二の五 被現物出資法人現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人をいう。
十二の五の二 現物分配法人現物分配(法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。以下この条において同じ。)によりその有する資産の移転を行つた法人をいう。
イ剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、分割型分割によるものを除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)
ロ解散による残余財産の分配
ハ第二十四条第一項第五号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由
十二の五の三 被現物分配法人現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた法人をいう。
十二の六 株式交換完全子法人株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の二 株式交換等完全子法人株式交換完全子法人及び株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六に規定する対象法人をいう。
十二の六の三 株式交換完全親法人株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人をいう。
十二の六の四 株式交換等完全親法人株式交換完全親法人並びに株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六イ及びロに規定する最大株主等である法人並びに同号ハの一の株主等である法人をいう。
十二の六の五 株式移転完全子法人株式移転によりその株主の有する株式を当該株式移転により設立された法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。
十二の六の六 株式移転完全親法人株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得した当該株式移転により設立された法人をいう。
十二の六の七 通算親法人第六十四条の九第一項(通算承認)に規定する親法人であつて同項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七 通算子法人第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人であつて同条第一項の規定による承認を受けたものをいう。
十二の七の二 通算法人通算親法人及び通算子法人をいう。
十二の七の三 投資法人投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。
十二の七の四 特定目的会社資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する特定目的会社をいう。
十二の七の五 支配関係一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の六 完全支配関係一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
十二の七の七 通算完全支配関係通算親法人と通算子法人との間の完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この号において同じ。)又は通算親法人との間に完全支配関係がある通算子法人相互の関係をいう。
十二の八 適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人又は合併親法人(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産、合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産及び合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数又は総額の三分の二以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併
ロその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(2)当該合併に係る被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を行うための合併として政令で定めるもの
十二の九 分割型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によつて交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割
ロ分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割
十二の十 分社型分割次に掲げる分割をいう。
イ分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。)
ロ無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割
十二の十一 適格分割次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
イその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割
ロその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。
(2)当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの
ニその分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの
十二の十二 適格分割型分割分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十三 適格分社型分割分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
十二の十四 適格現物出資次のいずれかに該当する現物出資(被現物出資法人である外国法人に国内にある不動産その他の政令で定める資産(以下この号において「国内不動産等」という。)、国内事業所等(内国法人にあつては第六十九条第四項第一号(外国税額の控除)に規定する本店等をいい、外国法人にあつては恒久的施設をいう。)を通じて行う事業に係る資産(外国法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式を有する場合におけるその外国法人の株式を除く。)若しくは負債(以下この号において「国内資産等」という。)又は内国法人の工業所有権、著作権その他の政令で定める資産(以下この号において「無形資産等」という。)の移転を行うもの(当該国内不動産等、国内資産等及び無形資産等の全部が当該移転により当該被現物出資法人である外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものとして政令で定めるものを除く。)、外国法人が内国法人又は他の外国法人に第百三十八条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する本店等(以下この号において「本店等」という。)を通じて行う事業に係る資産(国内不動産等を除く。)又は負債(以下この号において「外国法人国外資産等」という。)の移転を行うもの(当該他の外国法人に外国法人国外資産等の移転を行うものにあつては、当該外国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産又は負債となるものに限る。)及び内国法人が外国法人に第六十九条第四項第一号に規定する国外事業所等を通じて行う事業に係る資産又は負債(以下この号において「内国法人国外資産等」という。)の移転を行うもので当該内国法人国外資産等の全部又は一部が当該移転により当該外国法人の本店等を通じて行う事業に係る資産又は負債となるもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるものに限る。)並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限る。)をいう。
イその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資
ロその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該現物出資により現物出資事業(現物出資法人の現物出資前に行う事業のうち、当該現物出資により被現物出資法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該被現物出資法人に移転していること。
(2)当該現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該現物出資後に当該被現物出資法人の業務(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
(3)当該現物出資に係る現物出資事業が当該現物出資後に当該被現物出資法人(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人(当該現物出資が法人を設立する現物出資である場合にあつては、当該現物出資法人と他の現物出資法人)とが共同で事業を行うための現物出資として政令で定めるもの
十二の十五 適格現物分配内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。
十二の十五の二 株式分配現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限る。)のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(次号において「完全子法人」という。)の当該発行済株式等の全部が移転するもの(その現物分配により当該発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合における当該現物分配を除く。)をいう。
十二の十五の三 適格株式分配完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として政令で定めるもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
十二の十六 株式交換等株式交換及びイからハまでに掲げる行為により対象法人(それぞれイからハまでに規定する法人をいう。)がそれぞれイ若しくはロに規定する最大株主等である法人又はハの一の株主等である法人との間にこれらの法人による完全支配関係を有することとなることをいう。
イ全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(イにおいて「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合の当該取得決議
ロ株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの
ハ株式売渡請求(法人の一の株主等が当該法人の承認を得て当該法人の他の株主等(当該法人及び当該一の株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の全てに対して法令(外国の法令を含む。ハにおいて同じ。)の規定に基づいて行う当該法人の株式の全部を売り渡すことの請求をいう。)に係る当該承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等(当該一の株主等又は当該一の株主等との間に完全支配関係がある者が有するものを除く。)の全部が当該一の株主等に取得されることとなる場合の当該承認
十二の十七 適格株式交換等次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換等完全親法人又は株式交換完全支配親法人(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産、株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産、株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式(当該株式交換完全子法人が有する自己の株式を除く。)の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産、前号イの取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産及び同号ハの取得の対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロその株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式交換等後に行われる適格合併又は当該株式交換等完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換として政令で定めるもの
十二の十八 適格株式移転次のいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イその株式移転に係る株式移転完全子法人と当該株式移転に係る他の株式移転完全子法人(以下この号において「他の株式移転完全子法人」という。)との間に同一の者による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転で政令で定めるもの
ロその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
(1)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式移転後に行われる適格合併又は当該株式移転完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。
(2)当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該株式移転完全子法人(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式移転後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
ハその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人とが共同で事業を行うための株式移転として政令で定めるもの
十二の十九 恒久的施設次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
十三 収益事業販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。
十四 株主等株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
十五 役員法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。
十六 資本金等の額法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。
十七 削除
十八 利益積立金額法人の所得の金額で留保している金額として政令で定める金額をいう。
十九 欠損金額各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十 棚卸資産商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。
二十一 有価証券金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式又は出資及び第六十一条の五第一項(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。
二十二 固定資産土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
二十三 減価償却資産建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十四 繰延資産法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十五 損金経理法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。
二十六 合同運用信託信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。次号及び第二十九号ロにおいて同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
二十七 証券投資信託投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
二十八 公社債投資信託証券投資信託のうち、その信託財産を公債又は社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
二十九 集団投資信託次に掲げる信託をいう。
イ合同運用信託
ロ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託
(1)投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託
(2)その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第一項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第八項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの
ハ特定受益証券発行信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)
(1)信託事務の実施につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人((1)において「承認受託者」という。)が引き受けたものであること(その計算期間開始の日の前日までに、当該承認受託者(当該受益証券発行信託の受託者に就任したことによりその信託事務の引継ぎを受けた承認受託者を含む。)がその承認を取り消された場合及び当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合を除く。)。
(2)各計算期間終了の時における未分配利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のその時における元本の総額に対する割合((3)において「利益留保割合」という。)が政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。
(3)各計算期間開始の時において、その時までに到来した利益留保割合の算定の時期として政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(2)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。
(4)その計算期間が一年を超えないこと。
(5)受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)が存しない信託に該当したことがないこと。
二十九の二 法人課税信託次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する公益信託等を除く。)をいう。
イ受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託
ロ第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託
ハ法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの
(1)当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。
(2)その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。
(3)その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。
ニ投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託
ホ資産の流動化に関する法律第二条第十三項に規定する特定目的信託
三十 中間申告書第七十一条第一項(中間申告)又は第百四十四条の三第一項若しくは第二項(中間申告)の規定による申告書をいう。
三十一 確定申告書第七十四条第一項(確定申告)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項(確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の二 国際最低課税額確定申告書第八十二条の六第一項(国際最低課税額に係る確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の三 国際最低課税残余額確定申告書第八十二条の十四第一項(国際最低課税残余額に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十一の四 国内最低課税額確定申告書第八十二条の二十二第一項(国内最低課税額に係る確定申告)(第百四十五条の九(申告及び納付等)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十二 退職年金等積立金中間申告書第八十八条(退職年金等積立金に係る中間申告)(第百四十五条の十三(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十三 退職年金等積立金確定申告書第八十九条(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の十三において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十四 期限後申告書国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十五 修正申告書国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
三十六 青色申告書第百二十一条(青色申告)(第百四十六条第一項(青色申告)において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する第三十号、第三十一号、第三十二号及び第三十三号に掲げる申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書をいう。
三十七 更正請求書国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
三十八 中間納付額第七十六条(中間申告による納付)又は第百四十四条の九(中間申告による納付)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)をいう。
三十九 更正国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十 決定この編、次編第一章第一節(課税標準及びその計算)、第八十条第四項(欠損金の繰戻しによる還付)、第百三十三条(更正等による所得税額等の還付)、第百三十四条(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)、第百三十五条第三項第三号及び第四項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、第百四十七条の三(更正等による所得税額等の還付)並びに第百四十七条の四(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十一 附帯税国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十二 充当国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十三 還付加算金国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
四十四 地方税地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。
行田電線株式会社事件 最高裁昭和43年5月2日判決(民集22巻5号1067頁)
2.法人税法57条1項本文を読む
法人税法
(欠損金の繰越し)
第五十七条 内国法人の各事業年度開始の日前十年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(この項の規定により当該各事業年度前の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条(欠損金の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。ただし、当該欠損金額に相当する金額が損金算入限度額(本文の規定を適用せず、かつ、第五十九条第三項及び第四項(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)並びに第六十二条の五第五項(現物分配による資産の譲渡)の規定を適用しないものとして計算した場合における当該各事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額をいう。)から当該欠損金額の生じた事業年度前の事業年度において生じた欠損金額に相当する金額で本文の規定により当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額を控除した金額を超える場合は、その超える部分の金額については、この限りでない。
2 前項の内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合又は当該内国法人との間に完全支配関係(当該内国法人による完全支配関係又は第二条第十二号の七の六(定義)に規定する相互の関係に限る。)がある他の内国法人で当該内国法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、当該適格合併に係る被合併法人又は当該他の内国法人(以下この項において「被合併法人等」という。)の当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した各事業年度(以下この項、次項及び第七項第一号において「前十年内事業年度」という。)において生じた欠損金額(当該被合併法人等が当該欠損金額(この項の規定により当該被合併法人等の欠損金額とみなされたものを含み、第四項から第六項まで、第八項若しくは第九項又は第五十八条第一項(青色申告書を提出しなかつた事業年度の欠損金の特例)の規定によりないものとされたものを除く。次項において同じ。)の生じた前十年内事業年度について確定申告書を提出していることその他の政令で定める要件を満たしている場合における当該欠損金額に限るものとし、前項の規定により当該被合併法人等の前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。以下この項において「未処理欠損金額」という。)があるときは、当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度又は当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度(以下この項において「合併等事業年度」という。)以後の各事業年度における前項の規定の適用については、当該前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額(当該他の内国法人に株主等が二以上ある場合には、当該未処理欠損金額を当該他の内国法人の発行済株式又は出資(当該他の内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額で除し、これに当該内国法人の有する当該他の内国法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額)は、それぞれ当該未処理欠損金額の生じた前十年内事業年度開始の日の属する当該内国法人の各事業年度(当該内国法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の当該前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度)において生じた欠損金額とみなす。
3 前項の適格合併に係る被合併法人(同項の内国法人(当該内国法人が当該適格合併により設立された法人である場合にあつては、当該適格合併に係る他の被合併法人。以下この項において同じ。)との間に支配関係があるものに限る。)又は前項の残余財産が確定した他の内国法人(以下この項において「被合併法人等」という。)の前項に規定する未処理欠損金額には、当該適格合併が共同で事業を行うための合併として政令で定めるものに該当する場合又は当該被合併法人等と同項の内国法人との間に当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度開始の日(当該適格合併が法人を設立するものである場合には、当該適格合併の日)の五年前の日若しくは当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の五年前の日、当該被合併法人等の設立の日若しくは当該内国法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して支配関係がある場合として政令で定める場合のいずれにも該当しない場合には、次に掲げる欠損金額を含まないものとする。
一 当該被合併法人等の支配関係事業年度(当該被合併法人等が当該内国法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額(当該被合併法人等において第一項の規定により前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)
二 当該被合併法人等の支配関係事業年度以後の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十二条の七第二項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額4 第一項の内国法人と支配関係法人(当該内国法人との間に支配関係がある法人をいう。以下この項において同じ。)との間で当該内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする適格合併若しくは適格合併に該当しない合併で第六十一条の十一第一項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用があるもの、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項において「適格組織再編成等」という。)が行われた場合(当該内国法人の当該適格組織再編成等の日(当該適格組織再編成等が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日の翌日)の属する事業年度(以下この項において「組織再編成事業年度」という。)開始の日の五年前の日、当該内国法人の設立の日又は当該支配関係法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して当該内国法人と当該支配関係法人との間に支配関係がある場合として政令で定める場合を除く。)において、当該適格組織再編成等が共同で事業を行うための適格組織再編成等として政令で定めるものに該当しないときは、当該内国法人の当該組織再編成事業年度以後の各事業年度における第一項の規定の適用については、当該内国法人の同項に規定する欠損金額(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものを含み、この項から第六項まで、第八項若しくは第九項又は第五十八条第一項の規定によりないものとされたものを除く。以下この項及び次項において同じ。)のうち次に掲げる欠損金額は、ないものとする。
一 当該内国法人の支配関係事業年度(当該内国法人が当該支配関係法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で前十年内事業年度(当該組織再編成事業年度開始の日前十年以内に開始した各事業年度をいう。以下この項において同じ。)に該当する事業年度において生じた欠損金額(第一項の規定により前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)
二 当該内国法人の支配関係事業年度以後の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十二条の七第二項に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額5 第一項の内国法人が第五十九条第一項、第二項又は第四項の規定の適用を受ける場合には、当該内国法人のこれらの規定に規定する適用年度(以下この項において「適用年度」という。)以後の各事業年度(同条第四項の規定の適用を受ける場合にあつては、適用年度後の各事業年度)における第一項の規定の適用については、同項に規定する欠損金額のうち同条第一項、第二項又は第四項の規定により適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額から成る部分の金額として政令で定める金額は、ないものとする。
6 通算法人が第六十四条の十一第一項各号(通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益)又は第六十四条の十二第一項各号(通算制度への加入に伴う資産の時価評価損益)に掲げる法人(次項第一号及び第八項において「時価評価除外法人」という。)に該当しない場合(当該通算法人が通算子法人である場合において、当該通算法人について第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認(以下この条において「通算承認」という。)の効力が生じた日から同日の属する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日までの間に第六十四条の十第五項又は第六項(通算制度の取りやめ等)の規定により当該通算承認が効力を失つたとき(当該通算法人を被合併法人とする合併で他の通算法人を合併法人とするものが行われたこと又は当該通算法人の残余財産が確定したことに基因してその効力を失つた場合を除く。)を除く。)には、当該通算法人(当該通算法人であつた内国法人を含む。)の通算承認の効力が生じた日以後に開始する各事業年度における第一項の規定の適用については、同日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額(同日前に開始した各事業年度において第二項の規定により当該各事業年度前の事業年度において生じた欠損金額とみなされたものを含む。)は、ないものとする。
7 通算法人を合併法人とする合併で当該通算法人との間に通算完全支配関係(これに準ずる関係として政令で定める関係を含む。以下この項において同じ。)がある他の内国法人を被合併法人とするものが行われた場合又は通算法人との間に通算完全支配関係(当該通算法人による完全支配関係又は第二条第十二号の七の六に規定する相互の関係に限る。)がある他の内国法人で当該通算法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合には、次に掲げる欠損金額については、第二項の規定は、適用しない。
一 これらの他の内国法人が時価評価除外法人に該当しない場合(当該合併(適格合併に限る。)の日の前日又は当該残余財産の確定した日がこれらの他の内国法人が通算親法人との間に通算完全支配関係を有することとなつた日の前日から当該有することとなつた日の属する当該通算親法人の事業年度終了の日までの期間内の日であることその他の政令で定める要件に該当する場合に限る。)におけるこれらの他の内国法人の前十年内事業年度において生じた欠損金額(第二項の規定によりこれらの他の内国法人の欠損金額とみなされたものを含む。)
二 これらの他の内国法人の第六十四条の八(通算法人の合併等があつた場合の欠損金の損金算入)の規定の適用がある欠損金額8 通算法人で時価評価除外法人に該当するものが通算承認の効力が生じた日の五年前の日又は当該通算法人の設立の日のうちいずれか遅い日から当該通算承認の効力が生じた日まで継続して当該通算法人に係る通算親法人(当該通算法人が通算親法人である場合には、他の通算法人のいずれか)との間に支配関係がある場合として政令で定める場合に該当しない場合(当該通算法人が通算子法人である場合において、同日から同日の属する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日までの間に第六十四条の十第五項又は第六項の規定により当該通算承認が効力を失つたとき(当該通算法人を被合併法人とする合併で他の通算法人を合併法人とするものが行われたこと又は当該通算法人の残余財産が確定したことに基因してその効力を失つた場合を除く。)を除く。)で、かつ、当該通算法人について通算承認の効力が生じた後に当該通算法人と他の通算法人とが共同で事業を行う場合として政令で定める場合に該当しない場合において、当該通算法人が当該通算法人に係る通算親法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日(当該通算法人が通算親法人である場合には、他の通算法人のうち当該通算法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日が最も早いものとの間に最後に支配関係を有することとなつた日。第一号において「支配関係発生日」という。)以後に新たな事業を開始したときは、当該通算法人(当該通算法人であつた内国法人を含む。)の当該通算承認の効力が生じた日以後に開始する各事業年度(同日の属する事業年度終了の日後に当該事業を開始した場合には、その開始した日以後に終了する各事業年度)における第一項の規定の適用については、次に掲げる欠損金額は、ないものとする。
一 当該通算法人の支配関係事業年度(支配関係発生日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で通算前十年内事業年度(当該通算承認の効力が生じた日前十年以内に開始した各事業年度をいう。以下この号及び次号において同じ。)に該当する事業年度において生じた欠損金額(第二項の規定により当該通算法人の欠損金額とみなされたものを含み、第一項の規定により通算前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの、第四項から第六項まで、この項若しくは次項又は第五十八条第一項の規定によりないものとされたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)
二 当該通算法人の支配関係事業年度以後の各事業年度で通算前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十四条の十四第二項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額9 通算法人について、第六十四条の十第五項の規定により通算承認が効力を失う場合には、その効力を失う日以後に開始する当該通算法人であつた内国法人の各事業年度における第一項の規定の適用については、同日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額(同日前に開始した各事業年度において第二項の規定により当該各事業年度前の事業年度において生じた欠損金額とみなされたものを含む。)は、ないものとする。
10 第一項の規定は、同項の内国法人が欠損金額(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものを除く。)の生じた事業年度について確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものにつき第一項の規定を適用する場合にあつては、第二項の合併等事業年度について確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合)であつて欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を財務省令で定めるところにより保存している場合に限り、適用する。
11 次の各号に掲げる内国法人の当該各号に定める各事業年度の所得に係る第一項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「所得の金額の百分の五十に相当する金額」とあるのは、「所得の金額」とする。
一 第一項の各事業年度終了の時において次に掲げる法人(次号及び第三号において「中小法人等」という。)に該当する内国法人 当該各事業年度イ 普通法人(投資法人、特定目的会社及び第四条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人を除く。第三号において同じ。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの(第六十六条第五項第二号又は第三号(各事業年度の所得に対する法人税の税率)に掲げる法人に該当するもの及び同条第六項に規定する大通算法人を除く。)又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社及び同項に規定する大通算法人を除く。)
ロ 公益法人等又は協同組合等ハ 人格のない社団等二 第一項の各事業年度が内国法人について生じた次に掲げる事実の区分に応じそれぞれ次に定める事業年度である場合における当該内国法人(当該各事業年度終了の時において中小法人等に該当するものを除く。) 当該各事業年度(当該事実が生じた日以後に当該内国法人の発行する株式が金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所に上場されたことその他の当該内国法人の事業の再生が図られたと認められる事由として政令で定める事由のいずれかが生じた場合には、その上場された日その他の当該事由が生じた日として政令で定める日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)
イ 更生手続開始の決定があつたこと 当該更生手続開始の決定の日から当該更生手続開始の決定に係る更生計画認可の決定の日以後七年を経過する日までの期間(同日前において当該更生手続開始の決定を取り消す決定の確定その他の政令で定める事実が生じた場合には、当該更生手続開始の決定の日から当該事実が生じた日までの期間)内の日の属する事業年度ロ 再生手続開始の決定があつたこと 当該再生手続開始の決定の日から当該再生手続開始の決定に係る再生計画認可の決定の日以後七年を経過する日までの期間(同日前において当該再生手続開始の決定を取り消す決定の確定その他の政令で定める事実が生じた場合には、当該再生手続開始の決定の日から当該事実が生じた日までの期間)内の日の属する事業年度ハ 第五十九条第二項に規定する政令で定める事実(ロに掲げるものを除く。) 当該事実が生じた日から同日の翌日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度ニ イからハまでに掲げる事実に準ずるものとして政令で定める事実 当該事実が生じた日から同日の翌日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度三 第一項の各事業年度が内国法人の設立の日として政令で定める日から同日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度である場合における当該内国法人(普通法人に限り、当該各事業年度終了の時において中小法人等又は第六十六条第五項第二号若しくは第三号に掲げる法人に該当するもの及び当該内国法人が通算法人である場合において他の通算法人のいずれかの当該各事業年度終了の日の属する事業年度が当該他の通算法人の設立の日として政令で定める日から同日以後七年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度でないときにおける当該内国法人並びに株式移転完全親法人を除く。) 当該各事業年度(当該内国法人の発行する株式が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されたことその他の政令で定める事由のいずれかが生じた場合には、その上場された日その他の当該事由が生じた日として政令で定める日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)
12 前項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同号に規定する事実が生じたことを証する書類の添付がある場合に限り、適用する。
13 税務署長は、前項の書類の添付がない確定申告書、修正申告書又は更正請求書の提出があつた場合においても、その添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第十一項(第二号に係る部分に限る。)の規定を適用することができる。
14 第二項の合併法人が適格合併により設立された法人である場合における第一項の規定の適用その他同項から第九項まで及び第十一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
①法人税法57条1項にいう「欠損金額」
各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう(法人税法2条19号)。
②法人税法上「欠損金額」を生ずることと、破産手続開始の原因(破産法15条、16条)を比較せよ。
法人の破産手続開始原因は債務超過と支払不能である。欠損金額を有していてもその事業年度に損金のほうが多いだけであり、必ずしも債務超過であるとはいえない。欠損金が積み重なって多額となり、資本金と法定準備金以上になると債務超過であり、そうなれば破産手続開始決定を受けることができる。
③内国法人は過去何年に遡って欠損金の繰越控除を利用できるか
9年(法人税法57条1項)
④1項本文が適用されるとどのような効果が生じるか。1項ただし書きはこれに対していかなる制限を掛けているか。
過去9年以内に生じた欠損金額に相当する金額を各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる(本文)。ただし、その上限が欠損金額の80%までとなっている(ただし書き)。
⑤繰越控除する欠損金額は、その事業年度の所得金額を限度とすることを意味している。
この規定がないと過去の欠損金が新たに欠損金となってしまい、7年の時間制限をかけた意味を失ってしまう。
⑥1項本文のかっこ書きは何のために存在するか
かっこ書きは既に欠損金の繰越控除として損金に算入されたもの、欠損金の繰り戻し還付の対象となったものを除いており、二重に欠損金を控除するのを防ぐ趣旨である。
※その他
・1項ただし書きのかっこ書きは何のために存在するのか
58条が青色申告者でない者の災害による欠損金の繰越しを定めており、それとの調整規定である。二重控除を防ぐ趣旨。
第3章 法人税額の計算
330.02税額控除
引用条文の現行全文1条2026年8月16日時点
法人税法第68条(所得税額の控除)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
内国法人が各事業年度において所得税法第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に規定する利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金(次項において「利子及び配当等」という。)の支払を受ける場合には、これらにつき同法の規定により課される所得税の額(当該所得税の額に係る第六十九条の二第一項(分配時調整外国税相当額の控除)に規定する分配時調整外国税相当額を除く。)は、政令で定めるところにより、当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。
2 前項の規定は、内国法人である公益法人等又は人格のない社団等が支払を受ける利子及び配当等で収益事業以外の事業又はこれに属する資産から生ずるものにつき課される同項の所得税の額については、適用しない。
3 第一項の事業年度において第七十二条第一項各号(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)に掲げる事項を記載した中間申告書の提出により第七十八条第一項(所得税額等の還付)又は第百三十三条第一項(更正等による所得税額等の還付)の規定による還付金がある場合の第一項の所得税の額には、当該還付金の額を含まないものとする。
4 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
南九州コカコーラ・ボトリング株式会社事件 最決平成21年7月10日(民集63巻6号1092頁) 百選106
1.所得税額の控除
(1)法人税法68条
(所得税額の控除)
第六十八条 内国法人が各事業年度において所得税法第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)
に規定する利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金(次項において「利子及び配当等」という。)の支払を受ける場合には、これらにつき同法の規定により課される所得税の額は、政令で定めるところにより、当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。
2 前項の規定は、内国法人である公益法人等又は人格のない社団等が支払を受ける利子及び配当等で収益事業以外の事業又はこれに属する資産から生ずるものにつき課される同項の所得税の額については、適用しない。
3 第一項の事業年度において第七十二条第一項各号(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)に掲げる事項を記載した中間申告書の提出により第七十八条第一項(所得税額等の還付)又は第百三十三条第一項(更正等による所得税額等の還付)の規定による還付金がある場合(当該事業年度が第四条の五第一項又は第二項(第四号又は第五号に係る部分に限る。)(連結納税の承認の取消し等)の規定により第四条の二(連結納税義務者)の承認を取り消された内国法人のその取り消された日の前日の属する事業年度である場合において、当該事業年度開始の日の属する第八十一条の二十第一項(仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等)に規定する期間につき同項各号に掲げる事項を記載した連結中間申告書の提出により第八十一条の二十九第一項(所得税額等の還付)又は第百三十三条第一項の規定による還付金(以下この項において「連結還付金」という。)があるときを含む。)の第一項の所得税の額には、これらの還付金の額(連結還付金にあつては、当該連結還付金の額のうち当該内国法人に帰せられる金額として政令で定める金額に限る。)を含まないものとする。
4 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
(2)当初申告要件の廃止
平成23年12月改正により法人税法68条3項が改められ、確定申告書だけでなく、修正申告書や更生請求書においても、適用の選択ができることとされた。
第4章 同族会社の特例
340.02行為計算否認の要件
引用条文の現行全文4条2026年8月16日時点
所得税法第157条(同族会社等の行為又は計算の否認等)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
税務署長は、次に掲げる法人の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主等である居住者又はこれと政令で定める特殊の関係のある居住者(その法人の株主等である非居住者と当該特殊の関係のある居住者を含む。第四項において同じ。)の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号(確定損失申告)に掲げる金額を計算することができる。
一 法人税法第二条第十号(定義)に規定する同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する法人
イ三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロその事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその法人の発行済株式又は出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、法人税法第百三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつた場合における第一項の居住者の所得税に係る更正又は決定について準用する。
4 税務署長は、合併(法人課税信託に係る信託の併合を含む。)、分割(法人課税信託に係る信託の分割を含む。)、現物出資若しくは法人税法第二条第十二号の五の二に規定する現物分配又は同条第十二号の十六に規定する株式交換等若しくは株式移転(以下この項において「合併等」という。)をした法人又は合併等により資産及び負債の移転を受けた法人(当該合併等により交付された株式又は出資を発行した法人を含む。以下この項において同じ。)の行為又は計算で、これを容認した場合には当該合併等をした法人若しくは当該合併等により資産及び負債の移転を受けた法人の株主等である居住者又はこれと第一項に規定する特殊の関係のある居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に関する更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで、第百二十二条第一項第一号から第三号まで又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号に掲げる金額を計算することができる。
所得税法第36条(収入金額)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロその事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。
所得税法第37条(必要経費)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
ユニバーサルミュージック事件 最高裁令和4年4月21日判決(民集76巻4号480頁) 百選63
5.関連裁判例
南日本高圧コンクリート株式会社事件 福岡高宮崎支判昭和55年9月29日(行集31巻9号1982頁)
行為計算否認規定を発動する要件
①本件一審判決と控訴審判決において、行為計算否認規定を発動する抽象的な要件は、それぞれどのように考えているか。
- 一審
- 隠れた利益処分等の同族会社ゆえに行われる租税回避行為かどうか。
- 控訴審
- 専ら経済的実質的見地において、法人の行為、計算が経済人の行為として不合理、不自然なものと認められるかどうか。
②それはそれぞれの判決が想定した具体的な否認の内容とどのようにつながっているか。
- 一審
- 最低販売価額と異常低価額との差額を否認。
- 控訴審
- 時価と異常低価額との差額を否認。
抽象的な基準としては、ある行為または計算が経済的合理性を欠いている場合に否認が認められると解すべきであろう。否認の要件としては、経済合理性を欠いた行為または計算の結果として税負担が減少すれば十分であって、租税回避の意図ないし税負担を減少させる意図が存在することは必要ではないと解される。
6.所得税法157条
所得税法
(同族会社等の行為又は計算の否認等)
第百五十七条 税務署長は、次に掲げる法人の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主等である居住者又はこれと政令で定める特殊の関係のある居住者(その法人の株主等である非居住者と当該特殊の関係のある居住者を含む。第四項において同じ。)の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号(確定損失申告)に掲げる金額を計算することができる。
一 法人税法第二条第十号(定義)に規定する同族会社二 イからハまでのいずれにも該当する法人イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」
という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその法人の発行済株式又は出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、法人税法第百三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつた場合における第一項の居住者の所得税に係る更正又は決定について準用する。
4 税務署長は、合併(法人課税信託に係る信託の併合を含む。)、分割(法人課税信託に係る信託の分割を含む。)、現物出資若しくは法人税法第二条第十二号の五の二に規定する現物分配又は同条第十二号の十六に規定する株式交換等若しくは株式移転(以下この項において「合併等」という。)をした法人又は合併等により資産及び負債の移転を受けた法人(当該合併等により交付された株式又は出資を発行した法人を含む。以下この項において同じ。)
の行為又は計算で、これを容認した場合には当該合併等をした法人若しくは当該合併等により資産及び負債の移転を受けた法人の株主等である居住者又はこれと第一項に規定する特殊の関係のある居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に関する更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで、第百二十二条第一項第一号から第三号まで又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号に掲げる金額を計算することができる。
①所得税法157条は、所得税法のどの章に置かれているか。
「更正及び決定」の章にある。所得税法36条や37条の特則。
②1項柱書きの適用要件
同族会社の行為計算否認規定の趣旨は、所得税の負担を不当に減少させるような行為や計算が行われやすいことに鑑み、これを防止し、租税負担の公平を維持するために、そのような結果をもたらす行為・計算を正常な行為計算に引き直して更正又は決定を行う権限を税務署長に認めることにある。そして、税負担を不当に減少する同族会社の行為計算とは、純経済人の行為としての不合理・不自然な行為計算をいうと解する(非同族会社では通常なしえないような行為計算がこれにあたるとする説もある)。
③1項柱書の適用効果
正常な行為計算に引き直す。その際に、純経済人、つまり非同族会社かつ同種同業の会社であれば通常支払われるであろう管理料の額を基準とする。
(3)不動産管理会社を介した高額管理料に所得税法一五七条を適用した例
東京地判平成元年4月17日 株式会社エス・アンド・ティー事件
①否認すべき同族法人の行為不動産管理会社である同族法人S の代表取締役であり大株主であったX が、X 所有の貸しビル及び貸駐車場の管理をS に委託し、それに基づき支払った過大な管理料を否認すべきものとしている。
他方、同族法人であるS が行った行為はX との間で管理委託契約を締結し、過大な管理料を受け取ったことであり、本件では当該行為を否認しているわけではないので、「同族法人の行為又は計算」を否認するという所得税法157条の文言の自然な解釈には適合しない。
しかし、この点について、所得税法157条の適用にあたっては、否認の要件を判断する対象を同族会社の行為・計算とし、その効果として否認する対象を株主等の個人の行為や計算としており、これは、法人と役員等の取引全体について不合理な行為があり、その結果所得税を免れるということを要求しているように解されると説明しているものもある。
②法人税法132条の適用法人税法132条では、「(同族)法人の行為又は計算で、これを容認した場合に法人税の負担を不当に減少させる結果になると認められるもの」と規定されており、本件においては同族会社S にとっては管理料を多く得ており、その分の法人税を負担していることから、S の「法人税の負担を不当に減少させる結果」にはならず、同法の要件を満たさない。
本件では、所得税と法人税の税率の違いを利用し、X からS に所得を移転することによって、全体としてX の租税負担を減少することを意図していたと思われる。
④本件判決は所得税法157条の文言に忠実か。
①で述べたように、同法の文言を忠実に解すると、個人であるX のイニシアティブによる行為計算は含まれないことになろう。ただ、本件判決は全体として把握した結果、X の所得税の負担を不当に軽減するものとして、行為計算否認を認めたと考えられる。
⑤判断枠組み(ⅰ)適正な管理料を計算するためには、同族関係にない不動産管理会社に同規模程度の物件の管理を委託している同業者が、当該不動産管理会社に支払った管理料の全額の賃貸料収入の金額に対する割合との比準の方法によって、通常であれば支払われるであろう標準的な管理料の金額を算出し、これと現実の支払管理料の金額とを比較検討することが合理的な方法である。
(ⅱ)比準同業者甲及び乙を選定したことは合理的であった。
(ⅲ)比準方法で算出した標準的な金額と比較すると、本件管理料は著しく過大であって、経済人の行為としては極めて不合理である。
(ⅳ)このような行為計算を放置した場合、X の不動産所得の金額を減少させ、所得税の負担を不当に減少させる結果となる。
(ⅴ)したがって、右行為計算は所得税法157条により否認されるべきであり、標準的な管理料の金額をX のS に対する管理料の金額としてX の不動産所得を計算すべきである。
*なお、本件の場合、同族会社の行為計算の否認規定を適用すべき場合であったのかは問題である。というのは、必要経費に関する一般規定である所得税法37条により、過大管理料分は必要経費として控除できないと考える余地があったと思われるからである。通常の課税規定で税負担の不当な軽減に対処できないときに適用があると考えられる租税回避の否認規定としての性格からして、所得税法157条の適用の余地はなかったのではないか。もっとも、同条と法37条のいずれも適用できるとの考え方もある。49所得税法37条を適用する場合 →収益に対応した費用とはいえないと主張することになり、費用性の問題になる。
340.03行為計算否認の効果
引用条文の現行全文3条執筆時から改正 22026年8月16日時点
法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)e-Gov
施行 2026-08-12 令和八年法律第六十四号
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロその事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。
国税通則法第15条(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)改正e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
国税を納付する義務(源泉徴収等による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。
2 納税義務は、次の各号に掲げる国税(第一号から第十三号までにおいて、附帯税を除く。)については、当該各号に定める時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。
一 所得税(次号に掲げるものを除く。)暦年の終了の時
二 源泉徴収による所得税利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時
三 法人税及び地方法人税(次号に掲げるものを除く。)事業年度の終了の時
三の二 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税及び各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税並びに国際最低課税額等に係る特定基準法人税額に対する地方法人税及び国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税対象会計年度(法人税法第十五条の二(対象会計年度の意義)に規定する対象会計年度をいう。)の終了の時
四 相続税相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)による財産の取得の時
五 贈与税贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)による財産の取得の時
六 地価税課税時期(地価税法(平成三年法律第六十九号)第二条第四号(定義)に規定する課税時期をいう。)
七 消費税等課税資産の譲渡等若しくは特定課税仕入れをした時又は課税物件の製造場(石油ガス税については石油ガスの充塡場とし、石油石炭税については原油、ガス状炭化水素又は石炭の採取場とする。)からの移出若しくは保税地域からの引取りの時
八 航空機燃料税航空機燃料の航空機への積込みの時
九 電源開発促進税販売電気の料金の支払を受ける権利の確定の時
十 自動車重量税自動車検査証の交付若しくは返付の時又は届出軽自動車についての車両番号の指定の時
十一 国際観光旅客税本邦からの出国の時
十二 印紙税課税文書の作成の時
十三 登録免許税登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定又は技能証明の時
十四 過少申告加算税、無申告加算税又は第六十八条第一項、第二項若しくは第四項(同条第一項又は第二項の重加算税に係る部分に限る。)(重加算税)の重加算税法定申告期限の経過の時
十五 不納付加算税又は第六十八条第三項若しくは第四項(同条第三項の重加算税に係る部分に限る。)の重加算税法定納期限の経過の時
3 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。
一 所得税法第二編第五章第一節(予定納税)(同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税(以下「予定納税に係る所得税」という。)
二 源泉徴収等による国税
三 自動車重量税
四 国際観光旅客税法第十八条第一項(国際観光旅客等による納付)の規定により納付すべき国際観光旅客税
五 印紙税(印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)第十一条(書式表示による申告及び納付の特例)及び第十二条(預貯金通帳等に係る申告及び納付等の特例)の規定の適用を受ける印紙税及び過怠税を除く。)
六 登録免許税
七 延滞税及び利子税
国税通則法第2条(定義)改正e-Gov
施行 2026-06-24 令和八年法律第四十六号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国税国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税及び特別法人事業税以外のものをいう。
二 源泉徴収等による国税源泉徴収に係る所得税及び国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)第二条第一項第七号(定義)に規定する特別徴収に係る国際観光旅客税(これらの税に係る附帯税を除く。)をいう。
三 消費税等消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税をいう。
四 附帯税国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。
五 納税者国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収等による国税を除く。)を納める義務がある者(国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)に規定する第二次納税義務者及び国税の保証人を除く。)及び源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。
六 納税申告書申告納税方式による国税に関し国税に関する法律の規定により次に掲げるいずれかの事項その他当該事項に関し必要な事項を記載した申告書をいい、国税に関する法律の規定による国税の還付金(以下「還付金」という。)の還付を受けるための申告書でこれらのいずれかの事項を記載したものを含むものとする。
イ課税標準(国税に関する法律に課税標準額又は課税標準数量の定めがある国税については、課税標準額又は課税標準数量。以下同じ。)
ロ課税標準から控除する金額
ハ次に掲げる金額(以下「純損失等の金額」という。)
(1)所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する純損失の金額又は雑損失の金額でその年以前において生じたもののうち、同法の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前年分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの
(2)法人税法(昭和四十年法律第三十四号)に規定する欠損金額でその事業年度以前において生じたもの(同法第五十七条第二項(欠損金の繰越し)の規定により欠損金額とみなされたものを含む。)のうち、同法の規定により翌事業年度以後の事業年度分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前事業年度以前の事業年度分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの
(3)相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十一条の十二(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)の規定により同条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合における当該金額の合計額を二千五百万円から控除した残額
ニ納付すべき税額
ホ還付金の額に相当する税額
ヘニの税額の計算上控除する金額又は還付金の額の計算の基礎となる税額
七 法定申告期限国税に関する法律の規定により納税申告書を提出すべき期限をいう。
八 法定納期限国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる国税については、それぞれ次に定める期限又は日)をいう。この場合において、第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限及び所得税法若しくは相続税法の規定による延納(以下「延納」という。)、第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)に規定する納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限は、当該国税を納付すべき期限に含まれないものとする。
イ第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税その国税の額をその国税に係る期限内申告書に記載された納付すべき税額とみなして国税に関する法律の規定を適用した場合におけるその国税を納付すべき期限
ロ国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限とされている日後に納税の告知がされた国税(ハ又はニに掲げる国税に該当するものを除く。)当該期限
ハ国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税当該事実が生じた日
ニ附帯税その納付又は徴収の基因となる国税を納付すべき期限(当該国税がイからハまでに掲げる国税に該当する場合には、それぞれ当該国税に係るイからハまでに掲げる期限(地価税に係る過少申告加算税、無申告加算税及び第三十五条第三項に規定する重加算税については、先に到来する期限)又は日)
九 課税期間国税に関する法律の規定により国税の課税標準の計算の基礎となる期間(課税資産の譲渡等(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第九号(定義)に規定する課税資産の譲渡等をいい、同項第八号の二に規定する特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第十五条第二項第七号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)において同じ。)及び特定課税仕入れ(同法第五条第一項(納税義務者)に規定する特定課税仕入れをいう。同号において同じ。)に課される消費税(以下「課税資産の譲渡等に係る消費税」という。)については、同法第十九条(課税期間)に規定する課税期間)をいう。
十 強制換価手続滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続、企業価値担保権の実行手続及び破産手続をいう。
株式会社塚本商店事件 最高裁昭和48年12月14日判決(訟月20巻6号146頁)
- 第一次更正処分
- A の受領代金のうち、800 万円は役員賞与であるとして納税告知処分
- 第二次更正処分
- 第一次更正処分を、理由付記不備を理由に取消し
- 第三次更正処分
- 第一次処分とほぼ同内容(第一次更正処分の理由付記不備を補完)
1.行為計算否認規定の効果
(2)①最高裁の考え方によると、Y 税務署長はX に対する法人税の更正処分をすることなく、X に対してのA の源泉所得税につき納税告知処分を行うことができるか。
本件上告審は「本件法人税に関する原判示第一次更正処分において、X の行為計算が否認され、その否認額がX からA に対する役員賞与としてX の益金に算入されたとしても、A に対する所得税の関係に何ら影響を及ぼすものではなく、同人の所得税に関して行われた原判示徴収処分は、右第一次更正処分とはかかわりなく、所得税法によって法律上当然に確定した源泉徴収義務についてその履行を求めるものであると解すべきである。」と判示している。
したがって、Y はX に対する本件第一次更正処分をすることなく、X に対してA の源泉徴収税50につき納税告知処分51を行うことができる。
②最高裁の考え方によると、同族会社であるP 社がQ 社に商品R を100 万円で売り渡したところ、P 社の所轄税務署長が行為計算否認規定を適用し、R の代金を180 万円とする増額更正処分を行った場合、P 社はこの処分を根拠としてQ 社に対し、民事上、R の残代金80 万円を請求することができるか。
本件上告審は「法人税法132条に基づく同族会社等の行為計算の否認は、当該法人税の関係においてのみ、否認された行為計算に代えて課税庁の適正と認めるところに従い課税を行なうというものであって、もとより現実になされた行為計算そのものに実体的変動を生ぜしめるものではない」としている。
すなわち、行為否認計算規定が適用されたとしても、私法上・実体法上、当該契約は何らの影響を受けないのであり、P社はQ 社に対し80 万円を請求することはできない。
(3)本件においてX はA に対し、X が納税告知処分に従って納付した源泉所得税額相当分の金銭を民事上、請求することができるか。
徴収納付における徴収納税義務者52と納税義務者との間の法律関係は私法上の債務関係であると解すべきであり、未徴収、過少徴収の場合、源泉徴収義務者は納税義務者に対し求償権を有することになる。
したがって、本件では、X はA に対して源泉徴収税相当分の金銭を民事上、不当利得返還請求として請求することができる。
所得税法
(不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等)
第二百二十二条 前条の規定により所得税を徴収された者がその徴収された所得税の額の全部又は一部につき第一章から第五章まで(源泉徴収)の規定による徴収をしていなかつた場合又はこれらの規定により所得税を徴収して納付すべき者がその徴収をしないでその所得税をその納付の期限後に納付した場合には、これらの者は、その徴収をしていなかつた所得税の額に相当する金額を、その徴収をされるべき者に対して同条の規定による徴収の時以後若しくは当該納付をした時以後に支払うべき金額から控除し、又は当該徴収をされるべき者に対し当該所得税の額に相当する金額の支払を請求することができる。この場合において、その控除された金額又はその請求に基づき支払われた金額は、当該徴収をされるべき者については、第一章から第五章までの規定により徴収された所得税とみなす。